メディア (Media)
適 宜 更 新
- 抜 粋 -
琉球新報(2013年4月~)
プチデモン氏 引き渡し保留/カタルーニャ独立派 伊が審理
2021/10/05 琉球新報朝刊
【ローマ共同】イタリア西部サルデーニャ島の裁判所は4日、スペイン北東部カタルーニャ自治州独立派で、スペイン当局の国際手配に基づき同島で拘束された欧州連合(EU)欧州議員のプチデモン氏の身柄をスペインに引き渡すかどうかを審理し、判断を保留した。イタリアメディアが報じた。プチデモン氏は先月23日に拘束、翌日に釈放され、居住国のベルギーに戻っていたが、出廷のため今月3日にサルデーニャ島に到着した。 カタルーニャ自治州首相だった2017年、スペインからの独立を問う住民投票を強行。スペイン当局の反逆容疑などでの捜査を逃れ、ベルギーに出国した。 プチデモン氏は19年に欧州議会選で当選したが、欧州議会は今年3月、同氏の不逮捕特権剥奪を賛成多数で可決した。スペイン当局は欧州逮捕状を発付し、国際手配している。「民意に耳傾けて」/プチデモン氏、本紙に見解
2021/09/25 琉球新報朝刊
イタリア当局に23日、拘束されたカルラス・プチデモン元カタルーニャ州首相は、2019年12月に滞在先のベルギーで琉球新報のインタビュー取材に応じ、沖縄と同州に共通する課題などを挙げて「民意に耳を傾けないことは誤りだ」などと述べていた。 プチデモン氏は取材に、スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立を問う住民投票と、名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票に関連して「投票結果を尊重するのは民主主義のルールだ。無視せず、政治的に対話することが政府の義務だ」などと語った。 政府によって自己決定権を侵害されている地方として、沖縄やカナダのケベック州などを挙げ「国家の抑圧を前に手を取り合い、自分たちの未来を自分たちで決めるために取り組まねばならない」と強調した。 スペイン政府から訴追されたことには「司法の独立性を確保するよう、国際社会から勧告が出ている。政治的利益と裁判所がリンクしているのは独裁政権期から続く負の遺産だ。民主主義の向上に歯止めをかけている」と批判していた。 琉球新報は19年当時、研修でカタルーニャ州に滞在していた友知政樹沖縄国際大学教授の仲介でプチデモン氏に単独インタビューした。 (宮城隆尋)Listen to the people's will
[Ryukyu Shimpo] Mr. Puigdemont, the former Prime Minister of Catalonia, who was detained by the Italian authorities, responded to an interview with Ryukyu Shimpo in Belgium in December 2019. He cites issues common to Catalonia and Okinawa and said: “It is wrong not to listen to people’s will.” In connection with the referendum on the independence of Catalonia and the referendum on the pros and cons of building a new U.S. military base in Henoko, Nago City, Okinawa Prefecture, he also said: “It is a rule of democracy to respect the results of the referendum. It is the governments’ duty to engage in political dialogue, not to ignore it.” He cited Okinawa and Quebec as areas where the right to self-determination was violated by the central governments and said that we must fight together to determine our own future. About the prosecution by the Spanish government, he said: “The international community has recommended the Spanish government to ensure judicial independence. The link between political interests and the court is a negative legacy since the time of the dictatorship. It is preventing the improvement of democracy.” The interview with Mr. Puigdemont was conducted with Professor Masaki Tomochi, stayed in Catalonia for his sabbatical leave. (Reported by Takahiro Miyagi)プチデモン氏、伊で拘束/スペインカタルーニャ独立派
2021/09/25 琉球新報朝刊
【ローマ共同】イタリア警察は23日、スペイン北東部カタルーニャ自治州首相を務めた独立派で、欧州議員のプチデモン氏をイタリア西部サルデーニャ島で拘束した。国際イベントに出席するため同島の空港に到着したところだった。イタリアの裁判所が、スペイン側が求めている身柄の引き渡しについて判断する。ANSA通信が報じた。 プチデモン氏はスペインからの独立を問う住民投票を2017年に強行。スペイン当局の反逆容疑などでの捜査を逃れ、ベルギーに出国した。19年に欧州議会選で当選したが、欧州議会は今年3月、同氏の不逮捕特権剥奪を賛成多数で可決した。 スペイン当局は欧州逮捕状を発付し、国際手配している。同国のサンチェス首相は24日「プチデモン氏が(スペイン)司法に従わなければならないのは明らかだ」と表明した。
[Kyodo News] On September 24, 2021, Italian police detained Mr. Puigdemont, a former Prime Minister of the Autonomous Region of Catalonia in northeastern Spain, who is a member of the European Parliament seeking Catalonia's independence, on the island of Sardinia in western Italy. The Italian court will decide on handing over required by Spain. ANSA news agency reported. Mr. Puigdemont forcibly held a referendum in 2017 asking for Catalonia's independence from Spain. He escaped the investigation by the Spanish authorities and left for Belgium. He was elected to the European Parliament in 2019, but in March this year, the European Parliament passed the deprivation of his non-arrest privilege in favor of a majority. Spanish authorities have issued a European Arrest Warrant on charges of rebellion and he has being placed on international wanted list. He was also detained in Germany in 2018 on his way back from Finland to Belgium. The German court denied the delivery of his identity. Mr. Puigdemont was detained when he arrived at the island's airport on the 23rd of this month to attend an international event in Sardinia.カタルーニャ 独立派に恩赦/スペイン、元州閣僚ら
2021/06/23 琉球新報朝刊
【パリ共同】スペイン政府は22日、2017年に北東部カタルーニャ自治州の独立の是非を問う住民投票を強行して19年に反乱罪などで有罪となり、禁錮13~9年の刑に服している独立派のジュンケラス元州副首相を含む元州閣僚ら9人に対し、恩赦を決定した。 野党の右派や司法当局は恩赦に強く反対しており、多くの国民の反発も必至だ。 サンチェス政権は中央政府と州独立派の長引く対立を解消させ、関係正常化を図る糸口としたい考えだが、成果が得られない恐れもある。<金口木舌>チャモロと沖縄
2021/06/18 琉球新報朝刊
「裏切りだ」。米領グアムの米軍基地で働くなど、米国民として誇りを抱いていたエンジェル・サントス氏は1990年代、環境影響調査の報告書を読んでがくぜんとした。基地周辺の飲用水、地下水が発がん性物質で汚染されていた ▼サントス氏は数年前、幼い娘をがんで亡くしていた。市民団体「ナシオン・チャモル」を結成し、米軍による環境汚染を告発。先住民族チャモロの自己決定権回復を求めて運動した。「穴を掘り、猛毒を含む軍需品を埋めるのは一般的だった」と米軍を非難した ▼2003年の死去後もチャモロの人々に語り継がれる存在だ。米国からの独立運動の象徴でもある。基地に振り回されてきたグアムの歴史は沖縄に重なる ▼うるま市の米陸軍貯油施設から有機フッ素化合物に汚染された水が漏れ出した。流出量は最大2・4トン余だという。排水路の先には北谷浄水場が取水する天願川がある ▼昨年、普天間飛行場から同物質を含む泡消火剤が大量に漏れたばかりだ。この物質による水質汚染は16年から問題化している。しかし陸軍貯油施設にも貯蔵されていたことを、県民は今回の事故で知らされた ▼基地内にどんな有害物質があるのか、米軍は全容を明らかにしない。日本側の立ち入り調査要求にも満足に応じない。この島に76年間も米軍を駐留させる日米両政府は今後も県民を欺き続けるのか。<社説>スコットランド選挙/自己決定権行使に注視を
2021/05/24 琉球新報朝刊
英スコットランド議会選で、英国からの独立を目指す地域政党スコットランド民族党(SNP)が第1党を維持し、独立派の小政党との合計で過半数となった。SNPの党首は、独立を問う住民投票の許可権限を持つジョンソン英首相に実施を認めるよう求めた。首相は実施に反対の立場だが今後、独立への動きは加速するとみられる。 スコットランドが独立を目指す背景にはイングランドから受けてきた差別の歴史がある。英国唯一の核兵器基地が押し付けられていることも含め、日本における沖縄の歴史や現状に問題の構図が似ている。スコットランドが武力を使わず住民投票で平和裏に自己決定権を行使する過程には学ぶ面が多い。その動きを沖縄と重ねながら注視したい。 スコットランドは大きな分権改革を経験してきた。1997年の住民投票でスコットランド議会の設置を勝ち取って以降、英国議会からの権限委譲が進んだ。国防や外交、貿易の自由、社会保障、全国レベルの単一市場に関わる部分以外は権限を持つ。 住民自ら分権の姿・形を描き、分権推進運動を主導してきた。運動の元はスコットランド憲法制定会議だ。フランス革命時の憲法制定国民会議をモデルに設置し、1989年に主権や憲法制定権を持つことを宣言した。 宣言を基に憲法に相当する基本法を制定。英国国会がそれを国会の制定法として法律化したため、独立への動きなど自己決定権の行使が国内外に承認されている。これを背景にSNPは議席を伸ばし、独立を問う住民投票の大きな原動力となっている。 当時のキャメロン英首相が許可した2014年9月の住民投票では、独立賛成が44・65%だったのに対し、反対は55・25%で反対が約10ポイント上回った。その直後から独立派は英国のEU離脱をにらんでいた。国民投票で離脱を選択した場合、EU残留を望むスコットランドは再び独立を問える―と息巻いていた。 実際、16年の国民投票でスコットランドでは残留を選んだ票が離脱を上回ったが、中央政府は離脱に突き進んだ。それへの不満も独立派を後押ししている。 沖縄にも、自己決定権や民意がないがしろにされてきた歴史がある。直近では、1996年、2019年と、米軍基地に関する県民投票を2度実施したが、その意思に反し改善に至っていない。「基地のない平和な島」を目指した日本復帰から来年で半世紀となるが、基地が集中する現状は変わっていない。 沖縄の人々が自己決定権を行使し、平和裏に自らの意思を中央政府の政策に反映させることを目指すなら、スコットランドの動きはモデルになる。スコットランドは今後、どう住民投票を国内外に承認させるかが鍵だ。その実現は県民投票を経験してきた沖縄にとって大いに学べる。独立派連立政権、再発足へ/カタルーニャ 2主要政党合意
2021/05/19 琉球新報朝刊
【パリ共同】スペイン北東部カタルーニャ自治州(州都バルセロナ)の独立を目指す2主要政党は17日、2月の州議会選挙を受け、再び連立政権を発足させることで基本合意したと発表した。同国のメディアが伝えた。州議選で独立派第1党となった「カタルーニャ共和左派(ERC)」のペラ・アラゴネス氏が新首相となる。同氏は前政権で副首相を務めていた。 合意を発表したのはERCと、2017年に住民投票を強行したプチデモン元州首相が率いる「カタルーニャのための連合(JXC)」。独立派2党 過半数/英スコットランド議会選
2021/05/10 琉球新報朝刊
【ロンドン共同】英北部スコットランド議会選(6日投票、定数129)は8日開票が終了し、BBC放送によると、英国からの独立を志向する地域政党スコットランド民族党(SNP)が第1党を維持した。単独過半数には1議席届かなかったが、独立派の小政党スコットランド緑の党との合計で過半数となった。 SNPは、スコットランド独立の是非を問う住民投票の実施を党是としている。ただ住民投票の許可権限を持つジョンソン首相は繰り返し反対の立場を示しており、対立が深まるのは必至。投票実施の是非を巡り法廷闘争に発展する可能性も指摘されている。 BBCによると、SNPは64議席、同じく住民投票を目指すスコットランド緑の党が8議席。 スコットランドでは2014年にも住民投票が行われ、独立が否決された。SNPのスタージョン党首は、地元で反対が根強い欧州連合(EU)離脱を英国が果たしたことで14年当時と状況が一変したと主張。再び住民投票で独立の是非を問うことを公約に掲げていた。新型コロナウイルスの感染収束のめどが立ち次第、投票実施を目指す方針だ。独立派過半数 うかがう勢い/スコットランド開票続く
2021/05/09 琉球新報朝刊
【ロンドン共同】英北部スコットランド議会選(6日投票、定数129)は8日までの開票で、英国からのスコットランド独立の是非を問う住民投票再実施を党是とする地域政党、スコットランド民族党(SNP)が第1党を維持し、単独過半数の65議席獲得をうかがう勢い。BBC放送は「際どい」状況だと報じた。BBCによると、7日夜時点で48議席分が判明し、SNPが国政与党保守党などを大きくリードしている。スコットランド独立派優勢/議会選、住民投票再要求も
2021/05/07 琉球新報朝刊
【ロンドン共同】英北部スコットランド地方で6日、議会選の投票が行われた。英国からの独立の是非を問う住民投票再実施を党是とする与党スコットランド民族党(SNP)が優勢。賛否は拮抗(きっこう)しているが、他党を含む独立派が躍進すれば機運が一層高まるのは必至。300年超の歴史を持つ「英連合王国」の行方を占うこととなる。 SNPのスタージョン党首は数年以内の住民投票再実施を目指しており、今回過半数を得た場合、ジョンソン英政権に賛同を求める方針。ジョンソン首相は再実施を否定しており、対立が先鋭化する恐れがある。 直近の世論調査でSNPの支持率は、国政与党の保守党や野党労働党を大きくリードしており、SNPの第1党維持は確実視されている。 独立を巡る2014年の住民投票では、反対派が賛成派を上回り、英国の分裂は回避された。だがスタージョン氏は、英国の欧州連合(EU)離脱によって前提条件が変わったと主張。ジョンソン氏は、14年に住民投票が行われたばかりだと反論している。 6日は下院補選、南部イングランドでロンドン市長を含む13首長選と地方自治体の議会選、西部ウェールズ議会選の投票も行われた。ロンドン市長選は労働党候補の現職サディク・カーン氏と保守党候補のショーン・ベイリー氏の事実上の一騎打ち。英メディアは、直近の世論調査でカーン氏が優勢を保っていると伝えた。那覇市議会へ感謝状/日本ウイグル連盟 中国人権侵害抗議に
2021/04/24 琉球新報朝刊
在日ウイグル人らでつくる日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット会長(東京都)が23日、那覇市議会の久高友弘議長らを訪ね、市議会が3月に「中国による人権侵害問題に対する調査および抗議を求める意見書」を可決したことに対して感謝状を贈った。 意見書は、中国・新疆ウイグル自治区で「大規模な恣意(しい)的勾留、人権弾圧が中国当局によって行われていることを国際社会は深く憂慮している」と指摘し、日本政府として調査や抗議をするよう求めた。 ムハメットさんは1994年に日本に留学し、新疆ウイグル自治区での人権抑圧が厳しくなったため、日本に残ってウイグル独立を求める活動をしている。同自治区に戻った娘は2016年末から連絡がとれなくなり、身を案じている。 ムハメットさんは「本土に先駆けて沖縄から声が上がったのは歴史的だ。沖縄の人々は人権問題に敏感だ」と感謝した。 久高議長は「弾圧に対して一致団結して闘いたい」と述べた。 ムハメットさんは県議とも面談し、県議会でも那覇市議会と同様の意見書を可決するよう求めた。県庁記者クラブで会見も開き、「日本政府の動きがにぶい。欧米と同じレベルの非難声明を出してほしい」と語った。基地の街学び模擬選挙/立命館守山中(滋賀) 仮想修学旅行で平和学習/沖縄市と遠隔で交流
2021/03/18 琉球新報朝刊
【沖縄】滋賀県の立命館守山中学校(寺田佳司校長)2年生がバーチャルで修学旅行を実施、その中の平和学習プログラムで10日、沖縄県知事の模擬選挙を行った。新型コロナウイルスによる影響で2月に予定していた沖縄への修学旅行が中止になり、沖縄市観光物産振興協会企画の街歩き平和学習もなくなった。そこで沖縄の基地の街を知ろうと学校と生徒で「沖縄県の模擬知事選挙」を企画した。 米軍基地の反対派・共存派6人の立候補者がそれぞれ選挙演説をし、発表の場とした。各候補者はそれぞれ学び、多面的な視点から沖縄における米軍基地の役目や弊害、自衛隊基地の現状、経済的な面やこれからの観光のビジョン、自然環境の保護など主張。生徒たちは、それぞれ投票した。 当選したのは基地反対派の立候補者で、琉球王国として独立し、日本との取り決めを無くし基地のない沖縄からプロスポーツなどでスポーツ王国として経済発展を目指すという内容で当選した。 当日は沖縄市と同中学校をオンラインでつなぎ、沖縄市観光物産振興協会認定ガイドの岸本健さん(74)、中村善昭さん(71)、ルソー光さん(48)ら3人も沖縄市胡屋のカフェで立候補者らの演説などを視聴した。 担当した立命館守山中の武藤季帆教諭(49)は「限られた時間ではあったが生徒たちが調べた内容を現地の方に聞いてもらうということで緊張感もあり、張り切っていた。初めての試みだったがとても良い体験になった」と述べた。 ネットを活用した修学旅行の取り組みや内容についての問い合わせは沖縄市観光物産振興協会(電話)098(989)5566。 (正木光通信員)カタルーニャ州 独立派が過半数/州議会選挙
2021/02/16 琉球新報朝刊 6ページ州独立派、政権維持か/あすカタルーニャ議会選/連立政権づくり注目高まる
2021/02/13 琉球新報朝刊 7ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>13/親川志奈子/首里城再建のプロセス/県民意見反映の仕組みを/所有権問題も議論必要
2021/02/09 琉球新報朝刊 19ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>12/友知政樹/首里城再建の主体/透ける国の植民地主義/県民の参画意欲広がる
2021/02/06 琉球新報朝刊 15ページコザ騒動50年を問うシンポジウム/現在につながる主体的行動
2020/12/17 琉球新報朝刊 21ページ<あしゃぎ>独立論は尊厳の問題
2020/12/16 琉球新報朝刊 10ページ沖縄戦継承 積極的に/平和学シンポ、識者ら議論
2020/12/15 琉球新報朝刊 15ページ<コザ騒動50年>「誇り取り戻した日」/コザ騒動シンポ 登壇者が発生意味議論
2020/12/15 琉球新報朝刊 29ページ首里城再興 公開討論会/県民主体の再建 議論
2020/12/04 琉球新報朝刊 9ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>10/和多エリック/ハワイの県人の思い/歴史・文化 連動し復興を/イオラニ宮殿、地元民の誇り
2020/12/04 琉球新報朝刊 17ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>9/後田多敦/ルヴェルトガの正殿写真/龍柱 置県前も正面向き/琉球王国末期の姿伝える
2020/12/01 琉球新報朝刊 12ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>8/高山朝光/首里城地下の第32軍壕/「負の遺産」整備・公開を/沖縄戦の実相解明に重要
2020/11/20 琉球新報朝刊 17ページ大龍柱向き再検討へ/首里城討論会 復元委・高良氏が言及
2020/11/23 琉球新報朝刊 1ページ最古写真 裏付けか/首里城「撮影許可」 仏艦長手記
2020/11/21 琉球新報朝刊 19ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>7/安里嗣淳/復元の教訓/多視点画、内外に例/現存資料の再考必要
2020/11/18 琉球新報朝刊 10ページ首里城正殿、最古写真か/琉球併合前 仏軍人撮影 大龍柱、正面向く/神奈川大・後田多氏確認
2020/11/15 琉球新報朝刊 1ページ<あしゃぎ>例外的な謝名親方と謝花昇
2020/10/14 琉球新報朝刊 17ページ
「ウチナーンチュらしくない例外的なウチナーンチュが謝名鄭迴(ていどう)、謝花昇」と語る沖縄近現代史家の伊佐眞一さん=写真。那覇市で3日に開かれた松島泰勝龍谷大教授の著書「帝国の島」に関するトークイベントで2人の名を挙げた。
書籍でテーマとなっている日本の植民地主義に関連して「文化的な同質性と経済的な基盤の弱さ、沖縄の二つの弱さが(日本にとって)統治のしやすさにつながった」と語る。ウチナーンチュの特徴を「正面切って相手に言い切る習慣がない」と指摘した。「例外」とした首里王府の三司官・謝名親方(鄭迴)は薩摩侵攻後に連行され、起請文(きしょうもん)の提出を拒否して処刑された。謝花昇は当時の奈良原繁県知事と対立し、参政権獲得運動に身を投じた。
琉球併合(琉球処分)以降の140年間を「政府が総力を挙げて沖縄の人間を改造し、かなりの部分で成功した。上からの押しつけに同調する人間もおり、沖縄側にだらしない面もあった」と指摘する。一方で近年、研究者らが議論する琉球独立論は「基地問題と同じで、力ずくで根絶やしにしようとしても生き返ってくるものだ」と強調した。<主体性回復への道 首里城再建を考える>6/當眞嗣一/遺物が語る/頭部のノミ跡丸見えに/大龍柱、正殿の一部で核
2020/10/31 琉球新報朝刊 17ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>5/前泊博盛/原因調査打ち切り/消えた自力再建の道/自治、独立困難さ浮き彫り
2020/10/13 琉球新報朝刊 15ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>4/前田比呂也/復元作業/何を再建するか共有/また立て直せる仕組みを
2020/10/03 琉球新報朝刊 10ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>3/永津禎三/大龍柱(下)/絵図は向きを示さない/西村氏は復元に不可欠
2020/10/01 琉球新報朝刊 17ページ<主体性回復への道 首里城再建を考える>2/西村貞雄/大龍柱(中)/世界に類例ない大龍柱/正面向きで気の流れ形成
2020/09/23 琉球新報朝刊 11ページ<主体性回復への道・首里城再建を考える>1/西村貞雄/大龍柱(上)/「寸法記」根拠に向き合う/本来の姿ではない大龍柱
2020/09/22 琉球新報朝刊 15ページ沖縄分離の北緯30度線/戦後処理、混乱結び付く/コンペル長崎大准教授分析/奄美の扱い■米軍管轄争い■選挙改革
2020/07/06 琉球新報朝刊 2ページ沖縄差別を指弾 東京で抗議行動/首相官邸前、多くが参加
2020/05/16 琉球新報朝刊 25ページ<新聞をヨム日2020 私の注文>県民向いた報道を/仲里利信さん
2020/04/06 琉球新報朝刊 2ページ<寄稿>カタルーニャとスペインの対立を打開したいのは誰か/ミケル・ストルベル/文化的衝突で交渉停滞/国際社会の圧力で解決を
2020/03/14 琉球新報朝刊 12ページ
カタルーニャの独立運動は1世紀以上前に始まったというと多くの人は驚きます。2017年10月1日カタルーニャで行われた住民投票の投票所では、自由を勝ち取ったアイルランドやノルウェーを賞賛するカタルーニャ人の姿がしばしば見られました。しかし、カタルーニャはこれら2カ国と同じ自由を未だ獲得していません。
カタルーニャ人は、第一次大戦では義勇兵として連合国軍と共に、第二次世界大戦ではフランスのレジスタンスと共にナチスと戦いました。しかし、残酷にもカタルーニャの人々は何度も裏切りに遭いました。例えばユトレヒト条約により、またスペイン内戦とフランコ独裁政権下では、カタルーニャ人が千年以上もの間培ってきた独自の文化的特徴などを消し去る政策が繰り返されてきました。
今まで述べたことだけで、カタルーニャの人々が未来を自らの手で切り開きたいと願う理由は十分理解していただけると思います。カタルーニャ側の不満に対し歴代のスペイン政府は、不満をなだめて解決点を見いだすのではなく、逆にカタルーニャを挑発し問題をより深刻化させること、カタルーニャ人は利己的で自分勝手だというレッテルを貼ることにより、カタルーニャの独立運動を国の内外で貶めるという2つの戦略を採り続けてきました。こうした戦略は誤りであるとして是正する必要があります。
もちろん、カタルーニャの価値がスペインと全く異なるということではありません。しかし、スペイン政府は多くの場合、他から富を吸い上げる経済と他地域の税の引き上げに依存する政策に基づき統治してきました。一方、カタルーニャ政府は、中央政府に比べ著しく権利は限定されているものの、生産経済への支援と富の創出のため利益を再投資することに注力しがちです。スペインは何世紀もの間、戦争や征服に明け暮れたため、交渉による問題解決は彼らの流儀ではありません。一方、ナポレオンはイギリス人を商人と評しましたが、カタルーニャも商人の民族です。カタルーニャの富は、産業革命以前は主に商業によりもたらされてきました。そんな商人の歴史を持つ民族にとって、問題解決のため交渉の席に着くことはごく当たり前の行為なのです。
カタルーニャとスペインの対立はこの文化的な衝突により行き詰まっています。スペインは、あからさまに人権よりも国内統一を重視する裁判所と手を組み、カタルーニャの政治的指導者を投獄する動きを強めています。また問題を隠蔽するため今後も弾圧を行うでしょう。反対に、カタルーニャは固有の民族として存続し続けること、問題を住民投票で解決することを望んでいます。交渉が行き詰まった状況で、国際社会がスペインに対し対話に応じるよう圧力をかけなければ、この深刻な危機が解消される可能性はほとんどありません。
歴史や現状そして人々の切なる想いなど、 カタルーニャと琉球にはいくつかの類似点があると、多くの読者の皆様には感じられることでしょう。カタルーニャ州と対話/スペイン、独立問題巡り
2020/02/28 琉球新報朝刊 7ページ名桜大学主催 国際シンポジウム/琉球諸語と文化の未来/しまくとぅば復興へ提言
2020/02/27 琉球新報朝刊 16ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>10/少数派の連帯/国境越えて寄り添う/「手取り合い、暴力と闘う」
2020/01/20 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>9/郷土の歴史継ぐ/自らの立場で史実捉える/非暴力不服従の意思示す
2020/01/19 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>8/母語と音楽/芸術家、歌で抵抗続け/文化弾圧に立ち向かう
2020/01/17 琉球新報朝刊 2ページ与那嶺氏が立候補表明/県議選中頭郡区
2020/01/16 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>7/フェイク、ヘイトとの闘い/国内少数派として抑圧/全国世論、地元とかい離
2020/01/14 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>6/司法の独立性/中央政府寄りの裁判所/冷徹な裁決繰り返す
2020/01/13 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>5/繰り返す独立宣言/弾圧下 追われる指導者/17年以降「新たな段階」に
2020/01/12 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>4/国際社会への働き掛け/少数意見の尊重訴え/重なる沖縄の基地問題
2020/01/10 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>3/中央政府、強硬な態度/独立賛成 地元政党のみ/識者「再び住民投票を」
2020/01/08 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>2/新たな抗議のうねり/SNS駆使、情報拡散/草の根運動 市民に広がる
2020/01/07 琉球新報朝刊 2ページ<民の思い背に 自己決定権の道標 カタルーニャと沖縄>1/カタルーニャ独立住民投票/判決に抗議、数万人行進/非暴力貫き、対話求める
2020/01/06 琉球新報朝刊 2ページ民意に耳傾けないのは誤り/スペイン・カタルーニャ州前首相 プチデモン氏/沖縄の新基地建設に指摘/本紙単独インタビュー
2020/01/05 琉球新報朝刊 1ページプチデモン氏インタビュー/沖縄との類似、背景/欧州議会での発言活路に
2020/01/05 琉球新報朝刊 2ページ国際的連帯で打開/スペイン・カタルーニャ自治州/住民投票経て独立宣言/反乱罪で州閣僚ら訴追
2020/01/05 琉球新報朝刊 2ページ有罪の州首相失職/スペイン・カタルーニャ 中央選管命ず
2020/01/05 琉球新報朝刊 2ページプチデモン氏インタビュー/未来は自ら決める/インタビュー詳報/「対話諦めず抵抗を」/メディア設立、闘う武器に
2020/01/05 琉球新報朝刊 3ページシンポジウム「沖縄からこの国を問う―平和、憲法、民主主義」/世界平和アピール七人委員会主催、琉球新報社共催/無知を告発 不条理断つ
2019/12/04 琉球新報朝刊 16ページ<落ち穂>琉球独立は現実的選択肢/多嘉山侑三(音楽講師、ユーチューバー)
2019/12/03 琉球新報朝刊 17ページ<ネットワーク>琉球独立運動を学ぶ/あす、名護市中央公民館
2019/11/23 琉球新報朝刊 8ページ<首里城再建・識者の見方>2/親川志奈子氏(琉球民族独立総合研究学会共同代表)/「日本の中の沖縄」を懸念/県民・県人主体の復元を
2019/11/10 琉球新報朝刊 2ページ<社説>首里城焼失/県民の力合わせて再建を
2019/11/01 琉球新報朝刊 1ページ「沖縄人の主張阻む」/国連勧告撤回陳情 東京で考える集い
2019/09/22 琉球新報朝刊 24ページ琉球・アイヌ語保護へ議論/国連NGO東京セミナー キリ学新垣教授も登壇
2019/09/14 琉球新報朝刊 23ページ<「拝謁記」を読む―昭和天皇発言の背景>上/伊佐眞一/共産主義の脅威懸念/時代背景踏まえ分析を
2019/08/27 琉球新報朝刊 17ページ<社説>昭和天皇「拝謁記」/戦後責任も検証が必要だ
2019/08/21 琉球新報朝刊 8ページ一部の犠牲やむ得ぬ/昭和天皇 米軍基地で言及/53年、反対運動批判も/宮内庁長官記録「拝謁記」が公開
2019/08/20 琉球新報朝刊 1ページ<あしゃぎ>根深い同化の影響
2019/07/11 琉球新報朝刊 13ページ<社説>沖国大入試に琉球史/沖縄学ぶ機会増やしたい
2019/07/09 琉球新報朝刊 8ページ沖国大入試に琉球史/21年度から 選択科目で初導入/先史~近年まで幅広く
2019/07/06 琉球新報朝刊 26ページ「自己決定権を侵害」/仲村氏 国連で沖縄独立訴え
2019/07/05 琉球新報朝刊 31ページ<金口木舌>切り捨てられる「端っこ」
2019/05/24 琉球新報朝刊 1ページ起業の一歩後押し/沖縄市 支援拠点が再出発
2019/05/23 琉球新報朝刊 24ページ<あしゃぎ>「南方領土」も戦争前提
2019/05/22 琉球新報朝刊 15ページ「自己決定権尊重を」/独立学会 自衛隊先島配備で討議
2019/05/19 琉球新報朝刊 23ページ<ネットワーク>きょう「琉球民族独立総合」/沖縄国際大学3号館
2019/05/18 琉球新報朝刊 8ページ<主権者として問う 「復帰」47年の沖縄>上/松島泰勝龍谷大教授/自己決定権ないがしろ/政治的地位選択、国際法上の権利
2019/05/14 琉球新報朝刊 17ページ日本植民地主義 批判/自己決定権シンポ 復帰47年で討論
2019.05.13 琉球新報朝刊 22頁 2社 1版 写図表有 (全682字)
15日に復帰から47年を迎えるのを前に「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」のシンポジウム「琉球併合140年/日本『復帰』の総括と脱植民地化-日琉同祖論を乗り越える」が12日、西原町中央公民館で開かれた。波平恒男琉球大学教授らが、1879年の琉球併合(「琉球処分」)や1972年の復帰について討議した。日琉同祖論や米軍基地問題の根底にある日本の植民地主義を批判した。
波平教授は日本による琉球併合と朝鮮併合の類似点を挙げて「東アジアの中華秩序を西洋に率先して破壊したのが日本だ。琉球、朝鮮を影響下に置くために中国との関係を断ち切らせなければならないと考えた」と指摘した。その上で「日鮮同祖論は日本の敗戦と同時に捨て去られた。しかし日琉同祖論は沖縄が日本から切り離され、米統治下で復帰運動が起こる中で生き続けた」と語った。日本と沖縄の関係性を理解するために、東アジアに視野を広げる必要性を強調した。
沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは伊波普猷の日琉同祖論について「言語学だけで大本が同じだと証明するのは心もとないために、宗教や風俗など他の分野を動員して説得力を持たせる必要があった」と指摘した。さらに戦後の米統治について「『異民族支配』と言われてきたが、武力で琉球を併合した日本も異民族と変わりない」と語った。
大城尚子沖縄国際大学非常勤講師は、日米両政府が基地問題の解決に動かないことを「責任を覆いかぶせながら補強・補完する構造がある」と述べた。2016年に国連総会で採択された「平和への権利宣言」を挙げて、「人民、個人は国家に対して軍縮を要請する権利がある」と語った。Dr. Satoshi Shirai, Kyoji Yanagisawa question Japanese sovereignty at East Asia Community Institute Symposium, “The system of concentrating bases in Okinawa is designed to hide the problem from mainland Japan”
May 6, 2019 Ryukyu Shimpo
http://english.ryukyushimpo.jp/2019/05/10/30367/
The East Asia Community Institute Okinawa (Ryukyu) held a public symposium titled, “Calling into question democracy in Japan – is Japan really an independent, democratic nation?” at the Ryukyu Shimpo Hall in Izumizaki, Naha May 5 (with support from Ryukyu Shimpo Co. Ltd.).
Kyoto Seika University Professor Satoshi Shirai headlined the speakers, and his lecture centered on the issues of the relocation of MCAS Futenma to the Henoko neighborhood in Nago as well as the Japan-U.S. Status of Forces Agreement (SOFA), stating among other things that Japan has failed to establish sovereignty in their relationship with the U.S. Around 400 people attended the lecture, listening with rapt attention.
Dr. Shirai indicated, “U.S. military bases are concentrated in Okinawa, in a system designed to hide the problem from mainland Japan.
The original reason for the bases, for ending the Korean War, is something the current powers-that-be have a distaste for.
Democracy on the mainland is becoming a shell of itself. Okinawa may be the only place in Japan where democracy is still functioning.”
Hiroji Yamashiro, head of the Okinawa Peace Movement Center, spoke about the 1947 “Emperor’s Message,” in which Emperor Hirohito expressed a hope that the United States would occupy Okinawa for an extended period of time, suggesting, “The message that sacrificed Okinawa continues to tie us down even to this day.
I wish I could ask the emperor to apologize to Okinawa and withdraw the message.
We need to raise our voices from here.” He then sang a song calling for people to participate in a protest in front of Henoko gate, exciting the crowd.”
Former Assistant Chief Cabinet Secretary Kyoji Yanagisawa said, “To ignore the will of the people in the name of national security is to have one’s priorities backwards.
The arguments of Okinawa’s geographically superiority and ability to deter aggression are no longer viable.
There are plenty of options beside military power.”
Okinawa International University Professor Hiromori Maedomari touched on the incident wherein a part from a U.S. military helicopter on Futenma Dai-ni Elementary School, commenting, “The Japanese government is unable to restrict the U.S. aircraft, forcing the children to run for cover.
Germany and Italy (both similarly defeated in World War 2) is enforcing their nation’s laws on the U.S. forces stationed there, and are moving to retake their national sovereignty.”
He proclaimed that Japan needs to solidify their sovereignty in relation to other countries.
Opening remarks were given by Okinawa governor Denny Tamaki.
Audience members listening intently to lecturers. May 5, Ryukyu Shimpo Hall in Izumizaki, Naha
Voices of solidarity from the audience as Yuzo Takayama and Lima Tokumori share their efforts to tell the world about the situation in Okinawa
Also at the symposium held by the East Asia Community Okinawa, Yuzo Takayama, who has a YouTube channel that features videos about the Henoko base issue, and Lima Tokumori, who campaigned in support of Denny Tamaki in last September’s gubernatorial election, both stepped up to the microphone to speak.
Takayama opposes the falsehoods and misinformation that swirls around the base issues in Okinawa, and continues his work providing easy to understand facts about these issues.
At the symposium, he reflected on the problems that have plagued MCAS Futenma since 1995.
“The voices of Okinawa have been completely trampled. Okinawa should be the ones to decide Okinawan matters. We must continue to raise our voices.”
Tokumori spoke about getting youth voters in their teens and 20’s to think about the future and get involved in last year’s gubernatorial election.
“I want to pass over the Japanese government and bring or message of peace from Okinawa. I want to engage people in other regions struggling with similar issues, and turn that angry energy into something positive.”<沖縄から問う改元―平成から令和へ>5
2019/05/10 琉球新報朝刊 15ページ東アジア共同体研シンポ/「主権なき日本」問う/新基地・地位協定巡り4氏
2019/05/06 琉球新報朝刊 3ページ民主主義を問う公開シンポ開催/5日、新報ホール
2019/05/03 琉球新報朝刊 3ページ沖縄の歴史・文化 国連討論で紹介/琉球民族独立学会
2019.04.28 琉球新報朝刊 24頁 2社 1版 写図表有 (全291字)
米ニューヨークの国連本部で開かれている第18回先住民族問題に関する常設フォーラムのサイドイベントに25、26の両日、琉球民族独立総合研究学会(独立学会)の親川志奈子共同代表らが参加した。世界各地に移民した県人や子孫らでつくる「世界のウチナーンチュ」のネットワークを紹介し、沖縄独自の歴史や文化を説明した=写真(琉球民族独立総合研究学会提供)。
親川さんによると、イベントはロシアの先住民族サハの人々とともに島袋まりあ、松本カリーナさとみ、金城ビトルの各氏が参加した。金城さんはブラジルの県系人ミュージシャンとして、ポルトガル語でウヤファーフジ(先祖)へのメッセージを込めて歌った。米軍基地返還訴える/東新川さん 国連フォーラムで
2019.04.26 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全447字)
米ニューヨークの国連本部で開かれている第18回国連先住民族問題に関する常設フォーラムのサイドイベントで24日、琉球民族独立総合研究学会(独立学会)の東新川(ありあらかわ)藤佳さん(31)が登壇した。日米両政府に沖縄の人々を先住民族と認め、米軍基地にされている土地を返還するよう求めた。
同学会によると、琉球かすりを着た東新川さんは、インドやミャンマーなどの先住民族の人々と「アジアの先住民族の自己決定権」を題材にしたイベントに参加した。日本政府による1879年の琉球併合(「琉球処分」)と、現在の米軍基地の過重負担を挙げて「自己決定権を奪われている状態が続いている」と訴えた。
アイヌ民族を「先住民族」と定めるアイヌ民族支援法が19日に成立したことに関連して「国連の度重なる勧告にもかかわらず、政府は私たちを先住民族だと認識していない。『先住民族の権利に関する国連宣言』に基づき、自己決定権を行使したい」と述べた。日本政府が国連の勧告を無視する理由を「土地を返還したくないからだ」と主張した。第一尚氏子孫ら遺骨の状況確認/琉球人遺骨問題
2019.04.16 琉球新報朝刊 25頁 4社 1版 写図表有 (全415字)<記者ですが>歴史を両面で捉える大切さ/政治部 中村万里子 35歳
2019.04.07 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 写図表有 (全599字)返還遺骨「再風葬を」/第一尚氏子孫ら 県に要請
2019.03.27 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 (全413字)"Even now colonialism continues." Researcher calls for the restoration of self-determination for Okinawa 140 years after the Disposition of Ryukyu
March 27, 2019 Ryukyu Shimpo「今も続く植民地主義」 研究者、自己決定権回復訴え 琉球処分から140年
2019.03.27 琉球新報朝刊 写図表有
1879年に琉球王国が滅亡してから、27日で140年。松田道之琉球処分官が、熊本鎮台兵(日本軍)や武装警官ら約600人を連れて首里城へ入り、琉球国王・尚泰に廃藩置県の通達を突き付けた。日本政府の武力を背景にした琉球併合(琉球処分)で首里城は明け渡され、沖縄県が設置された。沖縄の自己決定権や米軍基地問題について発信している人々は「辺野古新基地建設に通じる」「日本の植民地主義は140年前から続いている」などと訴えている。
基地問題を独自の動画で全国に発信しているユーチューバーの多嘉山侑三さん(34)は「政府の都合で沖縄を利用し、人々をないがしろにしている点で現在の辺野古新基地建設と通じている」と指摘する。
国会で照屋寛徳衆院議員が併合以前の琉球の政治的地位を質問した際、政府が明確に答えられなかったことを挙げて「国際法の観点からも、おかしなやり方で併合した。新基地で政府が行政不服審査法を乱用したことと通じる」と指摘した。
琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表(38)は「政府は他の地域には決して沖縄と同じ態度は取らない。140年前から続く植民地主義だ」と指摘する。「人権問題として国際社会に訴えていくことが大事だ」と強調した。沖縄は1952年、サンフランシスコ講和条約で日本から切り離された。「第2の琉球処分」とも言われる。
瀬長亀次郎の資料を展示する「不屈館」の内村千尋館長(74)は米統治下、沖縄の人々が保革に分断されたことを挙げて「沖縄の人が争うことで(民衆の)力がそがれてしまう。亀次郎は皆をいかに団結させるかに常に心を砕いた」と語る。「今は米統治下よりも物事が強行に進められている。当時の闘いを思い起こし、県民は団結すべきだ」と話した。 (宮城隆尋)Ryukyu Disposition Symposium: the 140 years since colonialism
March 11, 2019 Ryukyu Shimpo
http://english.ryukyushimpo.jp/2019/03/20/30092/
ACSILs, The Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans, held its 21st open symposium on March 10 at the Ginowan City Community Hall, titled: “Investigating the 140 Years Since Yamato State’s Annexation of the Ryukyu Kingdom (Known as the Ryukyu Disposition).”
Speakers included Kanagawa University’s Associate Professor Atsushi Shiitada; music teacher and YouTuber, Yuzo Takayama; and Ryukoku University professor, Yasukatsu Matsushima.
Speakers looked back on Okinawan history, from the dissolution of the Ryukyu Kingdom in 1879 by Japan and its military force (referred to as the Ryukyu Disposition), to the Battle of Okinawa, leading up to the current construction of a new base in Henoko.
They also discussed Japanese colonialism. Roughly 230 people attended.
Shiitada said of the annexation, “Okinawa was the first colony Japan acquired and to this day, it is still a colony.
Japan is one of the few democratic countries that has not let go of its colony.
” He asserted the prefecture should “propose the third U.S.-North Korea summit be held in Okinawa. It will be a step toward thinking about Okinawa’s path forward.”
Takayama explained his connection with his ancestor, the Ryukyuan king, Shō Shin. He stressed that, “in order to revive our unique history and culture, and to escape colonialism, Ryukyu must build self-reliance and independence.
To establish the Uchinanchu (Okinawan) identity, it’s crucial for each and every one of us to express it,” He intends to do the same, while “hopefully grounding the message in easy-to-understand and clear evidence, while making it entertaining as well.”
Matsushima criticized the central government for “never admitting it annexed Ryukyu by force, nor has is apologized or paid reparations.”
The Ministry of Foreign Affairs of Japan is in possession of an amity treaty the Ryukyu Kingdom signed with three other countries, including the U.S. He commented, “there should be legal action to have the treaty returned. The Ryukyu Kingdom no longer exists, but the descendants of the Ryukyuans have a right to demand its restoration.”琉球処分から140年/「今も続く植民地主義」/研究者 自己決定権回復訴え
2019.03.27 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 写図表有 (全738字)
1879年に琉球王国が滅亡してから、27日で140年。松田道之琉球処分官が、熊本鎮台兵(日本軍)や武装警官ら約600人を連れて首里城へ入り、琉球国王・尚泰に廃藩置県の通達を突き付けた。日本政府の武力を背景にした琉球併合(琉球処分)で首里城は明け渡され、沖縄県が設置された。沖縄の自己決定権や米軍基地問題について発信している人々は「辺野古新基地建設に通じる」「日本の植民地主義は140年前から続いている」などと訴えている。
基地問題を独自の動画で全国に発信しているユーチューバーの多嘉山侑三さん(34)は「政府の都合で沖縄を利用し、人々をないがしろにしている点で現在の辺野古新基地建設と通じている」と指摘する。
国会で照屋寛徳衆院議員が併合以前の琉球の政治的地位を質問した際、政府が明確に答えられなかったことを挙げて「国際法の観点からも、おかしなやり方で併合した。新基地で政府が行政不服審査法を乱用したことと通じる」と指摘した。
琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表(38)は「政府は他の地域には決して沖縄と同じ態度は取らない。140年前から続く植民地主義だ」と指摘する。「人権問題として国際社会に訴えていくことが大事だ」と強調した。沖縄は1952年、サンフランシスコ講和条約で日本から切り離された。「第2の琉球処分」とも言われる。
瀬長亀次郎の資料を展示する「不屈館」の内村千尋館長(74)は米統治下、沖縄の人々が保革に分断されたことを挙げて「沖縄の人が争うことで(民衆の)力がそがれてしまう。亀次郎は皆をいかに団結させるかに常に心を砕いた」と語る。「今は米統治下よりも物事が強行に進められている。当時の闘いを思い起こし、県民は団結すべきだ」と話した。 (宮城隆尋)政府抑圧、沖縄と同じ/カタルーニャ独立運動研究/自己決定権で意見交換
2019.03.22 琉球新報朝刊 30頁 2社 1版 写図表有 (全581字)
琉球民族独立総合研究学会(独立学会)南部部会の講演会「カタルーニャと琉球の独立を考える」が21日、那覇市の沖縄大学で開かれた。スペイン・カタルーニャ自治州の独立運動を研究している奧野良知愛知県立大教授が講話した。松島泰勝龍谷大教授も登壇し、中央政府の抑圧にあらがうカタルーニャと沖縄の自己決定権について意見を交わした。
奧野教授はかつて独立国だったカタルーニャの歴史を説明。スペイン中央政府が住民のデモに武力で対応するなど「19~20世紀初頭の約7割の期間、軍事的統治が行われた」と述べた。
近年スペインからの独立を支持する人が増えた契機に、2010年にカタルーニャ自治州の新たな自治憲章に違憲判決が出たことを挙げた。「独立支持層が大幅に増え、カタルーニャ出身でない人も含めて多様化した」と語った。
17年10月の住民投票で独立賛成が多数を占めた後に中央政府によって州の自治権が停止され、独立派幹部が訴追された。「民主主義や基本的人権が保障されるためには、独立するしかないという考えがさらに広がった」と指摘した。また「カタルーニャで州外出身者への差別が広がっているとのフェイクニュースを、マスコミや全国政党が発信している」と警鐘を鳴らした。
松島教授は「カタルーニャへの中央政府の弾圧は民意の無視であり、日本政府による琉球への基地押しつけと同じだ」と指摘した。台湾大の遺骨返還/百按司墓など 63体、県内で保管/県教委「再風葬、考えず」
2019.03.21 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全715字)「琉球人は差別の対象」/前田教授 遺骨問題、国連で報告
2019.03.21 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全405字)権利侵害 国連で訴え/仲村沖大名誉教授 自己決定巡り
2019.03.12 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全403字)
琉球民族独立総合研究学会(独立学会)などに所属する仲村芳信沖縄大学名誉教授(79)が11日までに、スイスのジュネーブにある国連欧州本部で開かれた第40回人権理事会の会合(サイドイベント)で声明を発表した。名護市辺野古の新基地建設などで沖縄の自己決定権が侵害され、米国による太平洋の軍事要塞(ようさい)化が進んでいると訴えた。
仲村さんは1日に開かれた自己決定権に関する会合で、1879年の琉球併合(「琉球処分」)などを挙げて「琉球民族が奪われた自己決定権を取り戻すには独立することだ。国家の独立こそ自己決定権の生みの親だからだ」と述べた。5日の「太平洋地域における軍事要塞化」をテーマにした会合で、沖縄戦で多くのウチナーンチュが殺害されたことを「大日本帝国が大規模に軍事基地を造ったため連合軍の標的になった」と指摘。名護市辺野古の新基地建設などを挙げて「民意とは逆に軍事基地が拡大されている」と批判した。植民地主義 問い直す/琉球処分140年シンポ
2019.03.11 琉球新報朝刊 24頁 2社 1版 写図表有 (全639字)
琉球民族独立総合研究学会(独立学会)は10日、第21回公開シンポジウム「ヤマト政府による琉球国武力併合(いわゆる「琉球処分」)140年を問う」を宜野湾市立中央公民館で開いた。後田多(しいただ)敦神奈川大学准教授、音楽講師でユーチューバーの多嘉山侑三さん、松島泰勝龍谷大学教授が登壇した。日本が武力を背景に琉球国を滅ぼした1879年の琉球併合(琉球処分)、沖縄戦を経て現在の辺野古新基地建設に至る歴史を振り返り、日本の植民地主義を問うた。約230人が聞いた。
後田多さんは琉球併合について「日本にとって初めての植民地獲得で、現在も沖縄は植民地だ。日本は民主主義国の中で数少ない、植民地を手放していない国だ」と指摘。「3度目の米朝首脳会談を沖縄で開くよう求めるべきだ。沖縄が進む道を考えるステップになる」と提起した。
多嘉山さんは自身の先祖である尚真王との関わりを説明し「独自の歴史や文化を復興し、植民地から脱却するには琉球の自立、独立が必要だ」と強調。「ウチナーンチュのアイデンティティーが確立されるには一人一人の発信が重要だ。わかりやすく明確な根拠をもち、娯楽性も追求して発信していきたい」と述べた。
松島さんは「日本政府は武力をもって琉球を併合したことを認めず、謝罪も賠償もしていない」と批判。琉球国が米国など3カ国と結んだ修好条約の原本を外務省が持っていることについて「返還を求める訴訟を起こすべきだ。琉球国はもうないが、琉球人の子孫には返還を求める権利がある」と訴えた。「植民地主義の表れ」/遺骨訴訟口頭弁論 原告、京大に返還求め
2019.03.09 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全438字)「差別にくみするな」/琉球人遺骨訴訟 原告、裁判所に訴え
2019.03.09 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全505字)琉球処分140年問う 10日宜野湾でシンポ/琉球民族独立研究学会
2019.03.08 琉球新報朝刊 29頁 4社 1版 写図表有 (全334字)京大、争う姿勢/琉球遺骨返還訴訟 請求棄却求める
2019.03.06 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 (全450字)<金口木舌>平等と民族自決
2019.03.01 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全563字)
日本の植民地統治からの解放を訴え、1919年3月1日に始まった朝鮮の「3・1運動」からきょうで100年。独立を訴える人々が各地で配った「独立宣言書」は人類が平等であり、民族自決の権利があることを強調していた
▼宣言書は朝鮮が独立することで日本とも正しい友好関係が築けると訴えた。だがデモが朝鮮全土に及ぶと日本の朝鮮総督府は警察だけでなく軍隊を投入し、銃撃を加えるなどして弾圧した。犠牲者は7千人を超えたとの説もある
▼韓国では今年、100周年行事が各地で行われている。一方で日韓関係は混迷を深めている。元徴用工訴訟の判決、天皇陛下に慰安婦問題への謝罪を求めた韓国国会議長発言などが相次いだ
▼日本による植民地支配に端を発する問題だが、日本政府は反発を強める一方だ。文在寅(ムンジェイン)大統領は1月、元徴用工問題の根源を「韓国政府がつくったのではなく、過去の不幸な歴史のためにつくられた」と指摘した
▼韓国では「3・1運動」を1980年の光州事件や87年の「6月民主抗争」など、独裁政権からの解放を求めた運動と結びつけ、民主主義の大切さを考える動きがある
▼琉球併合、同化政策、沖縄戦、米統治。抑圧と抵抗の歴史は韓国と沖縄に共通している。隣国の節目を機に100年前の独立宣言書にある人類の平等、民族自決の大切さをあらためてかみしめる。「遺骨は先祖の魂」/返還訴訟 原告・松島氏が報告
2019.02.25 琉球新報朝刊 21頁 4社 1版 写図表有 (全572字)「沖縄の人ないがしろ」/梶原さん 新基地で国連申し立て
2019.02.21 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全661字)
【東京】名護市辺野古の新基地建設の工事停止を求め、米ホワイトハウスへの請願署名を呼び掛けた県系4世のアーティスト、ロバート梶原さんが20日、国会内で講演した。署名が21万人分集まったにもかかわらず、日米両政府は反応がないことを批判し、「ウチナーンチュがないがしろにされている」などとして国連人権理事会へ不服を申し立てたことを明らかにした。 (1面に関連)
ロバートさんは沖縄の歴史を振り返った上で、基地が集中する背景には「ウチナーンチュに対する日本の長い民族的偏見がある」と指摘した。
「不公平な日米地位協定を改定するべきだ」とし、地位協定が見直されない理由として沖縄に米軍施設が集中することで県外の人々に「Not In My Back Yard」(わが家の裏には御免)の心理があり「自分の問題でなければ構わない」と思われていることが一因だとした。その上で「こういう状況が続くなら、沖縄の人々は独立、または自治権の拡大を考えないといけなくなる」と述べ、新基地建設が続く状況に懸念を示した。
講演に先立つ国会議員との懇談会でロバートさんは、24日投開票の県民投票について「終わりではなく始まりだ。沖縄の歴史、文化、言語を再認識するルネサンスだ」と意義を語った。
英ロックバンド、クイーン(Queen)のギタリストで天文学者のブライアン・メイさんは「あなたたちの仕事は成功しなければならない」とメッセージを寄せ、音楽家の坂本龍一さんは「国の政策として過重な基地負担を沖縄に押し付けるのはおかしい」とビデオメッセージで訴えた。遺骨返還 琉球と連帯/アイヌ協会が呼び掛け
2019.02.10 琉球新報朝刊 25頁 4社 1版 写図表有 (全577字)<金口木舌>ハンストと「普通の生活」
2019.01.18 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全554字)遺骨返還「見守って」/原告団、百按司墓を参拝
2019.01.13 琉球新報朝刊 19頁 4社 1版 写図表有 (全507字)<ワシントン発>県系4世が署名活動/「トランプさん 辺野古中止して」/ロバート梶原さん 請願へ10万筆目標
2018.12.13 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全817字)沖縄伝え 未来問う/米国で 本土で
2018.12.23 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全1,502字)
米オレゴン州ポートランド在住で、高校の社会科教員をしている与那嶺緑(もえ)さん(40)=那覇市出身=は、教科書やマスメディアに取り上げられない沖縄の歴史や米軍基地の現状を生徒たちに伝えたり、ウェブ上に記事を発信したりしている。「ウチナーンチュの知恵と抵抗の歴史を若い人たちに伝え、世界の将来をどう変えていけるのか、一緒に考えていきたい」と、冬休み中に、名護市辺野古の新基地建設問題についてのカリキュラムも作り、他の教員らと共有して教えていこうと取り組んでいる。
【米国で】辺野古移設 授業に/与那嶺緑さん 高校教師
与那嶺さんは7歳の時、母の大学院進学に伴って米国へ移り住んだ。毎年、夏休みには沖縄に帰り、弁護士の祖父、茂才(もさい)さんから沖縄戦の悲惨さや亡くなった親族の話、米統治下の様子などを聞いて育った。
勤務先では米国の歴史を教える。多様な人種、ルーツの生徒が集まる「国連のような教室」で、先住民族の土地や権利などの話とともに沖縄の話をすると、黒人やヒスパニック、ネーティブアメリカン、太平洋諸島にルーツのある生徒たちから「自分たちと似ている」と声が上がるという。
今年8月には、長女海椰(かいや)さん(16)と辺野古ゲート前の抗議活動に参加した。炎天下で抗議を続ける戦争体験者のお年寄りたちが、機動隊に排除されていく。その前をトラックが次々と基地内に入っていく光景に涙が込み上げた。お年寄りがそっと寄り添い、「ここでは泣かないよ。おばあも、おうち帰ってから泣くから今は頑張ろうね」と与那嶺さんの手をぎゅっと握りしめた。
「悲惨な戦争を経験したお年寄りたちが命を懸けて座り込んでいる。ウチナーンチュは、ちゅーばー(強い)。まだまだ頑張れる。一緒に闘い、世界に見てほしい」
政府の土砂投入に、胸がかきむしられる思いだが、「私たちのような普通の人たちが立ち上がることで、政治を、社会を変えていける」と話す。(座波幸代ワシントン特派員)
【本土で】琉球史と今 つなぐ/太田昭臣さん 茨城在・元琉大教授
元琉球大教授の太田昭臣(あきおみ)さん(88)が約3年前から毎月、出身地である茨城県各地で沖縄の過重な米軍基地負担について学ぶ学習会を開いている。琉球王国時代や琉球処分などの歴史も踏まえて沖縄の状況を伝える学習会には開催希望が相次いでいる。太田さんは基地問題での沖縄の立場は、琉球史から伝えないと理解できないと強調する。
太田さんが、沖縄に目を向けるようになったのは日本復帰前の1969年ごろ。中学校の国語教員を務める中、沖縄と日本各地の小中学生同士が互いへのメッセージを込めた作文や詩をまとめた本「沖縄の子 本土の子」の発行に携わったことがきっかけだった。嘉手納町の中学生が書いた詩に「ふまれても ふまれても花咲くたんぽぽ」との一節があり強く印象に残った。過重な基地負担に苦しむ沖縄の状況が重なっているように思えた。
91年に琉球大へ赴任後は約24年間、教壇に立つ傍ら基地問題や平和運動に取り組んだ。茨城県牛久市へ戻った後も、市民団体「牛久平和の会」の代表委員として沖縄の基地負担などについての学習会を継続的に開いている。米軍キャンプ・シュワブゲート前で辺野古新基地建設に反対する座り込みにも参加してきた。
学習会には毎回、40~60人が参加している。太田さんは「琉球王国が独立していたことを知らない人も多い。歴史も踏まえて話している。以前よりは沖縄への関心が広がってきた」と手応えを語る。(古堅一樹)<南風>多様性、認める社会に/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.12.18 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版鹿児島の展示変更を/自己決定の会「琉球搾取を正当化」
2018.12.13 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 写図表有 (全480字)
「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」が12日、鹿児島県歴史資料センター黎明(れいめい)館(鹿児島市)と鹿児島市維新ふるさと館(同)に対し、展示内容の変更などを求める抗議声明を送った。県庁で記者会見した与那嶺義雄共同代表(西原町議)らは「琉球に対する搾取、植民地主義を正当化している」と両館の展示内容を批判した。
同会は、両館の展示で琉球国の独立性について「表面的」「形式的」などと説明されていたとして「幕藩体制下に組み込まれながらも、国際的には中国(明・清)を中心とする東アジアの華夷(かい)秩序の中で独立していた」と指摘している。
黎明館で「徳川家康は明と国交を回復するために、琉球にその仲立ちを求め、その一環で島津氏は琉球に侵攻しました」との記述があったとして「薩摩藩が政治、経済的な利益を得る目的で琉球を侵略したことを明記すべきだ」と求めた。
維新ふるさと館では床に琉球の地図が描かれていたとして「薩摩藩による琉球国の経済支配という歴史的事実と重ね合わせて、自らが『踏みつけられている』という印象を琉球の当事者が抱いたとしても不自然ではない」と指摘した。<南風>泡盛ロマン/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.12.04 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<南風>琉球の先人の主体性/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.11.20 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<南風>明治維新150年と沖縄/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.11.06 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<南風>脱植民地主義/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.10.23 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版きょう東京で「明治150年記念式典」/「政府 負の沖縄史見ぬ」/研究者 「苦難の原点」指摘
2018.10.23 琉球新報朝刊 33頁 社会 1版 写図表有 (全772字)
明治改元150年を記念した政府主催の式典が23日に東京で開かれる。内閣官房「明治150年」関連施策推進室は、式典や関連行事について「明治期において多岐にわたる近代化への取り組みを行い、国の基本的な形を築き上げた」などと意義を説明している。しかし沖縄の研究者らは、明治以降の日本の近代国民国家形成が、琉球併合(「琉球処分」)や沖縄戦など沖縄の苦難の原点となったことを指摘している。
憲法に詳しい高良鉄美琉球大学法科大学院教授は「明治憲法は明治維新後の富国強兵、帝国主義の考えが盛り込まれている。その中で『琉球処分』があり、沖縄戦にもつながった」と指摘する。政府に対し「負の部分が多い歴史を見ていない。政府が(2013年4月28日に)『主権回復の日』式典を開いた時と同様に独善的な部分がある。明治国家を考える時には、アジアなど外国からどう見られているのかも考えないといけない」と強調した。
県歴史教育者協議会事務局長を務める山口剛史琉球大准教授は「安倍政権が明治を再評価する意図を丁寧に考えないといけない。もしも日本が誇るべき記念の側面しかないならば、都合の良い歴史解釈だけを取り上げた評価にならざるを得ない」と疑問視する。沖縄の立場から「『琉球処分』以降の歴史をどのように政府が総括し、意義付けているかを見抜くことが求められている」と強調した。
「政府は式典の前に沖縄に謝罪すべきだ」と語るのは琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表。「米国政府はハワイを併合したことを謝罪した。植民地主義を検証し、先住民族の権利を保護するのは世界の流れだが、日本政府は過ちに向き合っていない」と指摘する。「歴史の裏側に沖縄の犠牲があったことに向き合わなければ、負の側面を含めて正確に歴史を理解することはできない。日本人にとっても不幸なことだ」と批判した。きょう東京で「明治150年記念式典」/識者談話/西里喜行さん(琉球大名誉教授)/沖縄押さえ付けた150年
2018.10.23 琉球新報朝刊 33頁 社会 1版 写図表有 (全651字)
江戸幕府には琉球を日清両属、最終的には清の属国だとする見方すらあった。しかし明治政府は国内の一地域という見方で強引に内国化しようとした。吉田松陰が唱えた膨張路線に沿って明治政府は朝鮮や旧満州、中国、台湾、ルソンなどへ領域を拡大したプロセスの中に琉球を位置づけたことが、その後の歴史の方向を規定する要因となった。
政府は1879年の廃琉置県(「琉球処分」)で琉球を併合した翌年、琉球分割を清国に提案している。日清修好条規を改定し、欧米諸国並みの中国内地通商権を得る代わりに、宮古・八重山を中国に割譲する内容だった。琉球の人々の決死の請願により阻止されたが、政府は国益のために琉球を利用しようとした。
沖縄戦の後、サンフランシスコ講和条約によって日本の独立と引き換えに琉球を分断し、米軍支配下に置いた。さらに1972年の復帰時、日米は繊維製品を巡る貿易摩擦のさなかにあった。ここでも日米両政府は繊維交渉を解決する手段として沖縄を利用した。復帰は「糸と縄(沖縄)を取引した」と言われた。国家権力に利用される地位からの脱却を掲げた屋良朝苗主席(当時)の「復帰措置に関する建議書」は政府に届かなかった。
現在、政府は名護市辺野古に新基地を押しつけようとしている。政府にとって沖縄を押さえつけ、取り込んでいく150年だった。沖縄にとっては自己決定権を要求し続ける闘いの150年だ。政府の政策に対し「愚直」にも「不条理は不条理」と主張し続けた。そういった視点からも150年間を見直していくことが必要だ。 (歴史学)<南風>沖縄軽視と差別/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.09.25 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<南風>山之口貘としまくとぅば/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.09.11 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版歴史背景学び主権者教育を/沖大・新城客員教授が講演
2018.08.31 琉球新報朝刊 12頁 教1 1版 写図表有 (全588字)
「沖縄から見える主権者教育」をテーマに九州高校公民科教育研究協議会の沖縄大会がこのほど開かれた。沖縄大学の新城俊昭客員教授が「沖縄の公民科教育の課題~沖縄における主権者教育の意義」と題して講演した。
新城氏は「沖縄県の民意が政治に反映されてない状況にある中で、どう主権者教育を考えていけばいいのか」と投げ掛けた。琉球王国から琉球藩を経て1879年に沖縄県になり「やっと本土と同等の権利が与えられたと思ったら、沖縄戦で失効する。捨て石になった」。
続けて、1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効した。「沖縄では『屈辱の日』だが、本土では独立記念日として喜んでいる」と話し「歴史認識に大きな差がある」と訴えた。
その上で「薩摩の侵略、琉球併合、そして52年に日本国民としての主権が奪われた。72年に復帰するも、負の遺産の押し付けに遭う。果たして主権が回復したと言えるのだろうか」と改めて強調した。
新城氏は、沖縄での主権者教育は「国民一人一人の主権を考える前に、沖縄という地域が抱えた歴史や背景を学ぶことが大切だ」と述べ、「今は、何かにつけ、偏向教育と揶揄(やゆ)され、授業をすることが難しくなっていると聞く」と述べ「教師は自己の見解を押し付けることがあってはならないが、歴史的背景を踏まえ、あらゆる視点から指導することで公平性を保つことができる」と締めくくった。<南風>翁長知事の決意、胸に刻む/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.08.28 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<ワシントン発>海外メディア 県民大会報道/知事訴えにも言及
2018.08.15 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全464字)<南風>豊かな自然とビール/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.08.14 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版東ティモール 平和の絆/声楽家・宮良多鶴子 支援活動を報告
2018.08.03 琉球新報朝刊 32頁 芸1 1版 写図表有 (全526字)
2002年に独立した東ティモールの支援活動をしている県出身の声楽家、宮良多鶴子がこのほど琉球新報社を訪ね、自身が取り組んでいる海外交流の活動を報告した。宮良は「東ティモールは素晴らしい人たちばかり。歌を通して沖縄と東ティモールの懸け橋になりたい」と話した。
宮良は尚美音楽短期大学を卒業。2008年、東ティモールで独立宣言日式典コンサートに出演後、同国の子どもたちを支援しながら県内の小中学生らを現地に連れて行き交流を深める活動をしている。「初めて訪れた時はまだ独立して間もない頃で、厳戒態勢で銃口を向けられることもあった。でも東ティモールの子どもたちの前で歌い、支援していくうちに、国全体で私を歓迎してくれるようになった。互いに目を向け語り合えば、平和の絆へとつながる」と強調した。
今年5月には、日本とインドネシアの国交樹立60周年を記念したコンサートを東ティモールの隣国であるインドネシアで開催した。城間びんがた工房十六代目の城間栄市さんを招待し、東ティモールでも紅型のワークショップを開いた。宮良は「東ティモールにはタイスという沖縄のミンサー織のような伝統的な織物がある。戦争で傷ついた土地同士で、伝統文化の発展が大きな意味を持つ」と語った。ハワイと琉球の独立運動で講演会/29日、沖国大
2018.07.27 琉球新報朝刊 19頁 4社 1版 写図表有 (全357字)
琉球独立実践ネットワークは29日午後2時から、第16回講演会を宜野湾市の沖縄国際大学5号館で開く。米国でハワイ王国独立運動に参加するロバート梶原さん=写真中央=による活動報告と、沖縄大学名誉教授の仲村芳信さん=同左から5人目=による講演「琉球独立と琉球史・政治・経済」がある。
25日、那覇市の琉球新報社を訪れた梶原さんは「琉球とハワイは国王や国民の同意なく武力で日本、米国に併合された歴史を持ち、似ている。米軍基地への抵抗や平和運動で互いに助け合えるはずだ」と語った。
琉球独立実践ネットワークは、琉球民族独立総合研究学会の会員を中心に構成し、県内で毎年4回の講演会を開くなどの活動を続けている。第6回講演会の参加料は500円(資料代)、問い合わせは同ネットワーク事務局(電話)080(9247)1215まで。<南風>キャンプ・シュワブ内の遺骨調査/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.07.31 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版「明治150年」祝賀を批判/自己決定権シンポ/識者「琉球併合は国際法違反」
2018.07.23 琉球新報朝刊 24頁 2社 1版 写図表有 (全612字)
「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」の公開シンポジウム「琉球・沖縄にとって明治維新150年とは何か」が22日、浦添市社会福祉センターで開かれた。松島泰勝龍谷大教授、詩人の高良勉氏が登壇した。登壇者は1879年の琉球併合(「琉球処分」)について「国際法に違反している」と指摘し、全国的に明治150年が祝われていることを批判した。日本政府による沖縄への同化政策や在沖米軍基地問題などを挙げ、日本の植民地主義が明治期から現在まで続いていることを指摘した。
高良氏は「財政破綻状態にあった薩摩藩が倒幕の主力にまでなった背景には、奄美・沖縄からの収奪と琉球国を利用した中国との密貿易がある」と述べた。
その上で「明治維新は内戦の中で成就したテロリズム、暴力革命だ。『処分』された琉球の立場からも、国際的に暴力革命が否定されている状況からも、明治150年を祝福することはできない」と語った。
松島教授は、鹿児島県の資料館などで展示されている明治150年に関する資料や説明に関し、「琉球国の独立性を否定する文言があり、支配を正当化している。琉球への侵略と搾取に対する謝罪もないまま、帝国主義を再評価する祭りが公的機関で行われているのは問題だ」と批判した。
昭和初期に旧帝国大学の人類学者が沖縄から遺骨を持ち去った問題については「国内法にも国際法にも違反している。琉球の脱植民地化運動の一環として、裁判を通して遺骨を返還させたい」と語った。県内芸術家102人を活写/東京の写真家 長濱治さん/友の真喜志さんしのび
2018.07.19 琉球新報朝刊 19頁 4社 1版 写図表有 (全958字)
【東京】1960年代から米国で写真を撮り始め、矢沢永吉や緒方拳ら著名人のポートレートでも知られる写真家の長濱治さん(77)がこのほど、沖縄の若いアーティストら102人を活写した写真集「創造する魂 沖縄ギラギラ琉球キラキラ100+2」(ワイズ出版)を発刊した。
多摩美術大学時代の同級生だった美術家の真喜志勉さんの提案で撮り始めたが、真喜志さんは完成を見ずに他界。長濱さんは「真喜志へのレクイエム(鎮魂歌)のようなもの。沖縄の人たちは愛すべき人たちでほれる。やっぱり好きなんだな」と語った。
写真集は、真喜志さんに始まり、ミュージシャンや石彫家、カフェ経営者など、多方面にわたって老若男女のクリエーターら102人を紹介している。長濱さんは、かつて藤井フミヤや小泉今日子ら東京で100人を撮った写真集「THE TOKYO HUNDREDS 原宿の肖像」を出しており、その沖縄版とも言える作品となっている。
長濱さんは名古屋市生まれで、沖縄とのつながりはない。疎開先の愛知県小牧市で見た駐留軍に強烈な印象を受け、ジャズやブルースにはまっていった。1960年代に米国に渡りバイカー集団「ヘルズ・エンジェルス」に密着し、ブルースミュージシャンなど米国の深層を撮り続けてきた。
多摩美大時代に知り合った真喜志さんに誘われ、1967年に初めて沖縄に渡り、撮影に取り組んだ。日本復帰の72年に沖縄の写真集「暑く長い夜の島」を出した。
長濱さんは「真喜志からの、沖縄の創造する若いやつは面白いぞという言葉が頭に残っている。真喜志に良い物作るぜと、とにかく思いを込めて作った」と制作に込めた思いを語った。「沖縄を見ていると、北海道から九州の人は感じていない日本が投影されている。日米地位協定を見ても日本は独立していない。植民地だ」と語る。
写真集の中には、復帰前に沖縄で撮った米兵と沖縄の人たちの姿も差し込んでいる。発行日は慰霊の日。写真集の装丁などを担当したアートディレクターの志喜屋徹(あきら)さん(49)は「写真の隙間に長濱さんの思いを入れたかった。奥さんのおじさんが島田叡元知事で、慰霊塔の写真も差し込んだ。基地を巡って憧れや憎しみなどアンビバレント(相反する感情が同居する)な感じを出した」と意図を説明している。(滝本匠)<南風>かりゆしウエアと沖縄愛/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.07.17 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<南風>沖縄戦から学ぶ/照屋みどり、しまんちゅスクール代表
2018.07.03 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版「自分は沖縄人」意識傾く/「ウチナー評論」10年/佐藤優氏 作家・元外務省主任分析官/11日に講演会
2018.06.08 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,524字)
【東京】本紙連載「ウチナー評論」を10年にわたり書き続けている作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが7日、琉球新報ホールで11日に催される記念講演会を前に本紙インタビューに応じた。執筆開始当初は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設もやむを得ないと考えていた佐藤さんだが、連載を重ねる中で「日本側の差別対応が明らかになるにつれ、自分が沖縄人であるという意識に傾いていった」と自身の心境の変化も振り返った。沖縄のアイデンティティーにとって重要となる琉球語の正書法の確立に取り組む考えを示した。(聞き手 滝本匠)
-10年連載を続けて自身に変化は。
「変化は大きい。宮里昭也琉球新報社元会長から沖縄と向き合ってみたらと勧められてコラムは始まった。新聞連載は編集部と読者に支えられないと長く続かない。読者と一緒に歩いている」
「実は当時は、辺野古移設は政府がやることでやむを得ないと思っていた。日本と沖縄との関係を正確に見ることができていなかった。自分の中にある沖縄人と日本人の複合アイデンティティーを見つめる中で『ウチナー評論』はとてもよかった。その中で自分の意識が『沖縄人である』ということに傾いていった」
-沖縄人のアイデンティティーとは。
「四つのカテゴリーがある。1番は完全な日本人。先住民族という主張は間違っており、差別なんてもはやないと思う人だ。2番目は10年前はマジョリティーだった沖縄系日本人。沖縄の文化や食事に愛着があるが普段は日本人だ沖縄人だなどとは考えない。沖縄への誤解に触れても聞き流す」
「それが今、大きくなっているのが3番目の日本系沖縄人。基本は沖縄人で、日本全体のために沖縄が犠牲になるのは勘弁してくれと。究極的に日本人か沖縄人かを迫られると沖縄人を選択する。この象徴が翁長雄志知事だ。自民党県連幹事長時代はむしろ辺野古移設推進派で、日本全体のためには甘受しないといけないことがあるとの思いが強かった。だが沖縄に対する日本政府の無理解や差別対応に対し、名誉と尊厳のある沖縄人として対等の立場で加わるという気構えの人が増えている。その機関車の大きな役割を果たしているのが琉球新報だ」
「4番目は琉球人。独立論にはくみしないが、沖縄の自己決定権を確立していくということにおいては考えは一緒だ」
-アイデンティティーのほかのこだわりは。
「教育だ。沖縄戦で生き残った母の経験は、自分で判断できる根拠は高等教育を受けたからだということだった。沖縄の教育水準は決して低くない。残りの人生は沖縄人としてのアイデンティティーに基点を置き、それを形にするのは教育だと思っている」
「常に沖縄は政治のいろいろな嵐にさらされ、沖縄人同士が分断されてしまう。沖縄に分断を持ち込むような評論はしたくない。団結しなければならないんだと強く意識するようになっている」
-今後の取り組みは。
「琉球語の正書法の確立に取り組みたい。そこでは琉球新報に期待している。世界のウチナーンチュのことも考えると、第1書式はローマ字がいい。イスラエルや東欧をみると、自言語で基礎教育をきちんとやると多言語社会への対応が強くなる。大学入試改革でも沖縄では琉球史を科目に盛り込むこともいい。文化によって政治を包み込んでいくということだ」
琉球新報社は「ウチナー評論」連載10年と新本社ビル落成を記念し、11日午後6時半から那覇市泉崎の琉球新報ホールで、講演会「ウチナーが進むべき道-佐藤優が語る沖縄、世界、日本-」を開催します。前売り千円。当日1200円。席は残りわずかになっています。問い合わせは琉球新報読者事業局(電話)098(865)5253琉球民族遺骨返還 京大を提訴へ/松島泰勝氏に聞く/琉球の脱植民地化へ/先住民族の権利を侵害
2018.06.08 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有 (全1,731字)琉球人骨、世界と連帯を/独立学会シンポ アイヌ先例に学ぶ
2018.05.21 琉球新報朝刊 22頁 2社 1版 写図表有 (全657字)日本人が知らない世界の先住民族 国連フォーラムが“沖縄”で踊った!
◇アメリカから見た! 沖縄ZAHAHAレポート(10) ---> RS
2018.05.16 琉球新報Style
ニューヨークの国連本部で4月16~27日、第17回「先住民族問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」が開かれました。世界各地で、自分たちの土地や資源、文化などへの権利を求めている先住民族とは、どんな人たちなのか。どのような歴史があり、どんな課題に直面しているのか。世界各地の先住民族の声から、沖縄の状況が重なって見えてきました。
「テロリスト」の烙印
各国から先住民族や政府の代表者ら約1000人が集まるフォーラム。今回のテーマは「先住民族の土地、地域、天然資源への集団的権利」。国連本部での会議に加え、さまざまなテーマでオープンセッションやサイドイベントが行われ、沖縄からも琉球民族独立総合研究学会のメンバー6人が参加しました。
「私たちの土地、私たちの権利」と題したイベントでのディスカッションでは、先住民族が政策決定のプロセスから除外され、政府や企業が土地の開発を進めてきた現状と気候変動への影響、そして若い世代と共に持続可能な開発をいかに可能にするかなどが話し合われました。
印象的だったのは、フィリピンで活動に取り組むジョアン・カーリングさんの話。ドゥテルテ大統領の就任以降、人権状況が悪化し、政府が人権活動家や先住民族の権利に関する活動をしている人々を「テロリスト」と呼ぶリストに入れたこと。そして自身もそのリストに名前があるとし、強い不安を訴えました。
政府や警察が先住民族活動家に「テロリスト」の烙印を押し、弾圧するような動きは「フィリピンだけでなく、どこでも起こり得ること。だからこそ私たちは、国際的な連帯と強さを見せていかないといけない」と警鐘を鳴らしました。
カチャーシーは「琉球ディスコ」!
ディスカッションの後、沖縄のパフォーマンスがありました。米在住50年余でニューヨーク沖縄県人会元会長のてい子・与那覇トゥーシーさんは「第二次世界大戦で生き延びた時、私は4歳でした。沖縄では今も続いている問題があります。私たちの空、土地、言葉、尊厳を守りたい」と話し、沖縄は1879年に日本に侵攻されるまで、「琉球」という独立国だったことを紹介しました。
「琉球では三線や踊りで気持ちを表現します」。てい子さんは、野村流音楽協会三線教師の比屋根良直さんの歌と三線に合わせ、空手・琉球舞踊を組み合わせた演舞を披露。県系ブラジル4世のヴィトール金城さんは会場に手拍子を呼び掛けながら、沖縄の童歌としても受け継がれる「てぃんさぐぬ花」を歌いました。
締めくくりはてい子さんが「沖縄では、めでたい席で踊る『琉球ディスコ』よ」と呼び掛け、会場も巻き込んでカチャーシーを踊りました。
ハワイの挑戦とビットコイン
ハワイの先住民族グループのサイドイベントは、まさに目からウロコでした。オアフ島には、ネイティブ・ハワイアンの「独立主権国」プウホヌア・オ・ ワイマナロ・ビレッジ(Independent & Sovereign Nation State of Hawaii、通称:ネイション・オブ・ハワイ) があるのです。
ハワイの歴史を少しおさらいしましょう。ハワイはカメハメハ王朝が統治した王国で諸外国とも外交関係を持つ独立国家でしたが、砂糖業が盛んになると欧米からの白人入植者が増加し、1893年にアメリカによって倒されます。
米西戦争を機に1898年、アメリカに併合され、1959年、50番目の州になりました。アメリカの武力による建国の歴史に組み込まれた州の1つなのです。
アメリカ統治以来、土地、言葉、仕事を奪われ、アメリカへの同化政策が進められたハワイで、ネイティブ・ハワイアンに対する差別への怒りを、非暴力の独立運動につなげたのが、カメハメハ大王7代目末裔にあたるバンピー・カナヘレさんでした。
15年間の運動が実り、1993年、クリントン大統領(当時)は、アメリカがハワイを侵略した事実を認めるハワイ王朝違法転覆に対する謝罪法に署名し、ワイマナロの土地の一部をネイティブ・ハワイアンに返還しました。その土地で、バンピーさんが初代国家元首になり、ネイション・オブ・ハワイが生まれました。
イベントで、ネイション・オブ・ハワイ、ナンバー2のブランドン・マカアワアワさんが自治の仕組みを紹介。ネイティブ・ハワイアンが自然の恵みを受け、感謝しながら生活を成り立たせた農業の手法に改めて取り組むとともに、国の「通貨」に「アロハコイン」と呼ぶビットコインを導入していることも紹介しました。
伝統を取り戻す活動と、経済自立のために公式通貨を取り入れる動き、そしてハワイと重なる沖縄の歴史に、東新川藤佳さん(米カリフォルニア在、パシフィカ大学院大学学生)はネイション・オブ・ハワイの活動に「こんなふうに『枠』を飛び越える動きを、私たちも考えたい」と話しました
アメリカはもともと誰のもの?
先住民族が各地の現状を訴えるメディアゾーンで、アメリカの先住民族グループのプレゼンテーションを聞きました。カリフォルニア州中部モントレー湾周辺に住むアマ・ムツン族のバレンティン・ロペスさんは、彼らの部族が数千年前から大切にしてきた聖域を取り戻し、現在計画されている砂や砂利採掘の開発から守りたいと訴えました。
古代以来、先住民族の土地だったカリフォルニア州中部は18世紀、スペインによる宣教と植民地化にさらされました。アマ・ムツン族が住む今のサンタクルーズ周辺にもカトリック教会が伝道所を造りました。もともとその土地に住んでいた先住民族は改宗させられ、労働力として扱われ、入植者が持ち込んだ武器と天然痘などの伝染病で、多くが亡くなりました。
その後もアマ・ムツン族は、スペインから独立を果たしたメキシコによる占領、そして、アメリカの占領にさらされ、長い間、自分たちの土地や資源、言葉、文化を奪われ、苦しんできました。
ロペスさんは「スペインのカトリック教会の宣教で先住民族の人々は『異教徒』『野蛮人』とされ、土地を奪われ、奴隷として扱われた。メキシコの占領時代、私たちの土地は家畜を飼う牧場と牧草地にされ、食料だった原生植物を奪われた」と語り、先住民族の土地を伝統的な方法で回復させ、母なる大地を持続可能な豊かな土地に戻したいと訴えました。
ラコタ族のジーン・ローチさんは先住民族の人権活動家が40年以上拘留されている現状を訴え、「私たちは『二流市民』としてステレオタイプを押しつけられ、人権を無視されてきた。人権を守るため、すべての国が連帯して動いてほしい」と支援を呼びかけました。
彼ら彼女らの訴えに、アメリカに来て違和感を覚えていたことが重なりました。アメリカの祝日には、1776年7月4日、イギリスに統治されていた13の植民地が独立宣言したことを記念する「独立記念日」、そしてコロンブスがアメリカ大陸に上陸したのを記念して制定された10月第2月曜の「コロンブス・デー」があります。
でも、これらは、もともとアメリカの土地に住んでいた先住民族にとって、「祝日」なのでしょうか。ロペスさんは「カリフォルニアの先住民族たちの真の歴史は語られることはなかった」と語ります。アメリカという国で語られる「歴史」が「誰の目」から見たものなのか、あらためて考えさせられました。
そして沖縄と米軍基地…
なぜ、国連の「先住民族問題に関する常設フォーラム」に琉球民族独立総合研究学会が参加したのか。まずは、沖縄の歴史を簡単におさらいしましょう。
1429年から1879年まで沖縄は「琉球」という独立国として、武器を持たない平和な国として貿易で栄えましたが、1609年の鹿児島の大名・島津家(薩摩藩)によって江戸幕府に武力併合されました。独立国だった琉球が日本の一県になったのは1879年の「琉球処分」からです。
それ以降、沖縄では日本国民としての「同化」のため、標準語を使うことが推進されました。教育現場では標準語を使わせることが教育目標となり、学校で沖縄の言葉を使った生徒の首には「罰」として「方言札」をかけ、方言を使った他の生徒にこれを渡す方法で標準語が励行されました。
また、沖縄戦中、日本軍は「方言を使う者はスパイとみなして処分する」という通達を出しました。戦争で、沖縄に上陸した米軍は住民を収容所に強制的に隔離し、土地を強制接収して基地を建設していきました。
沖縄の基地の成り立ち 知っておきたい3つのこと
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-519512.html
平良とみさん逝く 沖縄愛した魂を継ぎたい
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-184725.html
敗戦後、アメリカやイギリスなどの連合国の占領下にあった日本は1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約の発効で主権を回復しましたが、沖縄、奄美、小笠原はアメリカの施政下のままでした。
その後、日本は高度経済成長を遂げますが、沖縄は1972年5月15日の復帰まで米軍の施政下に置かれ、日本本土から米海兵隊の移駐や基地建設が進められました。
2013年4月28日、安倍晋三首相はこの日を「主権回復の日」として政府主催の式典を催しましたが、沖縄にとってはこの日は日本の行政権から切り離された「屈辱の日」と呼んでいます。
土地、言葉、文化を奪われ…
2007年に採択された国連の「先住民族の権利に関する宣言」では、先住民族は「植民地化とその土地、領域および資源の奪取の結果、歴史的な不正義に苦しんできた」としています。
つまり、先住民族は植民地政策や同化政策で、自分たちの土地や社会、固有の言葉や文化などが否定されてきた人といえます。
また宣言では、先住民族の制度や文化、伝統を維持・強化し、そのニーズに従って開発を進める先住民族の権利を強調し、先住民族に対する差別を禁止するとともに、経済・社会開発に対するビジョンを追及する権利も含まれています。
その宣言の具現化に向けて各地の現状を話し合うフォーラムで、琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子さんは、琉球の歴史と米軍基地の成り立ちを紹介し、新しい基地建設を許さないという民意を選挙で示しても、意思決定に反映されていない現状を伝えました。
土地を奪われ 選挙の民意反映されず… 先住民族フォーラムで親川氏が沖縄の現状報告
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-704359.html
本会議では、東新川藤佳さんが、沖縄の人々が直面する問題として、米軍基地が女性や子どもたちへの性的暴行や教育環境の脅威を引き起こしていることや、安倍首相が琉球国は独立国だったことを否定する発言をしたことなどが、国連の「先住民族の権利に関する宣言」に反しているとして、政府に直ちに是正するよう求めました。この声明文は、国連の記録として残ります。
基地の存在が性犯罪誘発 国連先住民族フォーラムで琉球独立学会声明
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-704858.html
普天間第二小 避難242回 米軍ヘリ上空飛行 恒常的に授業侵害
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-695480.html
国連が4回勧告、「最終見解」も
国連は2008年に沖縄の人々を「先住民族」と公式に認め、過去4回勧告を出し、2014年8月には国連人種差別撤廃委員会が沖縄の人々の権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表しています。
しかし、日本政府は、日本にアイヌ民族以外に先住民族は存在せず、沖縄の人々は人種差別撤廃条約の適用対象にならないと主張しています。
「先住民族は歴史的な不正義に苦しんできた」という国連の宣言と、沖縄の歴史、そして土地を奪われて造られた米軍基地から今も派生する問題を考えるとき、そこに「問題」が存在しないかのように振る舞う権力のいびつな姿が浮かび上がります。
そして、先住民族に対して、意識的・無意識的に「未開」「野蛮」「珍しい」といったレッテルを張り、その歴史をオブラートに包んで見えにくくさせているのは「誰の視点」や「都合」によるものなのか。
世界各地の先住民族の人々の歴史や今も直面する課題を通して、力のある側が「なかったことにしたい」「語ろうとしないこと」にもっと目を開いて向き合わなければならないと思うのです。
「今」を成り立たせるこれまでを知り、「これから」をどんな未来にしたいのかを考えるために。
<座波幸代(ざは・ゆきよ) 政経部経済担当、社会部、教育に新聞を活用するNIE推進室、琉球新報Style編集部をへて、2017年4月からワシントン特派員。女性の視点から見る社会やダイバーシティーに興味があります。>沖縄の自己決定権議論/中国・北京国際シンポ 植民地主義を考察
2018.05.13 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 写図表有 (全644字)
【北京市で宮城隆尋】第3回琉球・沖縄学術問題国際シンポジウム(北京大学歴史学系など主催)が12日、中国・北京市の北京大学で開幕した。中国・台湾と日本、沖縄の研究者がそれぞれの歴史的な関わりや、在沖米軍基地などを巡って沖縄の自己決定権が問われている現状について論じた。12日は、沖縄から高良鉄美琉球大学法科大学院教授、波平恒男琉球大学教授らが論文を発表した。同シンポジウムは2014年、16年に続く3回目の開催。最終日の13日は芥川賞作家の又吉栄喜さんらが登壇する。
開幕式で比屋根照夫琉球大学名誉教授は「アジアと沖縄の不幸は近代国民国家が生み出した植民地主義にある。どのように超えていくか、研究者は今後も努力を重ねなければならない」と述べた。
張海鵬中国史学会会長(中国社会科学院教授)は「琉球が独立すべきかどうか、人民の意思を尊重せねばならない。琉球を中国が取り戻すということではない。琉球、中国、日本、米国の人民はさらに議論する余地がある」と述べた。
高良教授は米占領下の沖縄の法体系について発表した。「米国民政府の発する布告、布令、指令の下位に琉球政府立法院の制定する立法が置かれていた」と不平等な状況を説明した。
又吉盛清沖縄大学客員教授は「日本はアイヌ民族に対する教育政策でうまくいった点を沖縄で実施し、台湾でも実施した」と述べ、沖縄も植民地統治の対象だったことを指摘した。
波平教授は「西洋人の見た19世紀前半の琉球王国-バジル・ホールの琉球来航を中心に」と題して発表した。国連先住民フォーラム/基地の存在 性犯罪誘発/琉球独立学会声明/教育への脅威も
2018.04.21 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全744字)
【ニューヨーク=座波幸代本紙特派員】ニューヨークの国連本部で開催中の第17回先住民族問題フォーラムは19日の会議で、琉球民族独立総合研究学会の東新川藤佳さん(米カリフォルニア在、パシフィカ大学院大学学生)が声明文を発表した。(7面に声明文要旨) 沖縄の人々が直面する問題として(1)米軍基地が女性や子どもたちへの性的暴行や教育環境の脅威を引き起こしている(2)琉球民族の遺骨が未返還となっている(3)安倍晋三首相が琉球国が独立国だったことを否定する発言をした-ことの三つが、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に反しているとして、政府に直ちに是正するよう求めた。 一方、同会議に参加していた日本政府代表は声明文に対し、県内の一部のグループが「沖縄の人々は先住民族だ」という主張をしているが、県内の地方議会の一部は先住民族ではないという指摘をしており、「政府は沖縄の人々は日本人であり、先住民族であるという認識は持っていない」と反論した。 2014年、国連自由権規約委員会は政府に対し、「締約国(日本)はアイヌおよび琉球(沖縄)の人々の伝統的な土地および天然資源に対する権利を十分保障すべきである」と勧告。さらに、同年、国連人種差別撤廃委員会で「ユネスコが琉球(沖縄)の民族、歴史、文化および伝統の独自性を承認したにもかかわらず、琉球(沖縄)の人々を先住民族として承認しない締約国(日本)の立場を遺憾に思う」との見解を示している。 また、フォーラム関連行事の舞台で、同学会メンバーの米ニューヨーク在住で同沖縄県人会元会長のてい子・与那覇トゥーシーさん、野村流音楽協会三線教師の比屋根良直さん、県系ブラジル4世のヴィトール金城さんが三線の演奏や空手・琉球舞踊を組み合わせた演舞を披露した。国連先住民族フォーラム・琉球民族独立学会声明文(要旨)
2018.04.21 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 (全1,031字)
ぐすーよー、ちゅーうがなびら。私たちは琉球(沖縄)から来ました。琉球は1879年に日本に武力併合されるまで独立国でした。現在、私たち琉球民族は琉球の島々のみならず、世界各地で暮らしています。
2014年、国連自由権規約委員会は、政府に対し「締約国(日本)はアイヌおよび琉球(沖縄)の人々の伝統的な土地および天然資源に対する権利を十分保障すべきである」と勧告しました。さらに、同年、国連人種差別撤廃委員会で「ユネスコが琉球(沖縄)の民族、歴史、文化および伝統の独自性を承認したにもかかわらず、琉球(沖縄)の人々を先住民族として承認しない締約国(日本)の立場を遺憾に思う」との見解が示されました。しかしながら16年、政府は琉球人が先住民族であることを否定しました。
私たち琉球人が直面している三つの問題について説明します。
一つ目は、今なお続く琉球(沖縄)の深刻な植民地化と軍事化の状況です。沖縄島のおよそ20%が米軍基地に占領され、そのことに政府が加担しています。さらに、多数の琉球民族が反対しているにもかかわらず、日米はNIMBY(“Not In My Back Yard”)の態度で、新たな軍事基地の建設を強制的に進めています。基地が集中している結果、女性や子どもたちに対する性的暴行が発生し、教育環境も脅かされています。このような状況をつくり出している政府の態度は、持続可能な開発目標(SDGs)や「先住民族の権利に関する国際連合宣言」第14条および第25条から32条に違反しています。
二つ目に、多くの琉球民族の遺骨、そしてアイヌ民族やアメリカ先住民族の遺骨が墓より持ち去られ、それらが100年近くも未返還の状態が続いています。この行為は「先住民族の権利に関する国際連合宣言」第12条に違反しています。
最後に、私たちが強調したいことは、安倍晋三首相が15年に「1879年より以前に琉球が独立国であったことを日本政府が認めるかどうかについて回答することは非常に困難である」と公式発表したということです。琉球国が独立国として歴史的に存在していた事実を否定する政府の行為は「自由権規約(市民的および政治的権利に関する国際規約)」第27条および「先住民族の権利に関する国際連合宣言」第8条、第13条、そして第15条に違反しています。
私たちは、日本政府に対し、直ちに全ての問題点をただすことを勧告、さらには、要求します。いっぺーにふぇーでーびる。<ワシントン発>「民意反映されず」/先住民フォーラム 親川氏、現状訴え
2018.04.20 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全682字)
【ワシントン=座波幸代本紙特派員】先住民族の権利保護と拡大について話し合う「第17回先住民族問題フォーラム」が16日からニューヨークの国連本部で始まった。琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表が18日、関連イベントに登壇し、沖縄の人々の土地に米軍基地が造られ、新しい基地建設を許さないと選挙で民意を示しても、意思決定に反映されていない現状を伝えた。 フォーラムは5日間の日程で開催。同学会共同代表の友知政樹沖国大教授や県系人ら6人が参加している。 「先住民の人権擁護者とアジアにおける土地の権利」をテーマにしたイベントで、うちなーかんぷーを結い、着物で登壇した親川さんはフィリピン、マレーシアの代表らと、先住民族が伝統的に守ってきた土地における持続可能な開発と意思決定に関わる権利について話し合った。歴史的に不正義を押し付けられている共通点を通し、先住民の声を意思決定に反映させることが重要だと確認した。 親川さんは琉球王国が日本に併合され、沖縄戦を経て米軍基地が造られた歴史を紹介。米兵らによる性犯罪や殺人、米軍機墜落事故などを挙げ、「基地があることで続いてきた問題だ」と指摘。普天間飛行場閉鎖と土地の返還を求めているにもかかわらず、日米両政府が移設先として名護市辺野古に新基地建設を強行することに「先住民の声を無視して進めることが問題だ」と訴えた。 意見交換を終え、親川さんは「沖縄の問題を矮小(わいしょう)化し、『地方が軍事に口を出すことではない』『アジアの平和と安定のため』とする政府や基地容認派の言い訳に、正当性がないことを共有できた」と語った。ACSILs representative Oyakawa speaks about Okinawa at UN Permanent Forum on Indigenous Issues
2018.04.20 Ryukyu Shimpo (Washington Special Correspondent Yukiyo Zaha reporting) ---> RS
At the UN Headquarters in New York, the Seventeenth Session of the UN Permanent Forum on Indigenous Issues (UNPFII) opened on April 16 to discuss expanding protections for indigenous people’s rights. On April 18, a representative of the Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans (ACSILs), Shinako Oyakawa, spoke at one of the Forum’s side events. She conveyed the reality that United States military bases were built on Okinawan people’s lands, and that even when Okinawan people demonstrate their will to not allow new bases to be constructed through the election of their representatives, that will is not reflected in decision-making.
The Forum programming was held over a period of five days (as of April 20). Another representative of ACSILs and professor at Okinawa International University, Masaki Tomochi, is attending the Forum along with six other Okinawans.
At an event focusing on the Indigenous Human Rights Defenders and Land Rights in Asia, Oyakawa attended wearing a kimono with her hair tied up in an Okinawan hairstyle called uchinākanpū. She discussed with representatives from the Philippines and Malaysia about the sustainable development of lands that have been traditionally protected by the indigenous people, and rights involving decision-making. They identified the common features of injustice being historically forced upon indigenous people, and affirmed the importance of decision-making being made to reflect indigenous people’s voices.
Oyakawa introduced the history of the Ryukyu Kingdom’s annexation into Japan, and of U.S. military bases being built in Okinawa during the Battle of Okinawa. She also pointed out that sex crimes and murder by soldiers are issues that have persisted due to the presence of military bases. Despite requests that Futenma Air Station be closed down and the land it rests on be returned, the U.S. and Japanese governments are forcing Henoko, Nago to be the site for a replacement facility. Oyakawa pointed out that, “The problem is that [the governments] ignore indigenous people’s voices and charge forward.”
After exchanging opinions, Oyakawa said, “The government belittles Okinawa’s issues, holding that ‘military affairs don’t disrupt the region,’ and ‘it is for the sake of peace and stability in Asia.’ We have been able to share that these claims, and excuses from factions that approve of military bases, are not justifiable.”(English translation by T&CT and Erin Jones)
自己決定権今こそ 比嘉幹郎さん、自治の後退 復帰前に警鐘
2018.04.09 琉球新報朝刊
沖縄の日本復帰から来月15日で46年となる。県民は平和主義、国民主権をうたう日本国憲法への復帰を望んだ。しかし不平等な米軍基地負担は今も変わらず、政府は沖縄の民意を無視して辺野古新基地建設を強行している。自治が制限される現状を復帰前に予言していたのが、元副知事の比嘉幹郎さん(87)=那覇市=だ。復帰前年の1971年に発表した沖縄自治州構想で「復帰により沖縄の自治は縮小する」と警鐘を鳴らした比嘉さんは、現在の沖縄について「日本という中央集権国家の中で自治が縮小してしまった。差別政策に反対し、自己決定権の確立を強力に進めるべきだ」と指摘する。 比嘉さんは米国留学を通して政治学を研究し、沖縄での米国領事館勤務などを通して沖縄の政治に精通する。沖縄自治州構想は米国統治下で琉球政府が立法、司法、行政の三権を担っていたことから、日本政府は復帰後もそれを認めて「自治州」とすべきだと提唱した。 比嘉さんは辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」と、1950年代の島ぐるみ闘争(土地闘争)の類似性を挙げる。「保守も革新もなくウチナーンチュとしての意識でまとまった」と語る。 その上で国と県の裁判闘争に関連し、政府関係者らの判決を絶対視するような言説を挙げて「すべての三権機関は政策を決定する。判決も政策だという視点が欠けている。政策には賛否があっていいはずだ」と批判した。 沖縄自治州構想の発表時と比べ「沖縄の状況は現在も変わっていない。日本の三権には期待できない。沖縄は自らのことを自ら決めるため、自己決定権の確立を強力に進めるべきだ」と強調した。(宮城隆尋)「先住民族アイヌだけ」/政府、沖縄の人権言及せず
2018.03.08 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 (全455字)
国連人権理事会で昨年11月に行われた日本政府対象の普遍的定期審査(UPR)で「アイヌと琉球の人々が社会的、経済的、文化的な権利を享受できるようにすべきだ」などと勧告されたことに対し、政府は7日までに「国内で先住民族として認めているのはアイヌ民族だけだ」などとする回答を公表した。回答は従来の政府見解にとどまり、アイヌ民族に対する施策に「取り組んでいる」とした。沖縄の人々に対する人権状況には言及しなかった。 沖縄の人権状況については昨年11月の作業部会で、ペルー政府代表が勧告した。UPRで沖縄について言及されたのは初めてだった。ロシア、オーストリアなど複数の国が先住民族の権利保護を求めていた。 日本政府は各国から出された217項目の勧告を受諾するかどうか、項目ごとに見解を公表した。特定秘密保護法などで萎縮が指摘される「報道の自由」に関する勧告などは「拒否」した。米国やオーストリアなどが、メディアの独立性を確保するよう求めていた。 人権理事会は日本の見解を受け、最終的な報告書を16日の会合で採択する。奄美遺骨も返還要求/人類学者持ち出し/来月、団体設立へ
2018.02.20 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 (全612字)アイヌ有志ら相次ぐ/人類学者持ち出し
2018.02.20 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 (全454字)「尊厳ある埋葬を」/琉球・アイヌ遺骨 返還求め那覇で集会
2018.02.11 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 写図表有 (全611字)シンポ・日本の植民地主義を問う/差別解消へ連帯を
2018.02.06 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有 (全2,225字)「琉球人遺骨返還を」/東アジア研究会が声明
2018.01.28 琉球新報朝刊 22頁 2社 1版 写図表有 (全988字)「BPO意見は当然」/ニュース女子 関係者、謝罪要求も
2017.12.15 琉球新報朝刊 29頁 社会 1版 (全891字)日本政府を審査へ/国連 「表現の自由」懸念
2017.12.02 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 (全304字)
国連の自由権規約委員会が11月30日、日本の人権状況を審査するため日本政府に示した質問項目を公開した。名護市辺野古の新基地建設に反対する市民が逮捕されたことに関連し「過重な力の行使によって(市民を)拘禁している」と指摘し、表現の自由について懸念を示した。 自由権規約は日本も批准している。日本政府は1年以内に報告書を提出し、同委員会が審査する。 アイヌ民族と琉球人の先住民族としての権利について、政府に関連法を改正した上で「(土地や自然資源などの)権利の尊重を確保すべきだ」と求めた。 沖縄や在日コリアンらに対するヘイトスピーチに関連し、ヘイトスピーチ禁止法が罰則規定を持たないことについても懸念を示した。国際人権法学会/自治権拡大を模索/地位協定の問題議論/研究大会、沖縄で初開催
2017.11.26 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,583字)
国際人権法学会(申恵豊(シンヘボン)理事長)の第29回研究大会が25日、那覇市のタイムスホールで始まった。「琉球/沖縄と人権」をテーマにしたシンポジウムでは、米軍基地が集中することによって平時でも性暴力が頻発しているなど、沖縄の状況と国際人権法の関わりを議論した。事件・事故の捜査や環境調査の障壁となっている日米地位協定の問題点についても意見を交わしたほか、自治権拡大へ地方自治特別法の活用を指摘する意見もあった。全国の研究者ら約130人が参加した。沖縄で開かれるのは初。最終日の26日は名護市辺野古での新基地建設差し止めを求める訴訟に関する発表や、国連人権理事会の日本政府を対象とした普遍的定期審査(UPR)に関する報告もある。
パネル討議では、登壇者がフロアからの質問に答えた。明田川融法政大教授は、第1次裁判権を放棄する日米間の密約に関連し、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊が派遣されたカンボジアとの間で、裁判権が日本側にあると取り決めたことを例示。「米国に地位協定改定を訴え、自衛隊を受け入れる国の訴えにも耳を傾けるべきだ」と述べた。
高良沙哉沖縄大准教授は軍事性暴力の被害者について「捜査権の制限など日米地位協定の弊害が被害者にかかってくる。個人に起こる被害が社会全体の被害になるのが、軍事性暴力の特徴だ」と指摘した。
西海真樹中央大教授は日本語と琉球諸語の関係について「琉球諸語の間に相互理解がない点や、最近まで弾圧されていた歴史がある点を考えれば、琉球諸語を方言と呼ぶのはふさわしくない」と語った。
大津浩明治大教授は先住民族の問題について「沖縄にルーツを持たない人もいる。より広く地域自治体を『エスニシティ(社会集団)』という言葉でくるむことによって『先住民ではない』と感じている人も含めて共通の土壌がつくれるのではないか」と述べた。
大阪大大学院博士課程の宮崎紗織氏は、琉球など併合された民族が独立を主張することについて「併合された民族の場合は植民地独立付与宣言、非自治地域の文脈で言えば外的自決権を行使できる主体となる」と述べた。
米ジュゴン訴訟の連邦地裁判決について、大久保規子大阪大大学院教授は「ジュゴンへの配慮は不十分だという裁判所の判断は示されていた」と指摘。その上で事業が進んだことにより「原告適格がない」と判断された点に「十分な対策をしなくても既成事実を重ねれば許されることになる。国際的に見て重大な懸念がある」と批判した。
【環境】特別法で地元意見を
大阪大大学院の大久保規子教授は環境問題について報告した。
米軍基地の返還に伴って環境汚染が見つかった場合、米側に原状回復義務がないことに関し「ブラックボックスになってしまっている」と批判した。
名護市辺野古での新基地建設工事の差し止めを求めた訴訟に関連して「基地問題を一般的な裁量の枠組みで処理した最高裁は、極めて無理のある法解釈をしている」と批判した。
基地建設について地域住民との合意が十分に図られていない点には「説明会、公聴会だけでは事業者とのコミュニケーションが不十分であり、手続き的参加権が欠如している。関連情報にアクセスするにも負担が大きい」と指摘した。その上で「特にインパクトが大きいと考えられる基地の立地に関しては、地域や自治体の意見を言うための、特別な立法についても議論すべきだ」と提言した。
<報告者> 明田川 融氏(法政大教授) 高良 沙哉氏(沖縄大准教授) 西海 真樹氏(中央大教授) 大津 浩氏(明治大教授) 宮崎 紗織氏(大阪大大学院) 永井 文也氏(京都大大学院) 大久保 規子氏(大阪大大学院教授)※注:申恵豊の「豊」は「半」の点を取り横棒一本足す国連人権理 対日審査/「琉球の権利」ペルー要求/初の言及 勧告に明記可能性
2017.11.15 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 (全430字)
国連人権理事会の日本政府を対象とする普遍的定期審査(UPR)が14日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で始まり、各国代表から日本政府への質疑があった。ペルーの代表者が「アイヌと琉球の人々が社会的、経済的、文化的な権利を享受できるようにすべきだ」と求めた。ロシア、オーストリアなど複数国が先住民族の権利保護を求めた。 ベラルーシなど複数の国が報道の自由を制限しないこと、包括的差別禁止法の制定などを求めた。UPRの対日審査で沖縄について言及されたのは初めて。16日に公表される報告書でも、日本政府に対する勧告として明記される可能性がある。 日本政府の担当者は先住民族について「有識者の議論を踏まえてアイヌ政策に取り組んでおり、引き続き政策を推進する」と述べ、沖縄については言及しなかった。 UPRに向けては、沖縄国際人権法研究会や琉球民族独立総合研究学会など複数の非政府組織(NGO)が、在沖米軍基地により「人権が侵害されている」と訴える報告書を提出している。遺骨返還後、再埋葬を/百按司墓 県教委に照屋議員
2017.11.08 琉球新報朝刊 30頁 2社 1版 (全430字)
旧帝国大学の人類学者らが昭和初期、今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから遺骨を持ち出した問題で、照屋寛徳衆院議員が7日、県教育委員会に対して京都大学と台湾大学に保管されている遺骨を主体的に調査し、返還後は再埋葬することなどを求めた。県教委は返還の意向を示している台湾大に、今帰仁村教育委員会とともに返還を受け入れることを文書で伝えたことを明らかにした。返還後の一時保管先は、県立埋蔵文化財センターを検討している。 照屋氏は遺骨について(1)今帰仁村教委の意向を尊重して対応(2)持ち出された場所が分かっていない30体について主体的に調査(3)一時的な保管先は尊厳が守られる形で配慮(4)再埋葬を視野に慰霊祭開催-を求めた。京都大の遺骨についても、両教委の職員を派遣して現地調査するよう口頭で求めた。 両教委が台湾大に送った文書は(1)環境の整った施設で収蔵(2)地元の今帰仁村で活用-などを表明している。2日付で送付した。台湾大からの回答は7日時点でない。「遺骨盗掘は差別」/琉球独立学会 松島教授(龍谷大)が批判
2017.10.23 琉球新報自治権制限「容認せず」/スペイン北東カタルーニャ/州首相が強く反発
2017.10.23 琉球新報自治拡大目指し住民投票を実施/伊北部2州、独立求めず
2017.10.23 琉球新報カタルーニャ独立/州政府の権限停止/中央政府が閣議決定/6ヵ月以内に議会選挙
2017.10.22 琉球新報カタルーニャ巡り州議会選実施方針/中央政府、1月に
2017.10.21 琉球新報自治権停止を協議へ/カタルーニャ独立、新局面
2017.10.20 琉球新報<会と催し>22日、沖国大で独立学会シンポ/松島泰勝さんら報告
2017.10.19 琉球新報朝刊 21頁 文化 1版 (全231字)
琉球民族独立総合研究学会は、22日午後1時半から沖縄国際大学新3号館202号室で、第9回オープンシンポジウムを開く。
同学会の友知政樹共同代表と会員の大城尚子さんによる国連活動報告(ニューヨーク、ジュネーブ、カタルーニャ)や、琉球民族遺骨返還研究会の松島泰勝代表の「日本植民地主義に抗う百按司墓琉球人遺骨返還運動」報告を行う。
会費千円(学生会員は無料)。問い合わせは(電話)050(3383)2609(留守番電話のみ)。Eメールinfo@acsils.org自治権の停止「猶予8日間」/カタルーニャに政府警告
2017.10.13 琉球新報州首相、独立を「保留」/カタルーニャ 対話や国際調停要求
2017.10.12 琉球新報「独立宣言」に焦点/カタルーニャ州 首相が議会演説
2017.10.11 琉球新報カタルーニャ 独立なお混沌/投票1週間、慎重論も
2017.10.09 琉球新報<こちら特報部 東京新聞提供>カタルーニャ住民投票/スペインサッカー界に波紋/バルセロナが無観客試合
2017.10.09 琉球新報州首相、10日演説へ/カタルーニャ 「独立宣言」あるか
2017.10.07 琉球新報住民投票の波紋 関係各所に拡大/経済、外交、スポーツも
2017.10.07 琉球新報独立宣言 日程触れず/スペイン北東部カタルーニャ州/首相、再度調停を要請
2017.10.06 琉球新報カタルーニャ独立投票/国王、自治政府を非難/デモ参加者70万人超に
2017.10.05 琉球新報遺骨返還、京大へ質問状/琉球民族研究会 文書開示請求も/9月末までの回答要求
2017.08.24 琉球新報中央政府に抗議 30万人超がデモ/カタルーニャ、労組ストも
2017.10.04 琉球新報スペイン・カタルーニャ「独立」9割/賛成派、歓喜に沸く/「未来、私たちが決める」
2017.10.03 琉球新報独立「賛成」9割/カタルーニャ住民投票結果/州首相が勝利宣言
2017.10.03 琉球新報独立問う住民投票開始/スペイン カタルーニャ州/中央政府は妨害/警官隊衝突、460人超負傷
2017.10.02 琉球新報カタルーニャ独立宣言か/きょう住民投票 自己決定権求め
2017.10.01 琉球新報大田元知事県民葬/差別犠牲へ抗う
2017.07.27 琉球新報朝刊 33頁 社会 1版 写図表有 (全1,786字)
26日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行われた元県知事の大田昌秀さんの県民葬は、政界や経済界、琉球大時代の教え子、同僚だった研究者ら約2千人が参列して大田さんの功績をたたえ、冥福を祈った。友人代表としてあいさつした元副知事の比嘉幹郎さんが「県民に対するいかなる差別や犠牲の強要にも反対する」と大田さんの思いを代弁した際、出席者から大きな拍手に包まれた。会場は安倍晋三首相が出席する中、沖縄の過重な基地負担の軽減・解消を願う雰囲気に包まれた。(1面に関連
平和な沖縄新たに/比嘉幹郎さん、涙の決意
「大田さんを敬愛する私どもはご遺志を尊重して、今後とも県民に対するいかなる差別や犠牲の強要にも反対し、世界の恒久平和と沖縄県の発展のために頑張ることを誓います」 大田さんと60年の交友を重ねてきた元副知事の比嘉幹郎さん(86)の決意に呼応するように、参列者から大きな拍手が湧き起こった。 凄惨(せいさん)な地上戦体験を原点に平和を訴え続けた大田さんの遺志を受け継いだ比嘉さんの決意に参列者の共感が広がった。大田さんを悼む場が、沖縄を取り巻く不条理に抗(あらが)い、平和を希求する県民の決意を発信する場となった瞬間だった。 大田さんが好んだ洋酒のソーダ割りを飲み交わした若き日を振り返り「夜の那覇市内を歩き回れないと思うと寂しくてならない」と語ったとき、比嘉さんは嗚咽(おえつ)をこらえることができず、声を震わせた。会場の参列者も涙を拭い、大田さんをしのんだ。 「これでお別れだと思うと非常にさみしい。もっとお付き合いをしたかった」。会場を出た比嘉さんの表情は悲しげだった。しかし、追悼の辞では思いの丈を込めたつもりだ。「言うべきことは言った。大田さんの気持ちを代弁した。参列した方々も同じ思いだったのではないか」と語る。 友との永遠の別れの言葉で沖縄の決意を明確に表明した。「沖縄の人々は事大主義であってはいけない。差別と犠牲の鎖を切らなければならない」と比嘉さんははっきりとした口調で語り、大田さんと語り合った平和な沖縄への思いを新たにしていた。
「先輩の遺志継ぐ」/古堅実吉さん 思い強く
大田昌秀さんと同じ沖縄師範学校在学中に鉄血勤皇隊として沖縄戦に動員された元衆院議員の古堅実吉さん(88)も県民葬に参列した。古堅さんは「師範学校にいた先生、仲間たちの多くが亡くなった。仲間たちのためにもと、最期まで平和な世の中をつくろうと力を尽くした大田さんの思いを継いでいきたい」と静かに話し、大田さんの遺影に手を合わせた。 大田さんの3期後輩だった古堅さんによると、大田さんは師範学校で学業優秀で、目立つ存在だった。鉄血勤皇隊では別の任務を命じられたため、戦時中は大田さんと行動を共にすることはなかったが、戦後は何度も面会し、仲間たちを戦場で失った悲しみを共有してきた。こうした思いから2人はほぼ毎年、慰霊の日に糸満市の沖縄師範健児之塔で慰霊祭に参加した。 2016年6月23日、沖縄師範健児之塔での慰霊祭で「戦争を生き延びた者の役割として、沖縄を二度と戦場にしてはいけない」と強調した大田さん。慰霊祭の後、ねぎらいの言葉を掛けた古堅さんに「ここに来るのも今年で最後だな」とつぶやいたという。 古堅さんは「あの言葉がまさか現実になってしまうなんて」としばらく沈黙した後、「『静かにお休みください』と伝えた。生き残った者として、『戦争は絶対に許さない』との思いで生き抜いた先輩の遺志を継ぎたい」と話した。
平和求めた人生/三男・秀明さん謝辞要旨
父のために盛大な県民葬を開催してくださり、親族一同感謝している。父は研究者として朝早くから夜遅くまで机に向かい、研究や本の執筆などに没頭していた。分からないことが分かった時の喜び、信念を持って訴えることの大切さを話してくれた。幼少から母親を大事にし、母親思いだった。 父の人生は信じるところに向かって安易に妥協することなく、最後まで平和を求めて生き抜いた人生だった。父は93回目の誕生日に家族や教え子に囲まれて眠るように亡くなった。支えてくれた皆さんに深く感謝していたものと思う。大田元知事県民葬/平和希求誓う
2017.07.27 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全3,781字)
真摯な議論が私の財産/翁長雄志知事 式辞(要旨)
大田昌秀さんは沖縄師範学校在学中に沖縄戦が始まり、鉄血勤皇隊の一員として沖縄守備軍第32軍に動員された。 過酷な地上戦で、人間が人間でなくなる極限状態を目の当たりにした経験から、琉球大学で教鞭(きょうべん)を執る傍ら、平和への強い情熱をもって、沖縄に関する数々の論文や著作物をまとめられた。 県知事になられてからは、それまでの平和研究の蓄積と成果を県行政に生かすため、「平和・自立・共生」を県政運営の柱に据え、平和行政、米軍基地の整理縮小をはじめ、沖縄が抱える諸問題の解決に心血を注がれた。 中でも、戦争の悲惨さを後世に継承する信念に基づき、国籍を問わず、軍人・民間人の別なく、沖縄戦で命を落とされた全ての方々を追悼するため「平和の礎」を建立された。今では「平和の礎」は平和な世の中を切に願う沖縄の心を世界に発信する、県民にとって大切な場所となった。 そして、沖縄の歴代知事が苦悩し続けてきた米軍基地問題では、沖縄の基地負担の不条理を訴えるため、米軍用地の強制使用にかかる代理署名を拒否するとともに、厳しい姿勢で日米両政府や日本国民に基地問題の解決を求められた。 沖縄の基地負担の軽減が国政の場で取り上げられるようになったのは間違いなく、大田さんの決断によるものだ。 私は大田さんが県知事として重責を担われていた時代、県議会議員として議会で交わした数多くの議論を通して、過酷な沖縄戦を経験された大田さんの、平和に対する並々ならぬ強い思いが私の心の中に重く響いてくるように感じていた。 当時、真摯(しんし)に議論をさせていただいたことは、県知事となった今、大変大きな財産になっている。 われわれ県民は大田昌秀さんが終生貫かれた「平和を愛する共生の心」の理念を受け継ぎ、恒久平和のため、そして未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる沖縄を築き上げるため、一丸となって、絶え間ない努力を続けることをお誓い申し上げ、式辞とする。
沖縄の負担減に全力/安倍晋三首相 追悼の辞(要旨)
大田昌秀元知事は自身も最も苛烈(かれつ)な地上戦であった沖縄戦を経験され、沖縄の平和、そして世界の平和を追求することに、その生涯をささげられた。 「何よりも平和を大事にし、共生を志向する沖縄の心を世界中に広める」。1995年、県知事時代に建立された「平和の礎」の除幕式で、大田元知事が行われた宣言の中で述べられた言葉だ。国籍や軍人、民間人の区別なく沖縄戦の全戦没者の名を刻んだ「平和の礎」は平和祈念の象徴として訪れる人々の心に平和と共生を訴える場となった。 県知事の8年間は「平和・共生・自立」を柱に、激動の時代に沖縄の基地問題と振興策に精力的に取り組まれた。 特に沖縄の基地負担軽減については、県知事としての立場にとどまらず、戦争の体験者として、また平和を追究する学者として、そして誰よりも沖縄を愛する一人の人として、確固たる決意と熱意を持って取り組まれた。日米両政府による普天間飛行場の全面返還合意や沖縄に関する特別行動委員会の最終取りまとめは歴史的な出来事だった。 沖縄振興においても多大なる功績を残された。沖縄都市モノレールや港湾などのインフラ整備をはじめ、沖縄の発展に欠かせない重要な生活・産業基盤の整備に次々と着手され、現在、県民生活の基盤となっている。 常に県民を思いやり、沖縄の平和追求へ生涯をささげられた大田元知事の姿や信念は人々の胸に永遠に生き続けると信じる。 「戦争の惨禍を決して繰り返さない」という決然たる誓いを貫き、万人が心豊かに暮らせる世の中を実現する。そのことに不断の努力を重ねていくことを改めてお誓い申し上げる。大田元知事が心を砕かれていた沖縄の基地負担の軽減についても政府として引き続き全力を尽くしてまいる。 政府として、沖縄の振興を前に進め、沖縄の明るい未来の構築にできるだけ貢献していくことをお誓いする。沖縄の発展と平和の実現に尽力された大田元知事の遺徳をしのびつつ、改めて心より冥福をお祈りし、追悼の辞とする。
反戦平和の学者政治家/比嘉幹郎元副知事 追悼の辞(要旨)
1949年、大田さんが名護の英語学校の先生だったころから気心が合ったせいか私を「ミキ」と呼び親交を深めた。米国留学や琉球大学の同僚としての好誼(こうぎ)や、お互い独身時代における那覇市内での同居生活、東京大学での研修、フルブライト交換教授としてアリゾナ大学への派遣、知事時代、その後も変わらぬ友情と指導など、筆舌に尽くし難い数々の思い出を残していただいた。 大田さん、これまでお供した多くの著名な友人、例えばノーベル賞作家の大江健三郎さんや沖縄をマスメディアで全国にPRしてくれた筑紫哲也さん、ハーバード大学のエズラ・ボーゲル教授、鉄血勤皇隊として九死に一生を得た東江康治名桜大学元学長らと懇談し、楽しく過ごしたことも脳裏に深く刻まれている。もう、2人でステーキやマグロの中トロを食べたり、シーバスリーガル18年もののソーダ割りを飲んだりして夜の那覇を歩き回れないと思うと寂しくてならない。 私なりに先輩を評価させてもらう。大田さんは、悲惨な沖縄戦体験を基に研究に没頭し続けた学者、その成果を踏まえて県庁や国会で沖縄問題解決を目指して政策決定に関与した政治家であり、県立公文書館や平和の礎などを建立し、目に見える形で戦争の愚かさと平和の尊さを訴え続けた反戦平和の使徒だった。 一言で表現すれば「反戦平和の学者政治家」だったと思う。個性的で好き嫌いも激しかったとも言われたが、義理堅く人情味豊かで、特に晩年は寛大で円満な人柄になったように見受けられた。でも、やはり独自の認識や感情、価値観を持った一人の人間であり、性格や思想、実施した政策、大田さんが目標とした100冊ほどの丹念な著作などの評価は今後ともさまざまであり続けるだろう。 しかし、大田さんを敬愛する私どもは遺志を尊重して、今後とも沖縄県民に対するいかなる差別や犠牲の強要にも反対し、世界の恒久平和と沖縄の発展のために頑張ることを誓う。大田さんがよく話していた天国の友人たちと一緒に安らかにお眠りください。
女性参画に取り組む/古謝景春県市長会会長 追悼の辞
沖縄の偉大な指導者である大田先生を失ったことは、県民にとって大きな損失だ。沖縄戦の悲惨な体験から研究者となり、住民の視点で沖縄戦とその後の米軍統治時代の実像を明らかにしたことは大きな功績だ。 県知事時代は女性副知事登用や女性総合センター整備など、女性の社会参画に取り組み、大田知事の下で沖縄の女性はますます元気になった。 1995年の米海兵隊員らによる少女暴行事件では、沖縄代表として県民の気持ちに寄り添った。少女の尊厳を守れなかったことを謝りたいと、総決起大会で県民の無念さを代弁した。また沖縄の米軍基地一極集中を全国に問う流れをつくった。 沖縄の今日をつくり上げた功績は県民の心にいつまでも残るだろう。県民は先生の意志を受け継ぎ、新しい沖縄を創造していくことを誓う。
好調な県経済に尽力/石嶺伝一郎県経済団体会議議長 追悼の辞
大田氏は県知事時代の8年間、基地問題に加えて沖縄振興にも精力的に取り組んだ。1996年の「国際都市形成構想」は、アジア太平洋地域との連携により自立的発展を目指す沖縄の新機軸となった。「万国津梁」の理念は現在の21世紀ビジョンにつながった。 沖縄都市モノレールの開業にも多大な力を尽くした。本土復帰の72年に検討が始まり、長年の紆余曲折を経て、知事2期目の96年に工事が始まった。県民と市民の願いであった県内初の軌道系公共交通機関の実現に貢献した。 現在の沖縄の好調な経済は、大田氏をはじめとした諸先輩方の尽力によるもので、改めて敬意を表する。県経済の好調さを、子や孫の世代に引き継ぐことができるように、経済界を挙げて全力で取り組んでいきたいと、本日強く決意する。心より哀悼の意を表し、冥福を祈る。
偉大な足跡を教訓に/新里米吉県議会議長 謝辞
大田昌秀先生は1990年から県知事を2期8年務め、2001年から6年間、参院議員として国政に参画し、沖縄の振興開発や基地問題の解決に心血を注いだ。過酷な沖縄戦の経験から郷土愛と平和への思いが強く、県政運営の柱に平和、共生、自立を掲げ、平和の礎の建立や普天間基地の全面返還を要求し、政府と基地負担軽減の交渉を重ねるなど多大な実績を残した。今日の発展の基礎をつくった功労者であり、政治を志す者にとって目標になる存在だった。先生の平和を思う深さ、沖縄のために尽くしてきた生涯は県民のよく知るところであり、それ故に多くの県民から慕われている。県は今なお、幾多の困難な問題を抱えている。平和で豊かな島にするためには一層の努力が求められている。先生の偉大な足跡を教訓に県民と共にさらなる全力を尽くす決意を胸に刻む。大田元知事県民葬/不戦の覚悟固く
2017.07.27 琉球新報朝刊 32頁 2社 1版 写図表有 (全1,534字)
礎、全県運動で実現/比嘉さん、功績に感謝琉球人遺骨、返還を/札幌市で全国集会 具志堅さんら訴え
2017.07.26 琉球新報朝刊 23頁 4社 1版 写図表有 (全296字)
旧帝国大学の人類学者らが戦前から戦後にかけて、墓を暴くなどして持ち出したアイヌ民族や琉球人の遺骨返還問題を題材にしたシンポジウム「遺骨をコタンに返せ!4大学合同全国集会」(同実行委員会主催)が22日、札幌市で開かれた。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表が、琉球人の遺骨を保管する京都大学などに対し、遺骨の返還を求めた。同集会は23日まで。 具志堅さんは、今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から戦前、人類学者によって持ち出された遺骨が返還されていない問題について講話。「遺骨が墓に戻され、家族と共に土に返るのは自然なことだ。戦没者の遺骨収集にも通じる問題だ」などと訴えた。アイヌ遺骨 独で返還式/31日開催、海外から初
2017.07.25 琉球新報朝刊 9頁 国際 1版 (全187字)
【ベルリン共同】在ドイツ日本大使館は24日、ベルリンの学術団体がアイヌ民族の遺骨1体を北海道アイヌ協会に引き渡すことが決まり、返還式をベルリンの日本大使公邸で31日に開くと発表した。日本政府によると、外交ルートで海外から返還が実現するのは初めて。返還式には学術団体「ベルリン人類学民族学先史学協会」のアレクサンダー・パショス代表と北海道アイヌ協会の加藤忠理事長が出席する。アイヌ遺骨追い続け/北海道大返還訴訟原告 小川隆吉さん(81)・札幌市/琉球人遺骨問題にエール
2017.07.14 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 写図表有 (全1,082字)自己決定権シンポ in 札幌/いまだ残る差別の根/物言う弱者をたたく社会
2017.07.07 琉球新報朝刊 10頁 文化 1版 写図表有 (全1,819字)沖縄差別 平等権の問題/日本平和学会春季研究大会/植民地主義など議論
2017.07.03 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全593字)「人権、真摯に対応を」/山城さん国連声明/識者ら、政府へ訴え
2017.06.17 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 (全644字)大田元知事告別式、参列者から追悼の声
2017.06.16 琉球新報朝刊 25頁 4社 1版 (全1,870字)“平和の使徒”に別れ/大田さん告別式 1500人、功績たたえる
2017.06.16 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 写図表有 (全469字)「独立論」を武器に/琉球フォーラム 山崎氏講演
2017.06.15 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全305字)
会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の6月例会が14日、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューで開かれた。哲学者で文芸評論家の山崎行太郎氏が「『日琉同祖論』から『沖縄独立論』へ」と題して講演した。 山崎氏は沖縄の民族や文化は、元をたどれば日本と同じとする「日琉同祖論」の成り立ちを説明し「極めて政治的な背景がある」と指摘。「日琉同祖論」は明治政府が領土を拡張するために組み込まれた議論であると論じた。 基地問題の解決策として「独立論を政府にぶつけていかないと闘えない。政府と対等な立場で『沖縄を米軍基地化するならいつでも独立する』と言って対抗すればいい」と述べた。琉球人遺骨問題 松島泰勝氏に聞く/国際機関活用し打開/アイヌの闘いから学ぶ
2017.06.15 琉球新報朝刊 15頁 文化 1版 写図表有 (全3,000字)シンポジウム 琉球人遺骨問題を考える/国際法のっとり返還を/研究者、多様な観点から議論
2017.06.14 琉球新報朝刊 15頁 文化 1版 写図表有 (全1,809字)<社告>琉球フォーラム あす6月例会/「日琉同祖論」から「沖縄独立論」へ/山崎行太郎氏(哲学者、文芸評論家)
2017.06.13 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全496字)
会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の6月例会が14日正午から、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューで開催される。講師は哲学者で文芸評論家の山崎行太郎氏。「『日琉同祖論』から『沖縄独立論』へ」の演題で講演する。 山崎氏は1947年、鹿児島県生まれ。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東京工業大学や埼玉大学の講師を経て、現在、日本大学芸術学部講師。 江藤淳や小林秀雄、ハイデガー、ニーチェ、ドストエフスキーの影響を受けて「イデオロギーから存在論へ」「存在論的思考」をモットーに批評活動を展開している。 保守派を自認する一方で、昨今の保守論壇を「思想的に劣化、退廃している」などと厳しく批判。「保守論壇の『沖縄集団自決論争』に異議あり」(佐藤優氏との対談「月刊日本」)「沖縄独立論を知らずして、国防を語るなかれ」(「月刊日本」)など、沖縄の問題に関する言及、論考も多い。 著書に「それでも私は小沢一郎を断固支持する」「保守論壇亡国論」「ネット右翼亡国論」など。研究会設立、返還要求へ/琉球人遺骨持ち出し 京都でシンポ
2017.06.06 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 写図表有 (全545字)琉球人遺骨 返還へ行動/研究者ら新組織設立へ
2017.06.01 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全587字)県外移設シンポ/県民意識に変化
2017.05.01 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全2,793字)<社説>先住民族世界会議/国際社会に共感広げよう
2017.04.29 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全911字)
国連本部で開かれている第16回先住民族世界会議で、アジア地区代表による声明に「沖縄人の理解がないままに新基地建設を強行している」とする文言が盛り込まれた。国連の場で沖縄の基地問題への理解が着実に広がっていることを示すものである。 沖縄の民意を無視して強権的手法を取り続ける日本政府を揺さぶる意義は大きい。今後も国際社会への訴えによって共感を広げる努力を続けたい。 会議に出席した友知政樹沖縄国際大教授はNGO主催のイベントで、名護市辺野古で工事が強行されていることを報告した。日米両政府を批判し工事中止を強く求めたことに対し、アジアや南米の参加者から危機感を共有する発言があったことも心強い。 新基地建設やオスプレイ配備に対し、沖縄では選挙や大規模集会などあらゆる方法で反対の意思を示してきた。しかし、日本政府はこの民意を踏みにじり、言論表現の自由の表出である抗議行動を警察力で封じ込めながら、強行を繰り返している。このような状況を打開する努力の一つとして国連の場で訴えているのである。 今回の声明では「国連による度重なる勧告にもかかわらず日本政府が沖縄の人々を先住民と認めていない」とも批判した。 先住民とは、ある土地に元来住み着いている人間集団のことである。沖縄にルーツを持つ人々がそのようなアイデンティティーを持っていることが、国連での議論の前提にある。日本に併合され同化政策が取られた歴史を踏まえれば、先住民として自己決定権を主張するのは自然なことだ。 友知教授によると、声明に対し日本政府代表が「立ち入り禁止区域に入るなど違法な抗議活動が行われている」と発言した。15年に翁長雄志知事が国連人権理事会で「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と訴えた時も「日本の国家安全保障は最優先の課題だ。辺野古移設計画は合法的に進められている」などと主張した。 沖縄の自己決定権侵害の問題として議論されている場でこのような筋違いの主張しかしない日本政府は、国際的な信用を失っている。沖縄に対する差別政策を直ちにやめ、沖縄の自己決定権、民意を尊重することなしに、信用を取り戻すことはあり得ないことを知るべきである。Editorial: Increasing support from the international community at the UNPFII
April 29, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
At the 16th session of the United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues (UNPFII) being held at the United Nations headquarters, a representative for the Asia region prepared a statement indicating that the construction of a new base in Okinawa is being pushed forward without the acceptance of Okinawans. This shows that understanding of Okinawa’s base problems is making headway within the United Nations. The statement has great significance in shaking the Japanese government, which continues taking high-handed measures and ignoring the will of Okinawans. We should continue working to address the international community, thereby increasing empathy with Okinawa. At an NGO-sponsored event, Okinawa International University professor and forum attendee Masaki Tomochi announced that forceful measures are being used to proceed with construction in Henoko, Nago. It is encouraging that in response to Dr. Tomochi’s criticism of the Japanese and U.S. governments and strong call for a stop to the construction, participants from Asia and South America made comments indicating that they shared his sense of crisis. Okinawans have expressed opposition to the construction of a new base and the deployment of Osprey aircraft in elections and large-scale demonstrations and by many other methods. However, the Japanese governments continues to push forward forcefully, trampling on the will of Okinawans and using police force to suppress actions of dissent which are a manifestation of freedom of speech and expression. People such as Dr. Tomochi are taking the issue to the UN as part of efforts to overcome this situation. The aforementioned statement also criticized the fact that despite numerous recommendations by the UN, the Japanese government still does not recognize Okinawans as an indigenous people. An indigenous people refers to a group of people who originally lived on certain land. The discussion on Okinawans as an indigenous people is premised on the fact that people with Okinawan roots hold such an identity. In view of the history in which Okinawa was annexed by Japan and subjected to assimilation measures, it is natural for Okinawans to assert their right to self-determination as an indigenous people. According to Dr. Tomochi, a Japanese government representative responded to the statement by saying, “trespassing into restricted areas and other illegal forms or protest are being carried out.” When Governor Takeshi Onaga stated at the UN in 2015 that Okinawa’s right to self-determination is being neglected, the Japanese government stated that Japan’s national security is its top priority and that the Henoko construction plan is proceeding in a lawful manner. In a space for discussing the violation of Okinawa’s right to self-determination, the Japanese government can do no more than make these kinds of irrelevant assertions, and is thus losing the trust of the international community. The Japanese government should recognize that unless it immediately stops its discriminatory policies toward Okinawa and respects Okinawa’s will and right to self-determination, it will never regain that trust. (English translation by T&CT and Sandi Aritza)<社説>4・28「屈辱の日」/ひるまず自己決定権行使を
2017.04.28 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全901字)
1952年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約によって日本は独立し、沖縄は奄美、小笠原と共に日本から切り離された。 講和条約第3条によって、米国は日本の同意の下で、他国に介入されることなく軍事基地を自由に使用することができた。米軍は沖縄住民の基本的人権を無視し「銃剣とブルドーザー」によって農地を奪い、東アジア最大の軍事基地を建設した。まさに沖縄にとって「屈辱の日」である。 沖縄は4・28を「屈辱の日」と記憶し、自己決定権の回復を求めてきた。現在、安倍政権は選挙で示された民意に反して名護市辺野古の新基地建設を強行している。今ほど露骨に沖縄の自己決定権がないがしろにされている時期はないだろう。過去に学び、未来のために、露骨な強権にひるまず毅然としてはね返そう。 講和条約発効から65年たっても、事件・事故、騒音被害、環境汚染、人権侵害などの基地問題が解決しないのはなぜか。 基地問題を引き起こしているのは米軍の沖縄駐留であり、不平等と指摘される日米地位協定である。日本政府は日米地位協定の抜本改定を米国に求めないため、基地問題は解決されずに、県民に被害を与え続けている。 一方、沖縄を除く日本の米軍基地は1970年代後半までに大幅に削減され、反米ナショナリズムの象徴となっていた基地問題がほとんど解消した。そして相対的に沖縄への基地の集中度が高まったのである。 琉球新報が5年に1度実施する県民意識調査結果(今年1月1日発表)をみると、「日本における沖縄の立場」を問う質問に対し、独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が約35%に上った。一方「現行通り、1地域(県)のまま」とする回答は前回から17・7ポイント減って過半数を割る46・1%となった。 安倍政権が、沖縄を他府県と同じように公平に扱わないので、県民は自治権の強化を求めているのではないだろうか。 沖縄を犠牲にし屈辱を与えることで成立する日米同盟は永続しない。安倍晋三首相には米国一辺倒を改め、沖縄を他地域と同様に公平に扱い、沖縄の自己決定権を認めるよう求める。それでこそ真の独立国と言えるだろう。<ワシントン発>「国が新基地強行」/先住民会議 アジア声明に明記
2017.04.27 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全562字)
【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米ニューヨークの国連本部で開かれている第16回先住民族世界会議で25日午前(現地時間)、世界各地区の先住民族の代表らによる国連総会代表者会合が開かれた。アジア地区代表からの声明も発表され、「国連による度重なる勧告にもかかわらず日本政府が沖縄の人々を先住民と認めず、沖縄人の理解がないままに(名護市辺野古での)新基地建設を強行している」とする文言が盛り込まれた。(7面に関連)
会合に出席した友知政樹・沖縄国際大教授によると、日本政府の代表者からは声明に対し、「日本国憲法で表現の自由が認められているものの、立ち入り禁止区域に入るなど違法な抗議活動が行われている」と、基地建設反対運動の矮小(わいしょう)化をアピールするような発言があったという。
午後は、アジア全域の先住民族問題を取り扱う非政府組織(NGO)AIPP(アジア先住民族連合)主催のイベントが開かれ、友知氏は、日本政府が新基地建設に関連した護岸工事を開始したことなどを報告。日米両政府の対応を厳しく非難し、工事の即時かつ永続的な中止を強く訴えた。
イベントでは、アジア各地の先住民族や南米の先住民族支援団体から発言があり、「沖縄では土地が軍事基地化されていることで先住民族の命や平和が危険にさらされている」と危機感を共有した。UN forum Asia delegates declare Japan ignores Okinawans' indigenous rights in building new base
April 27, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
On the morning on April 25 (local time), the 16th session of the UN Permanent Forum on Indigenous Issues that convened at the United Nations Headquarters in New York held a meeting between the UN General Assembly and indigenous peoples representatives from around the world. A delegate from Asia included in his speech a statement about Okinawa. He said that despite repeated recommendations from the UN, the Government of Japan does not recognize Okinawans as indigenous people. This representative went on to say that the Japanese government, without understanding Okinawans, is forcing through construction of a new base in Henoko, Nago City. According to Okinawa International University Professor Masaki Tomochi, who attended the meeting, a Japanese government representative said that, “Although the Constitution of Japan allows freedom of expression, illegal protest activities such as entering restricted areas are being conducted.” Tomochi pointed out that the statement was intended to downplay the legitimacy of the anti-base movement. In the evening the NGO Asia Indigenous Peoples Pact (AIPP), the mission of which is to address issues faced by indigenous people throughout Asia, hosted an event. At the event Professor Tomochi reported that the Government of Japan has started embankment work for the new base in Henoko. He is highly critical of the US and Japanese governments’ handling of the situation, and emphatically calls for construction to be stopped immediately, but moreover for it to be stopped and not to be resumed. During the event, delegates from around Asia and a South American support group that tackles indigenous people’s issues made a declaration expressing their sense of impending danger for Okinawa. The declaration imparted that the lives and peace of indigenous people are exposed to dangers through Okinawan land being developed into military bases. (English translation by T&CT and Erin Jones)<ワシントン発>沖縄の権利保護、後退/先住民会議声明 国連宣言実効訴え
2017.04.27 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 写図表有 (全378字)
【ワシントン=座波幸代本紙特派員】国連の第16回先住民族世界会議で発表されたアジア地区代表の声明には、2007年の国連先住民族権利宣言の実効性について、アジア各国の現状が盛り込まれた。ミャンマーなどで権利保護の進展が見られた一方、先住民族の土地に対する権利や女性に対する暴力、人権問題などが以前より悪化している事例が多く指摘された。(1面に関連) 先住民族の自決権、土地や資源に対する権利などを認めた国連宣言から10年の節目を迎え、声明には日本政府がアイヌを先住民族と認め、言語や文化の保護に取り組むことなどが進展の一つに盛り込まれた。 一方、沖縄の米軍基地問題やラオスでの同化政策などは宣言に反し、権利保護が後退していると指摘。「アジアの国々に対し、宣言を実効する明確な政策と先住民族の権利を尊重した行動で、政治的姿勢を示すよう呼び掛ける」としている。在沖米軍基地やヘイト問題発信/先住民族会議が開幕
2017.04.26 琉球新報朝刊 6頁 国際 1版 写図表有 (全430字)
【ワシントン=座波幸代本紙特派員】ニューヨークの国連本部で24日(現地時間)、世界の先住民族や各国代表らが集まり、先住民族の権利保護と拡大について話し合う先住民族世界会議が開幕した=写真。友知政樹沖国大教授が参加し、2日目の関連イベントで琉球の歴史や沖縄の基地の現状、ヘイト問題を報告する。 世界中から千人を超える先住民族が参加する今回の会議は先住民族の自決権、土地や資源に対する権利などを認めた2007年の国連先住民族権利宣言から10年の節目。会議では権利保護の現状についての発表や討議が交わされる。
友知教授は25日、アジア全域の先住民族問題を取り扱う非政府組織(NGO)主催のイベントに登壇し、タイやミャンマー、バングラデシュの代表らと課題を共有する。 初日の会議に参加した友知教授は「女性の人権問題など、世界各地の先住民族の問題を国際社会に発信することで、問題の解決につなげたいという必死な思いが討議から伝わった。学び合いながら協力したい」と話した。<ワシントン報告・座波幸代本紙特派員>米大統領就任100日/国内外で「強い米国」誇示/少数者が声上げ変革を
2017.04.26 琉球新報朝刊 6頁 国際 1版 (全827字)
29日に就任100日を迎えるトランプ大統領は、国内外で「強い米国」「米国第一」の誇示に懸命だ。北朝鮮やシリア、イラクなどへの強硬な姿勢しかり、米製品の購入・米国人雇用の政策強化に向けた大統領令への署名しかりだ。米国では、大統領の権力と影響力が最も大きな就任後最初の100日間でどれだけの成果が成し遂げられるかが、政権の成功の指標として注目される。
そんな中、気になるニュースが二つあった。トランプ大統領支持を明確にしている米主要メディアFOXニュースの看板司会者、ビル・オライリー氏がセクハラ疑惑で降板した。
米紙ニューヨークタイムズが番組出演者や制作スタッフなど5人の女性にセクハラで1300万ドル(約14億円)を支払っていたと報じたことで、スポンサー企業が撤退した。その後、セクハラ被害を訴えた6人目の女性である元出演者が告発会見をしたことで、降板に追い込まれた。
もう一つは米海兵隊員らがメンバーのフェイスブックのグループが女性隊員のヌード写真を共有していた疑惑だ。元海兵隊員の男性が代表を務める非営利のニュース団体が告発し、3月に報道されると、米海兵隊トップはこれを強く非難し、ヌード写真の共有を禁じるなど火消しに躍起だ。
これらのニュースから何が見えるか。どちらも勇気ある女性たちの告発と権力に対する報道で明るみに出た。力を誇示したい側は常にマイノリティー(社会的少数者)の人権を踏みにじり、権力側に都合の悪い情報は隠す。マイノリティーが声を上げなければ世界は変わらない、といえるだろう。
24日から開かれる国連の先住民族会議に沖国大教授の友知政樹さんが参加する。関連イベントで沖縄の基地やヘイト問題などを報告し、タイやミャンマーなどからの登壇者と共に課題を共有する予定だ。「沖縄の現状を広く伝えつつ、世界の人々とネットワークを築いていきたい」と語る友知さん。人々がつながり、抑圧や権力に対して声を上げることで変革が生まれることに期待したい。<「先住民族」論のわな 松島氏、上村氏に問う>下/西石垣見治/国連誤認、寝耳に水/集団の人権は個人に由来
2017.04.18 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版<「先住民族」論のわな 松島氏、上村氏に問う>上/西石垣見治/構造的暴力の標的/「優生学的偏見」を隠蔽
2017.04.17 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有アジアの世紀 沖縄に光/琉球フォーラム 進藤栄一氏講演
2017.04.13 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全583字)
会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の4月例会が12日、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューで催された。政治学者の進藤栄一筑波大学名誉教授が「トランプ新政権と沖縄・アジアの未来」と題して講演した。今後は米国が衰退し、アジアが新たな市場となる「アジア力の世紀」になると展望し、その中心に位置する沖縄に「希望の光が見える」と指摘した。 進藤氏は、自身が発見した、米国による沖縄の長期占領を天皇が米総司令部に要請した「天皇メッセージ」にも言及し「見つけたとき、沖縄は独立しないといけないと思った」と振り返った。その上で「いま改めて沖縄自立論の正当性をかみしめてほしい」と話した。 沖縄の軍備強化の論拠として喧伝(けんでん)される中国脅威論には、米原子力空母と対比しつつ「中国がディーゼル空母1隻造って日本のメディアは大騒ぎしている。本当は中国の軍事力は貧弱なものだ」と指摘した。尖閣諸島周辺の中国海警局の船による領海侵入も「ある種のセレモニーで過大評価されている」と述べた。 現在の米国には、非白人の割合が増えている人種構成や都市の荒廃などを挙げて「米帝国は没落の道を着実に進んでいる」と語った。一方で中国やインド、アセアン諸国の勃興を指摘し「アジアの力の世紀で事実上の東アジア共同体が生まれている」と指摘した。 (共同通信)Report submitted to UN requesting return of Ryukyuan remains
April 7, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
On April 6, the Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans (ACSILs) disclosed that they had submitted to the Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights a report requesting that Japanese researchers return the remains of the Ryukyuans they brought out of Mumujana grave in Nakijin Village. The ACSILs claims that the researchers infringed on “the right to conduct traditional rituals” of Indigenous Peoples. The ACSILs also requested a return of original documents of the Amity Treaties created by the Ryukyu Kingdom with the United States, France, and the Netherlands from 1854 to 1859. These documents have been in the possession of the Japanese government. The ACSILs aims to have the issue judged at the Universal Periodic Review (UPR) of the Japanese government by the UN Human Rights Council in November. The report is dated March 22. Referring to the annexation of the Ryukyus, known as “the Ryukyu Disposal” in 1879, the report pointed out that the Ryukyu islands have been “the subject of discrimination, exploitation, and control.” The ACSILs describe the Ryukyu independence movement as “the movement to restore the sovereignty of the Ryukyu peoples’ nation” and urge the Japanese government “to start demilitarization and decolonization.” Regarding the taking of Ryukyuan remains, the report claims that it is in violation of Article 12 of the Declaration of the UN on the Rights of Indigenous Peoples (the right to conduct traditional ceremonies). The report called for a full investigation by the government and the return of remains. As for the original treaty documents being kept by the Japanese government, the ACSILs claims it violates the UN Declaration and Liberty Rules, and requests they be immediately returned to Okinawa prefecture. In addition to that, the report stressed that riot police officials called Okinawan citizens protesting US military helipad construction in the Northern Training Area “barbarians”. The report is published online at ACSILs website. The Okinawa International Human Rights Study Group also submitted four reports to UPR on March 30.琉球人遺骨返還を要求/民族独立研究学会 国連に報告書提出
2017.04.07 琉球新報朝刊 32頁 2社 1版 (全598字)
琉球民族独立総合研究学会は6日までに、日本の研究者が今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から持ち出した琉球人の遺骨を返還させることなどを求める報告書を、国連人権高等弁務官事務所に提出した。先住民族の「伝統儀礼を行う権利」を侵害していると訴えている。 1854~59年に琉球国が米国、フランス、オランダと結んだ修好条約の原本を日本政府が保管していることについても返還を求めている。国連人権理事会で11月に行われる日本政府対象の普遍的定期審査(UPR)で判断材料にしてもらうことが狙い。 報告書は3月22日付。1879年の琉球併合(琉球処分)などを踏まえ、琉球が「差別、搾取、支配の対象となってきた」と指摘した。琉球独立運動を「琉球民族の国家の主権を回復する運動」と位置付け、日本政府に「脱軍事基地化と脱植民地化を開始すべきだ」と求めている。 遺骨の持ち出しについては「先住民族の権利に関する国連宣言」第12条(伝統儀礼を行う権利)に違反していると指摘。政府による徹底的な調査と遺骨の返還を求めた。 3条約の原本については同国連宣言と自由権規約に違反しているとして、即時返還を求めた。 ほかに米軍北部訓練場ヘリパッド建設をめぐって機動隊員が県民に「土人」と発言したことなども盛り込んだ。報告書は同学会ホームページで公開している。 UPRには沖縄国際人権法研究会も3月30日、4点の報告書を提出している。Ex-governor Ota nominated for Nobel Peace Prize
April 4, 2017 Ryukyu Shimpo
Masahide Ota, ex-governor of Okinawa, has been nominated as a candidate for the 2017 Nobel Peace Prize. The, “Continuing the spirit of ‘life itself is treasure,’ bringing the Nobel Peace Prize to the Okinawan people who lay the foundation for peace,” executive committee held a press conference on March 3 at the Okinawan Prefectural Press Club, and announced that they had received word of the nomination from the Norwegian Nobel Committee. The executive committee has been working for some time to help award a Nobel Peace Prize to the Okinawans who lived through the Battle of Okinawa and continue a movement for peace. As the governor of Okinawa, Ota laid the foundation for peace, and as someone who lived through the Battle of Okinawa and continues to do research about it, efforts began to make him the candidate for the prize as the representative of Okinawans. Professor Tetsumi Takara of the Okinawa University Law School, speaking as a representative of the executive committee, said, “Looking at past winners, [the Nobel Peace Prize] has become an object of people who fight against the forced imposition of the government. It will become an even greater source of strength for the peace movement.” According to the executive committee, the winner of this year’s Nobel Peace Prize will be announced October 5. This year candidates for the prize include 215 individuals and 105 groups.大田元知事、ノーベル平和賞候補に
2017.04.04 琉球新報朝刊
大田昌秀元知事がこのほど、2017年のノーベル平和賞候補にノミネートされた。大田さんのノーベル賞受賞に向けて取り組む「『命どぅ宝のマブイ(魂)を継承し、平和の礎を創設した沖縄の人びとにノーベル賞を』実行委員会」が3日、沖縄県政記者クラブで記者会見し、3月上旬にノルウェーのノーベル平和賞委員会から連絡があったことを明らかにした。 同実行委員会はこれまで、沖縄戦体験者や平和運動を続ける県民がノーベル平和賞を受賞するよう取り組んできた。県知事として平和の礎を設置し、沖縄戦体験者として平和研究を続けてきた大田さんを県民の代表として、候補とするための取り組みを始めた。 実行委共同代表の高良鉄美琉球大法科大学院教授は「過去の受賞を見ると、政府の強行的な押し付けにあらがう人たちも対象になっている。平和運動へのより大きな力になる」と期待した。実行委によると今年のノーベル平和賞は10月5日に受賞者が発表される。今年は個人215人、103団体が候補として登録されている。<あしゃぎ>ルーツを示すペンネーム
2017.03.30 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有 (全464字)
「琉球独立への視座-歴史を直視し未来を展望する」をこのほど榕樹書林から出版した里(さと)正三さん。印刷会社を経営しながらさまざまな市民運動に参加する内海正三さん=写真=だ。「球民族独立総合研究学会は琉球にルーツのある人に加入資格があるため、奄美・加計呂麻島出身の祖母・叔母の姓で学会誌に論文を発表した」。琉球独立に関わる場合のペンネームになった。 2012、13年に琉球大、沖縄国際大の非常勤講師を務め、約千人の学生に「現代社会の構造」というテーマでこの本の内容を講義していた。「ところが、国立大学には文科系は要らないということになってクビになった。学生に教えることができなくなったので、本にした」と話す。 大阪での高校時代からさまざまな運動に関わり、東京を経て1975年に沖縄に移住、金武湾反CTS闘争に加わった。現在、沖縄環境ネットワークの世話人も務める。 本では、琉球独立は民主主義の必然だとし、平和的独立は可能と主張する。「国際人権法を中心にして、弱者に優しい国、近隣諸国から祝福される国を目指したい」と確信を込めた。品格なき民主主義/沖縄問題シンポ 新基地建設を批判/東京
2017.03.26 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全509字)
【東京】東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会は25日、東京都の青山学院大学で「沖縄問題とは何か」をテーマに第5回公開シンポジウムを開いた=写真。基調講演した白井聡京都精華大学専任講師は、行政や財界など日本全体が総じて「ネトウヨのような筋が通らない右傾化が進んでいる」と指摘。翁長雄志知事が辺野古新基地問題で「日本の民主主義の品格が問われている」と言ったことを挙げ「(それに対する)答えは品格がないということだ」と強調した。 白井氏は「保守を名乗る人の間で、反米なのか、親米なのかよく分からない状態があるが、彼らのそんな精神状態の分裂が統一する時はアジア諸国民をヘイトする時だ。『自分たちはあなたたちと違う、欧米並みの国なんだ』と。そのヘイトが中国、韓国・朝鮮人だけでなく、沖縄にも向けられている。今後それが活発化するのを大変危惧している」と語った。 このほか、作家の佐藤優氏が「沖縄アイデンティティーと日本」と題して話した。松島泰勝龍谷大教授はアジアや西洋の国際関係の中で琉球独立論を位置付けた。高良鉄美琉球大教授は憲法の視点から東アジアの中の「琉球」について報告した。 約130人が会場に詰め掛け、熱心に話を聞いた。<あしゃぎ>日本は琉球から独立を
2017.03.23 琉球新報朝刊 25頁 文化 1版 写図表有 (全462字)
公安調査庁の最新の報告書「内外情勢の回顧と展望」にあるコラム「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」に対し「『中国脅威論を提起し、沖縄での世論形成を図る日本』と書き換えても、面白い文章が書ける気がする」と語る沖縄国際大学教授の友知政樹さん=写真。12日の琉球民族独立総合研究学会のシンポジウムで、同報告書を批判した。 公安調査庁の調査対象は「破壊的団体、無差別大量殺人を行った団体などとされているようだが、独立学会はそんなことはしていない。それにもかかわらず対象にしているとみられ、強く抗議した」と述べた。 その上で日本と沖縄の関係について「琉球独立論を『応援する』という日本人の方がいる。ありがたいことかもしれないが、いつも『琉球が独立するというより、日本が琉球から独立してください。こちらはこちらで頑張ります』と返している」と語る。「新たな国を作るのではなく、奪われた主権を取り戻す、復権が根底にある」と強調。今後について「独立に向けた過程についても学会内で勉強会などを作り、検討したい」と展望した。<ネットワーク>琉球独立と経済・歴史/26日、糸満市で勉強会
2017.03.22 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<読書・BOOK>琉球独立への本標(ほんしるべ)/宮平真弥著 一葉社・1944円/「琉球の怒り」にじむ書評集
2017.03.14 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 (全512字)ヘイト「放置駄目」/独立学会 シンポで問題討議
2017.03.14 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 (全512字)
琉球民族独立総合研究学会の第17回公開シンポジウム「琉球・沖縄ヘイト問題から考える琉球独立の必要性」が12日、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。ヘイトにさらされた当事者や研究者が、東京MXテレビの番組「ニュース女子」、公安調査庁の報告「内外情勢の回顧と展望」などについて問題点を討議した。 米軍北部訓練場ヘリパッド建設に反対する儀保昇さん(62)は「市民が沖縄防衛局職員らに暴言を吐いた」などと言われていることに「圧倒的力の差がある中で発せられる言葉は(暴言ではなく)悲鳴だ」と話した。 高江や名護市辺野古で基地建設に反対している泰真実(やすまこと)さん(51)=医療職=は事実に基づかない情報が「インターネットや地域FM、口コミなどさまざまな方法で拡散されている」と指摘した。 同学会の親川志奈子共同代表は「私たちの苦しみさえエンターテインメントとして消費されている。放置せず、すぐに一つ一つに反論することが重要だ」と強調した。友知政樹沖国大教授は公安調査庁の報告に対し「日本も署名した『先住民族の権利に関する国連宣言』は、民族差別を助長するプロパガンダを防ぐことを定めている。日本政府は宣言に違反している」と批判した。<ワシントン発>「日本政府、琉球に敬意!?」/米国務省人権報告書/先住民族認めずも「努力」
2017.03.06 琉球新報朝刊 2頁 総2
【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米国務省が3日に公表した2016年版の人権報告書で、沖縄について先住民の項目で取り上げた。 報告書では、「(日本)政府は琉球(沖縄の居住者および鹿児島県の部分を含む言葉)を先住民と認めない」と指摘した上で、「(日本政府は)ユニークな文化と歴史を公式に認めて、それら伝統への敬意を守り、示す努力をした」と分析した。 国連では2008年に沖縄の人々を「先住民族」と公式に認めている。09年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄の民族性、歴史、文化について固有性を指摘している。 国連は、こうした認識を基に、日本政府に対し米軍基地問題などの差別の改善や、沖縄の言語、文化の保護について、何度も勧告している。 一方、日本政府は、沖縄の居住者・出身者は日本民族だとして「先住民族」として認めず、勧告を“無視”し続けている。<論壇>比嘉学/自由と自立のために/沖縄人のための政府を
2017.02.24 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 写図表有<社説>嘉手納爆音訴訟判決/夜間飛行容認許されぬ/差し止めぬなら基地撤去を
2017.02.24 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全1,513字)
米軍機の飛行差し止めを回避する判決がまたも繰り返された。米軍基地運用に司法は口を挟めないという思考停止を脱しない限り、基地被害は永久に救済されない。 第3次嘉手納爆音訴訟の那覇地裁沖縄支部判決は米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めを認めず、将来分の損害賠償も退けた。 第2次訴訟で退けられた読谷村座喜味以北の原告への賠償が認められたことを「前進」とする声も原告団にある。しかし安眠を妨げる夜間・早朝の飛行差し止めに踏み込まない限り、爆音被害の抜本的な改善にはほど遠い。米軍基地の自由使用を容認する国策追従の判決と言わざるを得ない。
100デシベルの睡眠妨害
最大の被害は米軍機の夜間飛行の爆音だ。最近でも昨年10月19日の午前2時半にF16機6機が離陸し最大100・2デシベルを計測した。住民が熟睡する深夜に「電車が通るガード下」に相当する爆音が基地周辺住民の安眠を奪う「殺人的な爆音」が日常化している。 第2次訴訟の控訴審判決は「飛行差し止めの司法救済が閉ざされている以上、国は騒音改善の政治的な責務を負う」と国の騒音改善の責任を指摘した。 しかし夜間飛行の横行は何ら改まっていない。今回の判決も「午後10時から午前6時の飛行制限が十分に履行されず、違法な被害が漫然と放置されている」と国の怠慢を厳しく批判している。 であれば飛行差し止めに踏み込むべきではなかったか。国の無作為で夜間飛行が放置され、その実態を知りつつ、地裁判決は飛行差し止めを回避した。被害救済を放棄する国と司法の無作為、無責任の連鎖と言うしかない。 厚木基地訴訟の2014年5月の横浜地裁判決は初めて自衛隊機の夜間飛行差し止めを命じ、15年7月の東京高裁判決は将来分の賠償をも認める初判断を下した。 しかし昨年12月の最高裁判決は自衛隊機の飛行差し止め、将来の賠償のいずれも退けた。それを受け那覇地裁も将来の賠償を退けた。住民保護に傾きかけた東京高裁判決から後退する司法の反動に那覇地裁も追従した。 米軍機の飛行差し止めを回避する裁判所の論理は「国は米軍機運航を制限できない」とする「第三者行為論」と、その背後にある「高度の政治性を有する安保条約は司法判断になじまない」とする統治行為論である。 統治行為論は米軍駐留を違憲とする一審を破棄した1959年の「砂川事件」最高裁判決が源流だ。しかし同判決は近年、当時の最高裁長官が日米両政府の圧力を受けていたことが米公文書で判明している。
主権と司法の独立否定
終戦後の米国の影響下で日本の司法が歪(ゆが)められたのである。「国は米軍に口出しできない」「司法は高度の政治問題を判断できない」との論理は日本の主権と司法の独立の否定にほかならない。 米軍が夜間飛行を続け国がこれを漫然と放置し、司法も救済しないのなら、爆音の発生源の基地撤去を求めるしか手だてはないのではないか。 沖縄国際大学の友知政樹教授は、嘉手納基地返還後の跡地利用の「直接経済効果」を年間1兆4600億円と試算する。 嘉手納基地は沖縄戦時に日本軍が飛行場を建設し、占領米軍が基地として接収した。故郷を奪われた住民は周辺に移り住み、今なお爆音禍に苦しみ爆音訴訟の原告に名を連ねている。基地撤去の要求を不当とは決して言えない。 嘉手納基地の爆音被害を放置する政府と司法に対しては、基地撤去要求をも辞さない強い決意で爆音解消を訴え続けねばならない。 全国の米軍基地、自衛隊基地の騒音訴訟原告団との連携も重要だ。政府の無作為を突き動かし、司法の「第三者行為論」を突き破る理論武装が必要だ。将来の基地撤去をも視野に置く、たゆまぬ裁判闘争を原告団に期待したい。嘉手納返還 効果1.5兆円/沖国大 友知教授/観光、産業で試算/「県は全基地算出を」
2017.02.23 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全850字) ---> RS
【中部】沖縄国際大学経済学部の友知政樹教授は22日までに、米軍嘉手納基地が返還された場合の県経済への効果について、跡地利用が進んで生み出される「直接経済効果」が年間約1兆4600億円になるとの試算をまとめた。県が「嘉手納より南」の基地返還に伴う経済効果の算定で用いた計算式を当てはめて試算した。経費などを差し引いた「粗付加価値額」は約8220億円になるとした。 県は「嘉手納より南」の基地返還後の経済効果について、リゾートコンベンション産業や文化産業などを整備することを前提に計算した。友知教授はこの式を嘉手納基地に当てはめ、基地が所在する3市町それぞれの地価と掛け合わせた。 3市町は嘉手納基地の具体的な跡地利用計画を策定していない。 そのため、沖縄市、嘉手納町は県が試算したキャンプ瑞慶覧の返還効果(1ヘクタール=6・98億円)、北谷町はキャンプ桑江の返還効果(同4・95億円)を適用。1ヘクタール当たりの返還効果の数値と地価換算係数、嘉手納基地の面積1985ヘクタール(沖縄市742・5ヘクタール、嘉手納町879ヘクタール、北谷町363・5ヘクタール)を掛けて自治体ごとに経済効果を出し、これを足し合わせた。 嘉手納弾薬庫は林間地域で跡地利用の効果が限定的と考え、積算には含めていない。 友知教授は「あくまで基地問題は平和や人権の問題であり、経済効果があるから基地を返還した方がいいという論理ではない」と指摘した上で、「基地の存在による経済損失は行政が主体になって数値を出して議論をリードしてほしい。SACO合意以外の基地も『返ってこない』と決めつけず算出してみることが大事だ」と強調した。 友知教授はこれまでに「全基地撤去および全補助金撤廃後の琉球(沖縄)経済に関する一考察」として、県内の米軍施設と自衛隊基地を含めた試算を論文で発表している。 全基地撤去により3兆8426億円の直接経済効果が生み出されると算出し、そのうちSACOで返還合意されている基地以外が2兆9526億円としている。1.5 trillion-yen benefit expected from return of Kadena
February 23, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
On February 22, Professor Masaki Tomochi from the Department of Economics at Okinawa International University presented his trial calculations regarding the economic benefit to Okinawa if the U.S. military’s Kadena Air Base is returned. According to his calculations, “a direct economic benefit” of approximately 1.46 trillion-yen a year will be generated by the site being redeveloped. His calculations are based on the equations used by the Okinawa prefecture for estimating the economic benefits from the base being returned for “(areas) south of Kadena.” The “gross value added” after subtracting the expenses is approximately 822 billion-yen. The prefecture made the calculations assuming that the resort, convention, and cultural industries would expand into “(areas) south of Kadena” after the base is returned. Professor Tomochi applied these equations to Kadena Air Base and multiplied that number by the price of land for the three municipalities in which the base is located. The three municipalities have not come up with concrete plans for redeveloping the area where Kadena Air Base is currently located. Because of this, Okinawa City and Kadena Town have used 69.8 billion-yen per hectare for Camp Foster and Chatan has used 49.5 billion-yen per hectare for Camp Lester for their calculations. The values were provided by the prefecture. Kadena Air Base covers 1,985 hectares: 742.5 hectares from Okinawa City, 879 hectares from Kadena Town, and 363.5 hectares from Chatan. Multiplying the economic benefits per hectare, land price scale, and the three areas results in the economic benefit for each of the municipalities. Adding these numbers together gives the economic benefit from having Kadena Air Base returned. The benefits of redeveloping the Kadena Ammunition Storage Area, located in a forested area, were deemed limited. Therefore, it was not included in the calculations. Professor Tomochi pointed out, “While our calculations show economic incentives for having the base returned, this was not our intention because in the end, the base issue is a peace and human rights issue.” He also emphasized, “(We) would like the government to become the main body in calculating the economic loss incurred from the base and to lead discussions. Even for the bases that are not part of the Special Action Committee on Facilities and Areas in Okinawa (SACO) agreement, it is important to estimate numbers for them and to not assume from the start that they ‘will not come back.’” Up until now, Professor Tomochi has presented paper(s) on trial calculations including the military facilities within Okinawa and the Self-Defense Force bases as a part of “an examination of the Ryukyu (Okinawa) economy after all bases are removed and all subsidies were abolished.” According to his calculations, a direct economic benefit of 3,842,600,000,000-yen will result from all bases being removed. Of that, 2,952,600,000-yen is for bases that are not part of the return agreement, which is a part of the SACO.琉球独立学会 公安庁に抗議/「中国接近」報告で
2017.02.19 琉球新報朝刊 23頁 4社 1版 (全186字)
琉球民族独立総合研究学会は17日までに、公安調査庁が報告書で「琉球独立勢力」が中国と接近しているなどと記述したことに対して同庁に抗議した。東京MXテレビに対しても、番組「ニュース女子」で同庁の報告書が取り上げられたことに抗議した。 抗議文は「『中国脅威論』を提起し、琉球民族の分断を図る日本政府の戦略的な狙いを直ちに改め」るよう要求。同学会を調査対象としないよう求めた。<北の地とつなぐ 自己決定権の懸け橋>1/遺骨問題/「分断策、沖縄と同じ」/闘い続け返還実現
2017.02.17 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全1,281字)<社説>琉球人骨の流出/調査と返還の是非議論を
2017.02.17 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全936字)京大に琉球人骨26体/学者収集 昭和初期から未返還/台湾大にも33体
2017.02.16 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全1,257字)Editorial: Taking of Ryukyuan bones for anthropology must be investigated and their return debated
February 17, 2017 ---> RSRemoved during the early Showa Era, 26 Ryukyuan skeletons found at Kyoto University
February 16, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
By Takahiro Miyagi
At least 26 sets of human skeletons, which had been removed from the Mumujana Grave in Unten of Nakijin Village by anthropological researchers during the early Showa Era, were found at Kyoto University. The skeletons had been preserved at the university for more than 75 years and were removed for research purposes, but have yet to be returned. The Nakijin Village Board of Education confirmed the existence of the skeletons at Kyoto University in its 2004 research. Similarly, the remains of the Ainu were also removed and preserved at Hokkaido University, but have since been returned to the families of the deceased. Following this, some researchers are arguing that the Ryukyuan skeletons should also be returned to Okinawa. The right of indigenous peoples to request the remains to be returned is stipulated in the United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples, which was adopted in 2007. A representative from The Ryukyu Shimpo asked a representative from Kyoto University questions, such as “Do you still have Ryukyuan bones?” and “Do you think that the excavations that were conducted at the time were appropriate?” However, the representative responded, “We will not be taking any questions regarding this matter.” According to the research conducted by the Nakijin Village Board of Education, another 33 sets of skeletons that had been removed from the Mumujana Grave are currently preserved at the National Taiwan University located in Taipei, Taiwan. As of February 15, Taiwan University has not answered whether they have the skeletons in possession. It was Takeo Kanaseki (1897-1983), an anthropologist and Kyoto Imperial University (now Kyoto University) assistant professor who removed the skeletons from the Mumujana Grave. He wrote in his book, “Ryukyuan Ethnography” (1978) that he had removed several sets of skeletons during excavations conducted all over Okinawa between 1928 and 1929. He also noted that Okinawan researchers were also involved. Kanaseki then donated the skeletons as specimens to the Kyoto Imperial University. He also took some skeletons with him to the Taihoku Imperial University (now National Taiwan University), where he was transferred to. The Mumujana Grave, located on the northern side of Unten, halfway up a cliff, is a tangible cultural property designated by Nakijin Village. According to a historical document from the Ryukyu Kingdom, “Chuzan seifu” (1697), the Mumujana Grave was a gravesite for nobility. According to a representative from the Nakijin Village’s Board of Education, the Mumujana Grave, along with the Unishi Grave close by are believed to be the “gravesites for the royal family of the Hokuzan area or the Kanshu (Administrator) family.” Kaneseki, his mentor Kenji Kiyono, and apprentice Koryo Kyo, all of whom were anthropologists, presented their papers based on the skeletons collected by Kaneseki and others. However even after that, the skeletons were not returned and had been preserved at the Kyoto University at least until 2004. In Hokkaido, remains of the Ainu had been excavated from gravesites by anthropologists around the 1930s. More than 1600 sets of skeletons are preserved at 11 universities across the country. With the abolishment of the Protection Law of Hokkaido Aboriginals and increased efforts to regain the right of self-determination by the Ainu, the movement to have the remains returned has gathered momentum. In 2012, families of the deceased filed a suit against Hokkaido demanding the remains be returned. A compromise was reached last March, and 12 sets of skeletons were returned to the families last July. Protection Law of Hokkaido Aboriginals Enacted in 1899. Gave land to the Ainu and promoted farming. However, the land was confiscated if it had not been cultivated for the past 15 years. Japanization, or imperial education, was also thoroughly implemented. However, farming did not sit well for the Ainu since they made their living by hunting, causing the situation to go from bad to worse. Ainu elementary schools were established, but practicing the Ainu language and traditional culture were forbidden. The law was abolished when the Act on the Promotion of Ainu Culture was established in 1995.<西石垣見治氏に答える なぜ先住民族なのか>下/松島泰勝/同化は隷属化を進行/蔑視の姿勢、偏見こそ問題
2017.02.17 琉球新報朝刊 25頁 文化 1版 写図表有<西石垣見治氏に答える なぜ先住民族なのか>上/松島泰勝/国際法上の権利主体/日本「復帰」で問題解決せず
2017.02.16 琉球新報朝刊 14頁 文化 1版 写図表有公安調査庁「分断」報告書/政府 根拠示さず
2017.02.01 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全492字)
【東京】政府は31日、公安調査庁が最新の報告書で、沖縄と中国の学術交流を「日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいる」などと分析した内容について、政府の統一見解なのか問われ「記載は公安調査庁の見解を示したものである」と明示を避けた。多くの内容は「お答えを差し控えたい」などと根拠を示さなかった。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。 記載がある報告書は「2017年 内外情勢の回顧と展望」。「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」と題したコラムで「今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要する」と結論付けている。照屋氏は記述の根拠や学術会議参加者からの聞き取りの有無などを問うたが、答弁書は「お答えを差し控えたい」と回答しなかった。 同報告書では米軍属女性暴行殺人事件に対する県民大会に「全国から党員や活動家らを動員した」との記述もある。対象の政党は「日本共産党である」と回答。動員と断定する根拠は「お答えを差し控えたい」とした。 公安調査庁の調査は「破壊的団体または無差別大量殺人行為を行った団体の活動に影響を及ぼし得る内外の諸動向」も含まれるとした。<金口木舌>分断を強いているのは誰か
2017.01.26 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全551字)
差別を身近に感じ、闘ってきた人は社会の空気に敏感である。「沖縄の人々への人種的差別を復活させてはいけない」。長年、沖縄の問題に取り組んできた東京沖縄県人会前会長の渡久山長輝さん(82)は、大阪府警機動隊員の「土人」発言をしきりに嘆いていた ▼渡久山さんは元教師。「閣僚が差別発言を容認するようでは、『差別はいけない』と諭す教師や大人は示しがつかない。沖縄差別を容認する空気が広がるのでは」と憂いていた ▼残念ながら渡久山さんの不安は的中した。今年に入り、嫌沖をあおるデマが“公共の場”で堂々と流れ始めた。官民一体の様相を帯びているだけに、事態はより深刻である ▼東京MXテレビは、米軍基地建設に反対する市民を攻撃する内容の番組を放送した。公安調査庁は、報告書で沖縄と中国の学術交流を「日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいる」と批判した ▼情報の根拠となる事実への取材や調査はイロハのイ。だが両者に共通するのは事実をきちんと調べず、一方的に決めつけ、ゆがんだ情報を流す手法である。中国の学術交流を現場で取材したが、公安調査庁の報告内容は偏見に満ちている ▼新基地建設を巡る沖縄の現状を見ると、分断を生む差別的施策を強行しているのは、むしろ日本政府の方だ。それを嫌沖や偏見が補強する。その空気に危機を感じる。<社説>公安調査庁報告書/沖縄敵視の言い掛かりだ
2017.01.18 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全915字)
ネット上に流布するデマや中傷をかき集めただけの文書だ。それを政府機関が作成し、堂々と発表するのだからあぜんとする。公安調査庁がこのほど発刊した報告書「2017年 内外情勢の回顧と展望」の中で、沖縄と中国の学術交流を「日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいる」などと批判し「今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要する」と警告した。いかなる根拠に基づいて「日本国内の分断を図る」と言えるのか、理解に苦しむ。中国脅威論と絡め、研究者の活動を阻害するものだ。アジア各国の交流を通じて発展を目指す沖縄の将来構想にも悪影響を及ぼしかねない。問題の記述は、中国の動向を取り上げた箇所にあり、「中国国内では、『琉球帰属未定論』に関心を持つ大学やシンクタンクが中心となって、『琉球独立』を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている」などと指摘した。歴史的に深い関わりがある沖縄と中国の研究者が学術交流を進めるのは当然のことだ。昨年5月に北京で開かれた「琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」では「琉球処分」を検証しながら、在沖米軍基地問題や沖縄の自己決定権について意見を交わした。米軍基地の重圧にあえぎ続ける沖縄の現状と将来像を考えた場合、自己決定権の行使は重要な意味を持つ。それを議論する学術交流を「国内分断」とレッテルを貼るのは極めて短絡的な思考だ。ほかにもある。辺野古新基地やヘリパッドの建設に反対する運動に関しては「公道に座り込むなどして移設工事関連車両の通行を繰り返し妨害し、逮捕者を出すなどした」と記述した。米軍属女性暴行殺人事件に対する県民の抗議や県民大会に関する記述では「県内各地の米軍施設周辺で抗議行動に取り組み、海兵隊の撤退などを訴えた」「全国から党員や活動家らを動員した」と記している。特定の政党や団体が反基地運動をあおっているかのような書きぶりだ。しかし、辺野古新基地やヘリパッドの建設阻止、海兵隊撤退の要求は県民の人権を守るという切実な願いに基づくものだ。報告書は沖縄敵視の姿勢すらうかがえる。偏見に満ちた言い掛かりは国民の沖縄観をゆがめる。記述撤回を公安調査庁に求めたい。琉中学術交流は国内分断/公安調査庁 報告書に記述/「中国寄り世論形成」も
2017.01.18 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全1,201字)
公安調査庁が最新の報告書の中で、中国側の動きとして「『琉球独立』を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている。背後には、沖縄で中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられる」と分析していることが17日までに分かった。
報告書「2017年 内外情勢の回顧と展望」で、中国が日本の「右傾化」への警戒を国際社会に呼び掛けていると指摘した。中国側は、在日米軍基地が集中する沖縄で「『琉球からの全基地撤去』を掲げる『琉球独立勢力』に接近したり、『琉球帰属未定論』を提起したりするなど、中国に有利な世論形成を図るような動き」を見せたと報告。コラムで、昨年8月に人民日報系の環球時報が「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」とする論文を掲載したことを記している。2016年、北京で沖縄と中国の歴史研究者らが集まり「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」が開かれた。「琉球独立勢力」は会議に参加した県内研究者を指すとみられる。
公安調査庁は取材に「中国のシンクタンクなどが日本側の独立を標ぼうする団体と学術交流を進めていることや、沖縄を訪問していることから『接近』とした」と答えた。シンクタンクの詳細や沖縄訪問の回数、時期などについては「回答できない」とした。一連の報告について「中国政府の公式な表明ではない。主語を中国政府とは書いていない」とした。
同庁は国内外のテロ組織や中国など各国情勢を分析する法務省の外局。報告書は16年度内に同庁のホームページで公開予定という。
識者「低次元すぎる」
公安調査庁報告書に掲載されたコラムに対し、昨年5月に中国・北京で開かれた「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」に参加した県内研究者らからは批判する声が相次いだ。学術会議を取りまとめた又吉盛清沖縄大客員教授は「独立は沖縄の人が選択する問題で中国がどうこうではない」と断言。「会議のメンバーは誰も公安調査庁に話を聞かれていない。公的機関が十分な調査もせず発表するとは、無責任そのものだ」と怒りを込めた。比屋根照夫琉球大名誉教授も会議の趣旨を「北京周辺の琉球人の足跡をたどること、近現代史や基地問題に関する報告、議論にあった」と説明。「議論の内容をきちんと見たとも思えず、程度が低すぎる」と批判し、「沖縄へのヘイトスピーチでは」と憤った。琉球民族独立総合研究学会の松島泰勝共同代表(龍谷大教授)は「中国の研究者の間にも、琉球が独立したら中国が侵略するという発想はない」と話し、独立が「中国に利する」との発想自体を否定した。権力とメディアについて研究する砂川浩慶立教大教授はコラムを「内容的に不適切だ」とした上で「沖縄の報道機関も共に、事実に基づいて反論してただしていくしかない」と指摘した。Public Security Intelligence Agency's report claims Ryukyu-China programs aim to divide country
January 18, 2017 Ryukyu Shimpo ---> RS
Japan’s Public Security Intelligence Agency claimed in its latest report that China was moving to deepen its ties with Ryukyu (Okinawa) independence groups through academic exchanges, and that it could be a strategy to divide Japan by promoting favorable public opinion of China. The intelligence agency noted in the report, Retrospect and Outlook on Internal and External Situations in 2017, that China had called on the international community to caution against Japan’s drift to the right. According to the report, China approached Ryukyu independence groups, which demand the withdrawal of all U.S. bases from Okinawa, where the U.S. bases in Japan are concentrated. The intelligence agency suggested that China was moving to promote favorable public opinion of the communist nation, alleging that the inclusion of the Ryukyus within Japan remains legally unconfirmed. In its report, the intelligence agency also referred to an opinion column published in August in the Global Times, a subsidiary of the People’s Daily. The opinion column stated that China should use the old name Ryukyu to refer to the islands because calling them Okinawa was tantamount to accepting Japanese sovereignty over them. The Second Ryukyu Okinawa Frontier Issue International Academic Conference was held by historians from Okinawa and China at Beijing University in May 2016. “The Ryukyu independence groups” described in the report seem to refer to the historians who took part in the conference from Okinawa. The intelligence agency stated: “The Chinese side, including think tanks, facilitates academic exchanges with Japanese groups, which advocate for Okinawa’s independence movement, and they have visited Okinawa.” The intelligence agency refused to answer questions about which think tanks in China were involved, when and how many times members of the think tanks visited Okinawa. Regarding the reports, the intelligence agency said, “They are not the official statements from the Chinese government. We did not refer to the Chinese government in any sentences.” The intelligence agency, which is administered by the Ministry of Justice, analyzes information on domestic and foreign terrorist organizations and the situations in various countries including China. The report will be published on the agency’s website for the remainder of Fiscal 2016, which ends March 31.
Intellectual criticizes “low-level thinking.”
Morikiyo Matayoshi, affiliate professor at Okinawa University, who coordinated The Second Ryukyu Okinawa Frontier Issue International Academic Conference, said, “It is a matter for Okinawan people to decide whether to become an independent country or not. This isn’t a matter for China to decide.” He added, “None of the members of the conference has heard from the intelligence agency. It is irresponsible for an organization to announce such a claim without carrying out enough research.” Teruo Hiyane, professor emeritus of the University of the Ryukyus, said, “The purpose of the conference was to retrace the footsteps of the Ryukyuan people around Beijing. At the conference, we discussed the recent contemporary history of Okinawa and the military base issue,” “I doubt that they have read what was discussed at the conference. Their approach reflects too much low-level thinking,” He criticized the intelligence agency for committing hate speech against Okinawa. Yasukatsu Matsushima, professor at Ryukoku University and co-leader of the Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans (ACSILs) , said, “There is no concept among Chinese researchers that China will invade if Ryukyu become an independent country.” He denied the idea that the Ryukyu independence movement will do China good. Hiroyoshi Sunagawa, professor at Rikkyo University and researcher into the relationship between power and media, indicated that the content was inappropriate. He further said, “Together with news media in Okinawa we have to refute it based on the facts.”沖縄は独立に向かうのか 豊里友治(68歳)
2017.01.09 琉球新報朝刊 【声】
今月下旬、翁長知事は就任以来3度目の訪米を計画しているという。トランプ政権が体制固めをする前に、普天間基地の返還と辺野古新基地断念を求めるとのことだ。
翁長知事の頑張りに敬意を表したい。一県知事が、一国の首相のような重荷を背負わされている現状は県民にとって悲憤を禁じ得ない。米軍基地問題は、歴代の知事たちに荷重な負担を強いており、1985年西銘知事の訪米以来30年以上、延べ17回も対米交渉が行われてきた。察するに、全ての訪米行動に対し日本政府は裏から妨害工作を行ったであろう。いま作家の佐藤優氏が「沖縄が団結し、日本との国家間の外交交渉に準じた体制を構築することが不可欠」という言葉に共感している。
本紙新年号掲載の県民意識調査は、政府による露骨な沖縄差別が県民の反発を招き、本土からの分離・独立傾向を鮮明にしたといえる。琉球・沖縄の歴史を知らない政治家や官僚たちの言動が、県民を独立の方向に向かわせているように思えてならない。(うるま市)沖縄の「独立」は当然 渡口彦邦(78歳)
2017.01.08 琉球新報朝刊 【声】
19世紀の英国人海軍将校、バジル・ホールが琉球を訪れてから昨年、200年を迎えた。その節目を祝い、上陸地の那覇市泊に記念碑が設置され、12月16日除幕式が執り行われた。米軍統治下の1950年代にハワイが米国の50番目の州に確定し、米国国旗・星条旗に載った。私も戦後のアメリカナイズの下に育ち、私たち沖縄も第51番目の州として米国の州へ移行すると信じた。しかし日本独立と引き換えに、沖縄は米国の支配下に引き渡され、今も日米安保条約で憲法は無きがごとし、対米隷属に変わりない。「矛盾が集約されているのは沖縄の基地問題。沖縄はもともと琉球国で、今は日本の植民地になっている」(法政大総長・田中優子氏)。「現地では独立論が根強いが、問題を日本全体で引き受けない限り、独立しようと考えるのは当然だ」(文芸評論家・加藤典洋氏)。「まずそこで生きる人の声に耳を傾け、対話する必要がある。今のままでは計り知れない禍根を残す」(田中氏)。(本紙新年号) 私たちは「独立の県民投票」を実施し、「守礼之邦」としてアジア諸国と友好を築き琉球の独立を目指そう。(那覇市、自営業)<社説>県民意識調査/自己決定権求める異議だ/沖縄への誇りを活力源に
2017.01.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全1,533字)
日本復帰45年の節目を迎えた沖縄社会は、過重な米軍基地を未来まで背負わされるのか否かという重大な岐路に立たされている。広大な新基地まで強いる日本との関係性をどうすべきかという問いにも向き合わねばならない。そんな状況にある中、県民意識の地殻変動が見えてきた。ウチナーンチュ(沖縄人)であることと文化への誇りは相変わらず強い。沖縄の自己決定権を発揮できる「自治権」強化を求め、日本との関係性を改めようと異議を唱える県民が増えている-。5年に1度、琉球新報が実施する県民意識調査でこうした県民像が浮かび上がった。
安倍政権への警告
日本の1県である限り、沖縄の民意を反映した政治は望めないと不満を募らせ、沖縄の声を政治に十分反映できる仕組みを切望する人々が増えている表れである。外交・安保は国の専権事項と言い張って辺野古新基地建設をごり押しし、沖縄を組み敷こうとする安倍政権に対する異議申し立て、警告の意味合いが強い。安倍政権は沖縄の「自治権拡大」要求の高まりを重く受け止め、新基地見直しにかじを切るべきだ。「日本における沖縄の立場」を問う質問に対し、独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が約35%に上った。一方、「現行通り、1地域(県)のまま」とする回答は前回から17・7ポイント減って過半数を割る46・1%となった。「内政上の権限を強化した制度(沖縄単独州、自治州、特別県政など)を取り入れるべきだ」が17・9%、「外交・安全保障でも政府と同等の権限を持つ連邦制にすべきだ」が14%あった。「独立すべきだ」は2・6%で前回の4・7%から数字を落としたが、今回の調査で、「沖縄のことは沖縄が決める」自己決定権の確立と背中合わせの選択肢が初めて具体的に設けられたことが要因ではないか。在沖米軍基地は「縮小」「撤去」が6割を超え、「維持」「強化」の約4倍に達し、大きく上回る傾向が維持されている。全国で、自治権を強化することをこれほど明確に求める都道府県は沖縄をおいてほかにあるまい。安倍政権は沖縄の民意を軽視し、さらに強権的に新基地建設を推し進めれば、沖縄の自治権獲得要求が一層高まり、国の統合を揺るがす事態が到来しかねないと認識する必要がある。
「子の貧困」解消を
沖縄県民であることに誇りを持つ人と、沖縄の文化・芸能に誇りを持つ人は共に約9割を占めた。県民意識に詳しい東江平之琉大名誉教授が「県民の一体感、アイデンティティーは比較文化的に類のない特質を持つ」と指摘したように、祖先から育まれた固有の文化への誇りと愛着を深く胸に刻む県民は世代を超えている。胸を張っていい沖縄の一体感こそ、苦境を乗り越えてアジアの懸け橋として飛躍を目指す活力源にしたい。現在の生活に満足している人は7割を超え、過去最多となった一方、現在の悩みの上位3位は(1)収入・所得(2)健康(3)介護や老後-となった。「気になる問題」のトップも「所得の低さ」だった。大人の低収入問題は子どもの貧困や就学環境の格差に結び付く。観光産業の活況など好況が到来しても、将来の生活を楽観できない県民が多く存在する事実は重い。社会資本整備中心だった沖縄振興体制がどれだけ貢献できたのか、国、県、市町村は生活に根差した県民の不安に目を凝らし、子どもの貧困問題の解消、非正規雇用が多い労働環境の改善、県民所得の向上などに知恵を絞ってほしい。「とても盛ん」が約11%にとどまった近所付き合いの希薄化は気になる。つながりを大切に、他者の痛みをわがことと受け止めて行動する「肝苦(ちむぐり)さん」の心、地域社会の助け合い精神を高める方策も練り上げねばならない。<復帰45年変わるウチナーンチュ像・2016琉球新報県民意識調査から>1/自治/“潜在的独立派”が増加/基地強行 怒り表れ
2017.01.03 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全1,159字)
「連邦制というのは、中央政府から見れば独立と同じ意味だ。ウチナーンチュの自信と怒りが高まってきた表れだろう」。沖縄国際大学経済学部の友知政樹教授は、琉球新報の県民意識調査で「沖縄の今後のあり方」について「連邦制」が14・0%となったことに驚く。「連邦制」は今回、選択肢に新たに加わった項目だ。「政府の専権事項とされる外交・安全保障の権限を沖縄に移すべきだと考える人がこれだけいることが明らかになった」と語り「独立」「単独州など」と合わせて計34・5%が自治権強化を求めたことに「潜在的な独立派が増えたと言っていい」と強調した。
友知氏は昨年3月の琉球民族独立総合研究学会の会合で、学生314人を対象にした沖縄独立の是非を問う調査結果を発表した。「独立すべきだ」と答えた学生は8%だが「政治、経済の安全が保障されるなら独立すべきだ」という“条件付き独立”の選択肢には38%が賛同した。
県民意識調査の結果と共通する点として「オスプレイ強行配備などに県民は怒っている。『差別』という言葉が広く使われるようになり、潮目が変わった。2014年の県知事選以降の“オール沖縄”の流れで、基地に反対する経済人が現れたことも県民に勇気を与えた。環境の変化に加え、設問の工夫で隠れた本音が引き出された」と分析する。
一方で県経済が基地に依存しているとの誤解も根強いことを挙げ「県民総生産に占める基地収入が5%しかない点など、知識が広まれば自治権拡大の意見はさらに増える」と予測した。
自治の在り方に関心が高まる状況に関して「自治を考える上で、これまでの沖縄振興体制の功罪を問うことが求められる」と指摘するのは、琉球大学の島袋純教授(政治学)だ。
「現行通り」が半数を割り込んだことに「沖縄側からはこれまで道州制の議論と連動し、経済界を含めて自治権強化を継続的に求めてきた。一括交付金が創設されるなど裁量は大きくなったが、それでも県民の不満は解消されていない。基地問題に関する権限を移さないと解決しない、沖縄の自己決定権を回復すべきだという考えが浸透してきた表れだ」と見る。
その上で政府が基地と振興策の“リンク論”を露骨に主張し始めたことに警鐘を鳴らす。「政府はより基地と振興を関連付け、沖縄を屈服させる制度につくり変えたいはずだ。その前に沖縄側で今後の振興体制をどうするか議論すべきだ。高率補助は自治体の財政を崩壊状態に追い込んだ側面もある。全国に対し、基地負担を正当化するツールにもなった。沖縄振興特措法を廃止し、基地の引き上げを求めるのも一つの手だ。この5年が勝負になると思う」と語った。(宮城隆尋)<琉球新報県民意識調査>「自治」拡大背景に基地
2017.01.01 琉球新報新年号 30頁 D3 1版 (全604字)
<解説>
県民意識調査で、沖縄の自治の在り方について「現行通り」が半数を割り「単独州など」「連邦制」「独立」などの自治権拡大を求める意見が3分の1を超えた。調査結果からは、その背景に米軍普天間飛行場の返還・移設問題をはじめとする基地問題で、沖縄の意見が国の政策に反映されないことへの不満があることがうかがえる。社会・政治意識の設問で「今、気になる問題」に基地問題を挙げた人は、前回2011年と比べて2・0ポイント増の46・2%。01年の初回調査から増加傾向で、前回から「所得の低さ」に次ぐ第2位となっている。「近現代の重要な出来事」に挙がった上位10項目を見ても、1995年の米兵による少女乱暴事件が31・1%で2位、12年のオスプレイ強行配備が23・8%で4位となるなど、基地問題が半数の5項目を占めた。14年の県知事選や衆院選で明確に示された民意が政府に無視され、基地と自治を巡る議論が県内外で活発化した結果と考えられる。ほかの項目では沖縄県民であることや沖縄文化への誇りは高い傾向を保っている。半面、しまくとぅばは「聞くことも話すこともできる」と答えた人が若い世代ほど少なく、継承の課題は残っている。生活の悩みには今回も「収入・所得」を挙げる人が最多。観光客の増加などで県経済が回復基調にある中でも生活不安が続く背景には、非正規雇用が多くを占める労働環境の厳しさがあると考えられる。(宮城隆尋)<琉球新報県民意識調査>「日本における沖縄の立場」/40代「単独州」 50代「連邦」/中年層で自立志向強く
2017.01.01 琉球新報新年号 30頁 D3 1版 写図表有 (全668字)
琉球新報の県民意識調査で「今後の日本における沖縄の立場」の質問を年代別に見ると、「現行通り」が半数を超えたのは20代と30代で、40代以上は全年代で半数以下だった。「単独州など」を支持した人は40代で最も多く23・7%、「連邦制」支持は50代が22・7%だった。「現行通り」は30代が最多で55・8%だった。40~60代の中年層で自立志向が強く、若年層と70代以上は「現行通り」「分からない」が多かった。(1面に関連)同設問は、選択肢を2011年の前回から一部変更した。「現行通り」「独立」は変わらないが、前回15・3%だった「特別区(自治州など)」の項目を廃止し、新たに「単独州など」「連邦制」を設けた。米軍基地に関しては「縮小すべきだ」が最も多く40・5%(前回比0・9ポイント増)、「撤去すべきだ」が20・0%(同6・3ポイント減)だった。「維持」は14・2%(同3・2ポイント増)、「強化」は1・6%(同0・5ポイント増)だった。「縮小」「撤去」の合計は、年代別では70代以上が最も多く72・4%、20代が最も少なく38・7%だった。自衛隊基地は「現状規模のまま」45・5%(前回比4・0ポイント増)、「拡大すべきだ」7・3%(同1・9ポイント増)の合計が52・8%で初めて半数を超えた。「縮小すべきだ」は19・9%(同2・2ポイント減)、「撤去すべきだ」は7・4%(同1・8ポイント減)だった。「現状」「拡大」の合計を地域別に見ると、最も多いのは中部で66・2%だった。「拡大」が最も多いのは八重山で16・9%だった。自治権強化 35%望む/琉球新報 県民意識調査/「現行通り」半数割る/しまくとぅば「話せる」20代減7%/自衛隊容認増53%
2017.01.01 琉球新報新年号 1頁 A1 1版 写図表有 (全1,049字)
沖縄の県民像やその変化を探るため、琉球新報は昨年10~11月、県民意識調査を実施した。調査は2001年、06年、11年に続き4回目。「今後の日本における沖縄の立場をどうすべきか」という質問に「現行通り、日本の一地域(県)のまま」と答えた人が前回から15・7ポイント減って半数を割り、46・1%となった。一方で独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が計34・5%に上った。沖縄の自治に関する権限を現状より強化すべきだと考える層が3分の1を超え、現状を支持する層に迫った背景には、基地問題で沖縄の民意が政府に聞き入れられないことへの不満があるとみられる。(16、17面に特集、30面に関連)しまくとぅばを「聞くことも話すこともできる」と答えた人は3・5ポイント減って41・2%となり、20代は7・5%で1割を切った。沖縄の近現代の重要な出来事は「沖縄戦」が前回までと同じく最も多かったが、初めて半数を下回って45・7%となった。沖縄の自治の在り方について「現行通り」以外の回答は「沖縄関係予算の編成権を持つなど内政上の権限を強化した制度(道州制の沖縄単独州、自治州、特別県制など)を取り入れるべきだ」が17・9%、「内政上の権限を強化し、さらに外交・安全保障に関しても沖縄側が政府と同等の権限を持つ連邦制にすべきだ」が14・0%。「独立すべきだ」は2・6%だった。社会・政治意識について「気になる問題」は「所得の低さ」が53・8%、「基地問題」が46・2%と続いた。基地問題が2番目に高くなったのは前回調査の11年に続いて2回目。米軍基地は「撤去」「縮小」を求める人が計60・5%となった。自衛隊基地は「現状規模」「拡大すべきだ」が計52・8%となり、容認する人が初めて半数を超えた。沖縄県民であることに誇りを持つ人は「とても」「まあ」を合わせて86・3%、沖縄の文化・芸能に誇りを持つ人も同様に95・6%を占め、ともに前回と同様に高い傾向だった。生活の満足度は70・9%に達したが、現在の悩みについて最も多い38・6%が「収入・所得」と答えた。
<調査の方法>
調査は県内41市町村を5地区に分類し、人口比に応じた割合で55地点を抽出するエリア・ランダム・サンプリング法で実施。昨年10月15日~11月25日、各地点の対象世帯を調査員が訪問し、面接で20歳以上の1047人から回答を得た。「植民地主義の表れ」/独立学会シンポ 差別発言、暴力を批判
2016.12.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全646字)
琉球民族独立総合研究学会のオープンシンポジウムが3日午後、宜野湾市の沖縄国際大学で「高江、辺野古問題、『土人・シナ人』発言問題から考える琉球独立」をテーマに約150人が参加して開催された。登壇者は差別発言や抗議行動への暴力的な行為が「植民地主義の表れ」だと批判した。 琉球新報の普久原均編集局長、同学会会員の与那嶺義雄西原町議、「ヘリパッドいらない住民の会」会員で大宜味村で農業を営む儀保昇氏のほか、学会共同代表メンバーから松島泰勝龍谷大教授、琉大大学院生の親川志奈子氏、照屋みどり氏(コーディネーター)が登壇した。 普久原氏は、記者への取材妨害の背景に沖縄メディアを見下す感情があると指摘した。沖縄に対するデマも合わせて「沖縄に対するヘイトスピーチが強まる可能性がある」と述べた。 与那嶺氏は、琉球併合以来、日本による植民地主義が継続しているとして「国内問題として解決できない」と強調した。「国連や国際法に依拠し、先住民族の権利を行使できる主体としてアイデンティティーを認識・自覚することが重要」と訴えた。 儀保氏は高江の現場での抗議行動の状況を生々しく報告した。差別発言と共に「市民をまるで石ころをどかすように排除する」機動隊の暴力を批判した。 松島氏は自民党の改憲草案を琉球独立の視点から批判し「学会として憲法草案を作りたい」と表明した。 親川氏は発言に対してネット上で「大げさに反応すべきではない」という意見が多かったことに触れ、嫌中感情と差別が重なるシナ人発言の問題性も指摘した。<琉球民族独立総合研究学会 公開シンポに寄せて>松島泰勝/高江、辺野古を議論/自己決定権、政府が妨害
2016.12.02 琉球新報朝刊 25頁 文化 1版<声>やはり私は琉球人/久田友一 78歳
2016.11.05 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<第6回世界のウチナーンチュ大会 10月26日~30日>ウチナーンチュ大会あす前夜祭/琉球史資料展示 講座や芸能実演/民族独立総合研究学会
2016.10.25 琉球新報朝刊 25頁 4社 1版 写図表有 (全214字)
琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)が世界のウチナーンチュ大会開催期間中の27~29日に、県立博物館の講座室でイベントを開く。琉球の歴史や同学会の取り組みに関する資料を多言語で展示するほか、琉球古典音楽と民謡の実演などがある。入場無料。 琉球アイデンティティーの思いに関する映像資料の常設や、しまくとぅばを学ぶワークショップ、劇団比嘉座によるしまくとぅば芝居がある。 問い合わせは事務局(電話)050(3383)2609。先住民族の権利保護/国連勧告 国が反論/石垣・豊見城の意見書引用/識者“ご都合主義”と批判
2016.10.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全787字)
国連の人種差別撤廃委員会が2014年に、沖縄の人々を先住民族として権利を保護するよう勧告したことを受け、日本政府が今年8月、勧告の撤廃を求める豊見城、石垣両市議会の意見書を根拠に反論したことが分かった。沖縄における表現の自由の侵害を訴える追加報告書を国連機関に提出した反差別国際運動(IMADR)と沖縄国際人権法研究会は、政府に対し「自分たちに都合のいいところだけ引用している」などと批判している。 沖縄における人種差別撤廃委員会の勧告は日本政府に報告書提出を義務付けていないが、政府はほかの勧告の反応とともに、8月18日に国連人権高等弁務官事務所に提出した。外務省人権人道課は2市議会の意見書可決を踏まえ、「事実関係として進展があるから(報告を)出す判断になった。沖縄にもいろいろな意見がある」と説明した。 報告書は「『先住民族』と認識している人々はアイヌの人々以外には存在しない」という見解を示しつつ、豊見城市議会の「県民のほとんどが先住民族であるとの自己認識を持っておらず」(15年12月)、石垣市議会の「先住民族との指摘は当たらない」(16年6月)の文言を引用。「県出身者が『先住民族』であるとの認識が日本国内に広く存在するとは言えない」とし、「権利を全て等しく保障されている」と強調した。 沖縄国際人権法研究会の島袋純琉球大教授は「先住民族かどうかの概念でなく、どれだけ沖縄の人権が侵害されているかが大きい」と指摘した上で、「国連が定めてきた先住民族の定義を押さえないと反論にならない」と批判。反差別国際運動の小松泰介氏は「国連の舞台で話題になり、くぎを刺そうとしたのではないか」と推測した。 反差別国際運動などは9月27日、名護市辺野古や東村高江周辺の基地建設などにおける表現の自由に関する追加報告書を、国連のデービッド・ケイ特別報告者や関係機関にも送付した。「琉球は先住民族」/NGO、議員らに反論
2016.09.17 朝刊 28頁 特集3 (全447字)
国際機関で沖縄問題を訴えるNGO「琉球弧の先住民族会」(宮里護佐丸代表)は16日、県庁で会見し、豊見城市議会や県選出の国会議員が、県民は「先住民族」ではなく日本人と主張していることに対し「国連の諸機関から政府に対し『琉球民族』を先住民族と認めるよう勧告が出ている」などと反論した。引き続き国際法に基づき琉球民族の権利を回復する意義を強調した。 会見では、琉球民族を先住民族とする国連勧告への異論は(1)県民が知らずに提出した文書で勧告が出た(2)沖縄以外のNGOの勝手な主張(3)県民は日本人で先住民族ではない-との3点に要約できると指摘。 これに対し、同会は(1)国連勧告が出る度に新聞や報告会で説明している(2)国連での協議資格(発言権)を持つ「琉球弧の先住民族会」は「琉球にルーツを持つ者」の組織で他NGOの入れ知恵の活動ではない(3)琉球民族は日本人だという遺伝子的な説と異なり、「先住民族の権利に関する国連宣言」における「先住民族」概念は構造的差別を問題にしている-などと説明した。ハトおじさん 長堂嘉光さん/平和の象徴と「辺野古NO」/那覇・上之屋 沖縄自立訴え街頭に --->RS
2016.09.05琉球新報朝刊24頁2社1版写図表有(全849字)
那覇市上之屋の国道58号沿いに立ち、肩や腕にハトを乗せてバイオリンを弾き、辺野古新基地建設とオスプレイ配備への反対を訴える男性がいる。周囲の人から「ハトおじさん」と呼ばれるのは、那覇市の自営業、長堂嘉光(かみつ)さん(69)。母親の疎開先の宮崎県で生まれた長堂さんだが、沖縄戦で親族40人以上を亡くした。「米軍だけでなく、自国にもいじめられている地域は世界中にどこにもない」。平和の尊さと、沖縄の真の自立に向け、街頭に立ち続けている。 宮崎県で生まれ、大阪で育った。大型重機の操縦士などを務めたが、2010年に“故郷”沖縄に戻った。「ずっと魂はウチナーンチュだ」と関西弁で照れる長堂さん。基地問題に常にさいなまれる沖縄の現状を憂い、15年3月から街頭で辺野古新基地建設反対やオスプレイ配備反対を訴え始めた。 当初は「辺野古新基地反対」と書かれたTシャツを着て、肩や腕にハトを止まらせて抗議行動をしていた。米軍属女性暴行殺人事件を受け「訴えをもっと聞いてもらうため、目立つパフォーマンスが必要だ」と16歳から始めたバイオリンでの演奏も披露するようになった。 雨の日も風の日も、毎日3回同じ場所に立ち、平和の象徴であるハトに餌をやり、得意のバイオリンを奏でる。レパートリーはアルゼンチンタンゴを中心に約50曲。演奏歴は50年超、腕前もなかなかだ。 最初の頃は通り過ぎる車から罵声を浴びせられたり、からかわれたりもしたが、最近では応援して手を振ってくれる人も増えた。「精いっぱい自分の思いを主張したい。それだけや」 辺野古新基地建設問題をはじめ、日米両政府は県知事選や国政選挙などで示されてきた沖縄の民意をことごとく無視してきたことが腹立たしい。 「沖縄への弾圧を断ち切るには、琉球民族の独立しかない」 周囲からは非現実的だと眉をひそめられることもあるが、自身の信念は貫きたいと意志は固い。 「沖縄に真の平和が訪れる日が必ず来ると信じている」。ハトおじさんは今日も、上之屋交差点の角に立つ。(當銘千絵)自己決定権で研究会/県内外有識者ら呼び掛け/来月11日発足、シンポ
2016.08.26琉球新報朝刊2頁総21版(全755字)<論壇>比嘉康文/高江でも沖縄独立の気運/明治以来続く「琉球処分」
2016.08.23琉球新報朝刊8頁オピ1版写図表有「独立で決定権」仲村氏が強調/沖縄市で勉強会
2016.08.19琉球新報朝刊35頁地21版写図表有(全207字)<琉流・ずっと手元に シマの手仕事>ファッションブランド LEQUIO/沖縄素材で世界へ
2016.08.16琉球新報朝刊15頁火フ1版写図表有(全1,139字)「県民の抗議重要」/ストーン氏 辺野古問題で強調
2016.08.15琉球新報朝刊1頁総11版写図表有(全638字)<ネットワーク>「琉球独立」の勉強会/14日、沖縄市で
2016.08.12琉球新報朝刊8頁オピ1版<平和考>13/親川志奈子さん オキスタ107共同代表/独立は現実的選択肢/沖縄と日本、「平和」に違い
2016.08.12 琉球新報朝刊 6頁 国際 1版 写図表有 (全2,183字)
辺野古での新基地建設に女性暴行殺害事件…。沖縄では戦後71年の今も、米軍絡みの犯罪や事故、騒音、環境破壊が絶えない。基地被害が続発する中で考える平和とは何か。発足後3年を迎えた「琉球民族独立総合研究学会」の若き論客で、社会言語学者の親川志奈子さん(35)に聞いた。
-沖縄独立論には過激なイメージがあります。
「そう感じる人もいる。でも2年前に住民投票を行ったスコットランド、年内にも投票があるグアムなど海外の独立運動は珍しくない。独自の歴史や文化が政治に抑圧されている植民地状態を脱し、民族の自己決定権を取り戻そうとしている」
-沖縄は植民地か。
「19世紀の琉球処分以来、伝統の『島言葉(しまくとぅば)』を話すことも、琉球の歴史を学ぶこともままならない沖縄は、自分たちの土地も基地にされ自由に使えない植民地状態にある。国際法に基づく独立のシナリオは十分に現実的だ。暴論や空論に見せているのは、沖縄の国際問題化を嫌う『宗主国』の意向も反映している」
-近年の反基地世論の高まりをどうみますか。
「発火点は1995年の少女暴行事件。戦後50年、本土復帰後20年余が過ぎたのに、この種の事件がまた起きたことが衝撃だったし、日米両政府の対応もひどかった。沖縄の基地は本当に必要なのか。不当に押し付けられているのでは。多くのウチナーンチュがそう考え始めた」
-保革相乗りの「オール沖縄」「島ぐるみ」が実現しました。
「沖縄のイデオロギー対立は、日本政府が『基地か経済か』と偽りの二者択一を突き付けてきたことが大きい。そうした差別と抑圧の構造が20年かけて広く認知されたことで、『イデオロギーよりアイデンティティー』を掲げる翁長雄志県知事が登場した。沖縄は新たな一歩を踏み出した」
-一方で反基地運動の現状は厳しい。
「沖縄の民意を選挙でいくら示しても、政府は聞く耳を持たない。沖縄出身の芸能人や『癒やしの島』の人気ぶりを利用して沖縄との融和を装いつつ、耐用200年という新基地を辺野古につくろうとしている。『日本の沖縄』という政治的地位では未来は見えないという危機感から、独立論に関心が寄せられている」
-運動に限界がある?
「端的に言えば、運動自体が差別と抑圧をはらんでいる。それを可視化したのが、鳩山由紀夫元首相の『迷言』から広がった普天間飛行場の県外移設の訴えだった」
-具体的には?
「日本の左派運動が掲げる『基地はどこにもいらない』は正論です。でも基地の大多数は、日米安保の支持者の大多数が住む日本ではなく沖縄にある。それを棚に上げて、ウチナーンチュが県外移設を言うと『安保を容認するのか』『自分さえよければいいのか』と責めるのはフェアでない」
-沖縄の受忍を前提とした運動になっている。
「沖縄に基地を押し付けている日本の利益に反しない形でしか、沖縄は主張できない。それでいて日本の運動家たちは『沖縄から日本を変えろ』『もっと頑張れ』と盛んに言う。差別の自覚がないのがやるせないです」
-沖縄の平和と日本の平和はどう違う?
「悲惨な沖縄戦の記憶につながる米軍が今も目の前にいて、被害が続く中で平和の意味を問う。それが沖縄のリアルです。未来の戦争を想定し、憲法改正の是非を争っている日本とは次元が違う」
-議論をかみ合わせるにはどうすればいい?
「日本と沖縄が同じ平和を語るには、お互いに脱植民地化を進めて対等な関係を結び直す必要がある。そのための選択肢の一つが独立です」
-かえって関係が悪化しそうな気もします。
「日本だけを見ていては理解しにくいでしょうが、旧植民地と旧宗主国の関係は、世界的にも非常に重視されています。日本は沖縄に対する過去の不正義を直視し、負の歴史の清算に努める必要はある。その上で、互恵的な関係も対話を通じて再構築できるはずです」
-学会の目標は。
「『この島を二度と戦場にしない』がウチナーンチュの総意です。非武装中立の平和国家に向けた独立の在り方を具体的に研究、啓発するのが役目だと思っています」
-独立を達成したら基地はどうしますか。
「米軍基地も自衛隊基地も撤去します。そのとき日本はどうするでしょう。平和憲法をなし崩しにして米軍に寄り掛かり、沖縄を犠牲にして目を背けてきた日本にとって、沖縄の独立こそ平和を考える絶好の機会になるでしょう」(聞き手は共同通信記者・山下憲一)(随時掲載)
………………………………………………………………
おやかわ・しなこ 1981年沖縄市生まれ。琉球大大学院博士課程に在籍、専門は消滅危機にある伝統言語の復興。米英の大学、大学院に留学後の2013年「琉球民族独立総合研究学会」設立に参加。沖縄の自己決定権の啓発団体「オキスタ107」共同代表。
<メモ>普天間移設問題
宜野湾市の中心部にある米軍普天間飛行場の移設を巡る問題。1995年の米兵による少女乱暴事件を受けて翌年、日米両政府が返還で合意した。日本政府は99年に名護市辺野古への移設を閣議決定。2013年には仲井真弘多前知事が移設先の埋め立てを承認したが、翌年の知事選に勝利した翁長雄志知事が15年に取り消した。政府と県の対立は互いに提訴する事態に発展。今年3月にいったん和解後、7月に政府が再提訴し法廷闘争に回帰した。<声>各県で独立国家を/親泊善雄 63歳
2016.08.10 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版
<声>「琉球」独立の道を/普久原裕子 50歳
2016.08.05 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版Self-determination association forms with an eye on Ryukyu independence --->RS
July 25, 2016 Ryukyu Shimpo
On July 24, the newly-formed “Nuchi du takara (life is a treasure)! Ryukyu self-determination association (preparatory association)” held an event to celebrate its formation at the Central Community Center in Nishihara Town. Approximately 150 people attended the event. The association aims to be a “civil society-style political organization” and plans to utilize the United Nations and international law to work toward realizing self-determination, with an eye on the possibility of eventually achieving Ryukyuan independence. The association plans to develop into an official political association once it attains a certain number of supporters. The association upholds five tenets, including “embodying the history of Ryuku/Okinawa up until the present, and, with strength, opening up the future through the exercise of Ryuku/Okinawan self-determination with a readiness to aim for independence,” and “bidding farewell to the colonialism of Ryukyu/Okinawa by Japan and the United States, which continues today in the form of the Henoko new base construction issue.” Members are required to have roots in the Ryukyu arc. As its basic policy, the association upholds the goals of “working together with the United Nations, international society, and East Asia and expanding self-determination” and “seeing resolutions supporting the realization of self-determination passed by all of [Okinawa’s] city, town, and village assemblies, and by the Prefectural Assembly.” It plans to work on a variety of pressing issues, including working to achieve the immediate closure of U.S. Marine Corps Air Station Futenma, opposing the forcible construction of a new base in Henoko and of Osprey pads in Takae, and opposing increased Japan Self-Defense Force deployment on Okinawa and further militarization of Okinawa, in addition to working to promote economic development, cultural promotion, language education, and an improved working environment. One sponsor of the association, Nishihara Town councilmember Yoshio Yonamine, said, “Ultimately, we hope to become a group capable of conducting a prefectural referendum on the issue of realizing self-determination.”(English translation by T&CT and Sandi Aritza)
琉球独立も視野に/「自己決定権準備会」が集会 --->RS
2016.07.25 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全581字)
【西原】沖縄の自己決定権確立を目的とした「命どぅ宝! 琉球の自己決定権の会(準備会)」の結成集会と講演会が24日、西原町中央公民館で開かれ、約150人が参加した。同会は「市民運動的政治団体」を掲げ、最終的な琉球独立の可能性も視野に入れ、国連や国際法を活用した自己決定権の確立を目指して活動を展開する方針。一定の賛同者が集まり次第、正式な会として発足させる。 会の理念では「今日までの琉球・沖縄の歴史を体現し、独立も辞さずの気構えで琉球・沖縄の自己決定権を行使し、力強く未来を切り開く」「今日の辺野古新基地建設問題までの琉球・沖縄に対する日本と米国による植民地主義と決別する」など5項目を掲げた。会員資格は「琉球弧にルーツを持つもの」と定めた。 基本政策として「国連や国際社会・東アジアと連携し自己決定権を拡大する」「全市長村議会および県議会での自己決定権確立の決議採択を目指す」などの目標を掲げた。当面の課題として「普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設および高江オスプレイパッド強行建設に反対し、自衛隊の新たな沖縄配備と軍事強化に反対する」ことをはじめ経済発展、文化振興、言語教育、労働環境改善などに取り組むとした。 世話人の一人の与那嶺義雄西原町議は「最終的には県民に自己決定権の確立を問う住民投票などを実施できる主体となることを目指したい」などと語った。<会と催し>自己決定権の会 24日に結成集会/伊佐眞一氏が講演
2016.07.22 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 (全191字)
「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」(準備会)の結成集会が24日(日)午後2時から西原町中央公民館で開かれる。 与那嶺義雄氏(西原町議)が「私たちの目指す琉球・沖縄の姿」と題して基調報告を行い、伊佐眞一氏(沖縄近代史家)が「今、琉球・沖縄史に立つ意味」と題して講演する。 資料代500円。問い合わせは(電話)090(1947)5535(与那嶺)、090(1946)6702(宮城)。大橋巨泉さん死去/「沖縄は独立を」/基地問題で提言
2016.07.21 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 (全285字)
12日に82歳で亡くなった大橋巨泉さんは、2014年末、琉球新報のインタビューに応じ、沖縄の基地問題解決に向けて「沖縄はもう独立すべきではないか」と語るなど、沖縄の自己決定権に着目し、日本との決別を提言していた。 当時は、辺野古新基地建設に反対する翁長県政が発足し、直後の衆院選で、翁長雄志知事を支えるオール沖縄勢力が県内全選挙区で勝利したころだ。衆院選は全国的には自公の安倍政権が勝利。沖縄の声がかき消されてしまうかのような状況を憂えてか、巨泉さんは「日本人は何もできない、駄目な国民だ。日本人に頼って(基地問題を)解決しようと思っても無理だろう」とも指摘していた。<読書・BOOK>琉球独立への経済学/松島泰勝著 法律文化社・2700円/立ち位置、明確に自覚
2016.07.17 琉球新報朝刊 20頁 読1 1版<声>沖縄は本気で独立を/上出勝 63歳
2016.07.14 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<金口木舌>EU離脱の結末は
2016.07.07 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全551字)
誰も予想できない驚きの結末。それは見てのお楽しみ-。映画の宣伝ならいいが、現実世界ならどうだろう。ここまで目算が狂うと、もはや悲劇か
▼英国民投票でEU離脱派が勝った後の混乱が収まらない。想定外が想定外を生む“誤算の連鎖”が生じている。まずはキャメロン首相の誤算。勝って離脱派を封じ込むもくろみは外れた
▼首相の辞任表明で生じた政治空白は混乱を一層助長している。英国の混乱を反面教師と見たか、予想されたEU参加国の「離脱ドミノ倒し」の動きよりも、欧州結束派の巻き返しが目立つ。離脱派の相次ぐ公約撤回も大きな誤算
▼離脱派はかつての強い「大英帝国の復活」を目指した。だが狙いに反し、各地の独立派が勢いを増したことが最も大きな誤算だろう。今の連邦さえ崩壊の危機に直面しようとしている
▼「次はEU離脱のタイミングだ」。2014年のスコットランド独立住民投票を取材した時を思い出した。独立派は敗れた翌日、既に狙いを定めていた
▼案の定、その時に反対票を投じた人々にも今は共鳴が広がり、独立が一層現実味を帯びてきた。離脱派が描いた、映画のようなハッピーエンドの筋書きはさらに遠のく。離脱を離婚に例えて夫婦が「やり直そう」と復縁する場面を期待する声もあるが、投票結果は重く、時既に遅し。現実世界の結末は映画より奇なりか。<記者の窓>1カ月前の「ゲンロンカフェ」/立場性示しつつ書くか/文化部 米倉外昭
2016.07.03 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 写図表有 (全724字)
記事にできず、胸に何かが詰まったような思いのまま1カ月が過ぎてしまった。 5月27日夜、那覇市の桜坂劇場で「ゲンロンカフェ」が行われた。東京で開かれている言論イベントの「沖縄出張版」で、その第2夜「琉球独立論は何を夢見るか」を聴いた。午後7時すぎから深夜0時前まで、休憩も含めて5時間近い長丁場だった。 ジャーナリストの津田大介氏の進行で、哲学者の東浩紀氏、明星大准教授の熊本博之氏、地元沖縄から琉球民族独立総合研究学会理事の親川志奈子氏が登壇した。議論は植民地主義をめぐるポジショナリティー(政治的権力的位置性)の表明の問題、基地引き取り運動などへと展開された。 東氏は、対話の順序として冒頭にポジショナリティーを問うことを「暴力的」と指摘。津田氏も「それが議論を閉塞(へいそく)させているのでは」と述べた。それに対し親川氏は「立場を明らかにすることで対等になれる」と説明し、場は緊張感を帯びた。東氏は、中途半端な同胞意識が迷惑施設を押し付ける背景にあるとし、同胞としての良心に訴えるより、異文化性、他者性を強調して「淡々と独立を説けばいい」などと主張した。 会場からも多くの意見が出た。「自分の中で琉球人と日本人を分けられない」などの「もやもや感」が示された。辺野古在住の人から「私たちは生きていかなければならない。(基地建設が)強行されれば、条件闘争しかない」という発言もあった。 議論を閉塞させるとの指摘の一方、聴衆から表明されたさまざまな「もやもや感」。これが沖縄を巡る言論空間のリアルな状況なのだろう。シマナイチャー記者としての立場性を示しつつ、書くべきだったのだが。米軍属が逮捕された事件の重苦しさの中で、その苦さをかみしめている。ウェールズでも独立の声/EU
2016.06.29 琉球新報朝刊 6頁 国際 1版 (全383字)<表層深層>英、揺らぎ始めた結束/独立、分裂懸念も
2016.06.28 琉球新報朝刊 6頁 国際 1版 写図表有 (全1,237字)単独残留へ交渉方針/スコットランドが表明
2016.06.26 琉球新報朝刊 10頁 国際 1版 (全278字)
【ロンドン共同】英北部スコットランド行政府のスタージョン首相は25日、行政府の閣議後に記者会見し、スコットランド単独での欧州連合(EU)残留に向けた交渉をEU側と早急に始めると述べた。残留が実現する可能性は不透明だが、国民投票での英国全体の離脱決定に逆行する方針で、英内政の混乱が拡大しそうだ。 スコットランドは国民投票後、離脱派が多い南部イングランドに反発、独自の動きを強めている。 閣議では英国のEU離脱に備え、スコットランド独立の是非を問う住民投票の再実施について「検討を進める」ことで一致。スタージョン氏は再実施の可能性は「かなり高い」と語った。<出版話題>「アエラ」が沖縄を特集/著名人ら思い語る
2016.06.23 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有 (全536字)
週刊誌「アエラ」(朝日新聞出版、県内は24日発売)が、23ページにわたる特集「沖縄はもうギリギリだ 沖縄を他人事だと思っていませんか」を組んだ=写真。 作家の目取真俊と哲学者の高橋哲哉による緊急対談のほか、川平朝清、ジョン・カビラ、いっこく堂、今日マチ子、金城小百合、牛島貞満、池澤夏樹が、沖縄の状況に対する思いを語っている。 松島泰勝「琉球独立運動は日本の今を映す鏡」、屋良朝博「日本政府が沖縄駐留にこだわる本当の理由」、渡瀬夏彦「沖縄戦体験者が減っても『風化』させない」、安田浩一「『嫌沖』の空気と『沖縄叩(たた)き』」、仲里効「写真で振り返る沖縄の歴史」など、多彩な執筆陣が沖縄の今を多角的に論じている。 対談では県外移設論、独立論が話題に。目取真は基地引き取り運動を提唱する高橋に、「運動につながらない『県外移設』の言論活動に何の意味があるのでしょうか」と批判をぶつける。「1億3千万の日本国民を変えるのは無理かもしれないけれど、140万の沖縄県民が変われば基地は撤去できると思う」と、座り込みによるゲート封鎖の方が現実的だと主張し、沖縄に関わる学者・文化人の姿勢も問うた。定価390円。問い合わせは朝日新聞出版販売部(電話)03(5540)7793。(敬称略)米軍属女性暴行殺人 若者座談会/国は第2の加害者
2016.06.15 琉球新報朝刊 15頁 特3 1版 写図表有 (全3,503字)
…。学び「琉球民族」確信/喜久村
喜久村 高校までは、なんも考えたことなかった。大学進学で本土に出てから「基地はそのまま沖縄に置いておけばいいさ」と悪気なく言われ、面と向かって「財源ばかりゆすり取っている」と言われたこともあった。そこから沖縄の歴史を勉強し始めた。琉球処分から、同化政策を経て沖縄戦、米施政権下でのことなどを学んでいくにつれ、自分は日本人ではあるけど、歴史的に見ても琉球民族なんだと考えている。…。<声>沖縄は独立すべきだ/内間寅男 65歳
2016.05.30 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<声>独立していれば/我謝美翠 88歳
2016.05.27 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版米軍属女性遺棄/植民地扱い 今も/「日本の独立は神話」/知事、毅然と首相に訴え
2016.05.24 琉球新報朝刊 35頁 社会 1版 写図表有 (全651字)<「琉球民族独立学会」3周年記念シンポに寄せて>比嘉克博/-沖縄「先住民族」論-/国連勧告撤回要求なぜ/豊見城市議会意見書 差別の移譲想起
2016.05.20 琉球新報朝刊 23頁 文化 1版沖縄を平和拠点に/北京国際会議 決定権、基地で議論
2016.05.17 琉球新報朝刊 30頁 2社 1版 写図表有 (全759字)
【北京で新垣毅】沖縄、中国双方の研究者らが琉球・沖縄史や中国との交流史を議論する「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」(中国戦略・管理研究会、北京大学歴史学部、北京市中日文化交流史研究会主催)は最終日の16日、中国の北京大学で沖縄の自己決定権や米軍基地問題、独立などを巡って意見を交わした。その中で、中国の研究者から沖縄の自己決定権行使に理解を示す意見が聞かれた。双方の発表者から、沖縄は東アジアの平和的要、交流の拠点として重要との意見が相次いだ。 最終日は、比屋根照夫琉球大名誉教授や又吉盛清沖縄大客員教授ら沖縄側7人、中国側12人、日本本土から2人が研究成果などを報告した。 比屋根氏は近代沖縄の知識人がアジアをどう見ていたかについて報告。「沖縄ほど抑圧の歴史を分かる人々はいない」と述べた。又吉氏は「沖縄戦の被害が大き過ぎて沖縄では戦争の被害の側面ばかり言われているが、加害責任も追及されねばならない。東アジアの人々と共通認識を持つためにも必要だ」と話した。 八重山郷土史家の大田静男氏は尖閣諸島問題に触れ「小さな島から見えることは、未来に向かって国民国家の壁を取り払い、共同体社会をつくり上げる必要性だ」と主張した。 松島泰勝龍谷大教授は「先住民族としての琉球人の自己決定権行使」、友知政樹沖縄国際大教授は「全基地撤去後、全補助金撤廃後の琉球・沖縄経済に関する一考察」と題し発表した。 新垣毅琉球新報東京報道部長は、なぜ沖縄で自己決定権が叫ばれているかを説明。「日中の紛争が起これば沖縄は真っ先に戦場になる。両国、あるいはアジアの懸け橋になる資格があるし、役割を果たせる。そのためにも自己決定権が重要だ」と強調した。吉田伸沖縄タイムス学芸部記者は在沖米軍基地の現状を解説し、日本本土側の無関心を批判した。<社説>「先住民族」撤回要求/併合と抑圧の歴史直視せよ
2016.04.29 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全943字)
沖縄の人々を「先住民族」とし、言語や文化、歴史の保護を日本政府に求めた国連勧告について木原誠二外務副大臣が「事実上の撤回、修正を働き掛けたい」と述べた。 木原氏は、国連勧告が「政府の立場と異なる」「わが国の実情を正確に反映していない」と認識しているようだ。しかし、琉球・沖縄の近現代史に照らせば、その認識自体が重大な問題を含んでいることが分かる。 米、仏、蘭3カ国と修好条約を結んだ国際法上の主権国家である琉球王国を日本政府が武力で併合したというのが琉球併合(「琉球処分」)の実相だ。「国際法違反」という研究者の指摘もある。 政府は琉球王国が独立国家であったかについての判断を避けている。それにもかかわらず「政府の立場と異なる」として国連勧告の撤回・修正を求める木原氏の姿勢は本末転倒だ。琉球王国に対する認識を明確にすることが先決ではないか。 勧告にある「先住民族」規定は、差別や人権侵害に苦しむ少数者の救済を目指す国連や国際社会の活動を通じて醸成された。沖縄の人々にあった「土地の権利」が奪われたことを重視したものでもある。 4度にわたる勧告は、琉球併合の実相を見据え、それに続く沖縄支配と抑圧を憂慮し、是正を求めたものだ。基地集中による人権侵害も是正の対象だ。 「先住民族」という言葉に対してはさまざまな意見がある。豊見城市議会は「沖縄県民は日本人であり、決して先住民族ではない」として勧告撤回を求めている。 しかし、少数者救済や「土地の権利」に基軸を置いた「先住民族」規定を踏まえ、差別の解消を政府に求める国連勧告は妥当だ。植民地支配にあらがい、自決権回復を目指した国際社会の経験に照らしても勧告は尊重されるべきだ。人種や血統の同一性のみを取り上げ、批判するのは筋違いだ。 勧告撤回・修正要求は、沖縄を苦しめる差別構造を放置すると国際社会に宣言するに等しい行為だ。勧告を実行に移し、差別構造を解消することが政府に課せられた責務である。 木原氏らに対する質疑で、国連勧告を「民族分断工作と言ってもいい」と発言した宮崎政久氏(自民)の認識もおかしい。差別の解消を求める県民の要求に逆行するものだ。沖縄の近現代史に対する理解を欠いている。これこそ沖縄を「分断工作」するものではないか。勧告は沖縄に危険/県民侮辱/先住民族撤回要求 国会議員に賛否
2016.04.29 琉球新報朝刊 9頁 国際 1版 (全1,150字)
【東京】木原誠二外務副大臣が、沖縄の人々を「先住民族」とする国連勧告に撤回を働き掛ける考えを示した件は、県関係国会議員の間で波紋を広げている。自民党国会議員からは「勧告は沖縄にとって危険な内容を含む」などと撤回に賛同があったが、慎重な意見もあった。一方、野党国会議員は「県民への侮辱だ」などと反発が大勢を占めた。 西銘恒三郎衆院議員(自民)は「国会議員の質問にコメントする立場にない。41市町村の市民、町民、村民は沖縄県民である。沖縄県民は日本国民である」と主張した。 国場幸之助衆院議員(自民)は「沖縄は言語学的にも民俗学的にも日本の源流を残す地域という特色もある。基地負担の在り方を含め、公平な国づくりの実現が不可欠だ」と指摘した。 宮崎政久衆院議員(自民)は「国連勧告は県民の知らない中で県民を先住民族とし、沖縄にとって危険な内容を含むことを広く県民に知ってもらいたい」と勧告撤回に賛同した。 比嘉奈津美衆院議員(自民)は「慎重かつ冷静に人権問題は議論しなければならないが、現状で県民は誇りある日本人として、政府から働き掛けていただきたい」と注文を付けた。 赤嶺政賢衆院議員(共産)は「勧告は国内の人権や自由を尊重するよう求めたもの。民意を一顧だにせず、新基地建設を押し付ける日本政府の姿勢こそ撤回されるべきだ」と訴えた。 下地幹郎衆院議員(おおさか維新)は「かつて『琉球』時代が長く『日本』でなかった時代があったのも間違いない。史実に基づいた学術的判断は政治家の領分ではない」とした。 照屋寛徳衆院議員(社民)は「国際機関の共通認識を否認し、撤回、修正を働き掛けるとの答弁は非常識。琉球王国の否定と併せ、構造的差別に抗(あらが)う県民への侮辱だ」と批判した。 玉城デニー衆院議員(生活)は「独特の文化、歴史、伝統、言語は今も県民の大切な帰属意識の源。それらを法的に保護し、差別を否定する勧告は政府も尊重すべきだ」と求めた。 仲里利信衆院議員(無所属)は「勧告は、基地の不均衡な集中や沖縄の歴史の否定が沖縄差別や人権侵害を招いていることを明らかにし、沖縄との対話を促しており評価する」とした。 島尻安伊子参院議員(自民)は「国連勧告への対応は外務省など関係省庁で適切に対応してもらえるだろう。沖縄振興を担当する大臣としてのコメントは控えたい」と言及を避けた。 儀間光男参院議員(おおさか維新)は「独自の伝統文化はあるが、それで先住民族と位置付けるのは拙速過ぎる。県民自体がその意識を持っているのか甚だ疑問がある」と指摘した。 糸数慶子参院議員(無所属)は「琉球併合は国際法違反で、本土防衛目的の沖縄戦、過重な基地負担など政府の沖縄差別は明確。政府は速やかに勧告を受け入れ是正すべきだ」とした。「屈辱の日」県民集会/返せ「本物の主権」/国際通りデモ 基地集中に怒り
2016.04.29 琉球新報朝刊 33頁 社会 1版 写図表有 (全732字)
「沖縄差別を許さないぞ」。サンフランシスコ講和条約の発効により沖縄が日本から切り離された「屈辱の日」に、約300人が国際通りをデモ行進した。沖縄の人々を「先住民族」として県民の権利の保護を求めた国連勧告の撤回に動きだす政府、県経済の米軍基地依存を誇大する高校教科書、今なお続く過重な米軍基地負担。64年がたってもなお、新たな沖縄差別が噴出する現状に、参加者は怒りを込めて声を上げた。(1面に関連) 米統治下の時代を知る高齢者から、沖縄の現状を知りたいと県外から足を運んだ若者まで、デモ行進には多様な年代が集まった。「平和な沖縄をつくるぞ」「本物の主権を回復するぞ」。先導車の拡声器から流れるシュプレヒコールに、参加者は「取り戻そう普天間」「フェンスを取っ払おう」と書かれたプラカードを掲げて呼応した。 平良猛夫さん(77)=那覇市=は「復帰したら日本国民として平等に扱ってもらえると信じていたが、そうはならなかった」と、復帰後も続く米軍基地の負担を嘆いた。 政府の国連勧告撤回の動きや高校教科書の記述問題についても憤り「歴史を知らない政治家が歴史をねじ曲げ、沖縄を利用している。オール県民で訴え、差別的な扱いを変えないといけない」と語った。 デモ行進した国際通りは、国内外の観光客や地元客でにぎわっていた。物珍しそうにカメラで撮影する観光客のほか、「今日は何の日? 何のデモよ?」と話す県内高校生の姿もあった。 「沖縄の人でも4・28がどういう日なのか分からない人が増えている。本土との擦れ違いも、屈辱の日が分からないことから生まれているのではないか」。宜野湾市の公務員、比嘉祐子さん(51)は、不平等の源流となった屈辱の日を風化させないよう、声を上げて訴えた。「先住民族」撤回要求へ/外務副大臣、国連勧告に/「国の実情 反映せず」/認識に隔たり
2016.04.28 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全980字)「先住民族」撤回要求/琉球王国の認識に違い/政府、「不正」認定を回避
2016.04.28 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全819字)
<解説> 国連が沖縄の人々を日本の「先住民族」と認識していることに対し、外務省が否定しているのは、歴史認識の違いによるものが大きい。それは1879年の琉球併合(「琉球処分」)まで琉球王国が独立王国として存在していたかどうかへの評価に深く関わっている。 国連が規定する「先住民族」は、他者によって土地を奪われた、もともとその土地に住んでいた人々を指す。血統や言語といった人種や民族的同一性や違いも指標にはなるが、最も重要なポイントは、そこの土地はそもそも誰のものだったかという「土地の権利」だ。 国連が沖縄の人々を「先住民族」と認めたのは(1)琉球王国が1850年代に米国、フランス、オランダと修好条約を結び、国際法上の主体=主権国家として存在していた(2)79年に日本によって併合され沖縄県が設置された(3)その後日本に支配され差別の対象とされた-主にこの3点を事実として認定したからだ。 一方、日本政府側は琉球王国が国際法上の主体としての独立国家だったかどうかについて「『琉球王国』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかでなく、確定的なことを述べるのは困難」という判断を避ける答弁を繰り返してきた。つまり公式には琉球王国の存在を確定的なものとして認めていない。 ただ、今回の国会答弁のように日本の先住民族は「アイヌの人々以外にいない」ということであれば、少なくとも1879年以前、琉球人は存在せず、琉球王国の国民は日本人だったことになる。琉球王国の存在を認めた場合、先住民族論に最も重要な根拠を与えることもあり、判断を避けているとみられる。 2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの「不正」を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つだろう。(新垣毅)「先住民族」撤回要求/「問題拡散へ焦り」「冷静議論を」/政党に賛否の声
2016.04.28 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全857字)
政府が27日、沖縄の人々を「先住民族」とした国連勧告の撤回を働き掛けるとしたことに、県内政党・県議会会派から「沖縄問題が国際社会に拡散されることへの焦り」「冷静な議論を求める」「早くやるべきだ」などと賛否の声が上がった。 自民県連は「政府が撤回を働き掛けると答弁したが、遅きに失した。基地の問題と人権の問題は次元が違う。本来なら県からも速やかに国連に撤回を申し入れすべきだ」と指摘した。 社民県連は「自民党が沖縄に基地犠牲を強要し続けるから国連に訴える。本質は国家による少数派への政治的差別。民俗学的な切り口だけで捉える宮崎氏の政治家の資質を疑う」と断じた。 県議会会派の県民ネットは「国連勧告は沖縄の言語や文化、人権の抑圧・侵害を国際的に示した。発言は沖縄問題が国際社会に拡散されることに脅威を感じた焦り」と指摘した。 共産県委は「米軍基地集中が『現代的形式の差別』とした勧告を受け止めていない。長年の米軍基地の重圧を容認し、沖縄特有の歴史、文化をも理解しない排外主義と結びつく」とした。 公明県本は「先住民族の捉え方はいろいろでデリケートな問題。基地問題や人権問題などと先住民族の議論は整理して考える必要があるのではないか。冷静な議論を望む」と要望した。 おきなわ維新は「王国として存在し、歴史から沖縄を見ると先住民族という見解もあり得る。しかし今日では県民に先住民族との意識はないと思われ、日本人そのものだ」と評した。 社大は「国連は沖縄を国際人権法の自己決定権を保障すべき集団としている。政府は国連勧告を受け止め、沖縄の民意を聞き、米軍基地集中などの差別政策を是正すべきだ」と訴えた。 民進県連は「国連は琉球の歴史文化の教育やシマクトゥバの使用促進を理解し、保護すべきと求めた。これを否定する自公政権の浅学で稚拙な態度にはあきれる」と批判した。 生活県連は「国連人種差別撤廃委員会が勧告する沖縄の歴史、文化、伝統を鑑み、ウチナーンチュが納得して未来に歴史、文化、伝統を伝えていくことが肝要だ」と指摘した。「先住民族」撤回要求/衆院内閣委質疑
2016.04.28 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全546字)
27日の衆院内閣委員会における質疑は次の通り。
宮崎政久氏(自民) 政府の立場として沖縄民族は先住民族だと認めているか。
外務省・飯島俊郎参事官 長い歴史の中で特色豊かな文化、伝統が受け継がれていると認識しているが、政府として先住民族として認識しているのはアイヌの人々以外に存在しない。
宮崎氏 (国連勧告は)国内法的、国際法的にどういう効力があり、どのような制約を受けるのか。
飯島参事官 委員会による最終見解や勧告等は法的な拘束力を有するものではない。
宮崎氏 県民の中にもさまざまな考えの方がいるし、自由もあってもいいと思っている。ただ、多くの県民は先住民族だと思っていない。民族分断工作と言ってもいいことを放置しないでほしい。私たち沖縄県民は紛れもなく日本人であり、先住民族ではない。政府には国連に抗議してこういう承服できない勧告を撤回させてほしい。
木原誠二外務副大臣 これまでも政府の立場と異なる意見、わが国の実情を正確に反映していない勧告、意見については事実上の撤回、修正をするよう働き掛けているし、これからもしっかり行っていきたい。豊見城市議会からいただいた決議もその過程の中でしっかりと反映をさせていきたいと思っている。どういったことができるのか、真剣に検討していきたい。「屈辱の日」巡る政府対応/「琉球民族」/定義避ける
2016.04.28 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全384字)
本土復 帰前には沖縄の住民を「琉球住民」として、日本国籍を持つ「日本人」と明確に区別していた日本政府だが、2008年の政府答弁書では「『琉球民族』の意味 するところが必ずしも明らかではない」として、場当たり的な対応に終始している。 答弁書は琉球民族の定義を明確にせず、沖縄に対して「沖縄振興計画に基 づき伝承されてきた文化的所産の保存、活用、地域の文化復興に取り組んでいる」とするにとどめている。 喜納昌吉参院議員(当時)が質問趣意書で、国連人 権委員会の「アイヌ民族および琉球民族を国内立法化において、先住民族と公式に認め、文化遺産や伝統生活様式の保護促進を講じること」とする勧告につい て、政府の対応をただしていた。 琉球民族を巡っては08年に国連人権委が沖縄固有の民族性を認め、歴史、文化、伝統、琉球語の保護を日本政府に求めた。 しかし、日本政府は勧告を受け入れていない。「先住民族」撤回要求/「人権侵害に目向けて」/県内関係者 副大臣発言に疑問/豊見城市議「後押し心強い」
2016.04.28 琉球新報朝刊 29頁 社会 1版 (全723字)
国連が「沖縄への米軍基地の集中は現代的な人種差別」という見解を示し、県民の権利を保護するよう勧告した中で示された「先住民族」という言葉を巡り、政府と国連の認識の違いが、木原誠二外務副大臣の答弁で浮き彫りになった。木原外務副大臣が国連勧告の撤回、修正を求める方針を示したことに対し、県内の関係者からは「言葉に固執せず日米の沖縄に対する人権侵害に目を向けるべきだ」などと指摘する声が上がった。一方、昨年12月に勧告の撤回を求める意見書を可決した豊見城市議会からは「政府の後押しは心強い」との声があった。 シールズ琉球の元山仁士郎さん(24)=国際基督教大4年=は「先住民族という言葉に固執せず、沖縄で日本政府や米国によって人権侵害が行われている点に目を向けるべきだ。国際法上も独立国だった沖縄を、日本が強制的に併合した歴史を踏まえて議論する必要がある」と指摘した。 沖縄国際大学の大城尚子(しょうこ)非常勤講師=国際関係論=は「沖縄の自己決定権がないがしろにされており、民意が反映されていない状況がある。木原氏は国内法で解決できないから国連が介入しているという事実を把握しているのか」と疑問視した。 親川志奈子さん(35)=琉球大大学院博士後期課程=は「沖縄から国連人権委員会の先住民族作業部会に参加し、国連特別報告者による調査も踏まえて出された勧告だ。政府はその議論を無視している」と批判した。 豊見城市議会が可決した意見書の提案者の新垣亜矢子市議は「意見書を政府として後押しする答弁があったことは心強く思う。先住民族であるかの全県的議論はこれまでになされたことはなく、多くの県民も自分たちが先住民族だという認識は持っていないと考える」と述べた。「先住民族」撤回要求/上村英明氏 恵泉女学園大教授/責任持ち歴史検証を
2016.04.28 琉球新報朝刊 29頁 社会 1版 写図表有<沖縄「先住民」論の地平>4/上村英明/歴史的正義の実現/現代に不正義連鎖/根底から本質的解決を
2016.04.08 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有<沖縄「先住民」論の地平>3/松島泰勝/定義するのは誰か/自ら「所属性」決定/政治的地位は住民投票で
2016.04.07 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有<沖縄「先住民」論の地平>2/大城尚子/土地へのアクセス権/自身が活用法決定/生活・文化と密接に関係
2016.04.05 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有<沖縄「先住民」論の地平>1/大城尚子/ILO条約と国連宣言/自己決定権を明記/事実から「行使主体」該当
2016.04.04 琉球新報朝刊 10頁 文化 1版 写図表有<論壇>比嘉学/豊見城市議会意見書と独立学会の抗議/沖縄人「先住民族」は史実
2016.04.02 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 写図表有グアム「独立」住民投票/知事発表、11月にも/「米属領」に不満
2016.04.02 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全887字)
米国グアム準州のグアム政府脱植民地化委員会は1日、11月にもグアムの独立などの是非を問う住民投票を実施することを決めた。同委員長のエディ・バザ・カルボ知事が公表した。グアム住民は米大統領選に投票できず、米連邦下院の代表者に議決投票権がないなど、民主主義の制度が制限された「米国の属領」的地位に、住民の不満が募っていた。グアムの米軍基地拡大計画も、グアム住民の意思に関係なく、米政府、米連邦議会が決定してきたとして、先住民のチャモロ人らから強い反発がある。 グアムには在沖米海兵隊約4千人の移転が決まっており、日米両政府は2013年10月に移転を20年代前半に開始することで合意している。カルボ知事も基本的には移転に賛同している。 投票する際の選択肢は「完全独立」「自由連合国」「米国の州」の三つ。「自由連合国」は、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島のように、内政権、外交権を持っているが、軍事権は米国が持つ国のことで、国連には加盟できる。 住民投票は、国連憲章で自己決定の原則を宣言した第1条(2)と第55条を根拠に実施する。 グアムは、国連脱植民地化特別委員会から「非自治地域」に登録されており、国連憲章では、統治国の米国に自治への支援を義務付けている。全ての人民は自己決定権を有し政治的地位を自由に決めることができるとする植民地独立付与宣言も根拠となる。 国連憲章第73条に基づき、米国にはグアムの住民投票の決定を尊重することが求められる。米政府が投票の結果を公認しない場合でも、国際社会や国連からの米国への圧力が予想される。 住民投票を目指すグアムの関係者と交流が深い松島泰勝龍谷大教授は「住民投票は、東ティモールと同様に、国連の監視下で行われるだろう。東ティモールも非自治地域にリスト化されていたが、住民が独立を選択して、独立を実現できた。米国もグアムの住民投票の結果を無視できない」と指摘する。 その上で「グアムは琉球と同じく植民地だ。国連、国際法、国際的なネットワークを活用して、グアムは具体的に脱植民地化のための歩みを進めている」と強調した。(新垣毅)<金口木舌>緩んだ地盤
2016.03.27 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全569字)
思わず読み返した。短文投稿サイトのツイッターで「琉球王国」はなかったと書かれていた。「藩としての『琉球國』しか存在したことありません(笑)」とあるが、全く笑えない ▼ネット上で話題になっている。やりとりから察するに、律令(りつりょう)制の「山城国」や「薩摩国」などの「国」と同列に論じ、「琉球国」も地方の一つと捉えているようだ。ちょっと待って、と言いたくなる▼ 考えてもなかった。当たり前と思っていた前提が当たり前でなくなる。よほど固いと思っていた地盤が、実は思いのほか揺らいでいたことに気付く。以前から危うかったのか、それとも急に危うくなったのか ▼2017年度から高校1年生が使用する教科書で、驚く記述が文科省の検定を素通りした。沖縄経済の基地依存度が「きわめて高」く、基地との取引で「ばくだいな」振興資金を沖縄は手にしているというのだ。教科書ってこんなに軽かったか ▼いまだこの手の誤解が跋扈(ばっこ)する現状にうんざりする。書く方も書く方だが、通してしまう政府の方が実は根が深い。従軍慰安婦といい、「集団自決」(強制集団死)といい、日本の歴史が試練にさらされている ▼かつてはマーカーを引いて暗記させられた。教科書の権威はどこへ行ったのか。そのうち「琉球王朝は藩の一つで独立国ではなかった」との記述が検定を通ってくる時代が来るのだろうか。米兵女性暴行 きょう抗議集会/やまぬ犯罪に憤り
2016.03.21 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全1,176字)
米兵少女乱暴事件を受け、1995年に開催された県民総決起大会から21年。8万5千人が集結し、再発防止の徹底を求めてきたが、13日には米軍キャンプ・シュワブ所属の米海軍1等水兵が観光客の女性に暴行したとして逮捕されるなど、米兵による性犯罪が繰り返されている。21日の緊急抗議集会を前に、95年の大会で実行委員長を務めた当時の県議会議長で元衆院議員の嘉数知賢さん(74)と、米兵による沖縄女性への性犯罪を考察してきた琉球民族独立総合研究学会共同代表の親川志奈子さん(35)に話を聞いた。---
親川志奈子さん(琉球独立学会・共同代表)/基地撤去しかない
1995年の米兵少女乱暴事件で沖縄は日米両政府に「再発防止」「日米地位協定改定」などを訴えたが、暴行事件はその後も繰り返され、地位協定も改定されていない。2014会計年度の米軍内の性的暴行は1万9千件とされており、もはや再発防止教育では防げないのは明らかだ。軍隊の暴力性が問題の根本にあり、性犯罪をなくすには基地を撤去するしかない。 沖縄でも米兵による性犯罪は少なくないはずだ。だが、被害者の落ち度を探して責めるような風潮がまん延しており、心ない中傷などにさらされることを恐れて被害者が告訴しにくい現状がある。表面化した米兵による性犯罪は氷山の一角の可能性が高い。 日本政府は事件が起きるたびに「米側に抗議した」と繰り返すが、真剣さがない。本気なら思いやり予算を削減したり、新基地建設を中止したりするはずだ。沖縄に基地を集中させ、性犯罪被害も沖縄の問題として矮小化(わいしょうか)しようとする構造的差別を可視化するため、基地を日本本土に移設すべきだ。先住民族勧告撤回/各議会の対応焦点に/豊見城市議 採択求め陳情書送付
2016.03.21 琉球新報朝刊 25頁 地2 1版 (全3,217字)
豊見城市議会が昨年12月に賛成多数で可決した「先住民族勧告撤回」の意見書をめぐり、賛否両派の動きが活発化している。20日、豊見城市で開かれた「国連先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」の設立決起大会で意見書採択の経緯を報告した。一方、琉球民族独立総合研究学会は意見書には事実誤認があるとして3月上旬、同市議会に抗議文書を送付した。(26面に関連) 意見書を提案、賛成した豊見城市議らは陳情書として各市町村議会に送付し、採択を求めており、各議会の対応が今後の焦点になる。 豊見城市議会は同学会からの抗議について、6月定例会で対応を決める。市議会事務局は「陳情書などは、議会運営委員会の前日までに届いた分を受け付けている。それ以降のものは次の6月定例会で取り上げることになる。3月定例会本会議前の議運は2月24日に開かれた」と説明した。 意見書を提案した新垣亜矢子市議は同学会からの抗議について、「市議会として6月に対応を決めることになる」と述べるにとどめた。設立決起大会で新垣市議は「意見書を修正し、陳情書として各市町村議会に送付している。3月議会か6月議会で審議してもらいたい。意見書をきっかけに、これまで声を上げられなかった人も声を上げてほしい」「県民にマイナスになることをほったらかすことはできない」などと述べた。
豊見城市議会の意見書と、意見書に対する独立学会抗議文要旨は次の通り。
<豊見城市議会意見書(全文)>
国連各委員会の「沖縄県民は日本の先住民族」という認識を改め、勧告の撤回を求める意見書
2015年9月14日~10月2日までスイス・ジュネーブで開催された国連人権理事会において、9月22日翁長雄志沖縄県知事の国連演説が行われた。知事の国連演説は、島ぐるみ会議が国連NGOの「反差別国際運動」と「市民外交センター」と調整をして実現した。この2つの国連NGOは「沖縄県民は先住民である」と国連に働きかけてきた団体であり、知事の発言枠は「市民外交センター」から譲り受けたものである。このような環境の中での翁長知事の発言は本人の発言内容や意図と関係なく「沖縄県民は先住民である」と誤った認識を世界に発信した。 何故なら2008年には既に、市民外交センターのアドバイスを受けた琉球民族独立総合研究学会松島泰勝氏の訴えで、国連から日本政府に対し、沖縄県民は先住民族で日本人ではないという勧告文が出されている。 その内容とは、「32.委員会は、締約国が正式にアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々を特別な権利と保護を付与される先住民族と公式に認めていないことに懸念を持って留意する。(27条)締約国(日本)は、国内法によってアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきである。締約国はアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々の児童が彼らの言語で、あるいは彼らの言語及び文化について教育を受ける適切な機会を提供し、通常の教育課程にアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々の文化及び歴史を含めるべきである。」というものである。これに対し日本政府は勧告を認めなかったが、国連は2010年、2014年に再度勧告を出している。 しかし、私たち沖縄県民の殆どが自分自身が先住民族であるとの自己認識をもっておらず、県民の知らないところでこのような勧告が出されているのは甚だしく遺憾であると言わざるをえない。 私たち沖縄県民は米軍統治下の時代でも常に日本人としての自覚を維持しており、祖国復帰を強く願い続け、1972年(昭和47年)5月15日祖国復帰を果たした。そしてその後も他府県の国民と全く同じく日本人としての平和と幸福を享受し続けている。 それにもかかわらず、先住民の権利を主張すると、全国から沖縄県民は日本人ではないマイノリティーとみなされることになり、逆に差別を呼びこむことになる。 私たちは沖縄戦において祖国日本・郷土沖縄を命がけで日本人として守り抜いた先人の思いを決して忘れてはならない。沖縄県民は日本人であり、決して先住民族ではない。よって、国連の各委員会には「沖縄県民は先住民である」という認識を早急に改め、勧告の撤回を求めるものである。更に、日本政府、沖縄県の各行政機関は、国連各委員会が「沖縄県民は先住民である」という認識を早急に改め、勧告の撤回をするよう働きかけることを要請する。 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成27年12月22日
沖縄県豊見城市議会
〈宛先〉外務省、内閣総理大臣、沖縄県知事
------
<琉球独立学会抗議文(要旨)>
2016年3月13日に開催された琉球民族独立総合研究学会第6回総会において以下の抗議、要求が全会一致で採択された。以下、豊見城市議会に対して抗議、要求を行う。 2015年12月22日に豊見城市議会において可決され、内閣総理大臣、外務省、沖縄県知事に送付され、同市議会ホームページ等で公開されている本意見書は以下の諸点において大きな問題を含んでおり、強く批判し、琉球民族独立総合研究学会に対する謝罪と、意見書の取り消し、松島泰勝に対する名誉の回復、HPでの本意見書取り消しの公表を求める。
1、本意見書の中で引用されている日本政府に対する国連の勧告は、1996年以来琉球人が実施してきた国連における脱植民地化運動の結果である。琉球民族独立総合研究学会の松島は2008年の国連勧告に直接影響を及ぼしたとは言えない。市民外交センターのアドバイスを受ける存在でもない。個人名をあえて公表し、虚偽の事実に基づいて名誉を毀損している。 2、米軍統治下においても琉球独立を求める幾つかの政党や市民団体が存在し、「反復帰論」という主張も展開されており、「常に日本人として自覚」していたとは言えない。「復帰」後も基地が押し付けられ、現在も現知事、名護市長をはじめ、ほとんどの「沖縄県民」が反対しているにもかかわらず、辺野古新米軍基地建設を日本政府は強行しており、「他府県の国民と全く同じく日本人としての平和と幸福を享受し続けている」とは言えない。 3、琉球人が先住民族としての権利を主張することで、国際法によりその集団的権利が保障され、国際的な支援を得ることで、現在の植民地体制から脱却し、辺野古新基地建設計画を止めることも可能になるのである。本意見書では、「マイノリティーになると差別を呼び込む」と主張しており、現在、日本で生活しているマイノリティーに対する差別意識を助長していると受けとめられかねない。 4、日本軍による住民虐殺、住民の強制集団死、住民の壕からの追い出し等、日本軍によって住民が殺害された事例が非常に多く存在し、「祖国日本・郷土沖縄を命がけで日本人として守り抜いた」とは言えないのが沖縄戦の実相である。 5、豊見城市議会が法的意見書において「沖縄県民は日本人であり、決して先住民族ではない」と断言することは、日本国憲法第19条で保障された琉球人の思想・良心の自由の侵害となる。自らの民族的な所属生を決定できるのは、その当人だけであり、人のアイデンティティ形成を尊重しなければならない。 6、本意見書の送付先として、当初、「国連人権委員会、国連人種差別撤廃委員会、国連脱植民地化特別委員会、国連先住民族会議」が含まれていたが、最終的にはそれらの機関が排除された理由が同議会議事録において明確にされていない。本意見書は国連の「先住民族」勧告を取り消すことが目的であり、その勧告先に送付しないでは、意見書の本来の効果を自ら損なうものとなる。効果のない意見書を、市民の税金を使って議会において審議し可決しており、税金の無駄遣いであり、市議会として市民の付託に応えていないと指摘できる。「植民地体制」脱却を/独立学会国際シンポ 先住民族の権利議論/宜野湾
2016.03.13 琉球新報朝刊 27頁 4社 1版 写図表有 (全760字)
琉球民族独立総合研究学会は12日、宜野湾市の沖縄国際大学で、「先住民族の自己決定権とは何か」をテーマに国際オープン・シンポジウムを開いた。共同代表の一人、松島泰勝龍谷大学教授はスカイプ(インターネット電話)を使って参加し「琉球人が先住民族としての権利を主張することで、国際法によりその集団的権利が保障され、国際的な支援を得ることで、現在の植民地体制から脱却し、辺野古新基地建設計画を止めることも可能になる」と訴えた。 松島氏は「先住民族は血によって定義されるものではなく、抑圧の歴史を共有した人民という政治的概念で、人民自らが決める」と説明した。 ハワイ大学大学院生の知花愛実さんは、ハワイの先住民族と沖縄人の共通性と違いから多くが学べるとした上で「民族性よりも、ウチナーンチュが権利主体であることが重要だ。権利の行使の仕方について丁寧に議論する必要がある」と主張した。琉球大学博士研究員の宜野座綾乃さんは「自己決定権の議論では女性への暴力や、女性の自己決定権という視点も大切だ」と提起した。 グアム政府脱植民地化委員会のエドワード・アルバレス事務局長はグアムの先住民族チャモロ人と沖縄人の歴史に共通点が多いとし「沖縄には豊かな歴史がある。次世代のことを考え、立ち上がってほしい」と強調した。グアム大学のマイケル・ベバクア准教授は「日本併合前の自分たちを思い出し、先住民族であることに気付けば、併合を美化する歴史から自分たちの歴史を取り返し、日本のしがらみから自らを解放することができる」と話した。 豊見城市議会が12月に「国連委員会の『沖縄県民は日本の先住民族』という認識を改め、勧告の撤回を求める意見書」を可決したことについて、同学会は13日に総会を開き、意見書に抗議し、謝罪と取り消しを求めることを決める方針だ。豊見城市議会「先住民族勧告撤回」意見書/主張拡散、学会は疑問視/識者「事大主義」指摘も
2016.03.13 琉球新報朝刊 31頁 地1 1版 (全1,391字)
豊見城市議会(大城吉徳議長)が昨年12月の定例会本会議で賛成多数で可決した「沖縄県民は日本人であり、決して先住民族ではない」と主張する意見書が波紋を呼んでいる。意見書は「国連各委員会の『沖縄県民は日本の先住民族』という認識を改め、勧告の撤回を求める」との内容。賛成した市議らが主張を広げる動きを加速させているのに対し、関係団体は「事実誤認がある」として意見書の取り消しを求め、識者は沖縄戦の歴史認識などに疑問を呈している。 意見書に賛成した市議らは意見書の内容を一部修正し、陳情書として県内各市町村議会に送付している。20日には、同市議らを中心に「国連先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」設立決起大会を豊見城市で開く予定。保守系の県議らも発起人となり、主張を広げていく構えだ。 一方、意見書の中で名指しで活動経過などが取り上げられた琉球民族独立総合研究学会は市議会に対し、謝罪や意見書の取り消しを求める方針を示している。同学会共同代表の松島泰勝龍谷大教授は「独立学会や個人名を出した上で、事実誤認があり、大きな問題点を含んでいる」と指摘する。意見書を提案した新垣亜矢子市議は「国連の勧告撤回が目的で、沖縄県民は日本人だとの主張が訴えの趣旨だ。個人や学会を攻撃するつもりはない」と述べる。
■自己決定権の要求 波平恒男琉球大教授(政治学)は「国連の諸規約にいう『人民』や『先住民族』の概念は確かに多義的だが、重要なのは外部から圧迫を受けているマイノリティー集団の『自己決定権』を尊重するという法の趣旨だ。沖縄県民は数の上からいえば圧倒的少数派で、それが基地問題に象徴される国政上の差別的処遇の理由となってきたのは明らかだ」と説明する。 「戦後も沖縄の人々は米国や日本という国家から圧迫を受けてきた。戦後もキャラウェイの時代に『自治権』が主張されたが、現在、国際法の用語で主張されている『自己決定権』(沖縄にとって重要な決定には沖縄の人々の民意や利益が反映されなければならないという)も、同じような権利要求にすぎない。意見書はそのような歴史や現実から目をそらし、権力に迎合していくというあしき事大主義の姿勢に立ったものと言わざるを得ない」と強調する。
■「戦死者への冒涜」 意見書は沖縄戦や日本復帰についてこう記す。 「私たち沖縄県民は米軍統治下の時代でも常に日本人としての自覚を維持しており、祖国復帰を強く願い続け、1972年5月15日祖国復帰を果たした。そしてその後も他府県の国民と全く同じく日本人としての平和と幸福を享受し続けている」「沖縄戦において祖国日本・郷土沖縄を命がけで日本人として守り抜いた先人の思いを決して忘れてはならない」 これについて、石原昌家沖縄国際大名誉教授は「沖縄戦で亡くなった人の死を冒涜(ぼうとく)する内容だ。数千人の沖縄戦体験者に聞き取り調査してきた者として、許すことはできない」と批判。その上で「元大本営参謀・厚生事務官の馬淵新治氏は、『沖縄作戦における沖縄島民の行動に関する史実資料』で日本軍が沖縄の住民をスパイ視したり、非国民扱いしたりして死に追いやったことなどを報告し、『皇軍のなれの果て』と表現している。政府が1950年代に認識していた真実を、被害に遭った沖縄側の議員が知らないというのはあまりに無知すぎる」と指摘している。(大城三太)豊見城市議会意見書 取り消しと謝罪要求/琉球独立学会
2016.02.29 琉球新報朝刊 30頁 2社 1版 (全130字)
琉球民族独立総合研究学会は26日、豊見城市議会が昨年12月の本会議定例会で可決した意見書について、取り消しと同学会への謝罪を市議会に対し求める方針を示した。意見書は「国連各委員会の『沖縄県民は日本の先住民族』という認識を改め、勧告の撤回を求める」という内容。北京の琉球人埋葬地 県内研究者有志、現地で発掘調査へ --->RS
2016.01.27 琉球新報朝刊 社会
1879年の琉球併合「琉球処分」前後に琉球の救国を訴えて中国に亡命、北京で客死した琉球人が眠る埋葬地が開発される危機に直面している問題で、県内の研究者ら有志は、現地に赴き発掘調査や遺骨・遺品の収集・保存に向けた取り組みに乗り出す。29日に会合を開き対応策を協議する。有志からは、調査・保存を中国との共同プロジェクトとして実施する案も出ている。このほか、県内外で遺骨などの保存を求める声が上がっている。 埋葬地があるのは北京市通州区張家湾で、首都機能の一部移転や大型テーマパークの建設計画があり、ことし中に工事が始まる予定という。有志は、北京の有識者や大学などと連携して5月に埋葬地を墓参する。その際に中国側に働き掛ける見通し。金城正篤、比屋根照夫の両琉球大名誉教授、友知政樹沖縄国際大教授らが参加する。 中心メンバーの又吉盛清沖縄大客員教授は「調査・発掘には中国側の全面協力が必要だ。日中の外交・交流窓口にアクションを起こしたい。県の北京事務所も巻き込みたい」と話した。 張家湾には久米村出身の士族で親雲上(ぺーちん)の位を持つ王大業の墓碑もある。29日の協議には王氏門中会の国場栄正元会長も参加する。大田捷夫(かつお)会長は「門中会の会員に協力を呼び掛け、調査・保存に向けて声を上げていく」との考えを示した。王大業直系の玄孫(げんそん)(孫の孫)の国場義一さん(64)=熊本市=は「ぜひ何らかの形でしてほしい」と求めた。 (新垣毅)Beijing’s Ryukyuan burial sites under threat of development --->RS
2016.01.04, Ryukyu Shimpo, Tsuyoshi Arakaki reports
There are burial sites in Beijing for Ryukyuans (Okinawans) who sought for the Chinese Qing Dynasty to save the Ryukyu Kingdom and who died in exile before and after the “Ryukyu disposal”, when the Ryukyu Kingdom was annexed by the Meiji government in 1879. The burial sites, which are located in apple fields, are under threat of development, without investigation, and the remains and their relics are still left there. Zhangjiawan Town, Tongzhou District, Beijing, where the burial sites are located, is included in the government development plan. Some of the capital functions will be moved to the area and a large theme park will be constructed. The construction will start this year. Chinese researchers on the history of relations between China and Ryukyu are striving to carry out excavation surveys and collect the remains, but time is limited. Several burial sites for the Ryukyuan people, including envoys, students from the kingdom and royalists who sought to save their country from Japanese invasion, are found at Zhangjiawan. The gravestone of Wang Dayie, a royalist from Kume Village belonging to the scholar-officials class of the kingdom, stands there. About 14 Ryukyuan people are buried in the apple fields of Li Chan An Cun, Zhangjiawan. The apple fields are surrounded by traditional courtyard residences, which retain the feel of the old days. However, it is still easy to excavate the remains because of the fields. Chinese scholars, including Bu Ping, the director of the Institute of Modern History, the Chinese Academy of Social Sciences, and Jiang Hong, a professor at Beijing Normal University, are striving to carry out an investigation to preserve the burial sites. Jiang said, “We will continue to work positively in order to excavate the Ryukyuan burial sites, restore and preserve them as proof of the history of friendship and exchange between China and Ryukyu for about 500 years.” Tongzhou District Office has a plan to build a museum. An official of the district said, “We want to carry out an investigation before the start of the development, and we will collect the remains and their relics to preserve them in the museum.” However, future challenges remain, such as creating a concrete plan and how to get a budget for the project. Seventeen Okinawan researchers, including Masaki Tomochi, a professor at Okinawa International University, sent a petition to Chinese scholars on December 14. Tomochi said, “The excavation and research for Beijing’s Ryukyuan burial sites and the restoration to preserve them are very important as proof of the long history of friendship and exchange between Ryukyu and China, and as a foundation for future friendship.” Morikiyo Matayoshi, an affiliate professor at Okinawa University, has carried out research on the Ryukyuan burial sites in Beijing for many years. Matayoshi said, “These burial sites are the place to prove that Ryukyu staged a campaign for national salvation as an independent country, and also proof that the Ryukyu Kingdom had friendships and exchanges with countries of East Asia. We can’t allow valuable sites to be destroyed. We should seek for Chinese officials to carry out an early investigation through the Okinawa Prefectural Government.”北京の琉球人埋葬地危機/「琉球処分」救国訴え客死/調査・収骨なく開発計画/研究者ら保存運動 --->RS
2016.01.04 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全924字)
明治政府によって琉球王国が併合された1879年の「琉球処分」前後に救国を訴えて中国に亡命、北京で客死した琉球人が眠る埋葬地(現在はリンゴ畑)が、発掘調査や遺骨・遺品の収集・保存がなされないまま、開発される危機に直面している。埋葬地がある北京市通州区張家湾は、首都機能の一部移転や大型テーマパークの建設計画があり、2016年中には工事が始まるという。中国の琉中関係史研究者が発掘調査や遺骨・遺品の収集・保存に向けて動いているが、限られた時間の中で課題は多い。 張家湾で数箇所確認されている琉球人埋葬地には、琉球からの進貢使、官生、救国を訴えた陳情使らが葬られているという。久米村出身の士族で親上雲(ぺーちん)の位を持つ王大業の墓碑も建っている。14人ほどの琉球人が眠るとされる張家湾鎮立禅庵村のリンゴ畑は、地元住民が住む長屋に囲まれ、昔からのたたずまいをうかがわせる。畑地なので、現状ならば発掘しやすいが、開発されれば困難とみられる。 中国社会科学院近代史研究所の歩平所長、北京師範大の姜弘教授らが調査・保存に向けて取り組みを始めた。姜教授は「琉球と中国の約500年に及ぶ友好往来の歴史の証しとして、北京の琉球人墓の発掘、保存、復元に前向きに取り組んでいきたい」と話している。 通州区では博物館を建設する計画があり、関係者は「開発前に調査したり、遺骨や遺品を発掘したりして、博物館に保管したい」と一層の取り組みの必要性を強調。予算の確保や具体的計画の策定は今後の課題だ。 県内でも調査や遺骨・遺品の保管を求める動きが出始めた。沖縄国際大の友知政樹教授ら有志17人は12月14日、中国の研究者に嘆願書を提出した。友知教授は「中国と琉球(沖縄)のこれまでの友好交流の歴史を長きにわたり伝える証しとして、また未来のさらなる友好関係を示す礎として、発掘調査、保護、復元整備は大変重要だ」と話す。 北京の琉球人埋葬地について長年、調査してきた又吉盛清沖縄大学客員教授は「琉球が一独立国として救国運動したことを証明する場であり、東アジアとの友好交流の証しでもある。価値ある場をつぶしてはいけない。沖縄県を通じて早期に公的調査をすべきだ」と話している。(新垣毅)喜納昌春県議会議長インタビュー/3修好条約 県内移管を/外務省保管原本「琉球独立の象徴」
2016.01.03 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全951字)
琉球国が19世紀に米国、フランス、オランダと締結した修好条約は国際法の専門家から「琉球が国際法の主体として主権を有していた証し」と指摘され、ことし2月には特別展出展のため、里帰りを果たし、注目を集めた。現在は外務省外交史料館(東京都港区)に保管されているその原本について、県議会の喜納昌春議長は「現代のわれわれが琉球の気概を学ぶ第一級の史料だ」として沖縄側への移管を求めている。喜納氏に思いを聞いた。(聞き手・新垣和也)
-3条約についてどのようなことを感じるか。
「琉球は小国といえども、大国と対等に条約を締結したということは大変なことだ。戦う武力がなくても、外交官としても優秀な通訳官がいて、立ち回りができた。琉球が独立国であったということを、当時の国々も認めていたということであり、それは厳然としている」 「明治政府は琉球を抑えるために条約を提出させた。琉球を今後認めないということであれば、それを燃やしてしまうこともできただろうが、しなかったことは良識ではあった。相手国に条約原本が残っており、外交上のセンスからの判断だったのかもしれない。それは条約が独立国の象徴だったからだ。歴史、人間の歩みに対する重さが条約原本にはあると思う」
-3条約原本の返還を求める考えか。
「われわれの先祖が結んだものであり、返還というよりは、あるべきところに戻してもらいたいということになるのではないか。現在も貴重に保存されているだろうが、東京にあっても光らない。琉球の時代の気概を、お互いや子どもたちが学び、知ることのできる第一級の史料だ。沖縄にも県立の公文書館があり、ぜひそこに置いてもらいたい」
-どのように働き掛けることが考えられるか。
「政府の方から返すと言い出すことは考えにくい。持ち出した経緯などに触れなければならないからだ。『やはり戻してもらいたい』と沖縄側から自覚的に取り組まなければならないと思う」
「県議会で決議や意見書として政府に伝えることができるのではないか。琉球が独立国であった象徴であり、子どもたちの学びにつながることについては与野党の違いなく取り組めることだと思う。こうした課題に取り組む運動の機運を高めることは県議会の役割だと考える。2月定例会のタイミングなどで働き掛けたい」全基地返還 3.5兆円効果/沖国大教授友知氏試算 県民総所得1.8倍/「基地は発展を阻害」
2015.12.05 琉球新報朝刊 5頁 経2 1版 (全706字)
沖縄国際大学経済学部の友知政樹教授はこのほど、県内にある全ての米軍基地が返還され、跡地利用が進んだ場合に生み出される「直接経済効果」は2兆7643億円に上るとの試算をまとめた。同様に自衛隊基地が返還された場合の直接経済効果は7843億円に上るとし、全体で3兆5486億円と試算した。県民総所得は2012年度の4兆165億円と比較して、1・8倍の7兆2902億円に上ると試算した。 これに対して米軍基地と自衛隊基地から派生する軍用地料や雇用、基地関係交付金などの収入は、12年度に2749億円。 友知教授は「基地は県経済発展の阻害要因であり、基地がないと食べていけないというのは幻想だ」と強調した。 県企画部がことし1月にまとめた、嘉手納より南の基地返還後の経済効果に関する試算を基に、対象施設を全ての基地に広げて積み上げた。跡地利用が進んだ後の個人や企業の経済活動が生み出す支出額を合算したもので、返還直後のインフラ整備が落とす収入については除外している。 県は、普天間基地など嘉手納より南の基地が返還されることによる直接経済効果を8900億円と試算し、返還前の現在の経済取引額の18倍に上ると試算している。 友知教授はこれに加え、沖縄市、北谷町、嘉手納町にまたがる嘉手納基地については、県が試算したキャンプ瑞慶覧やキャンプ桑江の返還効果を適用するなどして試算を追加した。 一方で、嘉手納弾薬庫など山間部分や離島にある基地については跡利用の効果が限定的として、経済効果の積算に含めていない。 友知教授は5日に沖国大で開催される三大学共同シンポジウム「戦後70年、地域経済の変容と展望」で、今回の試算を報告する。<シンポジウム「『基地の島』沖縄が問う-『辺野古移設問題』を考える-」>日本の変革迫る
2015.12.19 琉球新報朝刊 7頁 特5 1版 写図表有 (全4,323字)
シンポジウム「『基地の島』沖縄が問う-『辺野古移設問題』を考える-」(沖縄国際大学沖縄法政研究所主催、琉球新報社共催)が12日、沖縄国際大で開催された。市民運動、哲学、法律の観点から6氏が登壇し、県外移設、基地引き取り運動や代執行訴訟の行方などについて熱のこもった討論を行った。約370人が耳を傾けた。
<会場との質疑>
金城氏/「運動」日本人の意思/政治的判断で「独立」ある
石川朋子氏 会場からたくさんの質問が寄せられた。報告者に答えていただきたい。金城さんへの質問。(1)本土の引き取り運動はどう展開するのか。(2)独立論についてどう思うか。(3)「間違いをやめる」とはどういう意味か。
金城 大阪の引き取り運動は大阪にいる「日本人」が自らの意思でやっている。使っていない埋め立て地があって、先日、その近くの駅でビラをまいた。1月には八尾空港の近くでまく。具体的にその場所に出掛けていって、問い掛け議論していきたい。受け取る人が多かった。「えっ、何で?」と言う人がいて、インパクトがある。「引き取り運動」は運動体の中では少数派だが、それ以外では少数ではないのではないか。私たち沖縄人は一緒に動ける時は動く。自分たちが「引き取れ」と強いることはない。そういう感覚からは完全に次のところに行っている。
私は独立学会には入っていないが、独立論は大いに議論した方がいい。私にとって大事なのは、対等な関係を日本人がつくろうとしているのかどうかということで、沖縄を理解するということではない。違いを受け止めてほしいということ。同化、迎合をせずに、人権として対等な関係が日本の中でできれば、それが一番いい。それができなければ、政治的判断として独立はあり得る。独立は具体的に身近なものとして議論されるべきだ。
「間違い」について。「正しい」と思い込むと間違いに気が付かなくなる。日本では強い方が勝つという政治が行われている。日本の「正しさ」とぶつかる時、沖縄の「正しさ」がつぶされてきたのではないか。「正しい」ということそのものが暴力を持っている。「かなぐすく」を「きんじょう」に変えたように、琉球人は自分たちの名前すら日本人の正しさに合わせてきた。このような、暴力を受けた側が正さなかったことを間違いだと言っている。しかし、生き延びるために同化と迎合をせざるを得なかったので、先人たちの間違いを否定しない。そうしないと親たちは殺されていたかもしれない。間違いを共有することで、親たちの世代の間違いを自分たちが正していければいい。 …<沖縄本>実現可能な五つの方法/「琉球独立宣言」(松島泰勝著)
2015.12.05 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有 (全457字)新基地中止を要求/琉大で研究集会 平和学会有志が声明
2015.11.29 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 写図表有 (全516字)
… 親川志奈子琉球民族独立総合研究学会共同代表は「対米従属で辺野古に税金で基地を造ろうとしている日本こそが独立し、平和な社会を築いてほしい」と強調した。 …<あしゃぎ>「琉球併合」を客観的に
2015.11.25 琉球新報朝刊 14頁 文化 1版 写図表有 (全457字)
昨年、大著「近代東アジア史のなかの琉球併合」(岩波書店)を世に問うた琉大教授の波平恒男さん=写真=が21日、琉大史学会大会で「研究史における琉球併合論の位置づけ-歴史社会学の立場から」と題して基調講演した。 西洋政治思想史を専門としてきたが、「従来の『琉球処分』研究は、日本中心史観だったので不満を持っていた」と話す。復帰闘争の影響もあったと指摘し、「そろそろ公平・客観的に書くべきだと思った」と自著執筆の意図を述べた。 1872年の「琉球藩」設置について、明治政府が東アジアの関係再編を狙ったと分析。「日本は琉球藩王として冊封したのであって、『藩設置』とは言っていない。琉球王国が廃止されていないのに『琉球藩設置』と言うのは、後の時代の概念を当てはめる間違いだ」と批判した。その後、征韓論政変や台湾出兵を経て、79年に武力を背景とした「強制併合」に至る。 他の発表者と共に登壇した討論で独立論について問われ、「独立という選択が最初からないということは論理的にない。差別的政策に対して独立はあり得る」と指摘した。島の未来、自らの手で/独立学会シンポ 石垣で平和議論/国際社会へ訴えも提起 --->RS
2015.10.25 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全713字)
【石垣】平和や琉球独立について考える琉球民族独立総合研究学会のシンポジウムが24日、石垣市民会館で開かれた。登壇した八重山やグアムの関係者が石垣島への自衛隊配備計画や沖縄の米軍基地問題などについて意見交換した。地域で議論を深めて自ら決定し、国際社会に発信していくことの重要性を確認した。 独立学会員で島の未来を考える島民会議共同代表の新垣重雄氏は「あらゆる方法で戦争にならないよう努力することが重要」と訴えた。その上で「サンフランシスコ講和条約で沖縄は意見を聞かれてない。沖縄は軽く扱われてきた」などと差別されてきた歴史に触れ「石垣島では自衛隊配備問題に当たる。阻止するため反対の声をまとめなければならない」と呼び掛けた。 沖縄の米軍基地問題などについて、グアムの脱植民地化を訴えるグアム政府脱植民地化委員会事務局のエドワード・アルバレス氏は「グアムも沖縄も植民地と言える状況にある。国連の非自治地域のリストに載るような扱いを受けている」と指摘した。同リストに沖縄を載せることで「自治から離れた不当な扱いを受けていると国際社会にアピールすることができる」と提案した。そのほか「西表をほりおこす会」代表の石垣金星氏やグアム大学准教授のマイケル・ベバクア氏が意見を述べた。 討論会前に平和について基調講演した前竹富町教育長の慶田盛安三氏は、自身の戦争体験や八重山教科書問題を紹介し「いい戦争というものはない。弱い人が安全で楽しく暮らせる世の中がよい社会と考え、平和学習にも取り組んできた。戦争のできる国民意識を形成するような教科書は認められないと教科書問題に向き合った」と国からの押し付けでなく自ら決めることの重要性を強調した。特集「展望・自己決定権」/差別の歴史 終止符を
2015.10.18 琉球新報朝刊 16頁 特2 1版 写図表有 (全8,494字)
翁長雄志知事は9月21日、国連人権理事会で演説し「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と表明した。沖縄史上、初めて沖縄の行政のトップが国連で沖縄の問題を直訴した歴史的行動となった。訴えを受けて国連人権理事会が今後、日本政府に対し何らかの勧告をするのかどうか、対応が注目される。そもそも自己決定権とはどのような権利で、今の沖縄にとってどう有効なのか。これまでの海外での事例などを参考にした上で、識者に今後の自己決定権行使の展望などを聞いた。(編集委員・新垣毅)
【自己決定権とは何か】全人権保障の大前提
自己決定権は、土地の権利や人権など自らに関わる重要政策を中央政府が決定する過程に参加できる権利だ。国際法である国際人権規約(自由権規約、社会権規約)は各第1部第1条で、集団の権利として「人民の自己決定権」を保障している。この権利が両規約の冒頭に据えられているのは、集団が抑圧されると、集団に属する個人一人一人の権利も侵害されかねないからだ。いわば「人民の自己決定権」は、全ての人権保障の大前提となっている。外から加えられる圧力や搾取への法的壁となって、集団のメンバー個々の権利を守る役割を担う。国際法学者の阿部浩己神奈川大学教授(国際人権法学会理事長)によると、自己決定権は今や国際人権規約の範囲を超えて国際法の基本原則の一つとなっており、いかなる逸脱も許さない「強行規範」と捉える見解も有力という。自己決定権は全ての人民が有する自然権ともいえる権利で、マイノリティー(少数者)や先住民族などの集団も「人民」の概念に含まれて主張されている。自己決定権の主体である「人民」は一義的な定義はなく、エスニック・アイデンティティーや共通の歴史的伝統、文化的同質性、言語的一体性、領域的結び付きなどが目安になるが、その集団の自己認識が最も重視される。
■沖縄住民は「人民」か
沖縄の場合、ウチナーンチュ(沖縄人)というアイデンティティー(自己認識)が強く、琉球王国という歴史的経験、固有性の強い伝統芸能や慣習、しまくとぅば(琉球諸語)という言語的一体性、琉球諸島という領域的結び付きもある。歴史的にみると、外部からの一貫した抑圧や差別を受けてきた人々が被抑圧・被差別者として「人民」を名乗る場合が少なくない。いわば政治的概念の意味合いが強い。沖縄には琉球併合(「琉球処分」)や同化政策、沖縄戦、米統治、現在の過度な米軍基地集中などの被抑圧・差別の歴史的経験と現状がある。その意味で沖縄の人々は「人民」を名乗る主体たり得る。自己決定権は日本語では一般に「民族自決権」と訳されているが、沖縄では沖縄戦における住民の「集団自決」(強制集団死)を連想する「自決」という言葉が含まれているため「自己決定権」という言い方が一般的になっている。自己決定権には内的側面と外的側面がある。内的側面は既存国家の枠内で政治・経済・社会・文化の発展を自由に追求できる権利のことをいい、自治権とほぼ同義だ。その行使が著しく損なわれている状況では、さまざまな人権が重大かつ広範に侵害され続けられることにつながるので、外的側面として独立の権利がある。その行使は救済的分離の意味も含まれる。そのためには人民の半数を超える支持が必要とされている。
■国連の沖縄認識
自己決定権の内的側面は、世界の先住民族にとって権利主張の重要な権利となっている。先住民族とは先住性、文化的独自性、自己認識、被支配といった基準で定められる集団のことで、国連は2007年、「先住民族の権利宣言」を採択し、先住民族は自己決定権を有し、その行使に際して自律および自治の権利があると明言した。国は先住民に影響を与える可能性のある法律や行政措置を採択・実施する際は「自由な、事前の、情報に基づく合意(インフォームド・コンセント)を得るために、代表機関を通して」(同宣言)誠実に協議し、協力することが求められている。この規定で重要なのが、土地や領土、資源に関する権利だ。先住民族による自由な同意または要請がある場合を除いては、先住民族の土地または領域で軍事活動してはならないと明確に規定している。規定では、国が軍事活動のために土地を使う場合は、先住民族と事前に政策決定への効果的参加や協議を義務付けている。これは国家権力の行使を制限し、説明責任を求め、少数者の声を尊重する機会を保障していることを意味する。従来は、その参加と協議は先住民族の同意を意味していなかった。しかし、「先住民族の権利宣言」は「自由な、事前の、情報に基づく同意を得る」と踏み込んだ。すなわち、先住民族の同意を得なければ、先住民族の土地で軍事活動をしてはならない。国連NGOの「琉球弧の先住民族会」は沖縄人/琉球人は先住民族であり、琉球併合(「琉球処分」)は国際法に照らせば「違法」だとして、先住民族としての権利を国連に訴えてきた。その結果、国連は08年に琉球民族を先住民族と公式に認め、文化遺産や伝統生活様式を保護・促進するよう日本政府に勧告している。その後も、09年にユネスコが沖縄固有の民族性を認め、歴史、文化、伝統、琉球語の保護を求めた。10年には人種差別撤廃委員会が「沖縄への米軍基地の不均衡な集中は現代的な形の人種差別だ」と認定、日本政府に対し、沖縄の人々の権利保護・促進や差別監視のために、沖縄の代表者と幅広く協議するよう勧告した。しかし、日本政府はこうした勧告を受け入れておらず、国連はその都度「懸念」を表している。
■権利行使の意味
米施政権下で沖縄は「平和憲法への復帰」を掲げ、強力な運動を展開した経緯がある。しかし、「復帰」以降、憲法が定める平和主義や権利保障が、沖縄で十分発揮されてこなかったことへの不満やいら立ちが募っている。沖縄で連綿と続いてきた米軍基地から派生する人権侵害を終わらせたいという願いが国際人権法、とりわけ自己決定権への期待を高めているといえよう。名護市辺野古への新基地建設問題はその意思の象徴とみることができる。沖縄で自己決定権の行使を考えるとき、視野に入れるべきは国際法学者から「国際法上不正」と指摘されている琉球併合とその後も続く抑圧の歴史の連続性である。併合で失った「主権」の回復という視点は重要だ。沖縄は琉球併合を起点に、差別を伴う同化政策、沖縄戦、米統治、現在の過度な米軍基地集中と、自己決定権は侵害され続けてきた。沖縄はアジア・太平洋など幅広く交易・交流した長年の歴史的経験だけでなく、非武装平和・非暴力の理念を大切にする伝統が育まれてきた。沖縄戦でその大切さを身をもって理解している。だからこそ、沖縄が置かれた差別の歴史に終止符を打つ根本的解決策として自己決定権の行使は一層、重要性を帯びている。世界的に著名な平和学者ヨハン・ガルトゥング氏は沖縄は北東アジアの平和を築く拠点になれると提唱し、アジアの平和構想を沖縄から打ち立てることを促した。県の沖縄振興指針「沖縄21世紀ビジョン」は沖縄を「アジアの橋頭堡(ほ)」と位置付け「沖縄が持つ自然、歴史、文化、地理的特性などのソフトパワーは、我が国がアジアとの関係を深化させ信頼を確保していく取り組みにおいて、一層大きな役割を担い貢献する資源になり得る」と明記している。沖縄が自己決定権を行使し権利を拡大することは、こうした平和の創造に向けた主体性を発揮することにもつながる。それは沖縄の安全保障だけでなく、アジア全体の平和に貢献することにもなる。
<参考文献>
島袋純・阿部浩己責任編集「沖縄が問う日本の安全保障」(岩波書店)、松島泰勝著「琉球独立への道」(法律文化社)、上村英明著「新・先住民族の『近代史』」(法律文化社)、沖縄県議会議員経験者の会編「沖縄自治州」(琉球書房)
【国連の役割】勧告は政府への圧力
国連の勧告には法的拘束力はないが、定期的に国際社会に公表されることで、人権保護などに関して改善を促された国は「人権後進国」というイメージが付与される。日本政府は、沖縄の人々の人権に関する勧告を“無視”し続けているが、国連の勧告を機に、改善への動きが出るケースもある。例えば、昨年8月、国連人種差別撤廃委員会がヘイトスピーチを法規制するよう勧告したことを受け、国会では野党が規制法案を提出、国会で議論されている。国連NGO「市民外交センター」の上村英明代表(恵泉女学園大教授)は「国連の勧告は政府にプレッシャーをかける効果がある」と指摘する。日本の外務省には「国連はアメリカが中心だから、アメリカの言うことさえ聞いていれば国連の意にも沿う」という認識と、「国連は偉い」という絶対視する見方があるという。上村氏は「どちらも実態ではない」として「国連は組織・機構だから、なかなか動かないことがあるなど限界もあるが、いろんな国の人々が集い、NGOの意見を尊重する仕組みができている」と強調する。例えば、アフリカの代表は植民地から独立した歴史的経験があるので「植民地」や「自己決定権」といった言葉に敏感なため、沖縄の訴えが響く可能性が十分あるという。
【各地の事例】自治権拡大、独立も
世界には、植民地状況に置かれた地域が自己決定権を行使して自治権を拡大したり独立したりした事例が数多くある。今も自己決定の道を模索している地域は多い。中でも、広大な米軍基地を抱える沖縄との類似性で参考になるのが、ハワイやグアムなど太平洋諸島の地域だ。これらの地域は、国際法で保障された先住民族の権利や人民の自己決定権を根拠に、民間団体が国連の先住民作業部会に参加するなどして他国の先住民族と連携している。世界の先住民と連携/太平洋諸島
ハワイ
ハワイ王国は1810年に誕生し、諸外国と条約を結んで、43年には英仏が独立国家として承認した。やがてキリスト教の宣教師が政府機構に入り込み、白人勢力が権力を拡大し、先住民族カナカマオリを排除した。白人勢力は女王を追放し、王位を剥奪、98年に米大統領がハワイ併合を承認する。ハワイは1946年に国連の非自治地域リストに登録された。59年の住民投票の結果、米国の一州となり、リストから除かれた。ただ住民投票の選択肢は「現状維持」か「州」しかなく、カナカマオリの主権回復の道は閉ざされていた。米連邦政府はいまだにカナカマオリに自治権を与えていない。ハワイには米軍基地があり、オアフ島の約30%を米軍が占有、ベトナム戦争の時もカナカマオリの信託地が奪取された。カナカマオリは87年、自治組織カラフイ・ハワイを結成。「米国内国家」の実現を目指している。国連は98年、ハワイは国連の非自治地域リストに登録されるべきだと勧告した。
グアム
1898年の米西戦争で勝利した米国はスペイン領だったグアムを統治下に置き、海軍基地を建設、先住民族チャモロ人に英語を強制した。チャモロ語を使うと体罰を科すなどの同化政策を進め、米国への依存度を深めさせ、島を軍事基地として自由に使おうとした。チャモロ人は米大統領選での投票権がなく、グアム代表は米連邦下院議会での発言権はあるが投票権はない。同議会はグアムに影響を与える法律をグアム側の同意なしで採択することが法的に可能になっている。グアムは1946年、国連の非自治地域リストに登録され、今もリスト上にある。国連は米政府に対し、グアムの自治を向上させ、住民の政治的希望に誠実に対応するよう勧告しているが、米国は従っていない。グアム政府はコモンウェルスという自治性の高い政治的地位を獲得しようと80年、政府内に自己決定委員会を設置。国内外の法律・条約を研究し連邦政府と交渉を進めた。その結果、グアムに影響を与える法律や政策を策定する際には、グアム側の同意を得なければならないとするコモンウェルス法案が87年の住民投票で承認された。グアム代表は97年までに米連邦議会に4度も同法案を提出したが、チャモロ人の意向に左右されず、自由に軍事活動をしたい米政府は法案を拒否した。同年、グアム政府は脱植民地化委員会を設立し、将来の政治的地位として、独立国、自由連合国、州を検討することを決めた。
スコットランド/権利宣言で国内外承認
自らを先住民族と規定せず、国連の諸機関や国際人権法を直接利用することなく自己決定権を行使する事例もある。スコットランドでは「スコットランドの主権はスコットランド人が持っている」ことを宣言し、自治権を拡大、その後、独立運動へ発展した。権利宣言は、フランス革命時の憲法制定国民会議がモデルだ。スコットランド人による自治の方向性を議論するため、政党、団体、諸個人でつくるスコットランド憲法制定会議を設置し、1989年にスコットランドの主権や憲法制定権を持つことを宣言した。それを基に憲法に相当する基本法を制定。英国国会がそれを国会の制定法として法律化したため、独立への動きなど自己決定権の行使が国内外に承認されている。スコットランド議会設立の是非を問う97年の住民投票で74・3%の賛成票を得て、99年に議会が発足し、中央政府から権限委譲が大きく進んだ。中央政府の権限は国防、外交、貿易の自由、全国レベルの単一市場に関わる部分、社会保障制度に限られた。スコットランド議会に委譲された権限は、医療・保健、教育・職業訓練、地方政府、社会福祉事業、住宅、土地利用計画、経済開発、内務、司法、刑事法の大半、環境、農業、漁業、林業、スポーツ、芸術などに及ぶ。独立をめぐっては、昨年9月18日の住民投票で反対が55・3%で賛成44・7%を上回った。住民投票を率いた独立賛成派のスコットランド国民党の党員数は、投票時に約2万5千人だったが、その後10万人以上に達し、ことし8月上旬の同党支持率は60%を超えている。
<用語>国連の非自治地域
「人民がまだ完全には自治を行うに至っていない地域」のことで、植民地、属領といわれる地域が該当する。国連憲章第11章は「非自治地域に関する宣言」を設け(1)人民の進歩の段階に応じて自治を発達させること(2)地域の経済的・社会的・教育的状態に関する情報を事務総長に提供すること-などを、非自治地域を統治する加盟国に義務付け、国連の監視下で非植民地化を目指す。現在16地域が登録リストに残っている。県内には「沖縄は非自治地域登録を目指すべきだ」との声もある。
【識者インタビュー】
歴史創造の主体性回復/自治構想へ 県議会が鍵に/島袋純氏(琉球大学教授)
-知事の国連演説をどう見るか。
「自己決定権を明白に認識し、沖縄が有すると国際社会に訴えた。これで戦前・戦後史の抜本的な見直しが始まるだろう。軍用地のための不法な土地強奪や占拠は沖縄の自己決定権を完全に否定した形の軍事支配。1952年の対日講和条約第3条は沖縄の自己決定権を完全に無視しており、無効ということになる。72年の沖縄返還協定も不当だ。日本政府は沖縄の人々に政治的な地位と基地の取り扱いについて同意を求めるべきだった。沖縄には基地の処遇に自らの意思を実現させる権利がある。こうした歴史の捉え方の大転換が起こる。歴史を創造する主体性を回復する。そんな歴史観を知事は意識していると思う」
-現状をどう見るか。
「新安保法制で何が変わるかというと、米軍の指揮下に日本の自衛隊が入るという意味であり、自衛隊が日本の統帥権から離脱する。民主的統制が全く利かない軍隊としてどんどん肥大化する。沖縄は既に日米共同訓練の場となっており、その訓練の前に人権の犠牲は厭(いと)わない。人権侵害がひどくなる可能性がある。それに抵抗するためには、人権保障を実現する権利として沖縄の自治権や自己決定権を考える必要がある。立憲主義的統制下に米軍や自衛隊をどう抑え込むかが、主権国家として日本が再生するための最重要テーマ。これを念頭に日本全体と共闘しないといけない。沖縄が自己決定権を主張して人権を守るためにこそ権力や物理的強制力は存在するとして、立憲主義の下に統制していきましょうと提起することが一番分かりやすい」「国防に関しても自治体の役割が極めて重要だ。自治体は住民の人権を守るためにはまさしく政府と対等。これが地方自治の本旨であり、地方自治法の根本なので、住民の人権を犠牲にして国防を最優先にする発想は出ないし、あり得ない」
-今後の課題は。
「自己決定権の確立にとって重要なのは権利宣言だ。権利章典ともいう。人権条項と主権在民を宣言し、この部分を後に憲法や基本法に入れ込む。人権とそれを守る憲法や基本法の制定権力が私らにあるという宣言だ。人民の代表からなる最も民主的に権威のある組織で宣言を行う必要がある。2013年の建白書が似ている。あの方式で集まった人たちが権利宣言する。沖縄の人々に人権があり、自己決定権を持つと権利宣言する。これは強力な立憲主義の出発点になる。その権利に基づき、沖縄の自治や政治はどのような姿がよいかを構想していけばいい」
-具体的な展望は。
「県議会がキーだ。県議会や立法院は人権と自治権、主権回復に関する決議をたくさんしてきた。62年の2・1決議もそうだ。建白書の方式が望ましいが、まずは県議会の単純過半数でもいいから、権利宣言のようなものを作り、それから可能な限り全会一致や建白書方式を目指す。内容は、人権があり自己決定権がある、と主張した知事の国連演説の文言を基盤にすればよいのではないか」(政治学)
日米政府と対等交渉/沖縄内格差の積極的議論を/大城尚子氏(沖縄国際大学非常勤講師)
-現状をどう見るか。
「翁長雄志知事は琉球併合時の教訓を生かし、大きな力に頼らず、自らの力で協力者を募りながら日米両政府と対等に交渉しようとしているように見える。一方の日本政府は専ら『安全保障論』を使い、リアリストのように振る舞っているが、その主張は自らの外交政策に反する。日本の外交の柱の一つに、人間を中心に置いた『人間の安全保障』という考えがある。これは軍事力に頼る安全保障とは真逆の発想だ。例えば、自衛隊がスーダンで活動しているのは人間の安全保障という概念が軸だ。政府は基地問題において人間の安全保障論を議論していない。外交と内政に矛盾、あるいは二重基準を抱えている」
-沖縄の自己決定権行使をどう考えるか。
「翁長知事が言う、土地の強制接収で普天間基地が建設されたという『そもそも論』を日本政府は問題にしていない。それは沖縄振興策における本島北部と中南部の開発の差の問題と似ている。北部圏の基地縮小が明記されたのは第3次振計が初めてだが、普天間移設問題が浮上した1990年代後半の状況変化を受けて2001年以降の計画では、その文言が再び消えた。基地は縮小しないという姿勢が明らかだ」
「中南部のインフラ整備が進み、北部の開発が遅れたため、沖縄内で格差が拡大した。中南部では基地返還が進み、政府も基地が経済の阻害要因と認めているが、北部圏に関してはそれが北部に基地建設を促す要因の一つになっている。沖縄内で地域格差が一層進み差別的構造がつくられている。沖縄人の中でそれを問題と捉え、積極的に議論すべきだ」
「ただ、ここでも強制接収された土地の問題に目を向けることが重要だ。自己決定権をいうなら、沖縄内部の差別、北部の振興をきちんと考えるべきだ」
-具体的な行使の在り方はどうあるべきか。
「必要なのは、インフォームドコンセント(正しい情報を伝えた上での合意)だ。沖縄内の地域関係、そして沖縄と政府との関係が、それぞれ対等であることが根底にあるべきだ。そうでないと、何らかの解決策を見つけるための事前協議が、一方の考えを押し付ける構造になってしまう」
-自己決定権の展望は。
「沖縄人の中に、対日本人に対する消極的姿勢を感じる。日本人と沖縄人を区別することは、日本人を排除するものではなく、違いを見つけ、そこから互いが尊重し合う関係をつくるために重要だ。脱植民地主義を実現するには、日本人が基地の押し付けという暴力をやめることが必要だ。米軍基地偏在問題に日本人の沖縄差別が根強く、色濃く表れている。琉球併合プロジェクトが今も継承されていると認識すべきだ」
「また、他の国の先住民族が沖縄は先住民族として認めていることを知り、互いに情報交換をする場があることが望ましい。特にアジア圏にいる先住民族との交流によって、より共通点を見つけることができる」
(国際関係論)<あしゃぎ>東アジア平和の触媒に
2015.10.01 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有 (全463字)
昨年8月に発足した「琉球・沖縄の自己決定権を樹立する会」の7人の幹事代表の一人で事務局を受け持つ大村博さん=写真。論文集「うちなーの夜明けと展望」出版をやり遂げ、24日に第2回総会を控えている。「あの本は遺言書のつもりだから、これでゆっくりしたい。運動を若い人たちに引き継ぎたいね。事務局体制も整えなければ」と2年目の課題を挙げた。 総会では会の名称についても議論になりそうだ。「独立国だった時代があり、自己決定権を持っていた。だから、樹立ではなく回復とすべきではないか」という指摘があり、「回復し樹立する会」への改称が提案されているという。 総会に合わせてシンポジウムも開かれる。海勢頭豊さんの映像と歌と語りに続いて、石川元平さん、川満信一さんらが討論する。 「安倍政権によってヤマトの強権的意思が見えるようになった」と話し、「琉球民族が自意識を持って人間解放という形でまとまれば大きな力になる。ヤマトにも理解する人たちが増えてくる。沖縄は東アジアの平和と民主主義の触媒になれる。それだけの文化力を持っている」と力説した。ACSILs holds forum on Ryukyu independence in New York --->RS
2015.09.29 Ryukyu Shimpo Sakae Toiyama reports from Washington DC
On September 27, the Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans (ACSILs), an organization engaged in interdisciplinary research aiming to achieve Ryukyuan independence from Japan, held a forum at New York University in New York. The five speakers presenting at the forum were ACSILs co-representative and Ryukoku University professor Yasukatsu Matsushima, University of Illinois professor emeritus Koji Taira, Okinawa Association of America president Shingi Kuniyoshi, Okinawa International University professor Masaki Tomochi, and University of California, Riverside professor Annmaria Shimabuku. The speakers discussed the issue of Ryukyuan independence from various angles. Professor Matsushima described the history of US base construction in Okinawa and the current situation, and then discussed the grounds for and methods to achieve independence. He stated, “In order to remove all the US bases from our island, Okinawa should become an independent nation.” Professor Taira, an economist and proponent of independence, talked about the history of the Ryukyus and discussed Ryukyuan independence from a global perspective. Kuniyoshi, who has worked on environmental clean-up of U.S. base land after it has been returned, talked about how the U.S. Department of Defense deals with environmental clean-ups, including the legal framework, disclosure of information, and record-keeping. He noted as issues relating to the U.S. bases in Okinawa the lack of an environmental restoration program and the need to better manage dangerous substances and deal with pollution caused by leakages. Professor Tomochi discussed the history and culture of the Ryukyus as an independent nation. Referring to the current issues of the relocation of MCAS Futenma to Henoko, Nago and the forced deployment of the MV-22 Osprey, he emphasized that today, Okinawa remains a colony of the United States and Japan. Professor Shimabuku advocated for Okinawan sovereignty from the perspective of legal philosophy. She proposed the potential for independence based on the idea of relocating MCAS Futenma outside of Okinawa and the movement of the Okinawan diaspora. Forum attendees asked questions about the proportion of people in Okinawa who support independence, the prevalence of Uchinaaguchi speakers in Okinawa, and the possibility for solidarity with Ainu people. (Translation by T&CT and Sandi Aritza)<ワシントン発>独立の正当性強調/琉球独立学会 NYでフォーラム --->RS
2015.09.29 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全624字)
【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】独立を目指し学際的な調査研究を進める琉球民族独立総合研究学会は27日、米ニューヨーク大学で「琉球独立」をテーマにフォーラムを開いた。共同代表の松島泰勝龍谷大教授、平恒次イリノイ大学名誉教授、国吉信義北米沖縄県人会会長、友知政樹沖国大教授、アンマリア・シマブク・カリフォルニア大学リバーサイド校准教授の5人が登壇し、多角的に問題提起した。 松島氏は米軍基地の形成過程や現状を説明しながら、独立の根拠や方法を説明した。「私たちの島から全ての米軍基地をなくすために独立国家になるべきだ」と訴えた。 沖縄独立論者で経済学者の平氏は琉球の歴史やグローバルな観点から琉球独立を説いた。閉鎖された米軍基地の環境浄化の担当官を務めた国吉氏は環境浄化に対する法律に基づく枠組み、情報公開、記録保全など米国防総省の対応を説明した。その上で在沖米軍基地の問題点として、環境回復プログラムがないことや危険物資管理、汚染流出への対応の必要性などを挙げた。 友知氏は独立国家であった琉球の歴史、文化を紹介した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題やオスプレイの強行配備を挙げ「沖縄は依然として日米の植民地である」と強調した。 シマブク氏は法哲学の観点から主権を説き、普天間の県外移設と沖縄人の離散の動きから独立の実現性を提起した。 会場からは県内での独立賛成者の比率やうちなーぐちの普及率、アイヌ民族との連携などについての質問が出された。ヨハン・ガルトゥング氏が語る「積極的平和」と沖縄/「平和の傘」推進提唱/安保法案は時代遅れ/北東アジア共同体本部 誘致を
2015.08.27 琉球新報朝刊 16頁 特2 1版 写図表有 (全8,882字)
…。 今、世界の趨勢(すうせい)は地域の共同体で行動するのが一般的だ。その視点で見れば北東アジアのこの一帯は、ある意味遅れている。EU、アフリカユニオンのAU、東南アジアのASEANがある。 ECは賢明で小さい国ベルギーを意識して本部の場所に選んだ。将来北東アジアの国際組織をつくるとき、その視点から見て本部は沖縄がいいと思う。「琉球処分」に対する反省も含め、特別な地位がある重要な県として沖縄を意味あるものとする。私が提唱したいのは小さくても独立国家としての沖縄がいいのか、国際機関の本部がある特別県とした方がより意義があるのか、ということだ。 …。
<パネリストの発言>
…。
我部政明・琉球大教授/独立・自立的振る舞い必要
…。 ガルトゥング氏は北東アジア地域は六つとおっしゃったが、その中に沖縄は入っていない。「日本の一部である」という見方だ。つまり主体として沖縄はここに入っていない。基地問題を解決するには、沖縄は主体となり得るかどうかが重要だ。今、知事と官邸は一対一で協議しているが、権限や背負っているものは決して一対一ではない。沖縄は47分の1、(人口は)100分の1、面積は0・6%となっており、対等関係になっていないというのが「日本の中の一部である沖縄」という考え方だ。 沖縄がどう北東アジアと関われるかというと、水平な関係、つまり公平な対等関係になり得るかどうかが大変重要だ。これが構築されない垂直的関係が、ガルトゥング氏が言うように構造的暴力を支えている。東京と沖縄の関係が垂直的関係にあるので、今のところ解決に至りにくいだろう。独立あるいは特別県であれば、水平的関係、すなわち対等な関係の形になる。 それを目指すのであれば、沖縄の人は独立・自立的な振る舞いをすることが大切だ。自分たちは自分たちであり、相手と対等な関係であるという立場や気持ちをもって相手と話をしない限り、相手はそのように認めないだろう。…。<声>沖縄県は独立しては/鈴木晃 75歳
2015.08.23 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版「国内で自治権拡大を」/国連報告者コープス氏 沖縄独立論で助言
2015.08.17 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,051字)
国連特別報告者のビクトリア・タウリ=コープス氏はシンポジウムで沖縄の独立論についても言及した。島ぐるみ会議の島袋純琉球大教授は来場者からの質問とした上で「独立が国連で認められる手続きや過程があるのか」と問い掛けると、コープス氏は「パレスチナのように他国から独立を認めてもらい、その上で国連にも認めてもらう必要がある」と述べ、独立への第一段階として諸外国から独立国と承認される必要があるとの見方を示した。 島袋氏は「独立することも含めて自己決定権はあるはずだが、国連だけで独立を認める手続きはないのか」と確認した。 コープス氏は「自己決定権の拡大は段階を踏んでいく必要がある。まずは日本に属しながら自国で自治権の範囲を広げていくことが重要だ」と述べ、沖縄の自己決定権を国会や日本政府に承認させる必要があると強調した。独立については「より厳しいことだが、皆さん次第だ」と述べ、県民の選択を尊重する考えを示した。 9月に国連で演説する予定の翁長雄志知事に対しては「沖縄がどのような問題に直面し、日本政府にどのような要求をしているのか明確に説明することが重要だ」とした上で「過去の報告書に言及した上で、(日米両政府に対し)『国連の提言をきちんと実現すべきだ』と繰り返すべきだ」と助言した。 会場でシンポジウムを聴いた沖縄国際大学非常勤講師の大城尚子さん(35)は「国連の特別報告者が沖縄に来てくれたのは素晴らしいことだ。沖縄が自己決定権を拡大するためには何をすべきかという課題が明確になった」と話した。平和学の権威 ヨハン・ガルトゥング氏講演会/22日午後2時 浦添市てだこホール大ホール/「積極的平和」を希求
2015.08.08 琉球新報朝刊 22頁 特2 1版 写図表有 (全2,034字)
…。 2000年代に入り、国内で行った講演の中でガルトゥング氏は1879年の「琉球処分」や沖縄戦、日米安保下における沖縄の犠牲に触れ「沖縄問題の結論を言うと、日本政府には歴史的に見てほとんど正当性がない」と指摘。「沖縄がより高い自治権をもって独立すべきです。そして那覇は将来、東アジアの国際会議場に、もしくは日本と台湾との貿易の窓口にするのです」と提唱した(岩波ブックレット「平和を創る発想術 紛争から和解へ」、2003年)。<第33回 琉球新報 読者と新聞委員会>屈せず沖縄問題発信を
2015.08.02 琉球新報朝刊 13頁 特1 1版 写図表有 (全5,012字)
…。 仲吉 世論調査で「自己決定権を広げていくべきだ」が87%で、沖縄の方向性は「日本の一県」とするのが66%。識者は「矛盾する」と述べているが、私はそうは思わない。現実に生活する人々は独立という大きな変化を求めているわけではない。私の世代は本土側からの構造的な差別に対する思いを持っている。琉球処分以降の歴史的経緯、異民族支配などは理解しているが、それでもいずれ差別は解消されると思っている。復帰を私たち自身が選び取ったことは重い。 …。<論壇>友知政樹/普天間基地撤去と新基地反対/独立の観点から議論を
2015.07.24 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 写図表有民主沖縄研究会 細野氏が会長に/参院議員会館で初会合
2015.07.10 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全407字)
【東京】過重な米軍基地負担が続く沖縄の歴史を知ろうと、民主党は沖縄研究会を設立し、参院議員会館で9日、第1回会合を開いた。会長に細野豪志政調会長、会長代行に荒井聰「次の内閣」沖縄担当相が就任した。細野氏は「沖縄は基地問題という大きな問題がある。歴史的背景を踏まえ本腰を入れて考えていきたい」と述べた。研究会は月内にも2回程度、沖縄での会合も予定している。 第1回会合は琉球大学名誉教授で琉球史に詳しい高良倉吉前副知事が近世を中心に沖縄の歴史について講演した。琉球王国は薩摩藩に侵攻された後も「日本、中国のどちらにも完全にのみ込まれず、主体性を持っていた」などと述べ、独自の歴史を歩んだと説明した。 出席議員からは沖縄独立、自治州の可能性や昨年の知事選などの結果について質問があった。高良前知事は選挙結果については明言せず、独立論には「政治家の提案ではなく、県民の中にその意思があるかを知る必要がある」と指摘した。<社説>沖縄戦体験/語り継ぐことに現代的意義
2015.06.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全931字)
戦争の足音が聞こえる。そんな危機感が徐々に「水位」を高めているのではないか。 今回の琉球新報・沖縄テレビ戦後70年合同世論調査の結果は、そのような県民の皮膚感覚の反映と言えるだろう。国会審議中の安保法制については反対が73%に達し、賛成の16%を大きく上回った。 自衛隊の活動範囲を世界中に広げることについても、憲法9条改正についても同様だ。自衛隊の活動拡大が日本への攻撃を呼び、9条改正が戦争への歯止めをなくす。すると沖縄が再び戦場になり、耐えがたい惨禍を招く。真っ先に戦場にされかねない沖縄だからこその直感だ。 基地集中のありさまを見れば、安保法制の最大の当事者は沖縄だ。当事者の同意を得られない安保法案はやはり廃案にするほかない。拙速審議は断じて許されない。 それにしても、県民の軍事基地への反発、平和希求への思いの強さなど、「沖縄らしさ」の全ての原点は沖縄戦体験にある。それをあらためて思い知らされた。 沖縄戦体験の継承について、「もっと語り継ぐべきだ」が75%と、「現在の程度」19%を大きく上回った。前述の安保法制、自衛隊活動拡大のいずれも賛否の差は約60ポイント、9条改正も大差で、似た傾向にある。県民がこれら一連の「戦後レジーム(体制)見直し」の動きと沖縄戦を関連付けて受け止めていることを物語っている。 沖縄戦を知るからこその、安全保障に対する皮膚感覚なのであろう。「もっと語り継ぐ」ことの現代的意義はここにある。安保法制が変わり、戦争の可能性が変わりかねない今だからこそ、過去の経緯と戦場の実際を正確に把握しておくべきなのである。 興味深いのは自己決定権拡大を求める声が88%に達したことだ。辺野古新基地建設をめぐる、民意を無視した政府の強硬姿勢に対する反発の表れなのは間違いない。 半面、今後の沖縄について「現行通り日本の1県のまま」は67%を占めた。自己決定権と一見矛盾する結果だ。矛盾を読み解く鍵は「不安」ではないか。独立または特別自治州になることへの漠然とした不安の反映だとも考えられる。 不安は常に知識不足と表裏一体である。自己決定権を確立する道筋、確立した場合の社会の在り方を、冷静かつ正確に提示することが論議の手始めとなろう。<沖縄戦70年>新報・OTV世論調査/「沖縄戦継承を」94%/自己決定権拡大87%/政府は配慮不足54%
2015.06.03 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全922字)
琉球新報社と沖縄テレビ放送(OTV)は戦後70年の「慰霊の日」を前に5月30、31の両日、電話による世論調査を実施した。調査結果によると、戦争体験の継承については「もっと戦争体験を語り継ぐべきだ」との回答が75・4%に達し、「現在の程度で語り継げばよい」の19・4%を大きく上回り、全体で94・8%が戦争体験を継承すべきだとの認識を示した。一方、米軍普天間飛行場移設問題などさまざまな課題を抱える沖縄が、沖縄のことは自ら決める「自己決定権」については、87・8%が「広げていくべきだ」と回答した。(2、3、28、29面に関連) 「自己決定権を広げるべきだ」との回答が約9割に上った背景には、普天間飛行場の県内移設に県民の大多数が反対しているにもかかわらず、日米両政府が民意を無視して移設を推進していることに対する反発などがあるとみられる。 戦後70年が経過した中で「政府はこれまで沖縄に対して外交や地域振興などの施策について配慮してきたか」との問いに対しては、「配慮が不十分」「どちらかと言えば配慮していない」を合わせて54・2%と過半数となった。一方、「十分配慮してきた」「どちらかと言えば配慮してきた」を合わせて41・4%だった。 県内で在沖米軍基地が「必要」と答えたのは38・6%で、その半数が理由として「日本や周辺地域の安全を守るため」とした。 一方で「必要ない」と回答したのは58・6%で、理由のトップは「沖縄の基地負担が重すぎるから」(43・0%)だった。 将来の沖縄の方向性については「日本の中の一県のままでいい」が66・6%で最も多く、次いで「日本国内の特別自治州などにすべき」が21・0%だった。「独立すべき」は8・4%だった。 憲法9条の改正については改正する必要があると回答したのが24・0%で、改憲で重視すべきものとしては「自衛隊が国際活動を拡大するにあたり歯止めの規定を設けるべき」が46・7%で最も多かった。 「沖縄戦の体験を伝えていくためにはどのような取り組みが必要か」については「学校現場での取り組み」が41・2%、「戦争体験者による語り継ぎ」が31・4%、「行政による平和関連事業の充実」が22・8%だった。新報・OTV世論調査/調査結果、こう見る/県民意識より鮮明に
2015.06.03 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全1,396字)
琉球新報社と沖縄テレビ放送が戦後70年の「慰霊の日」を前に実施した世論調査で、戦争体験を継承すべきだとした回答が94.8%に上ったほか、米軍普天間飛行場の県内移設反対が83.0%に達した。沖縄の自己決定権拡大についても87.8%が「広げるべきだ」と回答した。今回の調査で示された県民意識について、沖縄戦体験者や識者などそれぞれ見解を聞いた。
・証言活動に手応え/中山きくさん(戦争体験者)
若い人を含め、多くの県民が戦争体験を伝える大切さを理解していることにほっとした。戦後生まれの人が戦争をどう思っているのか常に心配してきた。特に20代の8割以上がさらなる継承を求めているのは、多様な分野に継承活動が広がった成果だと思う。逆に40~50代が子どもだったころは戦争体験を伝える機会が少なかった。今後も体が続く限り証言を続けたい。 20年以上、懸命に継承に取り組んできたが、一人一人にできることは限られている。年齢に沿って段階的に戦争の姿を伝える必要がある。国民全体に伝えていくには教科書が大切だ。「集団自決」(強制集団死)への軍の関与に関し、記述が薄められる流れを憂えている。 安全保障法制は絶対に戦争につながる。国会中継を見ても納得のいかない答弁が繰り返され、理解できない。国会で数の暴力によって決められてしまわないか心配だ。多くの県民も反対していると思う。(談)
・知事発言、共鳴呼ぶ/照屋義実さん(島ぐるみ会議発起人)
翁長雄志知事が覚悟を決め「新基地は造らせない」と事あるごとに表明していることが、県民の間で共感、共鳴を呼んでいるのではないか。翁長知事の決意が幅広く県民に浸透してきていることで、「県内移設に反対する」が83・0%という数字になって示された。 5月17日に沖縄セルラースタジアム那覇で開催された県民大会では涙を流す人もいたと聞いた。翁長知事の「うちなーんちゅ、うしぇーてぇーないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)」という発言などが県民の琴線に触れたのだろう。各地で島ぐるみ会議の支部が設立されるなどこれまでと決定的に違ううねりがある。 さらに辺野古埋め立て承認の取り消しを支持するとした回答が77・2%に上ったのは大きい。県民の負託を受けた知事として、辺野古新基地建設阻止のための政治決断がしやすくなるのではないか。世論調査の結果に知事は励まされたはずだ。(談)
・自己決定権が浸透/島袋純さん(琉大教授)
「自己決定権を広げるべき」が8割を超えたのは、基地問題で沖縄側の決定権の領域を拡大してほしいとの県民の意識が表れている。昨年の知事選で翁長雄志知事がよく使っていたことも「自己決定権」が浸透した要因の一つと推察される。 ただ、今後の方向性には「現行通り日本の中の一県のままでいい」が最多で、自己決定権の拡大と矛盾する結果も出た。自己決定権を制度化するならば政治的に大きな変化が求められる。国際人権規約第1条で政治機構をつくる権限が認められていることなど「自己決定権」の中身が深く理解されていないようだ。 20年ほど前の私の調査では独立を望む回答は3・4%だった。単純比較はできないが、今回の8・4%はかなり高くなっている。 政府が辺野古新基地建設を強行するなど「外交や安全保障は国の専管事項だ」という姿勢を続ければ独立を望む声はさらに高まるだろう。(談)<5・17県民大会とこれから 私の視座>1/玉城福子/現実から目逸らさず/「保守性」が変化を要請
2015.05.21 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有新基地阻止なら「独立も」/独立学会シンポ 大田元知事が主張
2015.05.18 琉球新報朝刊 23頁 4社 1版 写図表有 (全446字)
琉球民族独立総合研究学会の設立2周年記念オープンシンポジウムが16日午後、沖縄国際大学で200人が参加して開催された。沖縄国際平和研究所理事長の大田昌秀元知事が基調講演した。独立論について「辺野古に新基地を造らせてしまえば二度と独立はできなくなる。阻止したら可能性は出てくる」と述べ、新基地阻止の重要性を指摘した。パネル討議には共同代表の松島泰勝龍谷大教授、友知政樹沖国大教授ら5人が多角的に問題提起し、フロアを交えて議論した。 大田氏は独立論について本を書こうとしていることを明かし「(独立について)まだ結論は出ていない。整理している段階」と述べた。独立の展望を問われると、沖縄より人口の少ない国連加盟国が42カ国あると指摘し、「国連には少数民族を支援するセクションがある。その支援を受ければ独立は不可能ではない」と述べた。 講演では沖縄戦の体験を生々しく語って憲法の重要性を説いたほか、知事時代に「基地返還アクション」「国際都市形成構想」などを掲げて政府と交渉した経緯などを振り返った。<復帰43年の5・15に思う>又吉盛清/沖縄新時代の始まり/日本人の在り方を問う
2015.05.14 琉球新報朝刊 21頁 文化 1版 写図表有英総選挙 スコットランド党56議席/「地域再生のモデル」/研究者 沖縄の政策発信を提言
2015.05.09 琉球新報朝刊 11頁 国際 1版 (全877字)
8日に大勢が判明した英国下院総選挙で、スコットランドの独立を目指すスコットランド国民党(SNP)が56議席を獲得した。沖縄の自治やスコットランド情勢に詳しい研究者は「基地にノーを突き付けるためには沖縄も独立が選択肢になり得る」「沖縄から地方分権と地域政策のビジョンを発信することが求められる」などと指摘した。 琉球民族独立総合研究学会の共同代表を務める友知政樹沖縄国際大教授は、SNPが核戦力の放棄を求めていることを挙げ「独立すれば主権を獲得し、核兵器を撤去できると訴えたことがSNPが支持を広げた要因の一つだ」と指摘する。「基地にノーを突き付けるために“イエス独立”と言った。そこから沖縄は学ぶことができる」と語る。 スコットランドと沖縄は経済的な面で相違点があることには「スコットランドには石油資源があるが、沖縄には観光資源がある。尽きるものではなく規模を増していけるのが観光で、何ら悲観することはない」と強調。その上で「抑圧と差別を受けてきたスコットランドの歴史は、沖縄と共通している。選挙結果は、平和な島を取り戻すためには独立が選択肢になり得ることを(沖縄に対しても)示している」と語った。 山口二郎法政大教授は、スコットランドに割り当てられた議席のほとんどをSNPが獲得したことについて「労働党が優位にあった状況からわずか5年で変化した。民意が不可逆な化学変化を起こすことがあり得るということを示した」と指摘する。沖縄で昨年の知事選、衆院選で辺野古新基地建設に反対する候補者が当選したことを挙げ「スコットランドでは独立を考えることによって、まさに沖縄の“イデオロギーよりアイデンティティー”と同様の形で政治の結集軸ができ、この結果につながった」と分析する。 その上で「スコットランドは自主的な政策決定を積み重ね、自治の運動の仕上げとして独立の議論が出てきた。沖縄でも自治に関しては長年の議論の蓄積がある。沖縄から安全保障の観点だけでなく、地方分権とセットにした地域政策のビジョンを発信していけば、地域再生のモデルとなる可能性がある」と話した。<拓くワッター世(ゆー)~4・28屈辱の日~ 戦後70年>中/大田昌秀さん(89)/沖縄 取引の具に/辺野古強行 変わらぬ日米/独立機運 高まりに注目
2015.04.27 琉球新報朝刊 27頁 社会 1版 写図表有 (全1,728字)
1952年4月28日、東京都新宿区の夏目坂通り近くの清源寺で下宿していた元県知事の大田昌秀さん(89)は「なぜ沖縄だけ」と強烈な違和感を感じたが、声を上げることができなかった。早稲田大学に在籍し続けるには、政治活動と距離を置かなければならなかった。「日本留学」した沖縄出身の学生は、学生運動や反米活動に関わると米国民政府が発行する身分証明書を没収される。「東京への進学がうれしくて、よく内容を見ないで書類にサインしてしまった」 当時の学生は学徒として戦地に動員されたり、空襲で家族や友人を失ったりと悲惨な体験をしている。51年のサンフランシスコ講和条約締結とともに旧日米安全保障条約が結ばれると、戦争の記憶がある若者らが「悲劇を繰り返すな」と武力を保持しないとした憲法順守を訴え、機動隊と激しく衝突した。 ただ、日本の主権回復のため沖縄が切り離されたことへの周囲の関心は低かった。「一般市民は沖縄が切り捨てられたという現実を分かっていないのか、普段通りの生活を送っていた」 講和条約の発効で日本の主権は回復したが、「皇土防衛」の「捨て石」にされ、日本の主権回復のため今度は「捨て駒」にされた。政治活動をすれば除籍処分になる。悶々(もんもん)としながら、米国留学の準備のために英語の勉強などに集中した。 戦前は師範学校で学び「純粋培養」(大田さん)の軍国少年として日本軍の将校になることを夢見た。45年3月、「鉄血勤皇隊」として徴用され、半袖半ズボンの軍服、1丁の銃と120発の銃弾、自決用を含め2個の手りゅう弾を持たされ戦場に放り込まれた。任務は大本営発表を本島南部一帯の壕に身を潜めている日本兵や住民たちに伝えること。守備軍司令壕(ごう)と日本兵と住民が入り乱れる壕を行き来する中、日本兵が住民を守るどころか住民から食料を強奪する場面も目撃し「信じていたものが崩れ去った。戦争は醜悪そのもの」 戦後、生きる希望をもたらしたのは日本国憲法だ。「戦後の沖縄の教科書を作った仲宗根政善先生が『これ読んだか』と日本国憲法のコピーを持ってきた。『戦争を永久にしない。軍隊を持たない』との条文を読んで『もう戦争をしなくていいんだ』と感動した」 だが、「屈辱の日」で日本から切り離された沖縄には憲法は適用されず、米軍が強制収用した土地を占有し続け、住民が事件や事故に巻き込まれた。 「契約学生」として政治活動を禁じられた早稲田大学在籍中は米大学院への進学を目指して勉学に励んだ。後のライフワークとなる沖縄戦や戦後史の研究の道が開けた。 米国シラキュース大学大学院の修士課程を修了後、1958年に琉球大学講師に就任。以来、米首都ワシントンの国立公文書館に通い詰め、沖縄戦や「屈辱の日」の背景を調査した。 米軍が1945年3月26日の慶良間列島上陸と同時に出した軍政布告「ニミッツ布告」を精読し、息をのんだ。「『日本が戦争を仕掛けたときに対応するため、沖縄を軍事戦略上、占領する必要がある』と明記されていた。沖縄は日本を軍事的に抑え込むために米軍が占領したことが理解できた」 サンフランシスコ講和条約締結に至る文書にも目を通した。日本の独立のため、当時の吉田茂首相が外務省に対し、米国に「バミューダ方式」で沖縄を使わせてもいいと提示するよう指示したことを示す文書もあった。「バミューダ方式とは99カ年の租借。日本政府は独立のために沖縄を切り捨てた」 記録が示すものは、日米双方が都合よく沖縄を利用し、取引の具にしてきたことばかり。「耐用年数200年の辺野古新基地建設を強行する日米両政府の体質は今も変わっていない。他人の目的達成のために沖縄が利用され続けている」 辺野古新基地建設に反対する市民らへの権力側の暴力は既視感がある。「早稲田大学で見た光景が忘れられない。機動隊が学生の頭を警棒でかち割った」 「他人の都合で強制的に振り回される状況が続けば、沖縄の主権のため『独立』を求める機運がますます高まるだろう。沖縄より小規模の独立国の事情に詳しい研究者や米国留学をした若者たちが熱心に取り組んでいる」。「ワッター世」を模索する新しい世代の活動にも注目する。(松堂秀樹)「日米和親」で政府答弁/「国際法上の主体が締結」 琉球の独立性示す/識者らが解釈
2015.03.22 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全643字)
政府は20日、1854年3月に江戸幕府と米国間で結ばれた「日米和親条約」(神奈川条約)について、日本が「国際法上の主体」として締結した「最初の国際約束」とする答弁書を閣議決定した。県選出の照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。 同年7月、琉球王国は米国と琉米修好条約を締結している。 阿部浩己神奈川大教授(国際法)は「答弁では、日本が当時、国際法上の主体として国際約束を米国と締結し得たと明言している。そうであるなら、54年から59年にかけて琉球王国が米仏蘭と締結した修好条約についても、全く同じように、当時、琉球王国が国際法上の主体として国際約束(条約)を欧米諸国と締結し得たことを間接的に認めているに等しい」と指摘した。 照屋氏は「琉米・琉仏・琉蘭3条約を締結したのは国際法上の主体(主権国家)たる琉球王国であることが判明した。琉米修好条約が日米和親条約よりも後に締結されたことを踏まえると、琉球王国と江戸幕府は異なる国際法主体であったと言える。琉球王国は、江戸幕府の統治権(支配)の及ぶ地域(領土)ではなかったことが分かった」と強調した。 政府が「明治政府は『国家』たる日本国の『政府』であった」と答弁したことにも触れ「1879年の『琉球処分』によって、琉球王国は『国家』たる日本国に併合されたと言える。少なくとも日米和親条約が締結され、『琉球処分』が断行された54年から79年の間、琉球王国は国際法の主体たる主権国家、独立国家であったと、政府が認めたに等しい」とした。「独立国家」回答避ける/答弁閣議決定/琉球の位置付け
2015.03.07 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全591字)
政府は6日、1879年の「琉球処分」(琉球併合)の時期、琉球王国が国際法上の主体としての独立国家だったかについて「『琉球王国』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかでなく、確定的なことを述べるのは困難」とする答弁書を閣議決定した。県選出の照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。 50年代に琉球王国が米国、フランス、オランダそれぞれと結んだ3修好条約の原本について、今後も外交史料館で管理するとの見解を示した。 米国と和親条約や修好通商条約を締結した江戸幕府が国際法主体の主権国家と認識するか、日本の領土に琉球王国が含まれていたかどうかをただしたのに対し「『江戸幕府は、国際法主体の主権国家であった』の意味するところが必ずしも明らかではないため、回答は困難」とした。阿部浩己神奈川大教授(国際法)は「19世紀後半には(幕府の)政治的存在は国際法上の主権国家として処遇されていたという認識は今日の国際法学の定説だ」と指摘。その上で「政府は質問に誠実に向き合い、武力を背景に国際法上の根拠なく日本が琉球王国を併合した事実を認めるべきだ」と強調した。 照屋氏は「不誠実な答弁内容だ。歴史的事実についての評価、判断を放棄している。琉球王国の存在した厳然たる歴史的事実を認めないとする態度と受け止める。その姿勢こそが、現在の沖縄の民意を無視した国策強要の温床となっている」とコメントした。<社説>琉米条約確認/自己決定権回復に英知を
2015.03.02 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全912字)
琉球国が1854年に米国と交わした琉米修好条約の米国側原本が、米国立公文書館に保管されていることが分かった。 条約はペリー提督により締結され、米議会が批准、大統領による公布などの正式な手続きを踏んでいる。米国が琉球について外交権を有する独立国家と見なしていた明白な証拠といえる。 しかし、明治政府は琉球が保管していた条約原本を取り上げ、琉球の外交権を剥奪した。そして79年、力ずくで琉球を併合した。複数の研究者は「国際法に照らして不正だ」との見解を示している。 琉球は自己決定権を奪われ、沖縄戦、米国統治を経て現在に至る。米軍基地問題をはじめとする沖縄問題は、琉球の併合過程に端を発する。今に至る過程を再検討し、自己決定権を回復するために英知を集めたい。 日本政府は「外交・安保は国の専管事項」と繰り返し、沖縄が反対しても基地を押し付け続けている。最近の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の強行ぶりに、政府の姿勢が如実に表れている。 自己決定権を奪い、数の論理をかざして沖縄に軍事基地を押し付けるのは、基本的人権の侵害である。日本政府と国民はそのことに気付くべきだ。 一方、米軍は独立国だった琉球を、日本が併合したことを知っていた。沖縄占領のために1944年に作成した「民事ハンドブック」によると、沖縄人は日本人によって差別され、搾取された、日本人の中の劣等グループであるという考えを占領当初から持っていた。日本と沖縄の心理的な亀裂を利用して、占領政策を遂行した。 米国統治下の沖縄は自治権が制限された。自治権とは自己決定権と言い換えられる。自治権拡大要求の象徴が主席公選だった。68年に主席公選が実現し、即時無条件全面返還を訴えた屋良朝苗氏が当選した。屋良氏は72年5月15日、返還式典で「沖縄がその歴史上、常に手段として利用されてきたことを排除」するとあいさつした。これは自己決定権の回復宣言に他ならない。 沖縄の命運を決めるような大切な事は沖縄自ら決めるという自己決定権の回復こそ、沖縄戦をはじめとする近現代史から導かれた重要な教訓といえる。自己決定権の回復の実現は戦後70年を迎えた沖縄が取り組むべき最重点課題だ。<道標(しるべ) 主権を問う>条約の意義、今に/沖縄特別展シンポ 基地問題重ね討論
2015.03.01 琉球新報朝刊 32頁 2社 1版 写図表有 (全613字)
「琉球・幕末・明治維新 沖縄特別展」の28日のシンポジウムでは3人の研究者が1850年代に結ばれた琉米・琉仏・琉蘭の3条約の意義について熱い討論を繰り広げた。米軍普天間飛行場の移設問題などを受けて、自己決定権の要求が高まっている現在の沖縄の状況にも引き付けて考える必要性を指摘した。会場では約300人が研究者の話に真剣な表情で耳を傾けたり、メモを取ったりしていた。 鼎談(ていだん)は「ペリー来航と3条約」がテーマ。琉球大学名誉教授の西里喜行氏は明治以降の日本の対外政策について「武力で世界を攻めるという軍事的な膨張路線は沖縄戦、第二次世界大戦で駄目になった。ことしは戦後70年の節目の年だ。今に至る過程を正負の面から総括する必要がある」と述べると、会場から拍手が起こった。 特別展を監修した木村幸比古氏は「沖縄が置かれていた立場を的確に判断し、条約を締結、対応した沖縄の人々の努力は永遠に変わらない」と評価した。 沖縄国際大学教授の田名真之氏は「条約は独立国の証しだ。それを使いながら琉球の人々は抵抗した。条約に意味を持たせるのはわれわれだ」と強調した。 名護市辺野古で新基地建設に反対する座り込みに参加しているという岩村幸子さん(70)=浦添市=は「3条約によって琉球は自己決定権やアイデンティティーを持っていたことを知った。条約を沖縄に取り戻すことができたら、新しいアイデンティティーが生まれるのではないか」と話した。<社説>道標求めて やはり自決権回復しかない
2015.02.17 琉球新報朝刊
歴史をたずねると現状の意味が明確になる。広く世界に知恵を求めると進むべき針路が見えてくる。本紙連載の総括を兼ねたフォーラム「道標(しるべ)求めて」を聞いての実感だ。歴史的にも国際的にも、沖縄が自己決定権を持つのはもはや明らかである。現状の不正義を国際社会に訴えるよすがにしたい。 確認できたことの第一は、明治政府の「琉球処分」(琉球併合)が国際法違反だったことだ。その証拠が幕末の琉米、琉仏、琉蘭の3条約である。条約の締結は、3国が琉球を国際法の主体、言い換えれば独立国と見なしていたことを意味する。明治政府は武装警官と兵士で首里城を囲み、尚泰王に沖縄県設置を通達、合意を迫った。これはウィーン条約法条約51条が禁じる「国の代表者への強制」に当たる。国際法学者はそう指摘する。 米軍基地問題をはじめとする現在の沖縄の問題の源流はここにある。現在の問題とは沖縄の民意を無視してよいものと扱い、政府が一方的に強制できる対象とみなす、そんな政府と国民の態度のことだ。 米軍基地は、「外交・安保は国の専管事項」を隠れみのに、いかに沖縄にとって不当であろうと強制される。多数決原理の下、日本総体としてそれを容認してきた。県という枠組みにある間、沖縄は常に強制され続けることになる。その淵源(えんげん)が琉球併合なのだ。 だとすれば、やはり自己決定権回復以外、解決の道はない。今日の世界には過去の不正義の是正を求める潮流があり、人権や自決権の重みが増している。沖縄側の主張は、丁寧に訴えれば共感を呼ぶはずだ。「米国はなぜ不正義の上に利権を確保するのか」と国際社会に訴えるのも有効であろう。 フォーラムでは東アジアでの多国間、多地域間対話の枠組みを求める声も上がった。賛成だ。 北欧のバルト海沿岸では100以上の都市が加盟する沿岸都市連合(UBC)という枠組みで、環境汚染だけでなく経済や安全保障も論議している。国家間だけでなく地方政府や民間組織間の国際連携が重層的に安全保障を下支えしているのだ。こうした実例も参考にしたい。 東南アジア諸国連合(ASEAN)に匹敵する東北アジア諸国連合(ANEAN)も提唱された。沖縄をその本拠地にする構想があってもいい。論議を聞いてそんな感も深くした。<道標(しるべ) 主権を問う>「道標求めて」フォーラム/平和拠点化を提起/沖縄の決定権議論/識者ら アジア連携に期待
2015.02.16 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全908字)
琉球新報社と沖縄国際大産業総合研究所は15日、宜野湾市の同大で、フォーラム「道標(しるべ)求めて-沖縄の自己決定権を問う」を開いた。登壇した識者らは1879年の琉球併合(琉球処分)以降の差別や植民地支配、戦争の犠牲など「負の連鎖」を断ち切るために「今こそ自己決定権と平和を唱えるべきだ」「沖縄はアジアの対話・交流拠点になれる」などと主張した。(2、3、33面に関連、19日付で詳報) 姜尚中(カンサンジュン)聖学院大学長は沖縄がアジアの自治体と非武装地帯を宣言することを提起。識者から経済自立に向けたアジアとのビジネス機会の活用や国際的人材の育成などの提言があった。 「琉球とアジア、主権をめぐって」と題して基調講演した姜氏はアジア各国・地域間で安全保障の枠組みを築けば沖縄の米軍基地の役割は小さくなるとし、そのため「アジアの分断の象徴である朝鮮半島の分断を乗り越える必要がある。朝鮮半島の脱冷戦とアジアの連帯が必要だ」と述べた。 「歴史の教訓、そして未来へ」をめぐって議論したた第1部では、上村英明恵泉女学園大教授が琉球国が1854年に米国と交わした琉米修好条約などを根拠に琉球併合は「国際法違反」と指摘した。 姜弘(きょうこう)北京師範大副教授は「東アジアが平和でなければ沖縄は平和でなく、沖縄が平和でなければ東アジアの平和はない」と主張、中国との交流促進を望んだ。 波平恒男琉球大教授は普天間飛行場の辺野古移設に触れ「今こそ自己決定権や平和の声を発信する時だ」と求めた。 島袋純琉球大教授は「まずは沖縄の権利章典を作ることが非常に重要だ。それには自己決定権を持つ主体という沖縄の人々の意思が必要」と訴えた。 第2部の「自己決定権と沖縄経済」では富川盛武沖国大教授がアジアに目を向けた「ビジネスの具体化が始まっている」と紹介した。仲地健同大教授は医療ツーリズムの推進を唱えた。平良朝敬かりゆしグループCEOは「観光インフラ整備を沖縄自身が決め、規制緩和を勝ち取る必要がある」と指摘、岡田良那覇市IT創造館館長は「最先端の技術をいち早く沖縄に移転することが大切」と提言した。 約600人の聴衆が熱心に耳を傾けた。<道標(しるべ) 主権を問う>「道標求めて」フォーラム/脱基地へ自治拡大
2015.02.16 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全1,219字)
<第1部>民意無視は人権問題 ・・・。姜弘(きょうこう)氏は沖縄の帰属に関する論議に触れ「歴史的に見て琉球は日本の一部でも中国の一部でもなかった。中国でも主流の意見だが主要メディアは正しく伝えていない」と語った。
<第2部>自立向け人材育成重要 ・・・。<道標(しるべ) 主権を問う>「道標求めて」フォーラム/自立へ 議論白熱/「可能性感じた」/聴衆、将来像に期待
2015.02.16 琉球新報朝刊 33頁 社会 1版 写図表有 (全822字)
・・・。 壇上で繰り広げられる議論に、聴衆は真剣な表情で聞き入った。「沖縄の平和がないと東アジアの平和はない」(北京師範大学の姜弘(きょうこう)副教授)、「名護市辺野古の問題は、自己決定権を持っている琉球の人民の意思を無視して行っている人権上の問題」(恵泉女学園大学の上村英明教授)などの意見に、大きな拍手も湧き起こった。 ・・・。<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>100/第7部 青写真/エピローグ(下)/国際世論の喚起を/自己決定権、訴え継続が鍵
2015.02.15 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,169字)
1962年2月1日、琉球政府立法院。翁長助静議員は壇上で発議者を代表し、沖縄の施政権返還要求に関する決議文を読み上げた。 「国連総会で『あらゆる形の植民地主義を速やかに、かつ無条件に終止させることの必要を厳かに宣言する』旨の(中略)宣言が採択された今日、日本領土内で住民の意思に反して不当な支配がなされていることに対し、国連加盟諸国が注意を喚起することを要望する」 決議文は全会一致で可決され、国連加盟104カ国に送付された。米国の植民地的支配を批判し、沖縄の主権回復を世界に訴えた歴史的決議「2・1決議」だ。国際社会に米国統治の不当性を訴えたのは画期的だったが、その後、沖縄から国際社会への働き掛けは続かなかった。 1879年に琉球国が日本に併合された「琉球処分」前後にも、琉球の旧士族たちが海外に救国を訴えた局面がある。当初は、日琉関係の伝統的な「隠蔽(いんぺい)策」が露呈するのを恐れ、欧米との接触を積極的に活用しなかった。運動は、明治政府と中国(清)への嘆願が中心で、国際法に基づき国際社会に訴えるなどの取り組みは弱かった。 しかし、時代は大きく変わった。世界的に民主化が進み、情報メディアも発達した。知事選、衆院選、名護市辺野古で示された民意を無視し、日本政府が基地建設を強行していることに、国際社会は厳しい目を向けている。 「沖縄の人々の利益というゴールに向けて、あなたが前に進んでいけることを祈っている」。東西冷戦の終結に指導的役割を果たし、ノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は、新基地建設問題を理解した上で、翁長雄志新知事に文書でエールを送った(2014年11月25日付)。世界的に見ても沖縄の現状は「不条理」だとする海外識者からの指摘も相次いでいる(本紙連載「正義への責任-世界から沖縄へ」)。 「国連への要請も視野に入れる必要がある」。知事選翌日の本紙インタビューで翁長氏はこう述べた。基地建設阻止に向けて早期に訪米し、国連機関などを含めて沖縄の民意を訴え、国際世論を喚起していく考えだ。2・1決議から53年余。翁長助静氏の息子・雄志氏は父の遺志を引き継ぐ。 ほかにも国際世論へ打って出る動きは活発化しつつある。沖縄「建白書」を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議は、国連人権理事会などへの働き掛けを強化する方針だ。早ければ4月にもスイス・ジュネーブの国連機関に担当者を派遣する。琉球民族独立総合研究学会も、琉球人への差別問題や自己決定権確立などを国連に直接訴える活動を来年度から始める。 沖縄の民意が日本政府に無視され続けている中、国際世論の喚起が事態打開の鍵を握る。沖縄の自己決定権が保障されるよう粘り強く継続し、国連などに訴えていくことが課題となっている。(編集委員・新垣毅)(おわり)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>99/第7部 青写真/エピローグ(上)/条約原本、返還求める/沖縄が所有すべき主権の証し
2015.02.13 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,293字)
昨年11月29日から約3週間、県立博物館・美術館で「ペリー一行の見た琉球・日本-ウィリアム・ハイネの水彩原画展」が開かれ、1853年からの訪琉でペリー随行画家が描いた原画5点が初めて一堂に公開された。初日、多くの小学生らが足を運んだ。原画展の感想を聞いた記者に、曙小6年の荷川取林香さん(12)は目を輝かせてこう答えた。 「ペリーが沖縄に5度も来て、琉球と琉米修好条約を結んだことを初めて知った。沖縄と外国との関係をもっと知りたい」 会場の一角に、琉米修好条約の条文が展示されていた。 水彩画は原画だが、彼女が見た条約は本物ではない。複製だ。条約原本は東京の外交史料館=外務省所管=に保管されている。琉球新報は外務省に対し、琉球国が50年代に米・仏・蘭それぞれと結んだ3条約について文書で質問した。 「条約はなぜ現在、外務省の管轄下にあるのか」「明治政府は1872年の『太政官布告』で3条約を外務省所管とすることや、正本提出を琉球藩に命じたが、その理由や法的根拠は」「琉球藩が74年に3条約の正本を外務省に提出したが、その後、条約の効力の有無や内容の順守などはどうなったか。米仏蘭各国への説明、反応は」-などだ。 外務省は一括してこう答えた。「当時の経緯が必ずしも明らかではないこともあり、お尋ねについて確定的なことを述べることは困難です」 米仏蘭3条約は琉球国が当時、国際法の主体だった“証し”だ。複数の国際法学者が3条約を根拠に、明治政府による1879年の琉球併合(「琉球処分」)は「国際法上不正」と指摘している。国際法に違反した国家は違法行為の停止、真相究明、謝罪、金銭賠償などの義務を負う。国際法の主体(=主権)として琉球が他国と結んだ条約を日本政府が持っている以上、政府は国際社会の一員として説明責任が問われるはずだ。 名護市辺野古の新基地建設に県民の反発が高まる中、沖縄の自己決定権を追求する声が高まっている。3条約は「主権回復」主張の論拠となり得る。 「私たちは歴史上、国際社会において、本来ならばどのような権利を持つ存在なのか、主体なのかを確認する、あるいはその根拠を持つことが非常に重要だ。その象徴的な一つとして琉米条約がある」 2013年6月12日、那覇市議会で平良識子市議はこう主張し「本来ならば沖縄が所有すべきだ」と、那覇市に条約返還を国に求めるよう要求した。その後も返還を求める声を上げ続けている。一方、琉球民族独立総合研究学会も今月3日、外務省沖縄事務局に対し、琉米条約の原本を返還するよう要求した。 日本に併合された後、沖縄戦で多くの犠牲を出した沖縄。米国統治下の27年間、住民は命や人権、自治の侵害を経験し、日本「復帰」後も、軍事基地の過重負担に苦しめられている。琉球の主権を収奪した琉球併合は、歴史の苦渋の根源ともいえる。これまでの歴史に対する謝罪など、さまざまな形で日米の責任を追及すべしとの声もある。 沖縄の自己決定権を問う世論の中で、三つの条約が今、息を吹き返しつつある。その様を、沖縄の未来を担う子どもたちも見詰めている。(編集委員・新垣毅)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>琉球「国際法の主体」
2015.02.11 琉球新報朝刊 20頁 特1 1版 写図表有 (全4,214字)
昨年5月1日から始まった連載・特集「道標(しるべ)求めて-琉米条約160年 主権を問う」の総括フォーラム「道標求めて-沖縄の自己決定権を問う」(主催・琉球新報社、沖縄国際大学産業総合研究所)が15日午後1時から沖縄国際大学で開かれる。フォーラムでは、沖縄が進むべき道を県内外の識者に提言してもらう。連載を終えるに当たり、あらためて企画の狙いを示し、取材で見えてきたことを明らかにしたい。連載では取り上げられなかった戦後の「沖縄アイデンティティー」の行方にも触れ、今後の沖縄の課題を考えたい。読者からの反響も紹介する。(編集委員・新垣毅)
自己決定権に正当性/海外の独立派も沖縄共鳴
昨年3月、宜野湾市嘉数の「琉球館」で行われた、友知政樹沖縄国際大教授らによる北京視察報告会で衝撃の映像を見た。1879年の琉球併合(「琉球処分」)前後、祖国・琉球を救うため命懸けで中国に亡命した琉球士族らが眠る「琉球人墓」が北京の古い集合住宅の裏庭でリンゴ畑となり、急ピッチに進む再開発の波に飲み込まれようとしている様子だ。「こんな扱われ方でいいのか」という思いが脳裏を駆け巡った。救国運動を評価する友知氏ら県内有志は中国の関係者と保管に向けた話し合いを進めている。 明治政府官憲の監視の目をくぐり、中国に亡命し、必死に訴えた琉球人士族は約200人にも上るという。こうした士族は、明治政府の役人や、琉球併合を「文明化」として肯定的に捉えた沖縄県内の知識人らから「頑迷固陋(がんめいころう)」とさげすまれた。本土の新聞に至っては「くそをたれた愚犬」(「朝野新聞」)と蔑視する記事も載せた。 ところが、取材で見えてきたのは列強の国々と渡り合い、明治政府には「オール沖縄」で併合に抵抗し、併合後も中国や国際社会に必死で訴えた士族たちの姿だ。
■縦糸と横糸
沖縄の「主権=自己決定権」をキーワードにした連載「道標求めて」の狙いは主に二つあった。一つは、足元の歴史を掘り起こすことで、その教訓から沖縄の今を見つめ直し、未来を展望することだ。二つ目は海外を取材し、その事例から学べる素材を集め、紹介することだ。歴史が縦糸とすれば、海外の事例は横糸の関係だ。 沖縄の苦難の歴史的原点を考えるならば、406年前の薩摩侵攻までさかのぼる必要がある。しかし今回、約160年前の琉米修好条約に焦点を当てたのは理由がある。琉仏、琉蘭と合わせた3条約は当時、琉球国が国際法の主体であった証しであり、それを根拠に国際法を生かして、現在において主権回復や自己決定権行使を主張する議論の地平が開かれるからだ。 複数の国際法学者によると、3条約を根拠に、琉球国は国際法の主体だったことから、ウィーン条約法条約第51条「国の代表者への脅迫や強制行為の結果、結ばれた条約は無効」とする規定を適用し、琉球併合の無効を訴えることが可能という。加えて日米両政府に対し、謝罪、米軍基地問題の責任追及、さらには主権回復を訴える戦略が描けるというのだ。自己決定権の要求が高まっている今の沖縄にとって、この指摘は重要だ。
■国際世論への訴え
海外の取材でも得るものが多かった。スイスの国連人種差別撤廃委員会における琉球差別問題の扱い、欧州連合(EU)の要・ベルギー、スコットランドの独立投票、アメリカから独立して20年の節目を迎えたパラオをそれぞれ取材した。 率直に感じたのは「沖縄は独立を正当化できる歴史的要件や現状、経済的自立の可能性を十分持っている」ということだ。中城村の人口に近い約2万人しかいない島国・パラオがどうやって大国アメリカから独立を勝ち取ったのか-。スコットランドの独立運動もそうだが、市民による粘り強い草の根運動の力が大きい。何度も挫折を味わいながら、アイデンティティーの基盤を再構築し、国際世論に訴える運動を継続した経験を持つ。 ドイツ、フランスという大国が戦争を繰り返す狭間で何度も占領されて多くの犠牲を出した小国ベルギーも含め、これら地域の人々は、沖縄の現状と歴史を説明すると、すぐに共感し「痛み」に共鳴してくれたことが、強く印象に残った。
戦後「沖縄人」を再定義/平和希求 誇れる民へ
国際法は戦争を違法とし、人権や平等の尊重を基本理念とする。脱暴力の潮流は世界的に強まっている。国連は植民地支配を認めず、人種差別撤廃条約で人種や皮膚の色、種族的出身を理由とするあらゆる差別を禁じている。この潮流を背景に植民地支配を受けていた多くの地域が独立し、平等を勝ち取った。 こうした世界の潮流を背景に、米国統治下にあった沖縄も、人権や自治の侵害に強く抵抗した。土地闘争や主席公選、米軍の事件・事故に対する命や人権を守る闘争は「平和憲法への復帰」運動へ結実した。しかし、1972年の日本復帰は運動が求めた「即時無条件全面返還」に反し、ほとんどの米軍基地が残り、基地の自由使用も認めた。米軍絡みの事件・事故は今も繰り返されている。 戦後から今へと続く沖縄の運動は、命、人権、平等、平和、自治権などの普遍的な理念を追求する権利獲得闘争とみることができる。その中で日本人と沖縄人の関係性、アイデンティティーは問い直されてきた。 特に、大半の基地が残ることが判明した69年以降、復帰論・反復帰論者の間に「沖縄人」を再定義する言説が広がった。「未開」「野蛮」「劣った民族」など劣等感を起こさせる表象だった「沖縄人(ウチナーンチュ)」は「命どぅ宝」をうたう「平和愛好の民」「海洋民族」「アジアと共生する民」など誇れる存在として意味付けされた。 これらの言説は、主に米軍基地を由来とする暴力・戦争・人権侵害に対する拒否感から自身の存在を問い直し、平等や平和などの普遍的理念を希求する中で生まれた「抵抗する主体」として「沖縄人」を表現した。「暴力に抵抗する主体」であり、命や人権、平等、平和を大切にする普遍的理念と共鳴する主体だ。 否定的な存在から肯定的なアイデンティティーへの転換は、その後の自立論や自立に向けた政策の言説に転移していく。80年代以降、若者の音楽や「笑い」にも沖縄らしさの表現が出始めた。しまくとぅばの復興運動も沖縄人の自信につながった。
紛争回避「対話の場」に/東アジア平和構築に有益
日本と中国・韓国の関係改善を阻む歴史認識問題や尖閣など領土問題をめぐって、「沖縄は対話の場になれる」という提言も多かった。対話が実現できれば、沖縄だけでなく日中韓はじめ東アジア全体の平和構築にとって有益との考えだ。人、モノ、情報のグローバル化の進展に伴い、経済・政治などの分野でEUや東南アジア諸国連合(ASEAN)のような国境を越えた地域統合が進むなど国家の壁は低くなりつつある。 しかし、中国脅威論などナショナリズムをあおり、国家間の壁を高めている東アジアの現状は世界のすう勢に逆行している。日中間の摩擦が激化すれば、真っ先に危険な状況に置かれるのは沖縄だ。 連載でスイスの平和活動家クリストフ・バルビー弁護士は、世界でイスラエルとパレスチナの問題の次に危険なのは東アジアであり、北朝鮮問題や日中関係が紛争の火種になると指摘した。「危険の中だからこそ沖縄の立場は非常に重要だ。平和は沖縄だけの問題ではない。沖縄が平和になれば、東アジア全体への影響は非常に大きい」と語った。 人やモノ、経済の交流が進めばそれ自体が安全保障になるとの考えもある。沖縄には今、アジアからの観光客が街にあふれている。今こそ「交流拠点」に向けた政策と実行力が問われている。 安倍政権が現在のように、辺野古の新基地建設を強行すればするほど、沖縄の自己決定権要求は一層高まるだろう。沖縄は今、スコットランドがサッチャリズムに反発し、分権に走った状況に似ている。
取材を通して沖縄の自己決定権をめぐる課題が、大きく分けて三つ、浮き彫りになった。
一つは、国連や米本国、海外メディアなど国際世論にも訴え、日米政府を動かすことだ。国際法の活用や国連への植民地登録を提起する考えもある。
二つ目は、政府に分断されないよう、強固なアイデンティティーを基にした幅広い結束だ。「オール沖縄」の民意実現を掲げる「島ぐるみ会議」の動きが注目される。
三つ目は、これまで国の補助メニューを事業化し、予算執行することが主だった県や市町村の自治体・議会が、地域に合った政策・制度設計づくりを徹底する「政策形成機関」に転換することだ。
住民が主権者として政策決定過程に参加していく経験の積み重ねも重要となる。それが沖縄という集団としての自己決定権に内実を与える。政策形成や政策評価へのチェックを、住民の代表である議会がきちんと担う体制固めが急務といえる。
<用語>自己決定権
一般的には「自分の生き方や生活について自由に決定する権利」であるが、国際法である国際人権規約(自由権規約、社会権規約)は各第1部第1条で集団的決定権として人民の自己決定権を保障している。自らの運命に関わる中央政府の意思決定過程に参加できる権利で、それが著しく損なわれた場合、独立が主張できる。
姜尚中氏を招き道標フォーラム/15日、沖国大 フォーラム「道標(しるべ)求めて-沖縄の自己決定権を問う」では、姜尚中(カンサンジュン)聖学院大学長が「琉球とアジア、主権をめぐって」をテーマに基調講演する。その後、フォーラムは2部構成で進める。 第1部「歴史の教訓、そして未来へ」は姜尚中氏、上村英明恵泉女学園大教授、姜弘(きょうこう)北京師範大副教授、波平恒男琉球大教授、島袋純同大教授が登壇。潮平芳和琉球新報社編集局長が進行役を務める。 第2部「自己決定権と沖縄経済」では、富川盛武沖縄国際大教授、仲地健同大教授、平良朝敬かりゆしグループCEO、岡田良那覇市IT創造館館長が議論を交わす。進行役は松元剛琉球新報社編集局次長兼報道本部長。午後6時まで。 入場は無料だが整理券が必要で、配布は終了した。当日の模様は琉球新報ホームページで生中継する。<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>98/第7部 青写真/中国の視線/知事選に高い関心/自己決定権「尊重」が大勢
2015.02.11 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,249字)
2014年11月5日、熊本市。冷え込む日中関係の改善を促すため、中国に近い九州・沖縄の新聞記者と東京に支局を持つ中国の新聞社・通信社の記者による交流会が初めて実現した。「誰が勝つの」。中国の記者たちは沖縄の新聞記者に約2週間後に迫る沖縄県知事選の行方を何度も聞いてきた。中国国営の新華社日本総局は知事選取材のため沖縄へ記者を派遣し、結果を速報した。国営の中央テレビも選挙の特集番組を流し、中国メディアは高い関心を示した。知事選の取材を担当した新華社の劉秀玲記者は投票2日前に沖縄入り。関心が高い理由について「日米関係に影響を与える可能性がある」と話した。中国は日本との関係づくりの際、日米関係を大きな判断材料にしている。新華社の記事には「沖縄人 選挙で米軍基地に『ノー』」という見出しが躍った。書き出しで知事選の意義をこうつづった。「背後にある日本の将来の発展を深く考えさせられるもの、すなわち日米の軍事同盟関係を国の基本とし続けるべきか否かについて県民が疑問を投げ掛けた」記事に「新知事当選は民意の逆襲」「『基地は経済発展の阻害要因』は既に共通認識」「自己決定権追求の闘い」という小カットを付け、沖縄の研究者の解説を引き、こう指摘した。「知事選は本質的には県民が自己決定権を追求する闘いだった。県民は沖縄の発展の道を選択する権利があるか否か、あるいは東京の決定に従うしかないのか、沖縄の長期にわたる大衆運動には、こうした人権、自治権、自主権への要求が終始貫かれている」一方、中国の研究者は今の沖縄をどうみているか。事情に詳しい複数の研究者によると「沖縄は中国の領土」という認識はほとんどなく、沖縄の自主的な決定権を尊重すべきだという論調が大勢を占めるという。実際、日本による「琉球処分」(琉球併合)直後、中国(清)側は日本側に対し、琉米・琉仏・琉蘭の3修好条約などを根拠に「琉球は独立国」と主張した。日中関係や琉球の歴史を専門とする姜弘(きょうこう)・北京師範大副教授は「戦後沖縄は度々、複雑な国際紛争や大国の戦略に翻弄(ほんろう)され、自己決定権の行使は難しかった。しかし今回の知事選を通して、県民の自己決定意識が高まってきた。この選択は尊重されるべきだ」と指摘する。「中国は琉球王国時代から沖縄と友好的な貿易の往来、文化交流の歴史的伝統がある」として一層の交流を願った。日本国際貿易促進協会職員として、習近平現国家主席や温家宝前首相ら中国の国家指導者との会談で通訳を担当してきた泉川友樹氏=豊見城市出身=は、沖縄が日中関係に果たせる役割は大きいと話す。「ウチナーンチュは友情の育み方など人間関係で中国人と通じ合えるものがある。地理的、文化的、人間的に近いことをうまく活用し、日中の間を取り持てる。それができたら世界でも素晴らしい例になる」沖縄の目指すべき将来像は、軍事ではなく「対話のホットライン」。それは日中、沖縄、いずれにとっても「いいことだ」。(編集委員・新垣毅)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>94/第7部 青写真/独立/平和と経済自立を実現/主権回復こそ沖縄の解放
2015.02.05 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,226字)
県知事選、衆院選沖縄選挙区全てで名護市辺野古への新基地建設に反対する候補者が当選した。それにもかかわらず、日本政府は建設推進を表明した。県民が激しく反発するさなかの昨年12月20日と21日、琉球民族独立総合研究学会のシンポジウムが沖縄国際大学で開かれた。連日150人を超える聴衆が詰め掛け、会場は熱気に包まれた。 「しまくとぅば、琉球の歴史、沖縄戦のことを家庭でどんどん話していこう」。そんな意見や質問が相次ぎ、2日とも予定終了時間を30分以上オーバーした。 独立学会は2013年5月15日に設立した。当初は約100人だった会員は現在267人まで膨らんだ。20代前半から80代まで、多様な職業の人々が真剣な議論を重ねている。本島北部・中部・南部、宮古、八重山、西日本、東日本の地域研究部会のほか、独立実現の過程や経済、法制度、歴史などを扱う20のテーマ部会からなる。各部会は2カ月に1度のペースで会合を開催しているという。米国、ブラジルなど海外のウチナーンチュにも会員がいる。 共同代表の友知政樹沖縄国際大教授は「これまでいろんな人が独立論を唱えてきたが、同じ目標の下、一緒に顔を合わせて意見を出し合うことで議論が深まっている」と話す。独立を掲げる政党の発足も目指す。 青写真は、自由、平等、平和の理念に基づく「琉球連邦共和国」。主権回復こそが琉球の解放につながるという考えだ。奄美、沖縄、宮古、八重山の各諸島が州となり、対等な関係で琉球国に参加、各シマのアイデンティティーが琉球人の土台だ。各地の自己決定権を重視する。琉球の首府だけでなく、各州が議会、政府、裁判所を持ち、憲法を制定、独自の法や税、社会保障の制度を確立し、その下に市町村を置く。 安全保障については「軍隊の存在は攻撃の標的になる」として非武装中立を保ち、東アジアの平和を生む国際機関の設置も目指す。 国連だけでなく、太平洋諸島フォーラムなど世界の国際機構に加盟し、国々との友好関係を強化。米軍や自衛隊の基地撤去のための条約を日米と締結する。 経済の自立については、琉球が経済主権を持てばその可能性が広がるという立場だ。現状は「琉球側に政策策定や実施過程における決定権がない植民地経済だ。政府主導の開発行政は国への依存度を深めた」と指摘する。米軍基地撤去による跡利用で雇用・経済効果は「何十倍にもなる」とし、発展著しいアジアとの貿易、アジア人観光客の誘致などで経済自立を目指す。 大きな課題の一つは、独立の考え方を県民に浸透させることだ。共同代表の桃原一彦沖縄国際大准教授は「基地問題をめぐる差別状況や沖縄の歴史、ザル経済など、まずは沖縄の現状をきちんと認識するための言葉を持ち、可視化、意識化することだ。そんな言葉を発信していきたい」と語った。 独立までの具体的シナリオも今後の課題だ。来年度からは国連へ会員を派遣し、琉球の自己決定権確立を訴える活動を強化する。(編集委員・新垣毅)民族の自己決定権議論/琉球&アイヌシンポジウム 「本土の無関心」指摘
2015.02.08 琉球新報朝刊 26頁 4社 1版 写図表有 (全388字)
2月7日の「北方領土の日」を考える「琉球&アイヌの自己決定権シンポジウム」(主催・アイヌ民族と連帯するウルマの会)が7日、宜野湾市の沖縄国際大学で開催された。シンポジウムには約30人が参加。登壇した新垣毅琉球新報編集委員は沖縄の自己決定権という考え方について説明。昨年のスコットランド独立住民投票の様子を写真で紹介し「民族というものは、差別や同化志向という強い圧力の中で目覚めていくものだと思う」と述べた。 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は沖縄人やアイヌ人の骨が研究目的で墓から持ち出され、施設に保管されていることについて「沖縄やアイヌだったらしょうがない、いいのではないかという、本土国民の無関心の表れではないか」と指摘した。ほかにフォークシンガーのまよなかしんやさん、旭川アイヌ民族資料館館長の川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんも登壇した。基地返還で経済効果/普天間32倍3866億円/県試算 桑江・北前108倍
2015.02.05 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全611字)
県企画部は4日までに、在沖米軍基地の返還後の経済効果に関する試算を新たにまとめた。返還後の直接経済効果は普天間飛行場で現在の32倍となるなど、跡地開発に伴う経済成長の可能性があらためて浮き彫りになった。既に返還された土地の直接経済効果は北谷町の桑江・北前地区で返還前の108倍、那覇新都心地区で32倍に達した。 県は2007年3月に同様の報告をまとめていたが、市町村の産業活性策や直近の統計を反映させて再計算した。 今後返還が予定されるキャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇軍港の5施設が返還された場合の直接経済効果は合計で現在の18倍。これを基に誘発される経済波及効果の試算では、雇用が現在の4400人から18倍の8万503人に、税収は57億円から18倍の1004億円に増える見込みだ。 普天間の直接経済効果は現在120億円で、返還後は3866億円と試算。雇用は現在の1074人から32倍の3万4093人、税収は14億円から32倍の430億円となる。 基地跡地では北谷町の桑江・北前の直接経済効果は返還前の3億円から336億円、那覇新都心は返還前の52億円から1634億円に上る。両地区に小禄金城地区を加えた3地区の合計では返還前の28倍の経済効果と試算した。 県企画調整課は「跡地利用を進めることで大きな経済効果が生まれる。早期返還、早期の跡利用計画策定が重要だ」と指摘している。(古堅一樹)琉球併合は「国際法違反」/独立学会 日本政府に謝罪要求
2015.02.04 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全565字)
琉球民族独立総合学会の松島泰勝共同代表ら4人は3日、那覇市久米の外務省沖縄事務所に山田俊司首席所員を訪ね、「独立国琉球国のヤマトによる武力強制併合は明らかな国際法違反」と抗議し、日本政府に謝罪と「琉球の植民地支配の即時停止」を要求した。また、1850年代に琉球国が米国、フランス、オランダとそれぞれ締結した琉米、琉仏、琉蘭の3条約の原本を外務省外交史料館が保持していることについて「琉球国の強制併合の過程で収奪された」とし、沖縄への返還を求めた。 同学会が政府関係機関へ直接行動を起こすのは初めて。松島共同代表らは3条約を根拠に、琉球は1879年の琉球併合(「琉球処分」)当時、独立した主権国家だったとし「強制併合」は「国の代表者への強制」を禁じたウィーン条約法条約51条違反だと主張した。 一方、松島共同代表らは、辺野古新基地や東村高江のヘリパッドの建設問題について「基地の押し付けは琉球への差別だ」とし、建設の即時中止・撤回を求めた。要請文はオバマ米大統領にも直接郵送するという。琉球の歴史、自然、言語に関する教育を受ける機会を設け、拡充することも要求。要請文は県や県教育委員会などにも郵送する。 松島共同代表らは抗議・要請の後、会見を開き「グアムの先住民族チャモロ人とも連携し、国連に琉球の差別問題を訴えていく」と話した。February 4, 2015 Ryukyu Shimpo
ACSILs demands an apology for annexation of Ryukyu, calling it a “Violation of International Law ---> RS
Yasukatsu Matsushima and three co-leaders of the Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans (ACSILs) visited Senior Coordinator Shunji Yamada at the Okinawa Office of Ministry of Foreign Affairs of Japan. They protested that the forced annexation of the independent nation of the Ryukyu Kingdom by Yamato (Japan) is an obvious violation of international law. The group demanded from the Japanese government an apology and “immediate cessation of the colonization of Ryukyu.” The delegates also requested retrocession of the original copies of three treaties between Ryukyu Kingdom and the United States, France, and the Netherlands, signed with each country during the 1850s. The Diplomatic Archives of the Ministry of Foreign Affairs of Japan is currently holding the treaties. The group members stated that these treaties were disregarded in the forced annexation of the Ryukyu Kingdom. This is ACSILs’ first direct action taken against a government-related agency. Matsushima and co-leaders argue that Ryukyu was a sovereign nation at the time of annexation of the kingdom or the so called Ryukyu disposal in 1879, on the ground of the three treaties. The delegates further argue the “forced annexation” is a failing of article 51 under the Vienna Convention that forbids “Coercion of a Representative of a State.” Matsushima and co-leaders also requested immediate cessation and cancellation of construction of a new military base in Henoko and helipads in Takae, Higashi. They argued that imposing an unreasonable U.S. base-hosting burden on Okinawa is discrimination against Ryukyuan people. The delegates plan to mail the request document to President Barack Obama. They will also mail a letter to ask the Okinawa Prefectural Government and the Prefectural Board of Education to create and expand opportunities to teach Ryukyuan history, nature, and language for students. Matsushima and co-leaders held a press conference after the protest. They announced the delegates appeal to the United Nations to help them raise their voice against discrimination toward the Ryukyu, in collaboration with the indigenous people of Chamorro in Guam.<道標(しるべ) 主権を問う>琉米・琉仏・琉蘭条約/原本141年ぶり里帰り/27日から浦添美術館で展示/「主権国家の証し」
2015.02.04 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全833字)
琉球国が1854年に米国、55年にフランス、59年にオランダと締結した修好条約の3原本が27日から浦添市美術館で展示される。原本は74年5月に明治政府によって没収され、外務省が保管している。沖縄での展示は初めてで、141年ぶりに海を渡る。国際法の専門家は「3原本は琉球が当時、国際法の主体として主権を有していた証し」と指摘している。米軍基地問題などをめぐって沖縄の自己決定権要求が高まる中、今回の里帰りは沖縄の「主権回復」を求める議論に影響を与えそうだ。(3面に関連) 琉米修好条約は、鎖国状態だった日本に開国を迫るため浦賀(現神奈川県)や琉球などを訪れたペリー提督との間で結ばれた。米船舶への薪(まき)や水の提供、米国の領事裁判権を認めるなど不平等な内容で、琉球は当初、締結を拒んだが、ペリーの圧力に屈し、条約を結んだ。フランス、オランダともほぼ同様の条約を結んだ。 明治維新の後、政府は琉球国の併合をもくろみ、外交権剥奪に乗り出す中で73年3月、3条約の提出を琉球に命じた。琉球側は粘り強く抵抗したが、最後は政府の強硬姿勢に屈し、74年5月、津波古親方政正が条約原本を携えて船で上京、政府へ引き渡した。現在、外務省外交史料館が原本を保管している。 琉球は日本に併合される過程(「琉球処分」)で、条約締結国に対し、条約は「主権の証し」と主張、明治政府の「処分」に抵抗する切り札に使った。 上村英明恵泉女学園大教授と阿部浩己神奈川大教授は、3条約締結の事実から「琉球は国際法上の主体であり、日本の一部ではなかった」と指摘。軍隊や警察が首里城を包囲し「沖縄県設置」への同意を尚泰王に迫った明治政府の行為は、当時の慣習国際法が禁じた「国の代表者への強制」に当たるとして「国際法上不正だ」と指摘している。 3条約の原本は27日から3月29日まで浦添市美術館で開かれる「琉球・幕末・明治維新 沖縄特別展」(主催=琉球新報社、協同組合・沖縄産業計画)で展示される。(新垣毅)<晴読雨読>玉城福子/無意識の植民地主義:日本人の米軍基地と沖縄人 野村浩也著/日常生活に新しい視点与える
2015.01.25 琉球新報朝刊 13頁 読2 1版 写図表有<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>89/第7部 青写真/胎動(中)/主権回復へ活動活発/各団体、国連直訴を強化
2015.01.23 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,238字)<沖縄の冬>守田弘一郎(ジャーナリスト)/小国の独立、相次ぐ/解体できぬ文化、言語
2015.01.13 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有
…。 琉球民族独立運動のシンポジウムに顔を出す機会があった。…。かなりの数の一般聴衆者がいた。…。 こうした中での沖縄の分離と独立はある意味で歴史の必然だと思う。中世500年の歴史の中で培われた琉球王朝文化は、21世紀の今、時間はかかるだろうけど新しい世代が担うことになるのだろう。その一歩が踏み出されたともいえる。<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>識者インタビュー/島袋純 琉球大教授/友知政樹 沖縄国際大教授
2015.01.11 琉球新報朝刊 16頁 特3 1版 写図表有 (全2,704字)
島袋純 琉球大教授/政策の評価・管理徹底を
-沖縄振興策の問題は。
そもそも既存の米軍基地を復帰前と同じレベルで自由使用できる権利を米国に与えることが目的だ。基地存続は著しい人権侵害だ。それを「仕方ない」と県民に受け入れさせるためのアメということだ。表だって言うと沖縄が反発するので、米国統治27年間の苦労に報いる「償いの心」を表したものである、というのが振興策の建前だった。 1996年ごろから「償いの心」が全く消え、基地への見返り、すなわち補償型政治の仕組みに変わっていく。アメであることは一貫している。「基地負担から発生する閉塞(へいそく)性の打破」「基地負担軽減」のための振興策へと変わる。「見返り」と露骨には言わないが「負担軽減」とは、基地への補償という意味だ。 最近ひどいのが、沖縄振興予算は他府県がもらっていない3千億円を、純増でまるごともらっているかのような宣伝だ。そんなことは全くない。国道整備など他府県でもやっている普通の国直轄事業を振興予算の中に含んでいる。振興策の看板を利用し「純増の特別予算をもらっているから基地を受け入れろ」という、間違った根拠に使われている。悪弊が大きい。基地存続を絶対条件とする仕組みの下では真の意味の経済的自立はあり得ない。
-「自立的経済」を掲げてきたが、効果は乏しい。
農業基盤整備や下水道、港湾などの社会資本関係の事業は、各担当省庁が全国的な観点で予算化する。これらの整備は他府県ではほとんど終わっている。振興策でそれらが9割補助される沖縄でもほぼ終わっている。沖縄では整備率が他府県を上回る状況も出てきており、社会基盤整備の公共事業予算は増えない。 一方、競争原理徹底の名目で県の公共事業の談合を厳しく摘発する事態が起きた。府県レベル事業の談合摘発は以前は考えられなかった。競争原理を徹底すれば入札条件などで地元は大手に勝てない。裏を返せば地元が仕事を取れない。大手ゼネコンが国直轄事業の地方分、さらに県発注事業もどんどん取っていく。 その金は本社機能のある東京に環流するから東京は一人勝ちし、さらに一極集中化していく。いわゆるザル経済、還流経済で、構造化された植民地経済システムと同じだ。これが沖縄経済を弱くし沖縄社会を分裂させて格差を拡大させている。
-是正の方策は。
一つは他府県と全く同じ制度にする代わりに基地も全部他府県並みにしてもらい、筋の悪い怪しい補助金をもらわないようにする。もう一つは国直轄事業や補助事業など振興予算全額を一括交付金化して固定化し、補助金適正化法の適用を除外させて一般財源化することだ。全部県予算に基づく県発注事業として地元が優先的に仕事を取れるようにする。 振興計画の中で目標を明確化し、数値目標を出して議会が進捗(しんちょく)状況を管理する仕組みが大切だが、できていない。これでは議員も職員も政策形成能力は上がらない。これまでの自治体職員は国の9割補助のメニューから事業を選んで予算を極大化することが自治だと思ってきた。この仕組みは植民地経済の在り方で、行政職員が反抗できない植民地構造の歯車にさせられてきた。これを抜本から変えないといけない。(政治学)
---
友知政樹 沖縄国際大教授/経済も独立は夢でない
-独立論を唱えているが「独立したら飯が食えるか」との疑問を持つ人は少なくない。どう説明するか。
沖縄の収入の現状は、全体を100とすると、うち基地依存割合は今やたった5だ。日本への財政依存が仮に50とすると、独立すれば「100-5-50=45」となり「イモ、はだしになる」という話を耳にするが、これは完全に間違いだ。 正解は「100-5-50+5X+α」だ。基地がなくなった後の経済効果の倍数は未知数なのでXとする。都市部は30倍というデータもある。例えば那覇空港周辺や浦添、普天間、嘉手納などの一等地に米軍や自衛隊がいる。それが返還されるだけでも、何十倍もの経済効果が上がるだろう。一方、北部訓練場などやんばるの森林なら何十倍とはいかないかもしれない。それらの平均値がXに入る。つまりXは基地跡地利用による経済効果の倍数の平均値で、5Xの「5」は基地依存の割合。仮にXに10が入れば「100-5-50+5×10+α=95+α」となる。 残りのαは琉球人のアイデアや努力に比例する。独立すれば琉球が自由かつ主体的な経済政策を実行でき、αをある程度コントロールできる。一方で、αは外部からの影響も当然受ける。国際マーケットからの評価などだ。アイデアを出し合い、努力し、うまく利用すれば、独立後のαは大きくなり得る。今後のより具体的なシミュレーションや議論、実践により、疑問が希望へと変わるだろう。
-基地が返らないと独立不可能ということか。
基地が返ってきた後に独立するのではなく、独立したら返ってくる。琉球が主権を持つからだ。ちなみに独立学会は全ての軍事基地撤去をうたっている。一義的には経済ではなく真の平和のためだ。この姿勢は譲れない。軍隊がいるから、そこで戦争が起こる。基地があれば標的にもされる。それが沖縄戦から学んだ教訓。基地の存在は経済問題の前に、命の危機の問題だ。
-外部をどうみるか。
琉球の位置をみると、東京より近い所に上海、台湾という巨大なマーケットがあり、東京と同じくらいの距離に北京、香港、ソウル、マニラがある。決して「南海の孤島」ではなく、東アジアのセンターだ。これらのマーケットを活用すれば、経済的観点からも独立は決して夢物語ではない。今や世界には米国主導の世界銀行だけではなく、BRICS銀行(新開発銀行)も本格始動する。協力を仰ぐ選択肢が複数になる。琉球に時勢が味方している。
-資源については。
隣の国々にはない、琉球が誇れる資源として清(ちゅ)ら海や空、独自の歴史、文化がある。例えば、スコットランドは石油があるから独立の機運が盛り上がったといわれるが、琉球には観光資源がある。石油は使えば確実に減るが、観光資源は増えても減ることはない。琉球には資源が「ない」のではなく「豊富にある」という発想への転換が必要だ。
-独立の利点や意義は。
琉球のことを琉球人が決めることが可能になる。ヤマトにさまざまなことを強制され続けてきた状態から脱し自由になる。同時に、東アジアや世界の平和センターを担うべき責任も生じる。歴史的にみても、アジアの国々、そして世界中から支援を得られると思う。 (琉球民族独立総合研究学会共同代表、数理行動科学)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>挑戦-平和と経済/基地撤去 飛躍の道/沖縄、アジアの懸け橋に/経済連携、安全保障にも
2015.01.11 琉球新報朝刊 16頁 特3 1版 写図表有 (全6,652字)
基地か、経済か-。沖縄の主要選挙の争点が過去のものになりつつある。北谷町美浜や那覇新都心など基地跡利用の成功を目の当たりにした県民の間で、米軍基地の存在は経済のよりどころではなく、沖縄の経済発展の阻害要因だという見方が定着した。基地の整理縮小・撤去は県民の負担軽減や攻撃の標的となる危険性を回避するだけではなく、跡地利用で経済振興の飛躍につながるという認識も広がっている。その沖縄にとって追い風となる世界の時勢がある。沖縄の自立経済の現状を検証するとともに、グローバル化による環境の変化を基に、アジアの平和や経済に貢献可能な沖縄の潜在力を探った。(編集委員・新垣毅) 「アジアの中心は沖縄に近づいている」。そんな文言が経済誌で躍るようになった。高失業率や低所得、不安定な雇用など全国比でマイナス面が多く語られてきた沖縄だが、アジアの視点から見ると経済的飛躍の可能性は広がっている。 航空の物流拠点(国際ハブ)、外資系ホテルの相次ぐ進出、米軍基地の跡利用が経済成長率を押し上げると推測し店舗を出す人気企業、最先端エネルギーやバイオ産業などの進出ラッシュ…。既に具体的な動きが始まっている。沖縄は産業の場としてアジアを引きつける材料が抱負という。
■協調の時代
県の沖縄振興指針「沖縄21世紀ビジョン」は沖縄を「アジアの橋頭堡(ほ)」と位置付けている。振興基本方針も「沖縄はアジア・太平洋地域への玄関口として大きな潜在力を秘めており、日本に広がるフロンティアの一つとなっている」とうたい、潜在力を引き出すことが「日本再生の原動力になり得る」と強調する。沖縄はアジアの懸け橋となって、自身だけでなく日本やその他のアジア諸国の発展を担えるという。人、モノ、経済、情報のグローバル化の進展により、地球規模で国や地域の相互依存が深まっている。小国であっても一つの国が金融危機に陥れば、瞬く間に国境を越えて影響が広がり世界が風邪をひく時代だ。その一方でグローバル化は欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)のような国々の地域統合や経済連携をもたらした。アジアでも、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、東南アジア諸国連合(ASEAN)があり、さらに自由貿易協定(FTA)を中心とする経済連携の動きが急速に進められ、政治・安全保障面でもASEAN地域フォーラムが誕生した。 そのほか、さまざまな連携が展開されている。環太平洋連携協定(TPP)もその一つだ。アジアのほぼ全域をカバーし、世界の人口の半分、総生産額(GDP)と貿易総額の約3割に達する自由貿易協定・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も今年中の妥結を目指し、交渉中だ。 ただ、中国がアジアで影響力を強めることに米国などが警戒する向きもある。TPPは「経済面における対中国包囲網であり、事実上の安全保障政策」との指摘もある。 EUは、大戦を繰り返してきた欧州で戦争の火種となる石炭・鉄鋼の共同管理から始まった。国境の垣根を越えた統合・連携は、相互の技術力やマンパワー、市場のニーズなどを協調によって補い合い、経済的発展を図る一方、政治的関係も深めて、一大安全保障地帯を築き上げるという平和志向が根底にある。カネ、人、モノの交流を深める地域統合や経済連携こそ、最大の安全保障という発想だ。
■東アジア共同体
こうした地域統合・経済連携で、沖縄の役割という視点から注目されているのが、ASEANに日中韓を加えたASEAN+3(約20億人)を軸にした「東アジア経済圏」「東アジア共同体」構想だ。人口約21億人に達し、EUの約4・4倍、経済規模ではEUを上回る。これが実現すれば、世界の経済・勢力の極が西から東へ移ると目される。 ノーベル賞候補に取り沙汰された世界的な経済学者の故・森嶋通夫氏(ロンドン大学教授)は著書「日本にできることは何か」(2001年)で、「日本の没落を救う道は、東アジア共同体を構築し、アジアの中で生きる道以外にない」と断言し、日本、中国、南北朝鮮、台湾をメンバーとした「東アジア共同体」(EAC)構想を展開した。 その中でEACの首都は「EUのベルギーがそうであるように、大国であってはならない」とし、沖縄を独立させ首府にすることを提案した。かつての琉球国と中国との深い歴史的関係や日本との関係を挙げ「EACなしの独立ならば異論もあるだろうが、EACの首府予定地としての独立という私案は、沖縄の住民にとっても共同体にとっても望ましい」とした。首府になれば、高級の共同体役人が多く常駐するので長期的繁栄が期待でき、沖縄に活気をもたらすと主張した。 「東アジア共同体」構想は、経済的な側面からは森嶋氏のほか、谷口誠、小原雅博ら各氏の議論もある。政治・安全保障の側面からは、東アジア共同体評議会、姜尚中、進藤栄一、和田春樹の各氏らが提唱している。
■「平和の要石」
県内では具体的な取り組みが始まっている。鳩山由紀夫元首相は政界から引退後、東アジア共同体研究所を設立し、昨年4月に同研究所の琉球・沖縄センターを那覇市に開設した。日米同盟の中で「軍事の要石」になってきた沖縄を、東アジアの拠点として「平和の要石」にしたいとの発想だ。 障害もある。日本と中国、韓国の間にある尖閣諸島や竹島の領土問題、従軍「慰安婦」や歴史教科書の記述、靖国参拝問題など歴史認識問題だ。 豊下楢彦氏(元関西学院大学教授、国際政治)は尖閣問題をめぐる日中の軍事衝突で真っ先に攻撃の対象される沖縄が再び「捨て石」とされぬよう、対話や交流による東アジアの「信頼醸成の拠点」を築くべきだと説く。 太平洋戦争で沖縄は日本軍の軍事拠点となったが、同時に「犠牲者」でもあったとし「歴史認識問題においてアジア諸国を『架橋』できる位置にある」と指摘し、米軍基地問題で直接対米交渉してきた外交力も潜在力として注目する。 “沖縄はアジアの懸け橋”論が政治や経済、文化などさまざまな面から叫ばれてきた。国連アジア本部など国連機関の誘致でアジアの安全保障を担うだけでなく、沖縄を「真の意味で平和にしたい」という考えも提起されてきた。今後、沖縄はアジアの拠点や「平和の要石」の実現に向けて積極的な施策を展開する上で、自己決定権は欠かせないだろう。戦略の構想力、提言力、発信力、政策形成能力、実行力、外交力などが一層問われている。
<自立経済>国従属から「自律」へ/主体的な制度設計必要
沖縄の経済自立度を考える際、対外収支均衡が一つの指標となる。 輸入に必要な費用を、外からの収入でどれだけ賄えるかを表した数値で、独立国の国際収支に当たる。沖縄経済に適用する場合、グローバル経済の相互依存関係に吸収されているとの認識が前提だ。 沖縄独立論者で経済学者の平恒次イリノイ大学名誉教授は1994年の県統計の数値を基に沖縄の対外収支を計算したところ、9・7%の赤字という。ただ、国から県への財政移転や、県から国への税金、県から本土へ環流する金(「ザル経済」)などを考慮していないため、数字は「不十分」としつつも、約10%の赤字は「望ましくはないが、極端に悪いとはいえない」と結論付けた。 一方、琉球大教授の大城肇氏(島嶼(とうしょ)経済論)は財政依存度や域内自給率など複数の指標を用いて沖縄経済の自立度を分析した(表)。その結果、沖縄経済は自立経済へ向かわず、むしろ逆の方向へ動いてきたと指摘する。 大城氏は、外から稼ぎ、独り立ちする「自立」と、自らの意志で自らのことを決める「自律」とを区別する。「自律」は「沖縄の地域特性や経済の発展段階に即した制度設計・仕組みづくりができること」とし、独自の制度設計が可能となる自治権獲得が必要だと強調する。沖縄が本土と一体化し同質化するための公共投資の手法から脱却し、沖縄の地域特性=島嶼性や環境特性を反映した個性化や自立化を支える投資に切り替えるべきだという。 海外の島嶼地域を調査した経験から、経済自立のためには地域の実情に合った仕組みづくりが必要で「経済自立と制度設計力を持つ自律は正の相関関係にある。地域主権に基づく『自律』のないところに、真の経済自立はない」とも主張する。国からの財政移転や基地収入に依存する「日本経済への従属の道」ではなく、東アジアの中で沖縄を見詰め直し「国際的視野の中で主体性を発揮することが必要だ」と唱えている。
<財政依存>1人105万、全国17位/「暮らし良さ」発展の力に
沖縄県の財政状況(2011年度)を見ると、国への財政依存度は37・5%で全国5番目に高い。02年からの第4次沖縄振興計画以降「自立型経済の構築」がうたわれているが、国への財政依存度は高止まりの傾向にある。 一方、1人当たりの公的支出額は105万円で、全国17位。1人当たりで見ると沖縄の財政移転は都道府県比で必ずしも大きい額ではない。米軍基地問題と絡め、沖縄は国の補助金を「多くもらっている」という認識から「沖縄を甘やかすな」との声があるが、誤解であることが分かる。 ただ、国の財政に依存しているのは確かだ。国からの財政移転を当然の権利とし、それをてこに自立を目指すか、財政移転による自立を否定し、文字通り自らの足で立つことを考えるか、大きな分岐点になる。 財政移転を当然の権利として認めるならば、国の法律に基づき赤字分は調整され、自治体の財政に補填(ほてん)されるので、緊迫感を招くことはない。 財政移転を前提にしない日本からの分離・独立論だと、その赤字分をどうするのか、説明や対策が必要となる。赤字をカバーできない場合、県民の所得減少を招く恐れがある。 その場合でも「暮らし良さが低下するわけではない」との見方もある。沖縄国際大教授の富川盛武氏は発展の物差しを根本的に考え直すべきだとし、単に経済指標をよくする「自立論」の限界を指摘する。 富川氏は自立経済を「社会的経済単位が自らの意志と知恵と力によって経済が成長・発展し、同時に生態系のバランス、社会的福祉・文化の向上が実現されつつある状態」と定義する。具体的には、低生産性、依存経済、ザル経済、高失業率、人口過剰など沖縄経済の諸問題解決という次元だけでなく、風土や文化、生態系のバランス、「暮らし良さ」の向上を含む広い概念で自立経済を捉え直している。 こうした包括的な自立は、従来の経済指標追求が起こす均一化、画一化による労働意欲、個性の喪失を防ぎ、アイデンティティーを高め、地域発展の原動力になり得るという。 貧困層や格差の拡大、精神疾患のまん延など都市型・競争社会の弊害も考え、自立経済を論じる際には「真の豊かさ」の議論も必要となろう。
<沖縄県の1人当たり所得>非武装国比で3位/世界194ヵ国中42位
沖縄県の人口や経済は、全国や世界と比べ、どのような位置にあるか。 全国47都道府県別の人口を見ると、沖縄の約142万人は25位、人口増加率は東京に次いで高い。面積2276平方キロメートルは44位。1人当たりの県民所得は、201万8千円(2011年度)で最下位。全国平均の291万5千円に大きく水を空けられている。 WHO(世界保健機関)加盟194カ国と比べると、沖縄の人口は146位に位置する。100万人を超えない国も40カ国以上存在するのだ。面積は183位と順位は低いが、1人当たりの所得は42位に位置する。1位はノルウェーの669万6千円、2位はルクセンブルク601万6千円、3位はシンガポール601万1千円と続く。日本は17位。 ちなみに、1970年代に国王が「国民総幸福量(GNH)は国民総生産(GNP)よりも重要だ」と打ち出し、国勢調査で国民の97%が「幸せ」と答えて世界に注目されたブータンは91位の62万円で沖縄よりも低い。所得の高さがそのまま生活の質の高さや幸福度につながるとは限らない。自然破壊や物価の高さ、格差、寛容性などの生活環境も重要な指標となる。 一方、琉球民族独立総合研究学会は「軍隊のない沖縄」を提唱している。前田朗東京造形大学教授によると、軍隊を持たない国は世界に27カ国あるという(同氏著「軍隊のない国家」日本評論社)。第2次世界大戦以前には、アンドラやサンマリノ、モナコ、アイスランドなど7カ国しかなかったが、60年代、70年代、80年代にそれぞれ6カ国増え、90年代も2カ国加わった。 琉球独立論への批判や憲法9条に関する議論で「国家は軍隊を持つのが当たり前」といった主張があるが、軍隊がなくても平和外交を駆使して安全保障を確立している国がこれだけある。その27カ国と比べると、沖縄は人口は3位、面積は8位に位置する。1人当たりの所得は3位と高い。 27カ国が軍隊を持たない理由は六つに分類できるという。(1)アンドラなどもともと長い間軍隊を持っていない(2)ドミニカ国など軍隊が国民を殺害したため廃止(3)セントルシアなど外国軍によって占領されて軍隊が解体(4)グレナダなど集団安全保障体制を結んだ(5)パラオなど外国との自由連合協定下にある(6)コスタリカのような非武装中立-だ。
<用語解説>
自由貿易協定(FTA) 特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁などを削減・撤廃することを目的とする協定。関税、非関税障壁をなくすことで締結国や地域の間で自由な貿易を実現し、貿易・投資の拡大を目指す。2国間協定が多いが、北米自由貿易協定(NAFTA)などの多国間協定もある。
東南アジア諸国連合(ASEAN) 経済・社会・政治・安全保障・文化に関する地域協力機構。加盟国は、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10カ国。域内の総人口は6億人超で、5億人の欧州連合(EU)より多い。2011年の加盟国合計のGDPは2兆1351億米ドルで、日本のGDPの約36%。ASEANを一国家として見た場合、世界8位の規模だが、過去10年間に高い経済成長を見せており、今後、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が注目されている。
ASEAN地域フォーラム アジア・太平洋地域の政治と安全保障を対象とする対話のフォーラム。ASEANを中核に1994年より開始された。安全保障問題について議論するアジア太平洋地域唯一の政府間フォーラムで、26の参加国にEUが加わっている。(1)信頼醸成の促進(2)予防外交の進展(3)紛争へのアプローチの充実-という3段階のアプローチを設定して漸進的な進展を目指している。
東アジア地域包括的経済連携(RCEP) ASEAN10カ国+6カ国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)が交渉に参加する広域経済連携構想。実現すれば人口約34億人(世界全体の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏が出現する。
環太平洋連携協定(TPP) 環太平洋地域の国々による経済自由化を目的とした多角的な経済連携協定。知的財産の取り扱いなどに関するルールの統一も目指す。2010年3月に米国やシンガポール、オーストラリアなど8カ国で始まり、現在はマレーシアやメキシコなどを加えた12カ国が参加。日本は13年7月に加わった。日米は牛・豚肉関税の扱いなどをめぐり対立が残っており、12カ国全体の協議も難航している。
<参考文献>
宮里政玄、新崎盛暉、我部政明編著「沖縄『自立』への道を求めて」高文研、富川盛武著「魂落ちゃる沖縄人-人間、文化、風土の視点からみた沖縄経済」新星図書出版、前田朗著「軍隊のない国家-27の国々と人びと」日本評論社、豊下楢彦著「『尖閣問題』とは何か」岩波書店、森嶋通夫著「日本にできることは何か」(岩波書店)、谷口誠著「東アジア共同体-経済統合のゆくえと日本-」(岩波新書)、東アジア研究所編「東アジア共同体と沖縄の未来」花伝社沖縄はもう独立すべき/大橋巨泉さん提言/安倍政権、戦前回帰と警鐘
2015.01.03 琉球新報朝刊 27頁 4社 1版 写図表有 (全1,481字)琉球民族独立学会シンポ(詳報)/結束が決定権基盤に/スコットランド投票に学ぶ
2014.12.30 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有 (全1,324字)
琉球民族独立総合研究学会が20、21の両日、宜野湾市の沖縄国際大学で公開シンポジウムを開いた。21日は、英国スコットランドで9月にあった独立の是非を問う住民投票をテーマに討議。現地で取材した友知政樹沖縄国際大教授、松島泰勝龍谷大教授、新垣毅琉球新報編集委員が登壇し、沖縄の自己決定権確立に向けてスコットランドの事例から学ぶべき点などを論じた。 友知氏は「スコットランド人の民族意識の強さ、アイデンティティーの揺るぎなさを感じた」と強調した。 さらに「独立賛成派のキャンペーン、Yesという言葉にはポジティブな力がある」と指摘。名護市辺野古への新基地建設や米軍普天間飛行場の県内移設に反対するノーの民意を挙げて「ノーは言葉だけ捉えるとネガティブだ。スコットランドは核ミサイル搭載可能な原潜の基地などに関して『ノー・トライデント』とはっきり言っている。しかしノーにとどまらず、自己決定権につながる力を感じる」と話した。 賛成派の組織「Yesスコットランド」にならい「琉球でも『やさ、琉球』を作らなければならない。スコットランドでは農民から教師などまで、さまざまな人々を束ねる組織が寄付金で運営されている。スコットランド史上最大の草の根運動が盛り上がった」と説明。「今後、同様の投票を禁じる法律はない。独立運動は続き、英国が戦争に走っていく時や、EUから抜ける局面があればそういう時にはまた投票が行われるだろう。その際には過半数になるはずだ」と述べた。 松島氏は、英国側が危機感をあおったネガティブキャンペーンを挙げ「琉球が独立する局面になれば、日本政府が同様のキャンペーンを行うことが予想される。琉球から撤退するという日本資本や、米国大統領の発言を引き出すかもしれない。どのように琉球側が理論武装するかが問われる」と語った。 住民投票に基づく独立について、1960年代のアフリカなどに代表される「過去の問題」ではなく「民主主義を実現する最先端の方法だ」と強調した。 日本政府と沖縄の関係について「賛成が過半数となれば独立を認めていた英国中央政府に対して、日本政府は琉球の独立を認めないだろう。関係に違いがある。スコットランドは独立後は軍隊を持ち、ポンドを継続使用するという政策を掲げたが、琉球は軍隊は持たない方がいいと考える。琉球も独立の道を具体的に考えていく必要がある」と述べた。 新垣編集委員は独立運動が平和裏に進められたことを挙げ「沖縄のようにイエス、ノーで地域が分断されるというところまではいかない。民族としての基盤が強固で、結束している。自由や平等を重んじるスコットランド憲法に基づき、移民者もイエスに巻き込む寛容さがある」と指摘。さらにサッチャリズムが吹き荒れる中で冷遇されたスコットランドと、現在の沖縄を対比させ「沖縄はスコットランドでいう『分権前夜』に来ている」と述べた。ただ「全国の分権を待っていたら沖縄の自己決定権はいつまでも確立されない。外交・防衛の問題を抱え、その課題も自分たちの意思で決めていこうという議論があるのは沖縄だけだ」として「自治体外交、民間外交を駆使し、国内で無視されている民意を訴えていく必要がある」と述べた。琉球独立論 平和と希望の島求め/基地阻止へ自己決定権/アイデンティティーが核に
2014.12.24 琉球新報朝刊 21頁 文化 1版 写図表有 (全2,226字)琉球民族独立学会総会・シンポジウム/自己決定権 国連直訴へ/“人権後進国”日本知らせる/差別解消への活動強化
2014.12.21 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 写図表有 (全858字) ---> RS
琉球民族独立総合研究学会は20日、沖縄国際大学で総会を開き、琉球人への差別問題や自己決定権確立などを国連に直接訴える活動を来年度から始めることを決めた。琉球人は先住民だとして国連に直接訴える活動を展開してきた「琉球弧の先住民会」とも連携し、直訴行動を強める考え。総会の後「国連活用」をキーワードに開かれたオープン・シンポジウムでは、「琉球弧の先住民会」メンバーが登壇し「とにかく訴えを継続し、沖縄の抑圧されている状況を国際社会に理解してもらうことが肝要だ」と強調した。 シンポジウムは「世界的事象から考え、実践する琉球独立」をテーマに、先住民会のメンバー、当真嗣清、宮里護佐丸、親川裕子の各氏が登壇。国連で先住民として米軍基地問題などを訴えた糸数慶子参院議員や上原快佐那覇市議も国連での成果や課題を報告した。 親川氏は「国連に行く目的の一つは国際人権法と照らして日本がいかに人権後進国かを国際社会に知ってもらうことだ」と紹介。宮里氏は「琉球が独立するためには国連の活用は必須だ。琉球の自己決定権を主張する人々の安全を守るためにも、とにかく国連に行き訴えを続けることが大切だ」と活動の継続を訴えた。 当真氏は「琉球民族は誇りを捨てさせられた民族だ。誇りを取り戻し、国際社会に仲間を広げることが必要だ」と主張した。 宮里氏が「社大党は独立を掲げる政党になってほしい」と要望すると、社大党委員長を務める糸数氏は「その要望を党に持ち帰り、協議する」と答えた。 シンポジウムに先立ち、糸数氏は基調報告で「辺野古新基地建設反対という沖縄の民意を選挙で勝って示しても政府は一顧だにしない。1854年の琉米修好条約などをめぐり琉球の大先輩たちは米国や諸外国と渡り合った。今こそ、私たちにも交渉力が問われている」と話した。 シンポジウム2日目の21日午後1時からは、沖縄国際大学で「スコットランド独立投票」をキーワードに、9月18日に実施されたスコットランドの独立投票を現地で調査した琉球民族独立総合研究学会の共同代表らが登壇する。<あしゃぎ>思いやり予算を復興に
2014.11.06琉球新報朝刊19頁文化1版写図表有(全467字)
「米国防総省が発表している“同盟国の貢献度”によると、日本以外の同盟国が出す思いやり予算を合計しても日本の方が多い。この実態を日本のマスコミはどう報じているのか」と語る、ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表=写真。10月に開かれた琉球民族独立総合研究学会の公開シンポジウムで、マスメディア批判を繰り広げた。 米軍のための思いやり予算は1978年度に62億円で始まり、当初は基地従業員の人件費の一部だった。しかし対象を次々に広げ、2010年度は1881億円と30倍以上に達した。11~15年度の5年間で1兆円近くが拠出される予定だ。 「予算の在り方がおかしいのに、日本のマスコミは本質のところを追及する機能がない。政府の言うがままだ」と怒りをあらわにする。その上で米軍が沖縄に基地を置き続ける背景に同予算があることを挙げ、普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に600億円以上が拠出されることも指摘。「新基地建設よりも広島の土砂災害の救援に回すべきで、福島第1原発の汚染水対策や被災地復興を優先すべきではないか」と提案した。<沖縄本>経済自立も説く/松島泰勝「琉球独立 御真人の疑問にお答えします」
2014.11.01琉球新報朝刊19頁文化1版写図表有(全233字)<あしゃぎ>世界を味方に
2014.11.01琉球新報朝刊19頁文化1版写図表有(全459字)
「辺野古で埋められようとしているのは琉球人の誇り、尊厳、権利、文化、自然、全てだ」。米軍普天間飛行場移設に伴う新 基地建設について強調する友知政樹沖縄国際大教授=写真。共同代表を務める琉球民族独立総合研究学会が10月26日に開いた公開シンポジウムで発言した。 スコットランド独立を問う9月の住民投票に関連して「核兵器搭載可能な原潜基地の押し付けが大きな争点だった。ヤマトが基地を押し付けている琉球と同様の 状況がある。スコットランドには『ノー・トライデント(潜水艦から発射される弾道ミサイル)、イエス独立』という合言葉があった」と指摘。若い世代の多く が独立に賛成したことを挙げて「近い将来、同様の投票があれば独立は時間の問題だ」と語る。 その上で国連の動きについて「人種差別撤廃委員会は 琉球の人々を先住民族と認め、権利を保護するよう日本政府に勧告した。スコットランドに世界が注目したように、琉球が変わり、自己決定権を強く発信すれ ば、世界を味方につけられる。そして独立に向け、着実にかじを切っていくことが重要だ」と論じた。<時代の胎動・2014知事選>2/しまくとぅば復興/尊厳への意識高まる
2014.10.29琉球新報朝刊29頁社会1版写図表有(全983字)<検索@現代>5/琉球独立論/差別と闘い 自立探る/沖縄と海外の連携も
2014.10.28琉球新報朝刊21頁文化1版写図表有(全1,676字)10年後の北部憂う/独立研究学会シンポジウム 「新基地」問題を討論
2014.10.27琉球新報朝刊24頁2社1版写図表有(全592字)国連委勧告「回答は困難」/糸数氏質問に政府答弁書
2014.10.26 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全254字)
【東京】政府は21日、国連の人種差別撤廃委員会が8月に日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告したことへの対応について、先住民族に関する国際的に確立した定義はないなどとして「答えることは困難」とする答弁書を決定した。社大党委員長の糸数慶子参院議員の質問主意書に答えた。 答弁書は先住民族について、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」でも定義の記述がないと強調。糸数氏が指摘する「琉球(沖縄)の人々」の範囲や「琉球(沖縄)民族」の意味は「必ずしも明らかではない」とした。<短信>独立学会が26日にシンポ
2014.10.24琉球新報朝刊18頁文化1版(全271字)<道標(しるべ)・主権を問う>脱植民地化へ連携を/チャモロ2氏 琉球とグアム共通性
2014.10.21琉球新報朝刊21頁文化1版写図表有(全1,162字)催事、中止・延期に/台風影響
2014.10.11琉球新報朝刊25頁4社1版(全905字)<独立への視座・スコットランドと沖縄>中/松島泰勝/差別解消の有効選択肢/否定戦術に対抗措置必要
2014.10.02 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有<独立への視座・スコットランドと沖縄>上/島袋純/開いたパンドラの箱/法制度の整備で投票実現
2014.10.01 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>61/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(6)/民衆の力が勝利導く/「分権の母」、沖縄を激励
2014.10.02 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,156字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>60/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(5)/新しい秩序が到来/相互依存で「国家」役割低下
2014.10.01 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,218字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>59/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(4)/「核撤去」が争点に/国防にも自治の手伸ばす
2014.09.30 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,195字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>58/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(3)/住民主導で分権推進/止まらぬ流れ、再投票も
2014.09.29 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,232字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>57/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(2)/貧困層ほど「イエス」/社会保障、軍事費に不満
2014.09.28 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,185字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>56/第5部 海外の光源/独立投票-スコットランド(1)/平和裏に権利行使/中央政府承認は世界初
2014.09.26 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,371字)<金口木舌>次の交渉は?
2014.09.25 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全561字)特別評論 スコットランド住民投票/編集委員 新垣毅/英国民の目を覚ます/沖縄にも状況変える力
2014.09.25 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,489字)糸数さん発言要旨/国連先住民族会議
2014.09.25 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全460字)「先住民の権利侵害」/糸数氏、辺野古反対訴え/国連会議
2014.09.24琉球新報朝刊1頁総11版写図表有(全468字)スコットランド住民投票/重なる沖縄の歴史/「少数者に勇気」県内関係者
2014.09.20琉球新報朝刊26頁2社1版(全785字)
琉球民族独立総合研究学会共同代表の親川志奈子さん(33)は「投票という平和的なプロセスで独立について表明し、国際的な目にさらされることで中央政府と対等な関係性を獲得できる。今後のスコットランドとイングランドの関係性に注目したい」と指摘。「沖縄では期待や自分たちに置き換えて考える反応があった。将来を自ら選択するビジョンを描けるようになれば、沖縄の独立論も進化する」と展望した。<あしゃぎ>しまくとぅば価値再確認を
2014.09.11 琉球新報朝刊 25頁 文化 1版 写図表有 (全463字)<民意と強権のはざまで 辺野古・掘削開始>5/友知政樹/許されない琉球差別/まじゅん、ばんみかそうよ
2014.09.09 琉球新報朝刊 23頁 文化 1版 写図表有国連会議で意見発表へ/琉球弧の先住民族会 自己決定権回復訴え
2014.09.04 琉球新報朝刊 25頁 4社 1版 写図表有 (全574字)<あしゃぎ>スコットランドと沖縄
2014.09.02 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有 (全462字)<社説>国連委員会勧告/国際世論を沖縄の味方に
2014.08.31 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全890字)
昔からそこに住む人たちの意思を一顧だにすることなく、反対の声を力でねじ伏せ、軍事基地を押し付ける。地元の人たちが大切にしてきた美しい海を、新たな基地建設のために埋め立てる。 国が辺野古で進める米軍普天間飛行場の代替施設建設は、海外の目にはそう映るに違いない。 国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。 沖縄の民意を尊重するよう求めており、「辺野古」の文言は含まないが事実上、沖縄で民意を無視した新基地建設を強行する日本政府の姿勢に対し、警鐘を鳴らしたとみるべきだ。 国連の場では、沖縄は独自の歴史、文化、言語を持った一つの民族としての認識が定着してきたといえよう。2008年には国連人権委員会が沖縄の人々を「先住民族」と初めて認め、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は2009年、琉球・沖縄の民族性、歴史、文化について固有性を指摘した。 それに対し、国は沖縄を他県と同様に日本民族として、人種差別撤廃条約の適用対象にならないと主張している。 沖縄はかつて琉球王国として栄え、他県とは違う独自の文化遺産、伝統的価値観を今なお持っている。明治政府によって強制的に併合され、日本の版図に組み込まれ、主権を奪われた。これは琉球の歴史から見れば、ほんの百数十年前のことだ。 国は、他県ではおよそ考えられないことを沖縄に対しては平然と強いる。これが差別でなくて、何を差別というのか。 歴史的経緯を踏まえ、国は人種差別撤廃委員会が出した最終見解に従い、真摯(しんし)に沖縄に向き合うべきだ。 最終見解では、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や保護策が十分取られてないことにも言及している。沖縄側の努力が足りないことは反省すべきだろう。 自己決定権の核となるのがアイデンティティーであり、その礎を成すのは言葉だ。しまくとぅばを磨き、広め、自らの言葉で自分たちの未来は自分たちで決める権利を主張したい。 国際世論を味方に付け、沖縄の主張を堂々と世界に向け訴えていこう。道理はこちらの方にある。国連人種差別撤廃委/政府の姿勢に警鐘
2014.08.30 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全794字)
国連人種差別撤廃委員会が日本政府に対し、琉球・沖縄の言語や文化、歴史の保護を勧告したのは、沖縄の人々を日本の「先住民族」と認識しているからだ。日本政府は、沖縄の居住者・出身者は「日本民族であり、人種差別撤廃条約の対象ではない」と反論、「先住民族」として認めていない。国連はこの態度に「懸念」を表明しているが、両者の認識の隔たりは大きい。 国連は2008年に沖縄の人々を「先住民族」と公式に認め、09年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄の民族性、歴史、文化について固有性を指摘した。 国連人権委員会は7月24日に発表した最終見解で、日本政府に対し、法律を改正して、琉球・沖縄のコミュニティーの伝統的土地と自然資源への権利を全面的に保障する、さらなる措置を要求している。子どもたちが独自の言語で教育を受ける権利の保障も求めた。 今回の人種差別撤廃委員会の勧告は、こうした流れを踏まえた内容だ。 こうした勧告に対し、日本政府は、沖縄の居住者・出身者は「日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的または文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられていない」「日本国民としての権利を全て等しく保障されている」などの主張を繰り返し、勧告を“無視”してきた。 勧告に拘束力はないが、これまでの再三再四の勧告に加え、今回も同様の勧告が出たことに対し、日本政府が今後、どう対応するか、注目される。 人種差別撤廃委員会は10年に、沖縄への米軍基地集中は「現代的な形の人種差別」と認定した。今回の日本審査の議論でも、地元住民ともっと協議するよう指摘が相次いだにもかかわらず、最終見解では基地問題に言及しなかった。 沖縄への基地集中は「構造的差別」とも指摘されている。沖縄をめぐる現状について国連にどう理解を深めてもらうかが沖縄側の課題として残った。(新垣毅)「沖縄の民意尊重を」/国連委、日本政府に勧告/言語、文化保護も促す
2014.08.30 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 (全790字)
国連の人種差別撤廃委員会は29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。「彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと」も勧告し、民意の尊重を求めた。琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促した。委員会は日本政府に対し、勧告を受けての対応を報告するよう求めている。(2面に解説、13面に関連) 同委員会は2010年に、沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告していた。今回は米軍基地問題に言及しなかった。 最終見解は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄について特有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにもかかわらず、日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。「彼らの権利の保護に関して琉球の代表と協議するのに十分な方法が取られていない」ことに対しても懸念を表した。 また、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や、保護策が十分に行われていないと指摘。教科書に琉球の歴史や文化が十分に反映されていないとして、対策を講じるよう要求した。 最終見解は今月20、21日にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で開いた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。 対日審査では沖縄の米軍基地問題に関して、委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることが大変重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだが、最終見解では触れなかった。 日本に対する審査は、日本が1995年に人種差別撤廃条約の締約国になって以来、2001年と10年に次ぎ、今回が3回目。「地元民意尊重を」/辺野古移設 国連委が指摘/月内に勧告含め見解
2014.08.22琉球新報朝刊1頁総11版写図表有(全927字)
【ジュネーブ=新垣毅】国連人種差別撤廃委員会は20、21の両日、日本の人種差別状況について審査し、沖縄の米軍基地に関する政策をめぐっても議論した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設などに関して、委員からは「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることがとても重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだ。(6面に関連) 委員会は、勧告を含めた「最終見解」を今月内にも発表する見通し。委員の一人は「沖縄の人々の伝統的な土地、資源への権利を認め、それを十分に保障し、彼らに影響を与える政策については、その策定に参加できるようにすべきだ。特に米軍基地の問題については初期の段階から地元住民の参加が大切だ」と強調した。 一方、日本政府の代表は委員会冒頭で「沖縄に居住する人や沖縄県出身者は憲法の規定により法の下に平等だ。日本国民としての全ての権利が等しく保護されている」と説明。振興策によって「本土との格差は縮小し、産業の分野でも着実に発展をしてきた」と説明し、沖縄振興計画の策定主体が国から県へと変更されたことで「より沖縄県の主体性を尊重した施策が講じられている」と述べた。 沖縄の人々を「先住民」と認めない日本政府に対し、委員からは「琉球の人たちが自らをどう考え、どう定義付けているかも重要で、それに注意すべきだ」との意見も上がった。 別の委員は「琉球・沖縄はユネスコによって独自の言語や歴史、伝統を持っていると認められており、その特異性をなぜ認めないのか。保護すべきだ」と促した。琉球諸語(しまくとぅば)の保護施策への質問も相次いだ。これに対し日本政府の代表は「沖縄の居住者・出身者は、生物学的、文化的諸特徴を共有する集団である、という見解が国内に広く存在するとは認識していない。従って人種差別撤廃条約の対象に該当しない」などと答えた。 委員からは「琉球王国は中国の明や清と深く関係した長い歴史がある。1879年に日本に併合され、その後、同化政策が取られた歴史を考えると、日本が沖縄の先住民性を認めないのは正しくない。歴史を踏まえ、住民の意思を尊重し、当然の権利を保障すべきだ」との指摘もあった。辺野古中止 国連で訴え/糸数議員「琉球人差別」
2014.08.21琉球新報朝刊1頁総11版写図表有(全515字)
・・・これらの基地建設の強行は「人権無視であり、琉球人への差別だ」と主張した。県選出国会議員による国連への“直訴”は初めて。・・・委員からは「日本政府は、沖縄の人を日本人と同じだと言い続けているが、言葉や文化など日本人との違いは何か」との質問が出た。糸数氏は独立国として500年の歴史があったことや、琉球諸語がユネスコで独自の言語として認められていることを説明した。糸数参院議員国連訴え(全文)
2014.08.21琉球新報朝刊7頁国際1版(全885字)
・・・以上のことは人権無視であり、琉球人に対する差別としか言いようがありません。基地中止 国連訴えへ/糸数参院議員「強行は人権無視」
2014.08.14琉球新報朝刊2頁総21版写図表有(全439字)
社大党の糸数慶子委員長(参院議員)は20日にスイスのジュネーブで開かれる国連人種差別撤廃委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の基地建設や東村高江でのヘリパッド建設の「即時中止」を訴える。これらの基地建設の強行は「人権無視であり、琉球人への差別だ」と主張し、「琉球の民意」が尊重されるよう国連の関与を求める考えだ。県選出国会議員による国連への“直訴”は初めてとなる。 国連委員会での訴えには党の上原快佐那覇市議が同行する。両氏は13日、取材に答えた。 糸数氏は人種差別撤廃委員会による意見聴取で、発言する機会を得た。糸数氏は「沖縄が日本に復帰して40年が過ぎても『基地はいらない』という民意は無視されてきた。琉球人のことは琉球人で決めることや、世界の宝である辺野古の海を守ることを強く訴えたい」と話した。 上原氏は「辺野古の基地建設は国際的視点で見ても民主主義を無視したやり方だ」と強調した。 国連の関係者に基地建設中止への賛同を訴えるパンフレットを配布する計画だ。沖国大ヘリ墜落10年シンポ/「差別」終わりに
2014.08.17 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全2,019字)
・・・長元 作家の大城立裕さんは「沖縄は今、本当の自立に向けて思想が動き出している」という表現で最近の潮流の変化を語っている。本当にそうだと感じる。最近は「琉球処分」という用語に関し、処分ではなく併合だという見解があり、「琉球方言」も「琉球語」にすべきとの意見がある。琉球独立に関する学会も発足した。いろんな動きが出ており、どう次につなげるかだ。悪化する東アジアの国際秩序を変える上でも沖縄の果たすべき役割がある。<第31回本紙読者と新聞委員会>沖縄の「主権」多面的に
2014.08.17琉球新報朝刊13頁特11版写図表有(全4,884字)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>49/第4部 識者の目/松島泰勝氏(龍谷大学教授)/発展へ独立が近道/自主憲法で生命守る
2014.08.14 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,293字)
-「植民地」という言葉で沖縄を語る意義は。
「琉球の問題を国内に限定せず国際問題にすることだ。1960年代、脱植民地化運動がアジアやアフリ カで起き、国連では植民地独立付与宣言という国際法も作られた。琉球が世界とのつながりをつくった1854年の琉米修好条約は非常に重要だ。琉球も世界の 一員であり、世界の脱植民地化の流れに乗ることができる」
-琉米修好条約の原本は東京の外交史料館にある。
「これはまさしく琉球併合が侵略であった証拠であり、戦利品だ。日本は琉球が主権国家であった証拠を奪った。返還すべきだ」
-「植民地・沖縄」とはどのような状態を指すか。 「戦 後、琉球は信託統治領にならず無権利状態だった。ミクロネシアのような信託統治に置かれたのであれば、国連の監察が入った。国連には信託統治理事会があ り、信託統治領はいずれは独立か自治かを国連監視下で決定できる。ところが琉球はそうならず、ミクロネシア以下の扱いをされた。信託統治領になり、国連の 理事会で議論し、琉球人が住民投票で地位を決めるべきだった。だが実際は日米だけで交渉し、密約を含む沖縄返還協定を作り、琉球の施政権は日本に移った」 「植民地支配は今も続いている。全国の米軍専用施設の74%が押し付けられ、基地内は治外法権だ。経済も、基本的に日本政府が政策をつくり、予算執行権を持っている。1996年以降は基地と開発を結び付けた政策だ。本土に利益が戻る植民地経済になっている」
-なぜ国内での自己決定権拡大ではなく、独立か。
「自分たちの施策を自分たちで決定できる。全国の市町村が道州制に反対している現状では、日本と別れた方が早い。日本の枠内だと、中央に強制力があるので分断される。独立国になれば分断施策は内政干渉となり、琉球は国際法で守られる」 「今 の流れでは、日本は立憲主義を実現できず、戦争ができる国になる。どこで戦争するかと言えば琉球だ。自分らは平和に過ごし、琉球で戦争をする。だから改憲 を支持する。もし東京で戦争するとなると憲法は変えないと思う。そういう日本から離れて自分たちで憲法を作り、立憲主義を確立した方がいい。その方が琉球 人の生命は守られる」
-経済への不安から独立に反対する人もいる。
「基地を減らし、平和や安心を求めているのに、発展できないというのは どう考えてもおかしい。自由貿易地域など目玉とされた経済政策のほとんどは失敗してきた。東京の官僚がわざと失敗するようにつくった政策ではないか。台 湾、香港、シンガポールなどが琉球より短期で発展したのは経済主権があるからだ。自分らで考えて計画を作り、国際的に展開した結果だ。基地を押し付けられ る条件付き経済から独立した方が、大いに発展の可能性がある」
(聞き手 新垣毅)<道標(しるべ)求めて・琉米条約160年 主権を問う>45/第4部 識者の目/阿部浩己氏(神奈川大教授)/併合の責任追及を/自己決定権保障 国の責務
2014.08.10 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全1,313字)
-国際法からの「琉球処分」の研究は。
「ほとんどない。沖縄はなぜ日本になったのか、全くぼかされたままだ。日本が抱える領土問題は竹島、尖閣、北方領土といわれ、日本の領土問題はこの三つしかないような議論がされてきた。1980年代以降、先住民族の権利が台頭してきたが、日本では国家間の関係ばかりを取り上げ、先住民族の権利についてはまともに研究してこなかった」
-「琉球処分」をどう見る。
「琉球は1850年代に米国、フランス、オランダと修好条約を結んだ。国際社会の一員として認められた独立国家だったという議論は成り立つ。70年代の琉球併合までは、少なくとも琉球は日本の一部ではなかった。79年に琉球を併合したころ、米国などとの不平等条約を通してであったが、日本は国際社会の一員と認められていた。領域を拡張する際は何らかの国際法上の根拠に基づく必要があった。だが琉球併合は正当な根拠が見当たらない。79年の尚泰王の同意を併合の根拠にはできない。この同意は国の代表者に対する強制によるもので、絶対的に無効だからだ」
「むしろ当時は国際法上認められていた『征服』によるものと言うべきかもしれないが、日本国と琉球国が戦争状態にあったわけではないので、この法理を適用することも難しい」
-政府は国際法上の根拠を今でも説明していない。
「政府は琉球併合について国会で『分からない』という趣旨の答弁を繰り返している。本当に分からないのと、併合の認識を整理したくないということの、両方あると思う。日本が国際社会に組み入れられた時、付庸(ふよう)関係を根拠に琉球は既に日本の一部だったという議論は、当時の事実に照らしても無理筋だ」
-今日、国際法に照らし、併合の責任を追及する意義はあるか。
「大いにある。日本は植民地支配の歴史的不正義を認め、是正しなければならない。ところが沖縄とアイヌについて、植民地主義の実態を解明する作業がなされていない。沖縄の人々はその責任を追及するとともに、基地問題や自分たちの経済、資源の処分などについて『中央政府の意向だけで決めず、自分たちの同意を得よ』と主張できる。自己決定権の保障だ。沖縄の振興・発展の仕方は自分たちで決める。それを日本国は支援する義務を負う、という主張だ」
-その権利は国際法でも保障されている。国連の支援は得られるか。
「得られる。自己決定権は、一国の中で、自分たちのアイデンティティーや経済的文化的発展を自由に追求することを人民に保障する権利だ。これが継続的に侵害されると最終的に独立という可能性も出てくる。『琉球処分』が、国際法違反で無効、あるいは根拠がないということになると、沖縄の人々の自己決定権の保障は、日本国が果たすべき歴史的責任にほかならない」(聞き手 新垣毅)
あべ・こうき 1958年、伊豆大島生まれ。早稲田大学院法学研究科終了。博士(法学)。バージニア大学法科大学院卒。神奈川大教授。日本平和学会20期会長。国際人権法学会理事長。著書に「国際法の暴力を超えて」(岩波書店)など。近刊に「国際法の人権化」「国際人権を生きる」。<社説>「琉球処分」/不当性が明らかになった
2014.07.12 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全941字)
県民が歩んできた苦難の近現代史をたどり、沖縄の現状を考える上で新たな視座が提示された。自己決定権の保障を求める県民世論の大きな足掛かりとなろう。 160年前に結ばれた琉米修好条約など3条約を根拠に、国際法学者が1879年の「琉球処分」は当時の慣習国際法に照らして「不正」との見解を示した。しかも、今日の国際法に基づき、不正の責任を日本政府に追及することが可能という。 学者らの指摘に対し、外務省は「確定的なことを述べるのは困難」と回答し、不当性を否定しなかった。武力を持って沖縄の主権を侵した「琉球処分」の実相を見据えたい。沖縄の主権回復を追求する県民世論の高まりは当然であろう。 「琉球処分」の後、皇民化・同化政策が推し進められ、その帰結として沖縄戦の悲劇があった。敗戦後の米国統治下で人権を侵され、復帰後も基地の重圧に苦しみ続ける。このような沖縄の歩みと現状を考えたとき、その源流として「琉球処分」に突き当たる。 「琉球処分」をめぐっては、さまざまな歴史的評価がある。沖縄学の創始者・伊波普猷が「一種の奴隷解放也」と評したことは特に知られている。王国滅亡と併合を「進化」と捉えた視点だった。 しかし、「琉球処分」によって自己決定権を失った沖縄は日本政府の思惑に翻弄(ほんろう)された。「日本への同化」を説いた言論人・太田朝敷でさえ、沖縄は植民地的な「食客」の位置に転落したと嘆いた。 「琉球処分」に端を発した不条理は今も続いている。国際法上の不正を指摘した上村英明恵泉女学園大教授は「米軍基地問題に見られるように、琉球人の決定が日本政府によって覆される植民地状況は今も続いている」と断じた。 県民意思に反し、沖縄防衛局は普天間飛行場代替基地建設に着手した。上村氏の指摘通りだ。「琉球処分」の不当性を踏まえると、沖縄の自己決定権を踏みにじる政府の姿勢の不当性は一層明らかだ。 3条約は日本政府が没収し、現在、外務省が保持している。その理由についても「経緯が明らかでない」と外務省は回答を避けた。説明責任を回避する姿勢は遺憾だ。政府が保持し続ける理由はない。 沖縄が主権国家であったことの証しである3条約は、自己決定権を求める上での基礎資料ともなり得る。日本政府に返還を求めたい。「琉球処分」国際法不正/「困難」「不明」に終始/政府 説明責任果たさず
2014.07.11 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 (全649字)
日本政府は「琉球処分」の過程で琉球王国が1850年代に、米国、フランス、オランダと結んだ3条約を没収した。原本は現在、外務省が保持している。琉球が他国と結んだ条約を日本政府が保持している以上、国際社会の一員として説明責任が求められる。しかし、琉球新報の取材に対し、外務省は「見解は困難」と繰り返すにとどめ、琉球併合の国際法違反の指摘にも反論しなかった。 琉球新報は3条約への認識など9項目にわたって質問したが、いずれも確定的な見解は「困難」と答えた。3条約が国際法の対象となるかどうかの認識については「いずれも日本国としてこれら各国との間で締結した国際約束ではない」と回答した。「琉球処分」の国際法上の根拠についても「『琉球藩(王国)』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかではない」とした。 3条約の原本を保持している理由や経緯、法的根拠、原本を没収した後の効力の有無や内容順守などの扱い、条約当事国への説明などのやりとりについても「経緯が必ずしも明らかではない」として内容に対する回答を避けた。1934年に外務省条約局が編集した旧条約集「舊條約彙纂(きゅうじょうやくいさん)第三卷(かん)(朝鮮・琉球)」に3条約が掲載されている理由についても同様に回答した。 回答について、上村英明恵泉女学園大教授は「外務省の姿勢は『琉球処分に関する歴史認識には触れたくない』というものだと考えられる。しかし、この歴史認識が現在、沖縄が抱える問題の基礎となる以上、きちんと政治問題にして説明すべきだ」と指摘した。<道標(しるべ)・主権を問う>国際社会に訴える/「琉球処分」国際法上不正/関係者 決意強く
2014.07.11 琉球新報朝刊 38頁 2社 1版 写図表有 (全872字)<道標(しるべ)・主権を問う>琉米条約と国際社会/転機に自立・独立論/沖縄の民族や独自性意識
2014.07.11 琉球新報朝刊 37頁 特5 1版 写図表有 (全775字)<想い語らな・くとぅば 私 うちなー>4/親川志奈子さん/言葉学び「自己決定」を
2014.06.04 琉球新報朝刊 19頁 地2 1版 写図表有 (全2,186字)琉球独立学会1周年記念シンポ/琉球の自己決定権~独立に向けて/痛みの共有が重要/議論すべき権利の主体
2014.05.28 琉球新報朝刊 21頁 文化 1版 写図表有 (全3,126字)“植民地”脱却目指す/琉球独立学会 1周年でシンポ
2014.05.26 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 写図表有 (全547字)<ネットワーク>琉球民族独立総合研究学会シンポ/25日、沖縄国際大学
2014.05.21 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>10/権利章典/明確な意志 世界に示す
2014.04.06 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全828字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>9/国連機関に訴え/先住民主張し権利獲得
2014.04.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全838字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>8/特例型単独州/理念の具現化 超党派で
2014.04.03 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全793字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>7/復帰への建議書/機運高まり自治要求
2014.04.02 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全839字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>6/2・1決議/立法院から世界に発信
2014.04.01 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全850字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>5/「建白書」の継承/県民の思いが基盤
2014.03.31 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全823字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>4/島ぐるみ会議/オール沖縄 再構築へ
2014.03.30 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全730字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>3/建白書「廃棄」/危機が高める権利意識
2014.03.28 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全834字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>2/ハワイに学ぶ/「言語は権利」強く認識
2014.03.27 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全842字)<未来をつくる・沖縄 自己決定権への道>1/しまくとぅば/言語復興に思い託し
2014.03.26 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全880字)シンポジウム/しまくとぅば復興と自己決定権
2014.03.29 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有 (全1,966字)<あしゃぎ>Kana is…
2014.03.27 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有 (全462字)スコットランド独立賛成呼び掛け 住民投票で俳優コネリー氏
2014.03.04 琉球新報朝刊 社会 写図表有 ---> RS琉球民族独立学会 第2回大会宮古島で開催/島々の自立 議論/〈琉球・沖縄〉と異なる視点
2014.03.01 琉球新報朝刊 12頁 文化 1版 写図表有 (全1,727字)<あしゃぎ>“神話”からの独立
2014.02.26 琉球新報朝刊 29頁 文化 1版 写図表有 (全461字)宮古トライアスロン 首相夫人起用を抗議/琉球民族独立学会
2014.02.25 琉球新報朝刊 30頁 2社 1版 (全246字) 沖縄独立 36%「考えたことある」/沖国大生140人を調査/アイデンティティーは? 複合的49%、日本的20%2014.02.24 琉球新報朝刊 26頁 2社 1版 (全639字)
韓琉フォーラム 東アジア平和空間の創出/市民のつながり期待/国家主義克服へ討議2014.02.18 琉球新報朝刊 13頁 文化 1版 写図表有 (全2,268字)
「琉球処分」定義ない/政府、鈴木氏に答弁2014.02.05 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全364字)
<「スケッチ・オブ・ミャーク」という〈問題〉> 神谷三島/「善意」が誘導する「収奪」/ヤマトの神への供え物に2014.02.01 琉球新報朝刊 文化面
<寄稿>前利潔/奄美復帰60年の問い/民族の物語化進む/琉球弧の一員求めた島尾
2013.12.24 琉球新報朝刊 9頁 文化 1版 写図表有<きょうの歴史>12月14日
2013.12.14 琉球新報朝刊 8頁 オピ 1版 (全234字)
国連憲章は安全保障理事会の侵略行為に対する措置を定めるが、侵略とは何かの定義はない。国連総会はこの日(1974年12月14日)、「侵略の定義」に関する決議を採択。侵略は「他国の主権、領土保全、政治的独立に対する武力行使」とした独立論は時期尚早/琉球フォーラム 佐藤氏講演
2013.12.12 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全512字)インタビュー 翁長雄志那覇市長
2013.12.08 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全3,057字)<「沖縄の自立と日本 『復帰』40年の問いかけ」を読む>鹿野政直/独立論 理論的に浮上/現実を直視し将来構想
2013.11.19 琉球新報朝刊 21頁 文化 1版 写図表有<佐藤優のウチナー評論>303/「2014年の論点」と独立論/中央に誤解与えかねない
2013.11.16 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版基地経済で講演会/シンクタンク協議会 来月6日、那覇
2013.10.29 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全246字)<佐藤優のウチナー評論>300/主権の自己確認/独立論に立たない理由
2013.10.26 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版自治への自覚、団結を/沖縄独立で海外識者議論/那覇
2013.10.28 琉球新報朝刊 26頁 (606 文字)琉球独立学会 初の研究大会/きょう、公開シンポ
2013.10.27 琉球新報朝刊 28頁 2社 1版 (全367字)平和の碑集う会 大田元知事講演/東洋大校友会
2013.10.21 琉球新報朝刊 19頁 4社 1版 写図表有 (全475字)沖縄の「平和力」継承へ/大田昌秀さん・知念ウシさん公開対談「いま問う 『戦争と平和』」
2013.10.17 琉球新報朝刊 19頁 文化 1版 写図表有 (全3,039字)琉球処分と現代重ね/首里城明け渡し/大作にふさわしい熱演/沖縄俳優協会 観客動員に課題
2013.10.09 琉球新報朝刊 7頁 芸能 1版 写図表有 (全940字)代表・一般質問を振り返る/埋め立て判断に質疑集中/知事の「県外」主張強まる
2013.10.04 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全571字)<オスプレイ強行配備を読む~緊急識者インタビュー>7/島袋純氏 琉大教授/「内的自決権」要求を
2013.08.24 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全860字)<オスプレイ強行配備を読む~緊急識者インタビュー>4/仲地博氏 沖大副学長/多数派の共感獲得を
2013.08.19 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全834字)<あしゃぎ>資料充実に胸張る
2013.07.03 琉球新報朝刊 13頁 文化 1版 写図表有 (全461字)<岐路の憲法・わたしの視点>6/知念ウシさん(ライター)/適用されない沖縄 ---> 47news
2013.06.17 琉球新報朝刊 5頁 国際 1版 写図表有 (全1,138字)<記者席>非難にも表現の自由
2013.05.24 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全209字)東アジアの視点で議論/「復帰40+1年」シンポジウム 「主権」「国境」問い直す
2013.05.19 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全785字)<核心評論>沖縄復帰41年/中川克史(共同通信那覇支局長)/怒り、落胆 高まる反発/独立論に新たな芽
2013.05.18 琉球新報朝刊 7頁 国際 1版 (全1,097字)<社説>琉球独立学会/選択広げる研究深めよ ---> RS
2013.05.17 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全934字)琉球独立 学会を設立/平和な「甘世(あまゆー)」実現目指す/「自己決定権」模索へ ---> RS
2013.05.16 琉球新報朝刊 23頁 社会 1版 写図表有 (全1,372字)琉球独立 学会を設立/抑圧からの解放訴え/発起人らがシンポ
2013.05.16 琉球新報朝刊 23頁 社会 1版 (全600字)The Association of Comprehensive Studies for Independence of the Lew Chewans established ---> RS
2013.05.16 Ryukyu Shimpo<社説>本土復帰41年/自己決定権の尊重を/揺るがぬ普天間閉鎖の民意 ---> RS
2013.05.15 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 (全1,551字)復帰41年 姜尚中氏に聞く/国民の想像力 欠如/独立論 思考実験を
2013.05.13 琉球新報朝刊 2頁 総2 1版 写図表有 (全1,084字)「復帰」の意義議論/シンポに110人来場
2013.05.13 琉球新報朝刊 23頁 社会 1版 写図表有 (全483字)<あしゃぎ>御願に始まる自決権
2013.05.02 琉球新報朝刊 17頁 文化 1版 写図表有 (全466字)主権 自ら回復を/識者、独立を模索/沖国大シンポ 学会準備委に熱気 ---> RS
2013.04.28 朝刊<4・28「主権」を問う>沖縄の「主権」確立を/政府式典に批判/「4・28」意味問い直す/新報・OTV・ROKフォーラム
2013.04.26 琉球新報朝刊 1頁 総1 1版 写図表有 (全886字)<4・28「主権」を問う>県民の思い一つに/「思考停止」は危険/新報・OTV・ROKフォーラム
2013.04.26 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 写図表有 (全949字)シンポ「琉球の主権回復を考える」に寄せて/松島泰勝/琉球の主権、未回復 グアムと共に戦う
2013.04.25 朝刊平和の島 自らの手で/「琉球民族独立総合研究学会」設立準備委員会
2013.04.24 朝刊<4・28「主権」を問う フォーラム 識者インタビュー>2/友知政樹氏(沖縄国際大准教授)/愛国心高揚する戦略
2013.04.18 琉球新報朝刊 3頁 総3 1版 写図表有 (全929字)「琉球独立」を議論/研究学会、5月15日設立 ---> RS
2013.04.01 琉球新報朝刊 25頁 社会 1版 (全553字)
沖縄タイムス(2013年2月~)
首里城再興 熱い意見/6人の専門家ら公開討論会
2020/11/29 沖縄タイムス 朝刊 13ページ松島氏2冊発刊 トークイベント/那覇で28日・来月6日
2020/11/26 沖縄タイムス 朝刊 24ページ最古の首里城写真確認/1877年撮影 大龍柱正面向く/神奈川大の後田多准教授
2020/11/15 沖縄タイムス 朝刊 1ページ後田多准教授が大龍柱向き見解/きょう独立学会生配信
2020/11/14 沖縄タイムス 朝刊 21ページ大城立裕さん語録/受賞の喜びは沖縄全体のもの■ヤマトの政治的壁厚い■芸能は生きる力与えてくれる
2020/10/28 沖縄タイムス 朝刊 26ページ沖縄と日本問う/「文化的独立」を訴え/大城さん精神性重視
2020/10/28 沖縄タイムス 朝刊 27ページ政府がデマ裏書き/専門家「官製ヘイト」/「中国資金」誤記
2020/08/15 沖縄タイムス 朝刊 2ページ「牡丹社事件 多くの人へ」/玉那覇朝子さん自費出版/ウチナーグチで講演 冊子に
2020/07/29 沖縄タイムス 朝刊 12ページ首里城 多角的な論考/「うるまネシア」3年ぶり発行
2020/05/22 沖縄タイムス 朝刊 11ページ自己決定権の会 与那嶺氏出馬へ/西原町議 県議選へ
2020/01/16 沖縄タイムス 朝刊 2ページ歴史観変化 県外要求生む/基地引き取り運動 本刊行で対談
2019/07/03 沖縄タイムス 朝刊 26ページ琉球弧の自衛隊 配備問題考える/あす 沖国大でシンポ
2019/05/17 沖縄タイムス 朝刊 24ページ琉球併合140年考える/シンポ開催 自己決定権を議論
2019/05/13 沖縄タイムス 朝刊 26ページ主権や民主主義 沖縄で問い直す/白井氏ら4氏講演
2019/05/06 沖縄タイムス 朝刊 2ページ 852文字
東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会の第18回公開シンポジウム「日本の民主主義を問う~日本は本当に独立国家・民主国家なのか」が5日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。白井聡京都精華大学専任講師、山城博治沖縄平和運動センター議長、柳澤協二元内閣官房副長官補、前泊博盛沖縄国際大学教授の4氏が講演し、沖縄から日本の主権や民主主義を問い直そうなどと訴えた。白井氏は「戦後の国体における沖縄」をテーマに、戦後の沖縄が担わされた役割を説明。「国際的な批判をかわし、戦後も天皇制を維持するには、戦争放棄が必要だった。一方で東西対立が激化し、日本は米軍の駐留を求めた。天皇制が生き延びるために車の両輪となった日米安保体制と憲法9条はすごい矛盾を含んだ」と語った。そして「沖縄に基地を集約させることで、本土ではその矛盾を見ないで済む仕組みを精巧に作り上げた。沖縄がこれ以上の基地を許容しない姿勢を鮮明にするいま、本土もこの矛盾を見つめなければいけない局面に本来はなっているはずだが、本土の認識は変わっていない」と問題視した。山城氏は1947年9月の天皇メッセージを取り上げ、「沖縄を25年、50年、それ以上占領することが日本や東アジアの平和にとって望ましいという天皇メッセージが(国民を)縛り付けている。沖縄を切り捨て、県民に多大な迷惑をかけているこのメッセージを撤回すべきだ。不幸と犠牲と差別にさらされ続けた沖縄に謝罪し、撤回してほしい」と訴えた。柳澤氏は県民投票の結果を尊重しない政府に対し、「国防のために民意は犠牲になってもいいという考えは本末転倒である。国防とは何を守ることなのか」と強調。前泊氏は宜野湾市の普天間第二小学校上空で米軍ヘリが飛行するために児童らの避難が年間900回に上ると取り上げ、ドイツやイタリアが主権を取り戻す運動を展開する中、「日本は自分の国で米軍の飛行を制限するどころか、逆に子どもたちを避難させている」と話した。(写図説明)講演する白井聡京都精華大学専任講師=5日、那覇市内[社説]/きょう「4・28」/今も続く「構造的差別」
2019/04/28 沖縄タイムス 朝刊 5ページ 1161文字
詩人の山之口貘は、講和会議を目前に控えた1951年夏、異郷で沖縄の行く末を案じ、一行また一行と悲痛な思いを書きつづった。「琉球よ 沖縄よ こんどはどこへ行くというのだ」戦後日本の針路を決定づけたサンフランシスコ講和条約と旧安保条約は51年9月8日、サンフランシスコの別々の場所で締結され、翌52年4月28日、発効した。講和条約によって日本は主権を回復したが、沖縄は切り離され、米国に施政権が委ねられた。条約発効からきょうで67年になる。56年11月、琉球列島民政長官によって行政主席に任命された保守の重鎮、当間重剛は施政方針演説で琉球政府の性格を「米国民政府の代行機関」と表現した。米国民政府とは、沖縄統治のための米国政府の出先機関のことである。琉球政府は出先機関の、そのまた代行機関というわけだ。旧安保条約の締結に伴い、52年4月28日、条約と同じ日に、米軍の特権などを盛り込んだ日米行政協定が発効した。協定は、極端な不平等性を備えていた。作家の山田風太郎は52年4月8日の日記にこう書き記している。「独立の曉は-などというが、日本は独立などできはしないではないか。講和条約は発効しても、行政協定が新たに結ばれたではないか。自由未だ遼遠なり」条約が発効して間もないころ、日本本土には600余りの米軍基地があったという。 ■ ■基地問題を巡る沖縄と本土の関係が逆転し、米軍基地が沖縄に集中するようになるのは講和発効後、50年代に入ってからである。そのころ、全国各地で米軍がらみの事件・事故が多発し、反対運動が高まった。米軍統治下の沖縄でも基地建設のための土地接収が相次いだ。日本本土の基地問題は、憲法が適用される日本の施政下での問題であり、強権的に対応すれば反米感情を高め、安保体制そのものを脅かすおそれがあった。憲法の適用を受けない米軍統治下の沖縄では軍事上の必要性がすべてに優先された。米国民政府と米軍は「布令布告」と「銃剣とブルドーザー」によって住民の抵抗を押し切って基地建設を進めた。講和条約第3条が、基地の沖縄集中を可能にしたのである。日本政府は「日本の安全にかかわる問題」としてそれを追認してきた。■ ■「構造的差別」の源流は、ここにあると言っていい。「4・28」は、決して過ぎ去った過去の話ではない。安倍政権は講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」と定め、2013年、沖縄側の強い反対を押し切って、政府主催の記念式典を開いた。ここに安倍政権の沖縄に対する向き合い方が象徴的に示されていると言っていい。講和・安保によって形成されたのは「沖縄基地の固定化」と「本土・沖縄の分断」である。それが今も沖縄の人びとの上に重くのしかかっている。カタルーニャ州 高まる独立志向/奥野氏、那覇で講演
2019/03/29 沖縄タイムス 朝刊 15ページ 632文字沖縄基地 国連で訴え/仲村沖大名誉教授が発表
2019.03.13 朝刊 25頁 三社 写有 (全480字)
スイスのジュネーブで開かれた国連人権理事会の関連会合で、沖縄大学名誉教授の仲村芳信さん(79)が12日までに、沖縄の自己決定権が日米両政府に奪われたまま、名護市辺野古への新基地建設が強行されていると現状を紹介。「不公平で異常な状況を常態化させたまま(日米両政府が)正常であるかのように振る舞っている」と訴えた。仲村さんによると、会合では(1)1609年の薩摩による琉球侵略(2)1879年の琉球併合(3)1945年の沖縄戦-を「自己決定権が奪われた三つの大きな侵略」と定義。強制的に土地が接収され基地が造られてきた歴史や、戦後の米軍による事件・事故の事例を人権・環境の観点から批判し「独立によって自己決定権を取り戻すことができる」と呼び掛けた。仲村さんが発表したのは、1日の「自己決定権」、5日の「太平洋地域における軍事要塞(ようさい)化」をテーマにした会合。それぞれ4人の発表者の1人として約15分、写真や図解を見せながら発表した。(写図説明)国連人権理事会の関連会合で沖縄の基地の現状を訴えた仲村芳信さん(右)=5日、スイス・ジュネーブ(本人提供)[きょうナニある?]/話題/「琉球処分」140年考える/あす宜野湾でシンポ
2019.03.09 朝刊 21頁 ガイド 写有 (全315字)
琉球民族独立総合研究学会は10日午後2時から、第21回オープン・シンポジウム「ヤマト政府による琉球国武力併合(いわゆる『琉球処分』)140年を問う」を宜野湾市立中央公民館で開催する。後田多(しいただ)敦氏(神奈川大准教授)、多嘉山侑三氏(ユーチューバー)、松島泰勝氏(龍谷大教授)の3人が登壇し、県民投票を振り返りながら、沖縄の今後の展望について語り合う。同学会共同代表で、沖縄国際大の友知政樹教授=写真=は「県民投票後も変わらない日本政府の態度は、沖縄の『植民地状態』が続いている証拠。歴史を踏まえて、今こそ琉球・沖縄の歩むべき道を考える機会にできれば」と呼び掛けた。入場無料。問い合わせはinfo@acsils.org[視点2・24「辺野古」県民投票](1)/投票率が成否を左右/賛否で選ぶ環境づくり必要/江上能義琉球大名誉教授(政治学)
2019.02.19 朝刊 2頁 総2 写有 (全983字)「明治維新」展示に抗議/琉球自己決定権の会 鹿児島2施設に
2018.12.13 朝刊 25頁 三社 (全381字)
「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」は12日、県庁記者クラブで会見し、明治維新150年に関する鹿児島市内の二つの公立施設の展示について、事実関係や歴史認識に容認できない記載があるとして、パネルの修正と指摘への回答を求める抗議文を郵送したと発表した。送付先は、鹿児島県歴史資料センター黎明館と鹿児島市維新ふるさと館。薩摩藩による1609年の琉球侵攻の理由として、藩の政治・経済的利益という目的が明記されておらず、またその後の琉球が形式的にしか独立していなかったと説明されていると指摘。搾取・植民地主義が正当化され、侵略への謝罪や反省がまったくないとしている。同会の与那嶺義雄共同代表らは会見で「侵略された側への視点が欠落している」と抗議。「(沖縄が軍事拠点化されている)今の琉球・沖縄は、明治維新150年の負の側面が継続し、いまだ清算されていない」と訴えた。[読書]/社会/松島泰勝著/琉球 奪われた骨/差別・排除・同化のルーツ
2018.12.01 朝刊 21頁 読書左 写有 (全884字)玉城デニー沖縄県知事を支持する 世界のウチナーンチュによる声明(要旨)/2面参照
2018/11/09 沖縄タイムス 朝刊 4ページ 1395文字
玉城デニー知事は10月31日、世界のウチナーンチュに協力を呼びかけた。しかし日本政府は翌日、辺野古新基地建設工事を再開した。玉城知事の新基地反対は、沖縄の民意の代弁であり、反米感情ではない。玉城知事の父は沖縄に駐留していた米海兵隊員であり、知事の存在自体が米国と米軍基地に絡み合っている。米軍基地の存在は、沖縄の島々を政治的に分断し、時には家族を引き裂いてきた。翁長雄志前知事は「イデオロギーよりもアイデンティティー」と宣言することにより、虚偽の境界線を取り払った。米兵の父を持つ子供とウチナーンチュの母親たちがこれまで社会から否定的に捉えられてきた事実を踏まえると、玉城氏が日本史上、初の「混血」の知事となった事実は、今後の流れを変えうる重要な分岐点といえるだろう。玉城知事の多様な生い立ちは、多くのウチナーンチュと、「純血」の概念に抵抗する沖縄ディアスポラ(離散の民)の人々に共感を広げている。多くのウチナーンチュは、日本の同化政策により、政治的イデオロギーに縛られてきた。海外の私たちも、ウチナーンチュとしての立場を主張する難しさを感じるが、玉城知事はこれを取り除きうる存在だ。日本政府は、公有水面埋立法に基づく新基地建設の埋め立て工事において、沖縄との合意形成を怠り、情報開示や説明責任を果たさないまま、独断的な法解釈や一方的な解釈の変更により新基地建設工事を強行している。状況がより深刻化している今こそ、世界各地のウチナーンチュ、特に米国に住むウチナーンチュが立ち上がるべき時なのだ。米国が「日本の国内問題」と沖縄との対話を拒否し、多くの米政治家が在沖米軍基地問題を直視しないのは、日本が世界でも最大の米軍の財政支援国家だからだ。玉城知事は世界各地のウチナーンチュへの呼びかけで、われわれを「巨大な政府たち」の影に隠れた存在ではなく、「民意」として認識せよと訴えた。それは国境を超えた沖縄のユイマールの伝統に由来する。1899年、当山久三を先頭とするハワイ移民を皮切りに、ラテン・アメリカ、フィリピン、南洋諸島、ボリビアと、沖縄はディアスポラを通じた繋(つな)がりを維持しながら、故郷の家族に送金し、物資を送り援助した。沖縄県の人口140万人に対し、世界のウチナーンチュは42万人。移民は沖縄の一部だ。われわれは米国および民主主義諸国の市民として、沖縄が米軍基地や日本の一つの県としての地位よりも、はるかに豊かな遺産を継承していることを忘れてはならない。成熟した政治や芸術、精神伝統でアジア太平洋の貿易の要石として発展してきた沖縄の歴史の源は、独立国として繁栄した琉球王国に横たわる。われわれは、新基地建設工事が絶滅危惧種ジュゴンとサンゴ礁の生息地に与える環境破壊の危険性を世界に喚起しなければならない。状況は危機的だが、沖縄の平和と繁栄が取り戻せる可能性は残されている。私たちは、玉城知事と沖縄の人々への惜しみない支持を表明する。発起人(あいうえお順)=上運天ウェスリー(カリフォルニア州)、大山紀子(ニュージャージー州)、賀数ウトゥ章子(ワシントンDC)、神谷ジョセフ嘉益(カリフォルニア州)、デービッド・キム(ミネソタ州)、島袋まりあ(ニューヨーク州)、当銘英麻(コロラド州)、ジェーン・ヤマシロ(カリフォルニア州)、横田ライアン真明(イリノイ州)「声を上げ続けた成果」/関係者、国連勧告を評価
2018.08.31 朝刊 27頁 社会 (全389字)
沖縄の人々を先住民と認め、女性の安全や保護などを求めた国連人種差別撤廃委員会の勧告に、沖縄の人権問題を訴えてきた関係者は「沖縄が声を上げ続けた成果だ」と評価した。(1面参照)今月16日にジュネーブであった同委員会で、基地問題を訴えた参議院議員の糸数慶子氏は「勧告は県民の立場に立ったものだと思う」と歓迎しつつ「たびたび勧告を受けても日本政府は動かない。沖縄の自己決定権を認めず、基地を押し付ける行為は差別そのものだ」と批判した。4月にニューヨーク国連本部で開かれた先住民問題のフォーラムに参加した、琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表は「沖縄の抵抗の歴史や基地問題などを国連が理解したということ。日本政府はいつまでも無視できるものではない」と指摘。「女性への暴力や米軍基地から派生する事件事故に踏み込んだことは、沖縄側が声を上げ続けた結果が出たと思う」と話した。[てい子トゥーシーのユンタクハンタク](53)/アウェアネス 知ることは その3/脱植民地 人間の尊厳を
2018.07.23 朝刊 23頁 海外 写有 (全1,126字)
数年前、沖縄タイムスのある記者からメールでインタビューを受けたことがある。ケビン・メア米国務省日本部長(当時)が「沖縄はごまかしの名人」と発言した騒動の頃だった。私はそのころ、ニューヨーク県人会会長5年目で、尊敬する記者に心の底から言いたいことを吐き出した。それまでウチナーの社会風潮や政治絡みの問題は見ても聞いても、言わざるの心構えだった。しかし、思い切って伝えた。それまで私の心のつかえがなくなり、心理療法のように役立った。琉球王国は薩摩に侵略され、従属を強制され、琉球処分で約450年の歴史が終わった。米軍統治下を経て日本「復帰」から15年後の1987年に帰省した時、ウチナーの踊りや衣装、言葉、文化は「ヤマトゥかぶれ」していて、悲しかった。日本政府が「復帰」に賛成したのは、米軍基地が豪華な付録として利用できるからだ。それぐらいの打算は外国からよく見える。元コザ市長の大山朝常氏が「沖縄独立宣言-ヤマトは帰るべき『祖国』ではなかった」と題した書物を遺した。題を一見しただけで心が詰まった。私は常に、シマンチュたちが連帯し、立ち上がらなければならないと思っている。独立するための経済政策や安全政策などは、同胞の専門家の話や統計などを見れば納得がいく。まさに「ヒヤミカチウキリ!」で団結するべきだ。現在も続く沖縄の植民地状態が当然のようになり、シマンチュとしての尊厳を感じなくなっている人々、若者たちのある団体を見ると、同じシマンチュとして悲しみを感じる。何よりも一部の人たちが、新基地で民意を踏みにじる政府の姿勢に同調している事実は悲痛としか言えない。そんな状況に出合うたびに、いつも思う表現がある。「子どもが6人いたら、あと6人欲しいとは思わないが、6億ドル持っていたら、あと6億ドルほしくなる」。人間の無限の貪欲さを表現したものだ。自己決定権などの自立を促すのは、人間の尊厳にもつながるものである。「Give me chocolate Mentality」 (ギブ・ミー・チョコレートの精神状態)は、日米にとって、もってこいで都合がいい。しかも国連でも日本政府は、平和だとか民主主義だとか自称しながら、琉球・沖縄の民意を無視し続けている。しかし、私の知っているウチナーンチュの中には、脱植民地化と自己決定権の復活を目指し、琉球の不屈の魂・精神を持っている者たちがいる。特に次世代の彼らを見ると、私のシマンチュとしての魂・根性はますます強くなるのだ。(てい子与那覇トゥーシー)=次回は8月20日掲載「琉球人の権利侵害」/遺骨返還シンポ 京大を批判
2018.05.21 朝刊 18頁 二社 (全364字)[伝える 琉球の心 国連先住民族世界会議から](下)/「国際社会へ訴え解決策探る」/主権回復の闘いに希望
2018.05.05 朝刊 2頁 総2 写有 (全1,064字)
「われわれの土地をわれわれに返せ」そう叫び続け、米国から実際に土地と主権を取り戻した実例が一つある。ハワイにある独立自治国「プウホヌア・オ・ワイマナロ・ヴィレッジ(ネイション・オブ・ハワイ)」だ。1993年、クリントン米大統領(当時)は米国がハワイ王国を侵略した事実を認める謝罪法に署名。これを受け、オアフ島ワイキキ近くの約55エーカー(約22万平方メートル)近くの土地が返還され、「独立主権国家」が誕生した。この独立運動を主導したのは、ハワイ統一王朝初代君主カメハメハ大王の7代目の末裔(まつえい)であるバンビー・カナヘレさん。ニューヨーク国連本部で開かれた先住民問題に関する常設フォーラムには、カナヘレさんのおいで代表ナンバー2のブランドン・マカアワアワさんらも参加した。4月19日の関連行事で、マカアワアワさんは、1893年の米国統治以降、ハワイ先住民は土地も言葉も文化も仕事も奪われて差別され続けたと主張。ハワイを訪れる観光客らに文化を消費され続ける中、1978年から非暴力行動を始め、負傷者も出る厳しい闘いの末に独立して主権を取り戻した経緯を説明した。1年ぶりに再会した友知政樹さん(琉球民族独立総合研究学会共同代表)から新基地建設を巡る現状を聞くと、「国家に土地と主権の返還を認めさせるのは困難だが不可能ではない。解決策を一緒に考えよう」と励ました。今回の琉球民族独立総合研究学会の国連行動には、沖縄から野村流音楽協会三線教師の比屋根良直さん、ブラジルから沖縄系4世の金城ヴィトルさん、米国からニュージャージー在住のてい子与那覇トゥーシーさん(元ニューヨーク沖縄県人会長)も参加。沖縄の空手や芸能を披露してアピールし、沖縄を発信した。先住民族世界会議で発言の獲得に奔走した親川志奈子さんは、パネリストとして参加した関連行事での発言後、駆け寄ってきた人々に「一緒に解決方法を探していこう」と声を掛けられ、目を潤ませる場面もあった。「人権侵害が進む琉球の現状を国際社会で訴え、解決策を見いだしたい」と話していた友知さんは「国連や世界の人々とのつながりを深める地道な活動を続けていきたい」と希望を語る。ニューヨーク国連本部で芽生えた「伝える琉球の心」は今、世界へ向けて広がり始めた。(平安名純代・米国特約記者)[伝える 琉球の心 国連先住民族世界会議から](中)/「国連の記録に刻まれた」/軍事植民地化 強く批判
2018.05.04 朝刊 2頁 総2 写有 (全1,029字)
4月19日午後3時。ニューヨーク国連本部で先住民問題に関する常設フォーラムの全体会議が始まった。沖縄から参加している琉球民族独立総合研究学会の友知政樹さん(共同代表・沖縄国際大学教授)らは関連行事への出演で別会場に向かい、議場には親川志奈子さん(同会共同代表)と東新川藤佳さん(カリフォルニア州在住、大学院生)が残った。同日の会議に登録された62団体のうち、時間的制約で発言できるのは約半数。果たして本当に順番は回ってくるのだろうか。会議開始から約12分後、議長が東新川さんの名前を呼んだ。はじかれるように挙手し、深呼吸して英語で声明文を読み上げ始めた。論点は、(1)辺野古の新基地建設は国連先住民族権利宣言に違反(2)日本人研究者が約100年前に琉球人の墓を掘り起こして遺骨などを持ち帰り、現在まで未返還(3)2015年の安倍晋三首相による「1879年以前に琉球が独立国であったことを日本政府が認めるかどうかについての回答は非常に困難」との表明は先住民族権利宣言に違反-の三つ。琉球の人々の権利を否定する日本政府の歴史認識が植民地主義を正当化し、軍事植民地化を維持している構図を明示し、正す必要性を世界に訴えたいとの思いを込めたものだった。「琉球の心を伝えられた。国連の記録に琉球の歴史を刻むことができた」声明文を読み終えた東新川さんと親川さんに大きな笑顔が広がった。しかし、喜びは一瞬にして驚きに変わった。日本政府代表者が「反論」の声明を読み上げ始めたからだ。国連日本政府代表部の水野竣志二等書記官は、日本政府はアイヌ民族を先住民と認識したが、「日本では沖縄の人々は『先住民』と認識されていない」と指摘。そうした見解は沖縄の議会内にもあると述べ、「沖縄在住の日本国民および沖縄出身者も皆日本国民であり、法的にも同等に扱われている」と沖縄差別を否定した。国連は2008年に沖縄の人々を「先住民族」と認定。14年には日本政府に対し、沖縄の人々に土地や天然資源を巡る権利の保障を促す最終見解を採択している。しかし、今回の日本政府の反論は、こうした国連の公式見解を改めて正面から否定するものだ。奔走の末に手にした発言に対し、政府代表者に自動的に反論の機会が与えられたのを見て、親川さんは深いため息をもらした。(平安名純代・米国特約記者)[伝える 琉球の心 国連先住民族世界会議から](上)/国連で発言 交渉に奔走/「沖縄の人権侵害 訴えねば」
2018.05.02 朝刊 2頁 総2 写有 (全1,129字)
「解決策を見つけるには、人権侵害が進む琉球の現状を国連を通じて国際社会へ訴えなければならない。現地で交渉して発言権を確保しよう」国連へ出発直前、空白が埋まらないスケジュール表とにらみ合っていた友知政樹さん(琉球民族独立総合研究学会共同代表・沖縄国際大学教授)は、覚悟を決めた。友知さんの胸にあったのは、日米両政府が米軍普天間飛行場の移設先は「辺野古が唯一」と繰り返す中、国際世論に沖縄の民意を反映するには、国連で沖縄の声を発信しなければとの思いだった。国連は、近代以降の植民地政策や同化政策などで、土地や文化などを奪われたり否定されたりした人々の権利を保護するため、2000年に「先住民問題に関する常設フォーラム(通称・先住民族世界会議)」を設置。今年は、先住民の土地を巡る権利などをテーマに、世界各国から集まる約千人の先住民族や政府の代表者らが議論を深める。「国連で発言するメリットは、発言が公式記録に残されること。日本政府は反論するが、国連は調査を行い、沖縄の権利を尊重するよう日本政府に勧告してきた」。沖縄から友知さんらと共にニューヨーク入りした親川志奈子共同代表はこう話す。2週間の期間中、同学会の活動予定は関連行事への出演が二つ。本会議での発言枠は確保できていなかった。初めて訪れる者にとって、国連のシステムは煩雑だ。何とか本会議での発言枠を手にしようと、親川さんは国連本部内を奔走し、発言申請書を提出。無事に受理されたのを確認した。しかし会議直前、議場の一角に張り出された発言者リストには名前がない。「名前が漏れているのはなぜなのか」。抗議する親川さんに、国連職員は「分からない」と肩をすくめた。議題ごとに開かれる全体会議は、申請書が受理され、議長に指名された代表者が発言するシステムだ。新たに申請書を提出した親川さんは「国連の不手際で発言の機会をなくした」と議長秘書に抗議。会議が始まる直前、直接交渉をと議長に歩み寄ったその時、側にいた議長秘書が「あなた方の発言枠は確保されている」と保証した。「本当に大丈夫なんだろうか」と不安そうな親川さんを前に、議長は全体会議の開始を告げた。(平安名純代・米国特約記者)ニューヨーク国連本部で4月16日~27日まで、世界各国の先住民や政府の代表者らが集う第17回「先住民問題に関する常設フォーラム」が開かれた。沖縄から参加した琉球民族独立総合研究学会の動きを振り返る。新基地は「権利の侵害」/国連先住民会議 東新川さん訴え
2018.04.21 朝刊 3頁 総3 写有 (全772字)
【平安名純代・米国特約記者】ニューヨーク国連本部で開催中の第17回先住民問題に関する常設フォーラムで19日(現地時間)、各国政府と先住民族代表らが参加する全体会議が開かれた。沖縄からは、琉球民族独立総合研究学会メンバーの東新川藤佳さん(大学院生)が同会を代表して発言し、独立国だった琉球が持つ先住民としての権利を日本政府が否定し、さらに新基地建設を通じ沖縄の軍事植民地化を進めていると批判。国連が定めた権利尊重を国際舞台で訴えた。 東新川さんは「琉球は1879年に日本に武力併合されるまで独立国だった」と述べた。2014年に国連自由権規約委員会が日本政府に、「アイヌと琉球(沖縄)の人々の土地の権利の保障」を勧告し、同年、人種差別撤廃委員会が日本の立場に遺憾を表明したが、16年、日本政府は「琉球人は先住民族ではない」と否定したと指摘した。 その上で、沖縄が現在、直面している課題として、(1)植民地化と軍事化の深刻化(2)墓から持ち出された琉球民族の遺骨が現在も未返還(3)安倍晋三首相が15年、日本政府が琉球は独立国だったと認めるのは困難と表明-の3点を挙げた。 日本政府が強行する新基地建設をめぐっては、基地が過剰集中した結果、性的暴行事件や事故などが絶えず、教育環境も脅かされていると批判し、「琉球が独立国だった歴史的事実を否定する日本政府の行為は、自由権規約(国際規約)、および先住民族の権利に関する国際連合宣言に違反している」とし、日本政府に問題点の改善を要求した。 これを受け、国連日本政府代表部の水野竣志2等書記官は、日本政府の従来の立場を説明し、先住民としての権利を要求する同会の主張に反論した。(写図説明)全体会議で発言する琉球民族独立総合研究学会の東新川藤佳さん(右)と親川志奈子共同代表=19日、ニューヨークの国連本部「県内移設は負担の移設」/国連で親川さん 新基地建設に警鐘
2018.04.20 朝刊 2頁 総2 写有 (全593字)
【平安名純代・米国特約記者】ニューヨーク国連本部で開催中の「第17回先住民問題に関する常設フォーラム」で18日、分科討論会「アジアにおける先住民の権利擁護と土地の権利」が開かれた。琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表がパネリストとして登壇し、日米両政府による名護市辺野古の新基地建設強行が沖縄の基本的人権を侵害していると